俺の(元)妹はギター以上に俺のことが好きらしい   作:鷲鷲鷲

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テストで忙しくて失踪してました。ついでに誕生日でした。頑張りました。起きたら今日は映画ですGG


26話 妹は一日だけ妹じゃなくなるらしい

「可愛くて可愛くてしょうがない妹から愛するお兄ちゃんに重大発表があります」

「おう、改まってどうした」

「本日を持ちまして、私はお兄ちゃんの妹を卒業します!」

「ほーん……は?」

 

 待て待て待て、いきなりなんやねん。あれか、卒業するってことは結婚でもするのか。うんうん、六花は可愛いし健気だからな、毎日のように告られてるって言ってたからな、彼氏ができたんだろう。

 だがしかし、ここでお兄ちゃんセンサーに引っ掛かります。おいこら彼氏でてこいや。お兄ちゃんに黙って結婚しますってなんやねん。通るわけねぇし通させるかボケ。

 

「今日一日、香澄先輩の妹になってくるね!」

「ほーん……ほげぇ?」

 

 なんだ、彼氏が出来たわけじゃなかったのか。俺の早とちりでよかったよかった。いや、これは良かったでいいのか?彼氏が出来れば兄離れしてくれる……気がしないでもないがきっと無理だな。

 

「そろそろ明日香ちゃん来ると思うから、私みたいに可愛がってね。あ、でも私より可愛がっちゃダメだよ。そうなったらまた監禁しなくちゃならなくなるから」

「うんうん、サラッとやばいこと言わずに行ってらっしゃい?」

「行ってきます!」

 

 元気よく行くならいいでしょう。さて、明日香が来るとかなんとか言ってたけど、忘れよう。口は災いの元。特に俺は思ったことがすぐ口に出る上に、口に出していることを自覚しないときた。そうならないように一度頭を真っ白にしようと布団にダイブ……した瞬間に呼び鈴が鳴った。まさか、まさかな。

 

「せんぱ……お兄ちゃん、ただいま」

「お兄ちゃんですおかえりなさい」

 

 どっかのキラキラドキドキ少女の妹に見えたけど、きっと六花が変装してるんだな。そうとしか考えられないよ。明日香が俺の家に一人で来るわけないし、泊まりに来るなんてもってのほか。気のせいだよな、気のせいって言ってくれよこんちくしょう。

 

「残念ながら気の所為でもなんでもないです」

「声に出てたんですね、わかりました」

「すごい、先輩が自覚してる」

「俺をなんだと思ってんだ」

「学習しないシスコンな先輩」

 

 酷い言われようなんですが、これは僕が悪いのでしょうか。ひとまず俺が悪いことにしておくが、一つだけ否定させてくれ。俺が六花のこと好きすぎるんじゃなくて六花が俺のことを好きすぎるの。だから俺は無罪なの。そろそろ否定しなくてもいいくらいだと思うんですけどね。

 

「てかなんで六花が香澄の妹になるって言って明日香がこっち来るん。俺を一人っ子にさせてくれよ」

「別にいいじゃないですか。お姉ちゃんがちゃんとしてないんで、ちゃんとしたお姉ちゃんが欲しかったんです。この場合はお兄ちゃんですけど」

「で、一日だけなのにその重装備?」

「いやまぁ念の為?」

 

 背負ってるバッグはパンパンになるほど荷物が詰めてある。でも明日香ならなんの問題もないよな。だってまともな人って言ったらまず明日香が上がるぐらいまともなんだもん。六花みたいなバカはやるわけないし、そんな状況になるわけがない。

 

「明日香なら平和だな」

「そうですね、私が六花に嘘ついて先輩に襲われてる~って電話しない限りは」

「……先に聞いておくが、やんないよな?」

「やりませんよ。私だって少し平和に過ごしたいんですから」

 

 よかったよかった。やっぱり明日香って頼りになるよね。今日だけじゃなくてずっと六花と交換しててほしいぐらいだ。

 

「というわけなんで、この間約束した豪華ケーキバイキング、連れて行ってくださいね。昼でも夜でもどっちでもいいんで」

「今日は一日家でだらだらする予定だったんですが、いかがなものでしょうか」

「え~っと、六花の電話番号は……」

「行きます行きます行かせていただきます」

 

 六花への密告という凶器を持っている明日香には逆らえなさそうだな。できるだけ平和に、何事もなく過ごしたいのが今日の願望です。

 

「……ところで明日香さんよ」

「どうかしましたか?」

「ゲームやってるの。邪魔しないで?」

 

 当たり前のようにソファーに座り、横画面でゲームをしている俺にわざとらしく肘をぶつける明日香。ぐいぐいと少し強めに押し付けてきて、タップするタイミングがズレそうになる。六花は寝起き以外邪魔なんてしませんでしたよ。そこは見習ってください。てかそこだけ真似てください。

 

「私には怒れないと思うからお兄ちゃんがゲームやってるときは邪魔してって六花が」

「するな」

「するなって言われてしないわけ無いじゃん」

 

 そう言いながら明日香は俺のスマホを取ろうとしてきた。もちろんそんなこと許すわけ無いだろう。俺が持つ唯一の娯楽を取らせるわけにはいきません。

 

「とれるもんならとってみやがれ。六花にやられてるよりは楽だろ」

「へー、そんなこと言っちゃうんですね」

「当たり前だろ……って、おろ?」

「取りましたけど、なにか?」

 

