俺の(元)妹はギター以上に俺のことが好きらしい   作:鷲鷲鷲

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ヤンキー降臨
かかってこいや喧嘩上等!
最近東京リベンジャーズと氣志團にハマりまくってます。
推しはマイキーとドラケンっすね。


15話 妹はヤンキーな俺も好きらしい

 蝉の声が鬱陶しくなる8月の夜。

 俺はそんな暑い日にひとつボヤいた。

 

「んでさ、そろそろ時間なんだけど」

 

「待ってなさい蒼太。女の子の着付けには時間がかかるのよ」

 

「知ってるわ。でもさすがに長すぎだろ」

 

 今日は帰省2日目、夏祭り当日。

 俺は龍吾を待つと同時に、六花の着付けを待っていた。かれこれもう1時間近く気付けに手間取ってる。

 

「お母さん、これってどうやって挿すの?」

 

「それはね、こうやってこうするの!」

 

「できた!」

 

「やれやれ、親が子に似るって言うのはこういうことらしい」

 

 尚、例外的なものもあることを自分自身で体現している俺である。

 

「おーい蒼太〜、きたで〜」

 

「ほら六花、龍吾達が来たぞ」

 

「い、今行くから!」

 

「うわっ、六花ちゃんめっちゃかわいいやん」

 

 着付けが終わった六花は紫色を主にして、牡丹の刺繍が所々になされている浴衣を着ていた。髪はポニテではなく、ハーフアップにしていて、先端が月の形をした簪で止めてある。

 とりあえず一言、可愛すぎる。

 俺の妹がこんなに可愛くて許されるわけが無い。こんな姿で外歩いたら絶対ナンパされるやん、守らなきゃ行けないこの使命感。

 

「どうどう? 今年二着目だけどさ、似合ってる?」

 

「うんうん、似合ってる似合ってる」

 

「もっと具体的に褒めてよ! 」

 

「とても大人っぽくて妖艶でよろしいと思います」

 

「えへへ〜♪」

 

 そして俺たちは下駄を履いて外へ出た。

 外へ出て、少し神社の方向に歩くとそこははもうお祭りムード満載。提灯が吊るされ、出店も沢山ある。去年も来たかった……けど、今年来れてるからいっか。

 

「私、パトちゃんたちと回ってくるね!」

 

「おう、なんかあったらすぐ呼べよ。龍吾を蹴っ飛ばしてそこまで飛ばすから」

 

「わかった! 最後の花火は一緒に見ようね、お兄ちゃん♡」

 

「いやいやいや、おいの扱い酷ない!?」

 

 さて、六花達はここから離れるようだからよかった。これで少し安心できる。はずなんだけど、お兄ちゃんは六花のことがすっごく心配なんです! 

 

「やばい、六花があの格好で歩くってことはバカがホイホイついてくるってことだから……ちょっとついてって六花に近づくやつ全員ノスか」

 

「待て待て、今日の目的はそれじゃないやろ?」

 

「わーってるって。さっさと馬鹿どもをノシて六花達のとこ行くぞ」

 

「あいあいさ〜」

 

 とは言ってるものの、1番大事なことを忘れてるんだよなこれ。

 

「1番大事なことを聞いておく。この祭りのいつどこでそのアホ共はやらかすって?」

 

「あ、えーと、その……聞いてねぇや。ゆるしてちょ☆」

 

「よし、とりあえずそのサングラスから割ってやるからツラ貸せ。1発で終わらす」

 

「これ結構高かったんやで!?」

 

 まったく、昔から何も変わってねぇな。

 俺もこっちにいなかったからどういう状況か分からないし、龍吾も知らないってなるとパトちゃんとか知ってるやつに聞くしかないか。

 

「パトちゃんに連絡つくんだろうな?」

 

「スマホの充電ねぇわ☆」

 

「はぁ……ったく、電話しても六花達の邪魔になるだけだしな。歩いて探すぞ」

 

「あいあいさ〜」

 

 そして俺と龍吾は祭りを回って行った。でも、俺も龍吾も半分目的を忘れてあそびまくって、両手には景品がパンパンに入った袋を持っていた。

 

「やべぇ、遊びすぎた……」

 

「いや〜、射的勝負は5対5で引き分けだけど、本当はおいの勝ちだ思うんだけどな〜」

 

「そんなこと言ったら俺の勝ちだろ。あの跳弾でお菓子2個取りするのは優勝確定演出」

 

「いーや、俺の勝ちや」

 

「ま、今日はそういうことにしておいてやるよ。今日だけな」

 

 こんな話をしているけど、打ち上げ花火の時間まであと1時間を切っている。

 何人か同級生にあったけど、誰も分からないって言うばかりで情報はほとんど無いに等しい。さて、どうしたもんか。

 

「い、いた! せんぱ……じゃなくてカシラ!」

 

「ん……(れん)じゃん。久しぶり」

 

「お久しぶりです! 帰ってきてたんすね!」

 

「まーな。あ、そうだ、ちょうど良かったわ。聞きたいことあんだけどさ……」

 

