俺の(元)妹はギター以上に俺のことが好きらしい   作:鷲鷲鷲

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ポテトポテトポテトポテトetc……


4話 妹は俺達のポテト同盟を邪魔したいらしい

 5月の第2日曜日、この日は俺は絶対にバイトのシフトを入れない。なぜなら我らがポテト同盟の定期集会が行われるからだ。

 

「さて、今回の議題ですが……この新作フレーバーの話ですね。それに加えて朝日さんの不純異性交友に関しての話を事細かに聞かなければなりませんが」

 

「あの〜、最後のやつって必要あります?」

 

「当たり前じゃないですか。私と日菜をポテトで誑かしておきながら何人とも交際するなんて言語道断です!」

 

 なぜか噂が花咲川まで伝わってたらしく、それが紗夜先輩は気に食わなかったらしい。

 

「えーと、それに関しては誤解がありまして……」

 

「誤解ってなぁに? 誰かと付き合ってたこと、六花ちゃんに手を出したこと、薬盛って襲ったこと?」

 

「いやそれ全部なんですけどここで言っちゃあかんて」

 

 日菜先輩に至っては珍しく大きな声を出してウザ絡みをしてこない。それどころかいつもなら一気に2本食い3本食いするはずなのに、1本のポテトを大事そうにちまちまとかじって食べている。

 

「でもさ〜、そーた君も酷いよね」

 

「日菜先輩に何かしましたっけ? あ、生徒会以外の話で」

 

「生徒会入ってくれなかったでしょ、あたしと一緒に遊んでくれないし、あたしを構ってくれないし。それに天文部にも来てくれないじゃん」

 

「そもそも俺生徒会なんか入りたくないんですね。そして天文部はあんたが勝手に俺の名前書いて出したんでしょうが」

 

「ん〜、るんっ♪てくるからやっちゃった☆」

 

 この先輩はいつもこうだ。リサ先輩みたいに話すとペース持ってかれるし、無敵の行動力があるからどうしようも無い。

 

「さて、弁明があると言うなら聞きましょうか」

 

「あのですね、俺と六花は本当の兄妹じゃなかったらしいんですよ。それを父さんから聞いた日から六花はブラコンさマシマシでしまいにはヤンデレ化して妹六花はどっかに行って黒六花になったんですよ」

 

「そうだったんですか。よかったんじゃないですか? 将来の結婚相手が決まってますし」

 

「説明ちゃんと聞いてました? このままだとバッドエンド確定演出なんですけど」

 

 この人真面目に聞いてそうで全然聞いてないやんけ。マジなんなん? 説明をちゃんと聞いて欲しいわ。

 

「じゃあさ、リサちーに告白したって言うのは?」

 

「俺がリサ先輩のこと好きだと思います?」

 

「うん、部活一緒だし、仲良いもん」

 

「俺最近ダンス部に顔出てないです。これでも軽音部副部長だし、何気やること多いので」

 

 思い返してみたら俺は軽音部副部長なのにダンス部と兼部してる。

 

「天文部も副部長じゃん」

 

「あんたのせいでしょうが」

 

 ついでに強制的に入部させられた天文部に関しては俺と日菜先輩しかいないから必然的に俺が副部長。バイト入ってない日はひまりとテニスしたり、明日香達に勉強教えたりしてるからほとんど休みないんですね。

 

「まぁそーた君は人気者だからしょうがないよね。カッコイイから狙ってる人多いもん」

 

「花咲川でも朝日さんの噂はよく耳にしますよ。特に戸山さんと弦巻さんからですが」

 

「香澄は分かるけどこころもかいな」

 

「とりあえずこの話はここまでにしてポテト食べようよ。冷めちゃうし二人の分無くなっちゃうよ?」

 

「それは困るんで食べるんですね」

 

 やっぱ新フレーバーうますぎひん? 去年のこの時期はココアパウダーのやつで、バニラアイスと合わせて超最高。今年はうなぎのタレ味で値段上がったけど味は確かにいいものになってる。まじ幸せやわ。

