俺の(元)妹はギター以上に俺のことが好きらしい   作:鷲鷲鷲

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闇六花暴走

突発気的な理由で週間総合評価1位を死ぬまでに1回とってみたいので今週は毎日投稿目指します。



5話 妹は夜通し俺と遊びたいらしい

 現状報告致します。現在、ドアチェーンを破壊し乗り込んできた闇六花は大きめのバッグとギターを持ってきてます。

 

「今日は泊まっていくから一緒に寝ようね♡」

 

 どうやら今日は泊まること前提だそうです。現場からは以上です。

 

「誰に話してるの?」

 

「誰も知らない誰か」

 

「なんやそれ」

 

「それはそれ」

 

 え、なんか共鳴してて怖いんだけど。ていうかお願いです、闇六花からいつもの妹六花に戻ってください。

 

「ていうかなんでいきなり泊まりに来るんですかね。俺が誰かと遊んでたらどうする気だったん?」

 

「だってこの前の噂で学校でのお兄ちゃんのイメージは最悪になってるもん、誰も遊ぼうと思わないでしょ。そこで傷ついてるお兄ちゃんを癒しにきたの♡」

 

「俺を傷つけたのは自分だろこら」

 

「傷つけた……?」

 

「おっとヤバい」

 

 どうやら俺は地雷を踏んだらしい。六花の闇が一気に深まった気がする。

 

「あんな噂でお兄ちゃんのことを軽蔑するヒトからお兄ちゃんを守ったんだよ。お兄ちゃんだって年頃だし、カッコイイんだから彼女の一人や二人ぐらいいて当然なんだから疑う方がおかしいんだよ」

 

「おかしいもなにも……」

 

「だってお兄ちゃんだよ? 私のカッコいいお兄ちゃんだよ? ギターも上手だし、勉強も運動もできる。みんなに優しいし、すっごく頼りになるお兄ちゃんだよ?」

 

「それを俺に言われましてもね?」

 

「そんなお兄ちゃんを信用出来ないヒトなんかこの世にいらないんだよ」

 

 どっかの教祖ですかね。俺を神として崇める教団作ったん? そこまでせんでもええやろ。

 

「お前の話に付き合うの疲れたし腹減ったわ」

 

「でもまだ4時だから夜ご飯早いよ?」

 

「マジで泊まる気なんか。まぁいいや、どっか出かけようぜ」

 

 とは言ったものの、今から行くところなんて思い浮かばない。なんならバッセンとかでもいいけど、六花の機嫌をとるなら悪手になるから行きづらいしな。

 

「なら一緒にギター弾かん? うちのバイト先でやろうよ!」

 

「あ、そう言えばお前のバイト先ってライブハウスか。なら行くか」

 

「やった〜♪」

 

 ギターを背負って2人並んで六花のバイト先に向かう。六花は俺とギターが弾けるからとめっちゃテンション高めだけど、俺は対照的にテンション低め。いやね、今は妹六花で好きなんだけどいつ闇六花になるかわかんないから怖いんよ。

 

「こんにちわ」

 

「いらっしゃい六花ちゃんと……」

 

「六花の兄貴です。いつも妹がお世話になってます」

 

「いえいえ、こちらこそ」

 

「今って部屋空いてますか?」

 

 バイト先に着くと店員さんと六花が話し始めた。バイト先ではちゃんとやれてるみたいで何より。上京してきた頃はライブに出るバンド数足りなくて俺も集めんの手伝ったよな。

 

「借りてきたよ! 1番の部屋!」

 

「はいはい、行くから落ち着けよ」

 

 部屋に入ってギターを出す。六花のは水色、俺のは蒼。よくもまぁ兄妹そろって似たのを選んだなって昔の自分に言いたいよ。今じゃこれは呪いだろ。

 

「お兄ちゃん弾いてくれる? 私の聞く?」

 

「どっちでもええけど」

 

「それじゃ一緒に弾く!」

 

