俺の(元)妹はギター以上に俺のことが好きらしい   作:鷲鷲鷲

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ダンス部合宿


10話 妹は合宿中も見張りたいらしい

「はぁぁぁ、だっる」

 

「ったく、そんなに大きなため息つくなよ。まぁ理由はわかるけどな」

 

「あこにも教えてよ〜」

 

「あこ、お前が知るにはまだ早い」

 

 金曜日の放課後に泊まり道具を持って同級生と一緒に歩いてる。この状況なら普通はお泊まり会だと思うやん? 残念でした、これからダンス部の合宿なんです。

 

「軽音部だけじゃ飽き足らずにダンス部にまで入った去年の俺を恨む」

 

「そんなこと言うなって。結構体動かすの楽しいだろ? それに後輩とも仲良いじゃんか」

 

「否定は出来ぬ。だからと言ってリサ先輩を許す訳には行かねぇな」

 

「やっぱり蒼太にとってのあたしって目の敵かなんかなの?」

 

「だからいきなり後ろから来るのやめて貰えます!? 結構ビビるんですけど!?」

 

「ごめんってば。あたしも無意識にやっちゃうんだよね〜」

 

 話してる側からなんなんこの先輩。あんたみたいなコミュ力レベルカンスト上限突破して42億ぐらい言ってる人が気配消して後ろからいきなり話しかけてくるから怖いねん。

 

「しっかしなんで去年と言い今年と言いこの時期に合宿なんですかね。しかも学校から少し離れてるじゃないすか」

 

「夏休み入ったらすぐに7月半ばに大会あるでしょ? それの事前練習と3年生の思い出作りって先生が言ってたよ」

 

「だから肝試しが入ってるんすね」

 

 合宿という名のお泊まり会じゃねえか。今週の土日はどっちもバイト入ってないし、いつ六花が来てもおかしくない状況だったからとりあえず結果オーライかな。

 

「そういえば燐子から聞いたんだけどさ、蒼太って元ヤンキーなんだって?」

 

「そうだよリサ姉! そう兄が悪いヤンキーをバーンッ! ってやってすっごくカッコよかったの!」

 

「黒歴史なんで忘れてくれませんかね? てかあとどんぐらいで着くんですかね、かなり疲れたんすけど」

 

「ナビだと歩いて10分ぐらいだよ。途中にコンビニあるから寄ってく?」

 

「俺寄りますわ」

 

 コンビニに寄って買ったのは夜食べる用のお菓子。いつもなら甘いものだけど今日は苦めのが多めです。

 

「ねぇ蒼太、今日の肝試し2人1組だから一緒に組まない?」

 

「遠慮しておきます。この会話も全部六花に盗聴されてるらしいんで」

 

「え、盗聴!?」

 

「そうっすよ。そのせいでこの前俺襲われかけたんすからね?」

 

 適当に六花嫌いとか言ってみろ、今度こそ俺終わるからな。まぁ俺は六花のこと嫌いじゃないんで言わないんですけどね(無自覚ブラコン発動)

 

「やっとついた〜」

 

「あこ疲れたよ〜」

 

 少し小高い山を登っていくと大きめの宿泊施設についた。ここまで登ってくるのも疲れたけど、ここから見える体育館で練習するってなるとそれも疲れそうでダルすぎる。

 

「あたし達で最後かな」

 

「見た感じそうですね。あたし先生に報告してきます」

 

「頼んだぞ姉御」

 

 巴も巴でめっちゃ頼りになるよな。姉御肌だし、ラーメン好きだし、男なのに負けてる気がする。あれじゃね、ますきといい勝負しそうだわ。

 

「そういえば明日香から聞いたんですけど、ここってオバケの噂あるらしいですよ」

 

「え」

 

「オバケはちょっとなぁ……」

 

 この間リサ先輩のことさらっと七不思議に例えたけどさ、俺も結構オバケ苦手なんだよな。だって怖い人なら殴れば1発KOなのにオバケは殴れないもん。この思考回路だけは中学から変わってないわ。