 

「すいません、バンドの練習の連絡が来ました」

 

「あたしもレッスンの連絡きた〜」

 

「んじゃ俺もスマホいじりマース」

 

 二人がスマホを見始めたから俺も釣られて電源を入れる。すると画面が不在着信とL〇NEの通知バーで埋まっていた。その送り主は全て同じだった。そう、六花()だ。

 

「あれ? 六花ちゃんから電話来てるよ?」

 

「何も見てないです。出たくないです」

 

「朝日さん、とてもいいづらいのですが……」

 

「どうしたんすか?」

 

「あそこを見てください」

 

 そう言われて紗夜先輩の指さす方向を見る。するとそこにはこっちを冷たい瞳で見つめながら列に並ぶ六花の姿があった。

 

「おいおいマジかよ」

 

 ふと六花と目が合い、手を振ってきたので慌てて紗夜先輩達がいる方向を向いた。すると同時にスマホの通知音が鳴った。

 

『やっと気づいてくれたね』

 

『なんで返信してくれないの?』

 

『見えてるよね? 目、あったよね?』

 

『もうすぐ買えるよ』

 

『買ったらそっち行くね』

 

 鳴り出した通知音は止まることなく、一定のリズムで鳴り続けた。もちろん全て六花からのメッセージである。

 

「よし、場所変えましょうか」

 

「どこにする? あたし達の家かそーた君の家?」

 

「どうせなら証明するんで俺の家で」

 

「そうやって私と日菜を家に連れ込んで襲う気ですね! やはり噂通り薬を盛ってガムテープと縄で拘束して目隠しと猿轡、最後には身ぐるみ剥がされて私も日菜も……」

 

「それをしてないって証明するために行くんですけど!?」

 

 ──────────────────

 

 その後、なんとか紗夜先輩を説得して俺の家に逃げ込んだ。今回は鍵だけじゃなくドアチェーンまでつけたので六花も簡単には入ってこれまい。

 

「おっじゃましまーす!」

 

「日菜、警戒しなさい。いつ襲われるか分からないのよ」

 

「こんな殺風景な部屋でそんなこと言えます?」

 

 俺の家のリビングはテーブルとソファーが置かれていて、テレビとゲームが1台づつあるだけ。キッチンは少し多めの調理器具と冷蔵庫がある。なにも普通の一人暮らしの学生の部屋です。

 

「部屋よ、あなたの部屋はどうなってるんですか! どうせ年頃の高校生が持ってるような薄い本や薬やらでいっぱいなんでしょう! 」

 

「俺の部屋はギターと洗濯物と勉強机しかねぇ!」

 

「やっぱりお姉ちゃんとそーた君はるんっ♪ て来るね」

 

「「来るわけない!」」

 

「そういう所もだよ♪」

 

 紗夜先輩と言い争いになってそれを日菜先輩にからかわれる。なぜか否定するところで不覚にもハモってしまい、紗夜先輩に睨みつけられた。

 

「まったく、あなたって人は……」

 

「で、納得しました? こんな一般高校生が家に女子呼んで襲うわけないでしょ。そもそも俺の家に来る女子なんて六花を除けば久々ですよ」

 

「でも呼ぶんですよね?」

 

「まぁ呼ばなくても香澄とこころは来ますし、おたえもなんかついてきます。あとは明日香とあこと蘭達は勉強教えてってきますね」

 

「不純異性交友現行犯です」

 

「だから理不尽!」

 

 そんな時、俺のポケットから着信音がなった。恐る恐る画面を見てみると「六花」という文字が映し出されていた。

 

「六花からやん」

 

「でないの?」

 

「出たくないです」

 

「まぁ、私もそこだけは同感です」

 

 そこだけはってなんなんですかね、そこだけはって! 