 俺らが3年の時の1年、要するに今は3年の錬に会えた。久しぶりってのもあるけど、2年はまともに仕切れる奴いなかったからこいつに任せてったんだよな。本当にちょうど良かったわ。

 

「最近こっちでバカやってる連中いるってまじ?」

 

「そ、そうなんです。カシラが卒業してから調子乗り始めて、俺らも最初は黙らせてたんすけど、今度はナイフ持ったり、何人もかたまってやって来て……」

 

「そこまで酷いんかいな。レンちゃん、そいつら今どこにいるかわかるん?」

 

「い、今はもうそこらじゅうで喧嘩も盗みもやりまくって……」

 

 流石にそこまで行くと相当やばい。

 俺らは絶対に武器は使わなかった。殴って蹴って、タイマン勝負が当たり前だった。

 

「俺らが不甲斐ないせいで……すいません!」

 

「錬、そいつらのアタマって祭りにきてんのか?」

 

「き、来てます! 山の上の神社でタバコ吸ってるらしいっす」

 

 そこは俺と六花が花火を見るって約束した場所だった。

 ここまで来たら流石に俺も黙っちゃいられねぇんだよな。

 

「よし、龍吾、とっととぶっ潰して六花達と花火見るぞ」

 

「ういうい。久しぶりに腕がなるねぇ!」

 

「お、俺も行きます! ダチと後輩も連れてくるんで少しだけ待ってください!」

 

「いや、おいと蒼太だけで十分やで。先輩に任しときんしゃい」

 

 それ俺のセリフなんだけど。

 カッコイイとこ全部持ってかれたわ。

 

「そういうこった。そんな錬にひと仕事頼んでもいいか?」

 

「は、はいっ!」

 

「六花達のこと見といてくれ。アホ共に手を出されないようにな。なんかあったらすぐ呼べよ」

 

「わ、分かりました!」

 

 これで準備はとりあえず完了したか。

 

「龍吾、カッコつけたのはいいけど、ダサい負け方すんなよ?」

 

「そのままお返しします」

 

「まぁいいや。ほら、バカのアタマのお出ましだぜ」

 

 神社に続く階段を登りきると、目の前に境内が見えた。

 するとそこには髪を染めたり、ピアスしてたり、タバコを吸ってたりとやりたい放題のバカ共がいた。

 

「なんだテメェら、ここは俺らのシマだぞ」

 

「とりあえずさ、平和的にアタマ出してくれへん? おいも喧嘩はあんまりしたくないんよ」

 

「しるかっ!」

 

「やっぱり無理やん。龍吾、手加減無しで行くぞ」

 

「あーいよっと!」

 

 話し合いにしようとしたんですけど、やっぱり無理でした。バカは殴って解らせるしかないらしい。

 今までもそうだったし、多分これからもそれは変わらない。

 あ、でも六花っていうバカは殴れませんよ。

 

「おいおい、なんだよこの状況。たかが2人にノされてんじゃねぇよ」

 

「たかが2人にノされるほどお前らが弱かっただけだろ。お前がアタマか?」

 

「だったらなんだよ。お前ら、俺らに喧嘩売ってどうなっか分かってんのか?」

 

「分かってるってんの。逆にお前ら、俺らが誰かわかって言ってんのかこら」

 

「か、カシラ……こいつら、龍吾と蒼太、です 」

 

「なっ、こいつらが龍蒼だってんか!? 蒼太なんか2年前に東京いったはずだろ!」

 

 そりゃ驚いてますよね。だって帰省してきただけだもん。こっちは好きだけど、それ以上にあっちも好きなのでね。

 

「はっ、でも問題ねぇよ。お前らの後輩共は俺がナイフ出したらビビってなんも出来なかったかんな!」

 

「で? だから? それでおいと蒼太に勝てるとでも思ってんか?」

 

「っっっ! てめぇら、こいつらやっちまえ!」

 

「カシラは俺が貰うぞ」

 

「ええで。その代わり、今度ジュース奢りな」

 

 そう言って俺と龍吾は拳を合わせた。こっからが本当の祭りの始まりだぜ。

 

「おら! おらおらおら!」

 

「そんなに適当に殴っても当たんねぇよっ!」

 

「ぐふっっっ!」

 

「武器にばっか頼ってっからそんな拳にしかなんねぇんだよ。まぁ筋はいいから今からでも武道やるか?」

 

「るっせぇぇぇ!」

 

 アタマの腹に一発蹴りを入れるとキレてナイフを取り出した。さっきも言ったばっかなのに、それも学ばねぇとはただのアホだな。

 

「はっ! ナイフが怖くて近寄れねぇのか? そりゃそうだよなぁ、切られるといてぇもんなぁ!」

 

「切られると、だろ。切られる前に終わらせてやるよ」

 

 ナイフ持ちと素手でやり合うのは行けるけど、生憎いまは甚平を着ていて身動きがとりずらい。雑魚とやってる間も何発か食らってるし、口の中切れてるからそこそこ痛いんだよ、さっさと終わらせる。