 

「部屋の鍵貰ってきましたよ」

 

「さんきゅ。じゃ、俺は部屋に荷物置いてきますね」

 

「あたしたちも行こっか。また後でね〜☆」

 

「そうやってウインクしても俺は落ちないっすよ」

 

「やっぱりガード固いな〜」

 

 部屋に行くと既に顔見知りの男子3人がテレビを見て遊んでいた。今日は六花に邪魔されないって考えるとマジで天国。女子バナならぬ男子バナでもしたいわ。

 

「おっす朝日、遅かったな」

 

「リサ先輩に絡まれた」

 

「朝日先輩ってめっちゃモテますよね。六花ちゃんから聞きましたよ、昔は硬派のヤンキーだったって」

 

「悪いことは言わん、忘れとけ」

 

「結構僕の憧れですよ? そういうの好きなんですよね」

 

 今ここで話してもいいけど、この後は食堂に集まって夕食食べて少し練習して肝試しらしいんだよな。

 

「ま、男子バナなら寝る時にしようぜ。こんな時のためにお菓子は買ってきた」

 

「奢りありがとうございます」

 

「寝れないように苦いやつな」

 

「先輩酷いじゃないですか」

 

 今日の夕飯はバイキング! なんとなんと和洋中にデザートまでついてるんです。幸せすぎてやばい、これ六花にも食べさせてあげたいわ。

 

「蒼太、いま六花のこと考えてたでしょ」

 

「だからさらっと思考読まないでくださいって」

 

「だって顔に出てるんだもん」

 

「それならしゃーないっす。てか、この後の肝試しのペアって何で決めるんすかね」

 

 今日の問題点はそれなんだよ。クジなら万々歳なんだけど、自由に組んでいいとかならワンチャン発狂するかもしれない。だってダンス部の男子共は後輩含めリサ先輩とくっつけってオーラバリバリ出してるもん。裏切られること間違いなし。

 

「さっき先生が自由って言ってたよ」

 

「だったらリサ先輩絶対俺の事指名しますやん。やめてくださいよ、幽霊無理なんで巴に頼ります」

 

「あたしはあこと行くかな。ライトがあるとはいえ、暗い森の中に行かせるのはちょっと怖いからさ」

 

「裏切ったなコノヤロウ」

 

「悪い、今回ばかりは許してくれ」

 

 頼みの綱の姉御にも裏切られました。でもわかる、わかるぞその気持ち。可愛い妹に夜道を1人で歩かせたくないもんな。

 

「って言うわけだから一緒に行こっか」

 

「モノホンの幽霊でても頼らないでくださいね。気絶するんで」

 

「それはあたしも困るな〜」

 

「しょうがないじゃないっすか。幽霊に耐性ある人の気が知れないっすよ」

 

 その後、ちゃんと男子にも当ってみたが全員口を揃えたように断ってきた。しかも女子もほとんど組み終わっていて、組むとなると最悪先生になる。それって最悪じゃないっすか?

 

「先生と行くぐらいならリサ先輩と行きますよ」

 

「気になってたんだけどさ、蒼太の中であたしって優先度何番目ぐらい?」

 

「下から数えて五本指に入ります」

 

「ちょっとショックだな〜」

 

 ダンスの練習と言っても軽くステップ踏んでリズム確認しただけで終わった。これって本当にお泊まり会じゃね? 合宿なんて建前だろコラ。

 

「さてさて、そろそろあたしたちの番だね〜」

 

「俺嫌っす。めっちゃ暗いしライト以外禁止で奥の神社に行ってこの御札置いてくるんすよね? 鬼っすか? これ考えた人鬼っすか?」

 

「大丈夫、大丈夫。念の為にスマホ持って行っていいって先生言ってたじゃん」

 

「この画像見て言えます?」

 

 俺が先輩にみせた画像には六花からの通知が200件近くあった。ちなみに返信はおろか既読すらつけてません。

 

「じゃ、行こっか」

 

