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『お兄ちゃん、今日の8時に遊び行くね』
土曜日だと言うのに朝から憂鬱だ。スマホのアラームで起きて画面を見たらこのメッセージがあった。そしてあろう事か寝ぼけて俺は返信していた。
『待ってる』
人生最大のやらかしなり。こんなメッセージ送るか? 仮にも六花だぞ、墓穴を掘ること以外に他ならない。
『今から家出るね』
「そんなことまで連絡しなくていいってんの。気をつけろよ」
来るとなったらしょうがない。どうせ今日は明日香とあこが勉強しにうちに遊び来るんだから1時間ぐらいのあと時間に呼べばなにも悪いことは起こらないはず。
「お兄ちゃん、おはよ♪」
「本当になんでお前が俺の家の合鍵を持ってるのか謎なんだが」
「この前お父さんがくれたんだよ?」
「何してくれとんねん」
父さんが来た時に渡したのかよ。そりゃ否めないとか言ってらんないわ。今度文句のひとつでも言ってやろうかな。
「それでさ、お兄ちゃんこの前なにしてたの?」
「いつの話ですかね」
「私が課外授業で1日いなかった日だよ」
一気に出てきた闇六花。今日はいっそう闇が深く見えるので暗闇六花に進化してんなこれ。
「別になんもねーよ。急にバイト入ったから疲れただけだ」
「そっか。それじゃぁおやすみ♡」
「え、なんで……」
首筋に衝撃が走って俺は気を失った。最後にうっすら見えたのは暗闇六花の虚ろな目だけだった。
「いっつつ……」
「あ、おはようお兄ちゃん。ご飯食べる?」
「食べる食べないの前に六花、これなに?」
俺が目を覚ますと椅子に座っていた。足は椅子の足にガムテープでぐるぐる巻きにされていて、腕は後ろで組まれた上に手錠。腰の辺りはロープでぐるぐる巻きにしてある。つまり拘束されたんですね。
「お兄ちゃんが疲れてるって言ってたかは疲れとれるように寝させてあげたんだよ?」
「結構首が痛いんですが何を使って寝させてくれたんですかね」
「これだよ♪ ぐっすりだったもんね」
六花が取り出したのはスタンガン。電流バッチバチで超危険なんですけど。妹六花なら怖がるけど今は暗闇六花だ、そんな考えは消え去ったんだろう。
「落ち着け六花、話し合おう」
「今からお話しようね。この前あったこと全部ね」
「だから言ったやん。バイトが急に入った以外には特に何も無かったってばさ」
「それじゃこれは何かな」
そういった六花はスマホを操作し始めて音声を流した。その音声は俺の声、リサ先輩や蘭達との会話等だった。しかもこの間の会話全部。え、六花盗聴してたの?
「なんでそんな音声持ってるんだよ」
「だってお兄ちゃんのスマホに盗聴器仕込んだもん。あと制服とかバッグとか机とか色んなところにね」
「嘘だろおい」
「嘘じゃないよ、ホントだよ。こうでもしないとお兄ちゃんのこと守れないでしょ?」
暗闇六花は冷たい声でそういいながらゆっくりと近づいてくる。え、怖いです。やめていただけますか?
「これからは私がずっと一緒にいてあげるからね。そのために最初はお兄ちゃんの家に引っ越してこなくちゃダメだよね」
「いやいやいや、もうスペースないし」
「あ、その前にしなくちゃいけないことあったんだった」
顔を思いっきり近づけてきたんでもう終わりかと思ったんですけど、俺の前髪かき上げておでこ合わせてました。想像してたんとちゃう。だけどそれで良かったわ。
「やっぱりこういうの好きやな〜♡」
「あぁそうですか。キスとかはしないでくださいね」
「そんなのしないよ。お兄ちゃんからしてもらわなきゃ意味ないもん」
どうやらそこら辺はちゃんと乙女らしい。結構ロマンチストなんやな。
「そういえばバイト先で夫婦漫才してたお嬢って人はどこの学校?」
「知らないっす」
「聞いてきてよ。お兄ちゃんのお嫁さんは私なのに夫婦漫才してるなんで許せない。消してくるから」
おっとおっと? 聞いてはいけないワードが出てきましたね。さすがにますきを消されたらバイト先で人数いなくて困るし、結構仲良くてたまに遊び行くぐらいだから困るんですね。
「あいつ県外らしいから知らんけんね」
「そう。それじゃしょうがないね」
「ていうかそろそろこれ外してくれない?」
「ダメだよ。お兄ちゃんがキスしてくれるって言うならいいよ」
「お前最初っからそれ狙いだろ」
俺の妹は策士らしい。この間の噂と言い、今日のこれといったらなんなんでしょう。
「キスしてくれる?」
「嫌です」
「それじゃ学校に行くまでずっとそのまんまだね」
「マジかよおい」
溜息をつきながら時計を見てみると針は9時少し前を指していた。ということはあれだ、明日香たちが来るかもしれない時間だ。そうなったら暗闇六花の暴走も終わり、っていうかエスカレートしてついでに変な誤解生むやん。
「何考えてるの?」