 

「それじゃあたしが出るねー!」

 

「いやちょっと!?」

 

 俺がどうしようか悩んでいると横から日菜先輩がボタンを押してしまった。ついでに何故かスピーカーモードになってる。怖い怖い、マジで怖い。

 

『もしもしお兄ちゃん? 私だよ。今ね、この間一緒に買い物したスーパーにいるよ』

 

「おい六花、なんでかけてきたんだよ」

 

『またね』

 

 そう言って六花は一方的に通話を切った。そしてその直後、スーパーで自撮りした六花の写真が送られてきた。

 

「やっぱり六花ちゃんってかわいいよね〜」

 

「朝日さんにはもったいないぐらいです」

 

「紗夜先輩、もしも日菜先輩が六花みたいになって襲ってきたらどうします?」

 

「遠慮しておきます」

 

 二人と話しているとまた電話がかかってきた。もちろん画面には「六花」の文字が映る。今度は日菜先輩でなく、俺がちゃんとでた。

 

「おい六花、悪戯なら間に合ってるぞ」

 

『もしもしお兄ちゃん? 私だよ。今ね、お兄ちゃんのマンションの目の前にいるの』

 

「は? なにいってんの?」

 

『またね』

 

 そして今度は俺のマンションが写るように自撮りした写真が送られてきた。え、近づいてきてね? 

 

「日菜、私達は帰りましょうか」

 

「えー、六花ちゃん来るまで待ってみようよ〜。なんかメリーさんみたいでるんっ♪てくるし!」

 

「そ、そうっすよ! 不純異性交友とか言うなら六花のこと連れて帰ってくださいよ!」

 

 会話の最中に鳴り始めた3度目の着信音。紗夜先輩と俺は固唾を飲みながら電話に出る。あ、もちろん日菜先輩は目を輝かせてました。何してんねんあんたさんよ。

 

『もしもしお兄ちゃん? 私だよ。今ね、お兄ちゃんの部屋がある階に着いたよ』

 

「朝日さん、下手なイタズラは止めさせてください」

 

「俺に言われたってどうしようもないじゃないっすか!」

 

『あれ? お兄ちゃん一人じゃないの?』

 

 六花の言葉は俺と紗夜先輩を凍りつかせた。いつもの妹六花じゃない、闇六花になってやがる。

 

「い、いや、俺はひとr『あたしとお姉ちゃんがいるよ!』何しとんねんあんた!」

 

『そっか。今行くから待っててね』

 

 今度は俺の階で止まっているエレベーターの写真が送られてきた。近づいてきてる、もうすぐそこまで来てるやん。

 

「私はもう帰りますから!」

 

「お姉ちゃんもう少し〜」

 

「紗夜先輩見捨てんでくださいよ!」

 

 紗夜先輩が帰ろうとした瞬間、また着信音が鳴った。俺のスマホからも聞こえるが、玄関からも同じ着信音が聞こえる。六花はすぐそこまで来てるらしい。

 

『もしもしお兄ちゃん? 私だよ。今ね、お兄ちゃんの家の鍵を開けてるの』

 

「だ、大丈夫なんですか!?」

 

「だ、大丈夫っすよ! 流石の六花でもドアチェーンまでは開けられないでしょ」

 

「でもドアチェーン壊されてるよ?」

 

「え?」

 

 日菜先輩に言われて恐る恐る玄関を見てみると、そこには背負っているバッグから取り出したであろう番線切りを手に持った六花がいた。ドアチェーン買った意味ないやん。

 

「お兄ちゃん、遊びに来たよ♡」

 

「わ、私は本当に帰りますから! お邪魔しました!」

 

「あたしも〜。またね、六花ちゃん、そーた君!」

 

「え、ちょっと……」

 

 残されたのは俺と闇六花。もうどうしようもないですね。

 

「さ、一緒に遊ぼ。2人っきり、朝までずーっとね♡」

 

「いぃぃやぁぁだぁぁ!!!」

 

 どうやら今日という今日は六花から逃げられないらしい。




次回
闇六花暴走
本気出す
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