 

「俺を舐めるなァァ!」

 

「舐めてなんかねぇよっ!」

 

 叫びながらアタマは持っているナイフを突き出してきた。

 それに合わせて俺は上段蹴りでナイフを落とし、そのままの流れで回し蹴りをして、アタマを蹴り飛ばした。

 

「俺らがいなくなったからってバカやってんじゃねぇよ。やるなら武器使わねぇで真っ向からやれや」

 

「あら、もう終わっちゃったん?」

 

「そっちは?」

 

「おわ終わり」

 

 合流した龍吾とまた拳を合わせる。なんか懐かしくてこういうの好きだな。たまにはいいかも。

 

「っ、てめぇらが来てんだったら妹も来てんだろ。だったら、そいつら襲ってやるよ!」

 

「あ? 今なんつった?」

 

「てめぇらの妹をつるし上げてやるって言ったんだよ!」

 

 プチッと音がして切れたのは堪忍袋の緒です。これは許せませんね、裁判所に来てもらいましょう。

 

「そんなに殴られたいなら本気(マジ)で一発食らわせたる。よぉく歯食いしばれ」

 

「え、す、すすすいません、でした……」

 

「ここまでいった蒼太は止められんな。おいの分も頼んだで」

 

「せーのっ!」

 

 思いっきりアッパーくらわしてやったよ。ストファの昇竜拳みたいにドーンってな。

 

「二度と俺の妹のことを口にすんじゃねぇぇ!!!」

 

「蒼太よ、目的変わってへん?」

 

「あ、そうか。てめぇらも二度とバカやんじゃねぇぞ。次やったらまたぶちのめしてやるから安心しろ」

 

 まぁ今日のミッション達成ってところだな。アタマぶっ飛ばされて下っ端は逃げてるし、いまだにアタマは延びてるからそのまんまにしててもいいだろう。

 

「あ、お兄ちゃん〜……ってもしかして、また喧嘩してた?」

 

 

「え、あの〜その〜、なんていいますかね?」

 

「兄ちゃん、あれほど喧嘩はやめてって言ったよね?」

 

「ちゃんと理由があるんよ? お咎めなしっしょ?」

 

「お、御二方、俺から説明しますから落ち着いて!」

 

 錬も六花とパトちゃんにはかなわないらしい。

 俺も喧嘩はできるだけやめてって言われてたし、龍吾も言われてたらしいけどさ、今日だけ許してください。

 

「……というわけなんです」

 

「な? 錬も困ってたんだし、許してください!」

 

「しょうがないな、今日だけだからね」

 

「あざす」

 

「その代わり、ちゃんと傷は消毒して絆創膏貼ること。こんなこともあろうかと持ってきておいてよかったよ」

 

 久しぶりに六花に看病されて何気嬉しい俺です。中学の頃なんかほとんど毎日こんな感じだったからな。あんときゃ六花に心配かけないようにってやってたけど、結局ほとんど毎日泣き泣きだったんだっけ。

 

「その、六花……悪かった」

 

「ううん、お兄ちゃんがそういうことやるのは知ってるし、錬君から理由も聞いたから大丈夫。それより怒ってるのは怪我したまんまにしようとしたことだよ」

 

「お許しくださいませ」

 

「それじゃ残りの夏休みはお兄ちゃんの家にお泊まりね♡」

 

「あ、はい」

 

 流れるように返事しちまったけど、最初っからそれが狙いで話してたようにしか思えない。

 そんな妹も可愛いと思えてしまうダメな兄貴です。

 

「そろそろ花火の時間やで」

 

「はい、お兄ちゃんの分のりんご飴だよ!」

 

「兄ちゃんの分もあるよ。買いたくなかったけど」

 

「ぱ、パトぉぉぉ、良い妹やんな、兄ちゃん大好きだわ」

 

「し、しらんしやかましいわ!」

 

 龍吾もパトちゃんも昔と変わらず仲良いこと。俺も六花とそういうきょうだいになりたかったです。でも、今の状況を楽しんでる俺もいるから、ありよりのありなんだよな。

 

「来年もこうしてみようね♪」

 

「だな、来年も帰ってきて花火見るか〜」

 

「ずっとずーっとだからね!」

 

「わーってるって」

 

 そのうち俺も彼女作って、ここから一緒に花火見て見たりしてな。俺みたいな陰キャが出来るかどうか分からんけど、夢見てみたい。

 

「お兄ちゃんに彼女ができるのは夢じゃないよ。だって私がいるじゃん♡」

 

「あー、そうですねー」

 

「なに、私じゃ不満なの?」

 

「いえ、不満などございません!」

 

「よかった♡」

 

 やっぱり六花はどう考えても怖い。そんな六花をそれ以上に可愛いって思ってしまうダメなお兄ちゃんはもっと狂ってるみたいですね!




昔の硬派のヤンキーにメッチャ憧れる今日のこの頃。
リーゼントじゃなくても、素手でタイマン張るのがすっげぇかっこええ。
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