「今後について」
「やっと私との結婚生活のこと考えてくれたんだ。子供は何人欲しい? お兄ちゃんのためなら頑張るよ!」
「頭痛くなってきたわ」
そう話していると俺のスマホがなった。あー、でもこの状況じゃ触れないから無理だな。頼む、リサ先輩とか蘭とかが電話してきてたら終わるから別の人であってくれ。
「電話、明日香ちゃんからだよ?」
「あぁ、あこと一緒に勉強しに来るって言ってたからな」
「この状況で出来ると思う?」
「出来ないので外していただけませんかね? てかその前に電話出させてよ」
「しょうがないな、私持ってるから話していいよ」
よし、それでいい。こっからは俺のターンだ。
「おっす明日香。着いたのか?」
『とりあえず着きました。あこと一緒に先輩の家の前にいますよ』
「そうかそうかそれなら都合がいい。強行突破で助けてくれ」
『え、どういうことですか?』
「中に入れば……『お兄ちゃん?』あうつ」
さすがに言いすぎたか。でも大丈夫。こんなこともあろうかと明日香には合鍵を渡しているのだ。ま、そもそもこんなことを想定したんじゃなくて香澄が頻繁に遊びに来るから香澄に渡して明日香も着いてくるから明日香にも渡しただけなんですけどね。
「蒼太先輩、これどういう状況なんですか?」
「見ての通り六花に拘束されてる。何とかして説得してくれ」
「どこかで見たことあるような……あ、そうだ! この前NFOに追加された魔王級ボスのコスプレでしょ! 魔法でバーンッ! ってやるやつ!」
「まぁ似てるけどこれは違うぜ」
2人が入ってくるなりいつも通りの会話が始まるのだが、暗闇六花は何もしない。ゲームで言ったらため攻撃のモーションみたいな感じだからやめて欲しいんですけどね。
「お兄ちゃん、なんで私には合鍵くれなかったのに明日香ちゃんに渡してるの」
「あれ、先輩これってこの前言ってた六花ですか?」
「この前のは闇六花、今のは暗闇六花」
「そんなの知らないよ! 私はお兄ちゃんのことが大好きなだけな六花だもん!」
いや分かりますよ。大好きなのはわかるし、俺も六花のことは好きだよ。でも病んでるやん? その方向は病み方向やん?
「明日香ちゃんにもあこちゃんにも香澄先輩にだってお兄ちゃんのことは渡さないんだから!」
「NFOの中だとあことそう兄って恋人関係じゃなかったっけ?」
「あ、あこ、それ今言っちゃったら六花がマズイって……」
「お兄ちゃん……?」
「あ、あのな、これにはとても深い理由があるんですよ。不可抗力なんですよ。決してあこの事が大好きだからって理由ではなくてですね……」
この前のゲームのイベントでゲーム内で付き合わないと入手できないアイテムがあって、そのアイテムで作るあこのネクロマンサー装備と俺のビーストテイマー装備がバカ強かったんだよ。そのためだったんだけど、スタミナ回復とか特典多いからまだそのまんまなんだよ。
「とりあえず六花、蒼太先輩に勉強教えてもらいたいから手錠とか外してもらえる?」
「お兄ちゃんのこと盗らない?」
「盗らない盗らない。蒼太先輩はかっこいい先輩だけど、私より六花の方がお似合いだから」
「それなら外しても大丈夫だね。せっかくだし私も勉強教えてもらおっと♡」
明日香、お前女神かよ。マジで助かったわ。今度ジュースとか購買のパンとか弁当でも奢るし、なんならこの前探しあてた店で好きな物頼んでいいよ。
「助かったわ。さんきゅ、あこ、明日香」
「それじゃそう兄、今日の夜もNFOやろうね! ボス戦頑張んなきゃ!」
「おう。今日もまた乱入モンスターテイムして暴れるか!」
「あ、先輩、ちょっといいですか?」
女神明日香様、なんなりとお申し付けください。
「もしさっき私が先輩のこと盗るって言ったら先輩どうしてました?」
「冗談だよな?」
「もちろん冗談です」
クスッと小悪魔っぽく笑って明日香は言った。女神から小悪魔ってなんやねん。年下属性マイナス値になってるはずだけどプラス値になっちまうぞ。
「お兄ちゃんはやくはやく! ここわからないから教えて!」
「はいはい」
「私も分からないんで教えてください」
「あこもあこも!」
ヤバい、油断してたらあこにも明日香にも持ってかれるぞこれ。片方はめっちゃ懐いてくれてぴょんぴょん跳ねてるし、もう片方は懐いてくれてる上にからかってくるし、やばいねん。
「俺分身出来ないから1人ずつな」
「お兄ちゃん、変なこと考えてないよね?」
「考えてナイです。さっさと勉強するぞ」
「蒼太先輩ってやっぱり苦労人ですよね」
どうやら俺は妹だけじゃなくて妹の同級生にも警戒しなくちゃならないらしい。
またちょっと長くなっちゃった。感想、評価、お気に入り登録ありがとうございます。ちゃんとほかのも投稿しますよ。サボってなんかないです。こればっかり頑張ってるだけです。
次回
休日に黒歴史発覚