「蒼太〜、やっほー!」
「人違いですね。僕は蒼太じゃなくて康太ですよ」
「えぇ!? 嘘でしょ!?」
「嘘。じゃ、夏休み明けにな」
「だよねだよね、嘘だよね……って待ってよ!」
今日は六花がバイトの日。ついでに終わったら明日香の家でお泊まり会やるんだって。
そう、つまり俺のパラダイスなんだ。
久々に1人で過ごせるから、ちょっと出費して美味しいものを食べるために大きいショッピングモールまで来ました。なのになんでひまりに会うんでしょまうか。
「ね〜え〜、せっかく会ったんだから一緒に買い物しようよ〜」
「俺に利点がない。めんどくさい。六花に気づかれたら詰むから拒否」
「じゃあいいも〜ん。勝手に蒼太の後着いてくだけだから」
なんであんたは俺のパラダイスを壊すんですか。
でもまぁいっか。ひまりなら何も問題が起きなそうだしな。
「でさでさ、どこ行くの? 服屋さん? それともゲームセンターでプリクラ撮る?」
「着いてくるだけなら俺が行くとこに行くんだろうが」
「だって夏休みに同級生が2人っきりでショッピングモールで遊ぶって言ったらプリクラしかなくない?」
「それって付き合ってたらでしょ」
「いいじゃーん。もうこれデートだし♪」
めんどくさいって言ったらありゃしない。
なんでそうやって誤解を生むような表現をするのでしょうか。僕にはその理由が全くもってわかりませぬ。
「デートってんだったら手でも繋ぐんじゃねぇの」
「え、繋いでくれるの!?」
「いや冗談d「えへへ〜、蒼太もやっと私に興味持ってくれたんだ〜♪」だっる」
仕方なしにひまりと手を繋いで歩いてます。
実際、めんどくさい原因作ってるのは俺でもあるんだよな。口は災いの元って言うぐらいだから少し黙ることを覚えよう。
「デート♪ デート♪ 」
「うっざしな」
「だって蒼太とデートだよ? 気分上がっちゃうでしょ♪」
「デートじゃないです。買い物です」
ツッコミ要素しかないけど、疲れるからツッコミたくない今日この頃です。
俺の後に着いてくるって言った割に、ひまりは俺の事を連れ回りやがった。
ひまりの夏服選ばされたり、ゲーセンでプリクラ撮ってみたり、さながらデートですよ。めんどくさい。
「あー、まじか」
「どうしたの?」
「いや、雨降るってるから早くするかなって。めっちゃ強いらしい」
「か、傘もってきてない……」
「乙。1人用だからな、お前入れる隙間ないからな」
その後、最後の買い物、俺の夕飯の食材を買ってショッピングモールを後にしようとした。だがしかし、既に雨が滝のように降っていたのだった。
「うっわ、これ傘意味ないだろ」
「あ、ちょっと弱まった」
「よし、走るか」
「ま、まってよ!」
雨が弱まったから家に向かって猛ダッシュ!
この速度ならあと五分ぐらいで着くんだけど、また雨が酷くなってきたので公園で雨宿りします。
「くしゅんっ」
「なんで着いてきてんだよ」
「鍵忘れちゃった☆」
「親は?」
「今日は家に帰って来れないって。この雨のせいじゃない?」
なんでこんなことになるのかわかんないんですけど。幸い、今日は六花が居ないから泊めてもいいけど……いや、この考えは良くない。
「蘭達もみんな出かけてるらしいからさ〜、泊めてよ〜」
「リサ先輩に連絡しておくからそっちあたって」
「週末練習らしいよ」
「は、詰みやん」
仕方なしにひまりを泊めることにしました。
注意してください、仕方なしにですよ。大切なのでもう一度、仕方なしに、ですからね。
決して雨でびしょ濡れになったひまりのことを見てやましい感情を抱いたわけではございません。これマジだかんね!?