「う、うっす」

 

 森の中に入ると光が俺とリサ先輩がそれぞれ持つライトだけ。その光も結構細いから心細い。頼む、もうちょっと大きめのライトにしてくれよ。

 

「きゃぁ!!!」

 

「うわぁっ!?」

 

「と、鳥かぁ〜。よかった〜」

 

「やめてくださいよリサ先輩! まじで無理っすから!」

 

 オバケが苦手なリサ先輩とオバケが苦手な俺が一緒にいてもプラスにはならない。マイナスとマイナスかければプラスになるけど、マイナスとマイナスを足したらマイナスにしかならないんだよ。

 

「も、もう少しで神社だよね?」

 

「あれじゃないすか?」

 

 見えてきた神社はめっちゃボロくていかにも出そうな見た目だった。え、なんだろう、視覚的に恐怖を与えるのやめて貰えますか? 

 

「ね、ねぇ……あそこで動いてるのなに……?」

 

「え……ちょっとちょっとあれはまじもんじゃないすか!? 逃げますよ!」

 

 森の奥からのそのそと黒い影が近づいてきた。首を前に突き出して、貞子みたいにしている。やばい、これはマジでやばい。

 

「あっ!」

 

「ちょっとなにやってんすかリサ先輩!」

 

「転んじゃって……ってもうそこまで来てるし!」

 

「お……ん。め……ねお……」

 

 なんかブツブツ喋ってるし、歩き方からしてオバケなんですね。こんなの無理、誰かに助けを求めよう。

 

「六花、頼むから出てくれ!」

 

「も、もうすぐそこまで来てるってば!」

 

 俺は六花に電話をかけた。頼むからでてくれよ、先生より巴よりお前が1番頼りになるんだ。

 

「あれ、着信音近くでなってない?」

 

「俺のと……オバケのほうから? ってことはお前六花か?」

 

「酷いよお兄ちゃん。なんで逃げるの?」

 

 いやいやいや、この状況でそんな見た目の人が近づいてきたら誰でもビビるって。

 

「お兄ちゃんが連絡してくれないからお兄ちゃんの家にあった用紙に書いてあった場所に向かってたら木にぶつかってメガネ落としちゃったんだよね」

 

「ならなんで俺の居場所わかったんだよ」

 

「お兄ちゃんの声がしたからだよ。やっぱり愛の力だね♡」

 

「そんなの知りません」

 

 とりあえず六花のメガネを探したんだけど、神社の横に落ちていた。にしても六花の行動力やばいだろ。夜にこんなところ一人で歩いちゃ行けません。

 

「六花これからどうするの?」

 

「私は家に帰ります。もちろん明日もお兄ちゃんに合いにきますね♡」

 

「え、じゃあ帰ろうかな。先生に事情説明してきますわ」

 

 先生に事情説明するとなぜかあっさり通った。新任の先生で恋愛経験なしだから羨ましがってだけどね。先生、俺は先生の思うような恋愛はしてませんよ。

 

「まったく、俺の平和な男子バナが出来なくなっちまったじゃねぇか」

 

「でもお兄ちゃんも一緒に帰れるから私は満足だよ♡」

 

 なんで俺の妹はここまで行動力があるのだろうか。でもそんな妹でもお兄ちゃんは好きです。だから病むのはやめてください。

 

「あ、リサ先輩から電話やん」

 

『もしもし蒼太?』

 

「どうしたんすか?」

 

『蒼太、ジャージ忘れてってたからあたし預かっとくね。今度洗って返すよ♪』

 

「マジだるいんすけど」

 

 ジャージだけ先輩の服と同じ匂いだったら泊まったとか勘違いされるやん。やめてほしいわ。

 

「リサ先輩なんやって?」

 

「なんでもねぇよ」

 

「じゃあ今日はこのままお泊まりね♡」

 

「嫌です」

 

「泊まるもん!」

 

 どうやら今日の妹はわがままっ子らしい。惚れるんで今日だけは許してください。




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