 ごめんなさい、調子乗りました。お願いだから返してください。もう少しでハイスコア行きそうなんです。ここまで結構頑張ったんです。

 

「ケーキバイキング行くからさ?返そう?」

「言質取ったから」

「いきなり先輩じゃなくなった」

「だって、こっちの方が兄妹っぽいでしょ?」

 

 上目遣いでにやけながら明日香はそう言った。その表情に俺は思わず目をそらすしかなかった。やっぱり、明日香ってかなりあざといよな。これが狙ってるのか分からないけど、狙ってるとしか考えられない。だって明日香だもん。あこみたいに純粋な感じならまた変わってくる。こいつ、なかなかやりおるな。だが一つ言っておこう。日々全力で六花のお兄ちゃんをしている俺の前ではそんなの効果無いね。……多分。

 

「で、休みの日は六花と何してるんですか?」

「いきなり戻られると調子狂うわ」

「教えてお兄ちゃん」

「やってること、か」

 

 休みの日に六花としていることか。六花の行きたい場所に行って、六花の買い物に付き合って、六花の食べたいもの食べて……六花に言われるがままですね。

 

「先輩らしいと言うか何というか……シスコン?」

「何度でも言おう、俺はシスコンじゃない」

「いやいや、妹に甘々な時点でアウトです」

 

 俺がシスコン、だと。そんな事実があっていいわけがない。そんな事実は存在しないんです。六花に対しての対応が甘々なのは闇六花を暴走させないためなんだ。

 

「いい加減認めましょうよ。先輩は六花が大好きなんだって」

「認めるのは俺のプライドが許さない」

「まぁ、どうでもいいんですけど」

 

 お互いを見つめ合い、ため息をついてそれぞれのスマホの画面に目を向けた。ここまで約数十秒。動作はすべてリンクしている。なんだろう、六花といるときよりちゃんと兄妹してる気がする。

 

 あれよあれよと時間が過ぎ、いつの間にか日が沈み始めていた。明日香の言っているケーキバイキングはランチよりディナーのほうが種類が多いし、オプションも付くらしい。なんでここまで知ってるのかって?そんなの調べたからに決まってるじゃないか。もちろん予約済です。ちゃんとお兄ちゃんしてるでしょ。

 

「さて、そろそろ行きますか」

「ケーキバイキング、予約取ってあるぞ」

「わー、お兄ちゃんかっこいいー、頼りになるー……満足しました?」

「なんかしまらねぇ」

「予約取ってあるなら少しゆっくり行きましょうか」

 

 家を出て目的地へ向かう。すっかり日が落ち、淡い月明かりと街灯が道を照らしてくれる。ロマンチックな雰囲気ですね、本当は彼女とこんな雰囲気を作りたいです。でも彼女いませんし、作ろうとも思いません。いや、物理的に作れないんだ。だって周りには殴ってくるツンデレ赤メッシュとか、影の濃さを自由自在に操れるギャル先輩。その他大勢を考えたらストライクゾーンに入るのはほんの一握りなんです。ついでに六花という壁があるからね、無理!

 

「六花は先輩が好きですけど、先輩も六花のこと大好きですよね」

「妹を嫌いな兄貴っている?」

「もうお兄ちゃんの鑑」

 

 たわいもない会話をしていると目的地に着いた。時間は予約の5分前。ちょうどいい時間だな。

 

 時間通りに店に入り、席に座った。周りにはケーキやチョコフォンデュが並び、匂いだけで胸焼けがしそうだ。

 

「やっぱいすごいですね」

「甘いのはあんこで十分だっつーの」

「いや、そっちじゃないです。周り見てください」

 

 やめろ、やめてくれ。俺はそのことを考えないようにしていたんだ。俺たちの周りの席には女性ばかり。男性がいたと思ったら絶対カップル。どうせ、俺と明日香もカップルって見られてるんでしょ。どーせね!

 

「ほら、ケーキ取ってきたから写真撮ろうよ」

「一人でいいんじゃないっすかね」

「一緒に写真撮ろう、お兄ちゃん」

「……うっす」

 

 特大爆弾の起爆スイッチを握っている明日香には逆らえない。でもまぁ。平和なんだからよしとしましょう。

 

「もう何でもいいや。明日香、めっちゃ食うぞ」

「ほどほどにね」

 

 思考停止してバイキングを楽しんだ結果、しっかりと胸焼けに。家に帰るなりダウンですよ。今度から食べる量を考えよう。

 

「水、いります?」

「さんきゅ」

 

 いつの間にかシャワーを浴びてきた明日香から水を受け取り、一気に飲み干した。もちろんここでもむせました。学べよ蒼太、お前はバカだ。

 

「それで、ベッドで寝ます?」

「明日香がベッド使っていいよ。俺はソファーで寝るから」

「はーい」

 

 なにごともないわけではなかったけど、いつもの数百倍平和でした、これで今日もぐっすり眠れることでしょう。そんなことを考えているとき、スマホの通知音が鳴った。確認するために眠気で目が半開きになりながら画面を開くと、そこには六花からのメッセージと画像ファイルが。

 

「この写真、あとで説明してもらうからね、ひとまずお休み!お兄ちゃん!」

 

 メッセージを読んで恐る恐る画像ファイルを開くと、明日香と撮ったあの写真が。やりやがったなこんちくしょう。

 

 妹は妹じゃなくなっても妹だし、代わりに来た妹は味方だと思ったら敵だった。つまり何が言いたいかというとね、俺、終焉の時。




明日香は敵か味方か。真実はいつも一つ!かもね
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