「とりあえず風呂入れてくるからタオルで拭いとけよ。着替えは……適当なジャージでいいか?」
「蒼太のならなんでもいいよ。なんなら彼シャツしちゃう?」
「意味わかんないので遠慮しておきます」
風呂入れて、俺も着替えて、ひまりの着替え出して、さて何をしよう。って言ってる割にお湯沸かしてお茶入れてるし、六花に食べられないように隠してたちょっと高めのお菓子を無意識に出してるからひまりを家にあげて動揺してるってことがわかります。
「寝る場所……俺のベッド使ってもいいけど、六花なら匂いだなんだって言ってわかるやん。布団出してもいいけど、そっちも同じく」
「蒼太〜、タオルどこ〜?」
「持っていってただろ……って、ここにあるやん」
はい来ました、なんか変なイベント。
アニメとかならここで着替えてるとこ見てお互い赤面するのが王道だが、俺はそういうことになりたくないので秘密道具を使います。
「はい、タオル」
「ありがとう〜、ってマジックハンド!? がっかり〜」
「ガッカリって言ってるってことは狙ってたんだな」
「えへへ〜、バレちゃった」
「帰らせるぞ」
俺もまた風邪をひきたくないので、肩まで浸かってます。
今入ってる湯にひまりも入ったって考えると、ゆっくり浸かっているのもどうかと思うから早く上がるか。
「ひまり、夕飯何がいいとかある?」
「なんでもいいよ〜」
「うん、それは分かったんだけど、お前何着てんの?」
「何って、蒼太のYシャツ」
これが俗に言う彼シャツってやつですよね。
やるなって言ったのに何着てんのマジで。
でもやられてみると破壊力抜群なのがムカつく。これを六花にやられてみ、飛ぶぞ(蒼太クオリティ)
「腕の方ブカブカなのに胸元だけキツイんだよね〜」
「ああそうですか、よかったですね」
「あけちゃおっかな〜」
「や、やめろよ?」
あのね、アホなん? この子、アホなん?
同級生の家で彼シャツして脱ごうとしてるってことは、あれだろ、襲えってことだろ。俺嫌だよ。
いや、ひまりが嫌いってことじゃないけど、もっとなんかこう……雰囲気とかさ?
「え〜、そんなこと言われちゃったらさ〜……えいっ!」
「ちょ、ちょまっ!」
「残念でした。ちゃんと蒼太のジャージ着てるよ」
「お前、夕飯抜きな」
「ご、ごめんってば〜!」
バカに騙されるなんて一生の不覚。
夕飯作ってやらないって思ったけど、さすがにそれは可哀想だったので作ってあげました。
そして2人でテレビを見ながら食べている時、不意に俺のスマホの着信音が鳴った。
「おいおい、マジかよ」
もちろん相手は六花です。
今いるのはひまりだ、バレたら尊厳全部失うぞ。
「ど、どうしたんだ、六花」
『あ、お兄ちゃん。雨大丈夫? 私いなくても一人で寝れる?』
「寝れます。もうちゃんと寝れます」
『よかった〜。明日香ちゃんの家の方も雨凄くてさ、着替えもう1着持ちに行こうとしたけどやめたんだよね』
「そ、そうだったのか」
もうこれ以上話を長引かせる必要は無い。さっさと終わらせて、明日には雨が上がっていることを願って寝よう。
「じゃ、ちょっt『蒼太、見て見て! 雨雲レーダーすごいことになってる!』……」
『お兄t「ごめんなさい、許してください」
あんのバカ野郎、電話中に話しかけてきやがった。相手は六花だぞ、お前を目の敵にしてる六花だぞ。
お陰で俺お先真っ暗よ。あーあ、詰み詰み。
『お兄ちゃんも高校生だもんね。私がいないのを見計らって女の子を家に連れ込んでお泊まりぐらいするよね』
「え、あ、あぁ、ちょっと勉強をな」
『うん、知ってるよ。でも……その先のお勉強はダメだからね?』
「あ、はい」
『それじゃ、また明日の朝電話するね♪』
危ない危ない、本気で危ない。
六花の逆鱗に触れかけたけど、何故か許してくれました。うん、神様ありがとう。
『あ、言い忘れてたけどさ』
「何を言い忘れてたんですか?」
『今度泊まりに行く時、私と一緒にその先のお勉強しようね、お兄ちゃん♡』
「は、はぁぁぁぁ!?!?」
『それじゃ今度こそ、また明日ね』
状況を整理しよう。
今夜、ひまりとその先のお勉強はしちゃ行けませんと。いや、しませんけど。
今度六花が泊まりに来る時、今日ひまりとやらないその先のお勉強をしましょうと。
ということはあれですか、本当にあれをやってそうなるんですか。
僕の尊厳が失われて、軽蔑の目で見られ、蔑まれ、程度の低い猿扱いされるんですか。
両手に花持ってんのに妹に手を出したエロ猿とか言われる系?
「オサキマックーラー」
「蒼太? 蒼太〜?」
目の前でひまりが手を振るけど、俺の思考は終わらない。
導くべき答えはただ1つ。
どうやったら六花に既成事実を求められなくて済むのか。
答えはまだ見つからず、見つかる予定もないです。
入試準備終わんなくて投稿できなかったのは許してください、何でもしますから。
ちゃんと、ちゃんと8月1日から8月25日の始業式までできるだけ毎日投稿します。ていうか、夏休み中にヤンデレ一段落つけます。最低限これはします。