「選択肢にないやんけ!」

 

 そんなこと今の六花にいっても無駄なんだろう。せっかくだ、久々に俺も真面目に弾いてみるとしよう。

 

「んじゃまやりますか」

 

「私もめっちゃ練習してたんだよ。頑張るから!」

 

「お手柔らかに」

 

 久々とは言っているが、ほとんど毎日軽く弾いている。YouTubeで流れてる曲適当に弾いてみたり、香澄達の曲耳コピしてみたりで面白い。ま、最近ハマってるのは紗夜先輩のとこのバンドのやつなんだけどな。

 

「う〜最っ高! やっぱお兄ちゃんのギターが1番や!」

 

「ありがとさん。六花の音もかっこよかったぜ」

 

「えへへ〜♪」

 

 あ、ヤバい。こんな六花見せられたら持ってかれるやん。もし六花が犬だったらめっちゃ尻尾振って喜んでるやつでしょ。そう思ってたら勝手に体が動いてたんですね。

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

「なんか勝手に妹の頭に手が吸い寄せられたんです」

 

「こうやって撫でられるのも久々や〜♡」

 

 六花の髪ってこんなにさらさらだったっけ。シャンプーでも変えたんかな。まぁ年頃の女子なんだからそれぐらいあって当然だよな。

 

「さ、帰って飯食うか。でも家にレトルトしかないから買い物しなきゃダメなんですね」

 

「それならどこかで食べていく?」

 

「あー、それもあり」

 

 俺はなんでもいいが、六花はなぜか店で食べるラーメンが苦手だ。兄としてそういうところはちゃんと把握してるし、どこかに食べに行く時は注意してる。え、流石にシスコンすぎだって? 兄貴なら当然だろ(本人無自覚)

 

「なんか食べたいものある? こっからなら駅も近いしなんでもあるだろ」

 

「お兄ちゃんのおすすめなんかある?」

 

「あるっちゃあるが……ま、あそこにするか」

 

 場所はこの前、ひまりとテニスした帰りに連行されたちょっとシャレオツなお店。ひまりはケーキとか餡蜜とかデザート類しか食べてなかったけど、ここはカレーとかオムライスとかもある。

 

「ここ、お兄ちゃんが見つけたの?」

 

「お、おう。この間ふらふらしてたら目についてな」

 

「でも男の人が一人で来るようなところじゃないよね?」

 

「い、いや〜今度六花とか明日香とか連れて来ようと思ったんだよ。ほら、先輩としてな?」

 

「そっか、そうだったんだ」

 

 なんとか機嫌を取れたみたい。ここで俺がひまりに連れてこられたなんて言ったらどうなったことか。家に帰って……って六花は泊まる気だったんやん。忘れてたわ。

 

「どれにしよっかな〜。パフェも食べたいけどパンケーキも食べたいし……あ、でも値段も気にせんと」

 

「六花、値段は気にしなくていいぜ。今日は俺の奢りだ」

 

「ほんと!? ありがとう!」

 

 可愛い妹六花のためだ、今日ぐらいは財布の紐も緩くなる。今月はバイトも結構入れてるし、ゲーセンで乱獲したフィギュアも在庫があるからなんとかなる。

 

「それじゃ餡蜜パフェと焼き芋アイス!」

 

「俺はカレーでいいや」

 

「あとカップルドリンクね♪」

 

「は?」

 

 何言ってるんですかね。俺たちカップルじゃないし、カップルだとしてもそういうのは俺からリードしたいから遠慮したいです。

 

「飲まないの?」

 

「あ、いや、なんでもないです」

 

 ──────────────────

 

「お腹いっぱいや〜」

 

「良かったな」

 

「パフェもアイスも美味しかったからまた行こうね!」

 

「そのうちな」

 

 餡蜜パフェもカップルドリンクは思った通りの値段だったが、焼き芋アイスだけかなり値段が張っていた。どうにかなるとは言ってみたけど、あれひとつで4桁行くのはヤバい。でも美味かった。

 

「あとは帰って一緒にお風呂入って一緒に寝るだけやね♡」

 

「ストップ。一緒にお風呂は絶対ないです」

 

「それじゃ寝るのはいいんだ」

 

「あっと」

 

 墓穴掘ってんじゃん。でも半分は成功したからいいや。妹とはいえ花の高校生だぜ? ピチピチの可愛い高校生だぜ? なにがとは言わないけどあるにはあるし、そういうの意識するから嫌です。ていうかそんなの噂流されたら今度こそ紗夜先輩に現行犯されるよ。

 

「さ、六花が風呂はいってるうちに片付けるか」

 

 家に帰った俺は速攻でシャワーだけ浴びて自分の部屋を整理していた。とりあえず教科書類はしまったし、蘭から貰った生け花は何気なくかざってある。これで責められるものは何もないだろう。

 

「上がったよ〜」

 

「はいはい、俺のベット使っていいから寝なさい。俺は布団で寝ます」

 

「その前に髪乾かして?」

 

「今日だけだかんな」

 

 ベッドに座った六花の髪をドライヤーで乾かしてやる。俺が岐阜にいた頃は毎日のようにこうやってたな。あの頃は純粋だった妹六花も今じゃ真っ黒けの闇六花。あの頃の純粋さは消し飛んだよ。

 

「ほれ、乾かしたから寝るぞ」

 

「うん。()()()()♡」

 

「おわっ!?」

 

 六花の不意打ちをくらいベッドに押し倒される。シュシュをしていない六花の髪は俺の顔の前まで垂れ下がってきてシャンプーの微かな香りが鼻の奥をくすぐる。このまま襲うとかいうなよ? 

 

「今からお兄ちゃんのこと襲うね♡」

 

「それ押し倒してから言います?」

 

「もちろん」

 

 それでも俺は抵抗するで。

 

「力づくでも拒否するってんの!」

 

「あれれ? そんなこと言ったお兄ちゃんの力弱くない?」

 

「お前が強すぎるだけだろ!」

 

 なぜか六花を引き剥がすことが出来ない。俺の両腕は六花に押さえつけられているし、下半身に至っては俺の腰の辺りに跨っている六花に届きもしない。これってもしかして積みゲーってやつですか? 

 

「既成事実? 作っちゃおっか。これでお兄ちゃんは私と結婚するしかなくなるよね♡」

 

「まだ間に合う、やめろよな?」

 

「どうしよっかな〜」

 

 考えてくれるならまだ希望はある。お前のことは誰よりも俺が知ってるんだからな。

 

「条件付きならいいよ」

 

「条件にもよりますね」

 

「お弁当は毎日一緒に食べる、週末は2人で必ずお出かけ、あとは学校でみんなの前で私のことを襲いましたって自分で言ってくれるならいいよ♪」

 

「いやなんやねんそれ」

 

 1個目は理解出来る。2個目に関しても情状酌量の余地がある。だが3個目、お前だけは許しちゃ行けねぇ。

 

「今度ポピパのライブ連れてくから許して? 香澄に頼んでなんとかするから」

 

「もちろんお兄ちゃんも一緒だよね?」

 

「りょ、了解っす」

 

「なら今日は抱きついて寝るだけにしてあげる♡」

 

 なんとかなった。けど次はないだろう。

 

「おやすみ、大好きなお兄ちゃん♡」

 

「あぁ、おやすみ」

 

 可愛い妹が高校生にもなって抱きついてきてんだよ。しかもシャンプーの匂いがめっちゃいいし、当たるものも当たってるんですね。これを無意識でやってる六花は俺の事を寝させる気は無いらしい。




こんな妹が欲しかった人生
後輩がヤンデレ化するより妹のヤンデレ化のほうが絶対いい。尚、法律上の問題は無視してます。

次回
六花とポピパのライブ行ってきます

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