バカと戦略と召喚獣   作:トッキ―

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5/11(日)内容を一部改編しました。


第三話

 ミーティングをするために俺、明久、雄二、秀吉、康太、瑞希、島田さんと一緒に屋上に集まっていた。

 本題に入る前に、俺にとって大事な事をみんなに確認しないといけない。

 

「みんな。さっき瑞希にも言ったけど、今度から下の名前で呼んでもいい?」

「僕は全然いいよ」

「俺も構わんぞ」

「無論じゃ」

「……OK」

「ウチもいいわよ」

「よかった。それじゃあ、明久に雄二、秀吉に康太、美波って呼ぶね。雄二、本題に――」

「仁よ。一応言っておくが、わしは――」

「男だろ? 言われなくても、一目で男だと分かったぞ」

「…!! わしを一目で男だとわかってくれて嬉しいのじゃ!」

 

 秀吉が勢いよく俺の手を握ってきた。その顔はとても笑顔で、男だとわかってはいても少しドキッとしてしまう。左隣の明久と康太が恨めしそうに見てきたが無視して、今も目の前で手を握っている秀吉に向き直る。

 

「秀吉、そろそろ離してくれないかな? 話が進まないから」

「おっと、すまぬ。つい嬉しくての」

 

 男と言われて嬉しいって……秀吉が今までどんな扱いを受けてきたのか分かった気がする。

 

「雄二。そろそろ本題に入ろうよ」

「そうだな。今からDクラス戦に向けてのミーティングを始める。明久、宣戦布告はしてきたよな?」

「一応、午後一時に開戦とは伝えてきたけど」

「じゃあ、先にお昼ご飯ってことね?」

「そうなるな。明久、今日くらいはまともなもの食べろよ?」

「そう思うならパンの一つくらいおごってほしいんだけど」

 

 パンの一つも買えないって……明久はどんな生活をしているんだ……?

 

「えっ?吉井君ってお昼食べない人なんですか?」

「いや、一応は食べてるよ」

 

 ならなぜ、瑞希から目をそらす。

 

「あれは食べていると言えるのか?」

「何が言いたいのさ」

「いや、お前の主食って……水と塩だろ」

「水と塩!?」

 

 どんだけ貧相な生活してるの、こいつ!? よく生きてこれたな。

 

「失礼な! 僕をバカにするにもほどがある!きちんと砂糖も食べてるよ!」

「それは食べるとは言わん!」

「舐めるが正解じゃろうな」

 

 俺と秀吉の言葉を合図にみんなが明久に同情の視線を送る。何でこんな生活しているのか気になるところだ。

 

「ま、生活費まで趣味に使うお前が悪いよな」

「し、仕送りが少ないんだよ!」

 

 要するに、明久の自業自得ってわけだ。生活費くらいはとっておけよな。

 

「あ、あの」

 

 ここで瑞希が顔を赤くしながら口を開く。

 

「そ、その……よかったら私がお弁当を作ってあげましょうか?」

 

 どうやら瑞希は明久に弁当を作ってくるらしい。ん? 弁当? ということは、

 

「えっ? ほんと? 塩と水以外のものなんて久しぶりだよ」

「はい。明日のお昼でよければ」

「よかったじゃないか、明久。手作り弁当だぞ?」

「羨ましいな、このやろう」

「うん!」

 

 女子からの手作り弁当をもらえるとは、なんて幸せ者なんだこいつは。

 

「ふーん……瑞希って随分優しいのね。吉井だけに作ってくるなんて」

 

 だけの部分を強調して不機嫌そうな口調でいう美波。もしかして、嫉妬してる? これは美波も明久のことを……明久よ、モテる男はつらいな。

 

「あ、いえ。その、みなさんにも」

 

 美波のひと言で瑞希が訂正する。明久、残念だったな。自分だけにじゃなくて。

 

「それじゃあ、お言葉に甘えるとするかの」

「……楽しみ」

「お手並み拝見ね……」

「女子の手作り弁当なんて夢の様だよ」

 

 女子に縁のない俺には夢のまた夢のイベントが現実になろうとしている。こんなに嬉しい日はない。

 

「よし。弁当の話はそれくらいにして、本題に入るぞ」

「雄二よ。一つ気になったのじゃが、なぜAクラスでもEクラスでもなくDクラスなんじゃ?」

「理由は簡単。正面からでも勝てるからだ」

「どうして? 相手は上のクラスだよ?」

 

 雄二が言ったことに明久が疑問を抱く。そう思うのも無理はない。俺たちは最下位のFクラスで向こうは一つ上のEクラスだ。普通は勝てないだろう。だが……。

 

「明久の言いたいことはわかる。だけどな、今ここにいるメンバーをよく見てみろ」

「ここにいるメンバー? えーっと……」

 

 俺に言われて明久は全員を見渡す。

 

「美少女が二人とバカが二人、運動部の英雄が一人にムッツリが一人いるね」

「俺が美少女だと!?」

「……ポッ」

「吉井ったら正直ね」

「どうして君たちが美少女に反応するの!? どうしよう、僕だけじゃ突っ込み切れない!」

「美波ならともかく、お前らは男だろ!?」

 

 そこまでして自分が言われたことを認めたくないのか、こいつらは。瑞希なんて苦笑いしてるし。

 

「みんな、落ち着くのじゃ」

 

 秀吉がみんなをなだめる。ん? 明久が秀吉を見てニヤついている。もしかして、こいつ、秀吉を美少女のほうに数えているな?

 

「明久の操作技術、雄二は過去に神童の経歴、瑞希はAクラス並み、美波は数学ならBクラス並みの学力を持つからね。秀吉は演劇の才能、康太は裏でばれずに商売できるほどの隠密行動力。このメンバーならEクラスには余裕でしょ」

「ということは、Dクラスに勝つのは難しいの?」

「確実にはいかないだろうな」

 

 いくら成績の良い瑞希がいても、Dクラスを正面から抑えるのは難しいだろう。だけど、このメンバーの長所を活かせばDクラス、上手くいけばその上のクラスにも勝てる。こいつらを見てると、そう思えてくるから不思議だ。

 

「上のクラスに勝つための作戦は考えてある。それに、俺らにはこいつがいるしな」

 

 雄二がこっちを見る。それにつられてみんながこっちに振り向く。そんなに見られるとなんか照れるな。

 

「そうだよね。僕たちには文月学園の英雄がいるもんね!」

「そうじゃの」

「……期待している」

「頑張りましょうね」

「責任重大なんだからね」

「期待に応えられるように頑張るよ」

 

 俺は照れ臭くなって頬をかきながら目をそらす。

 

「それより雄二。作戦の説明を――」

 

『ピンポンパンポン 二年Fクラス神崎仁、二年Fクラス神崎仁。職員室まで』

 

 雄二に作戦を聞こうとしたら放送がかかった。この声は大島先生だな。またあの件かな。去年からよくそれで呼ばれてるからな。

 

「呼ばれちゃった。したら行ってくるね」

「なんの呼び出しだろうね?」

「たぶんまた部活の件だと思う」

「なるべく早く戻ってきてくれ。試召戦争が始まっちまうから」

「了解」

 

 俺はその場を後にして職員室に向かった。

 

 

 

 

 

 放送で呼ばれた俺は職員室に向かって歩いていた。腕時計を確認すると、午後十二時五十分を示していた。もう少ししたら試召戦争が始まってしまうので、急ぎ足で行くことにする。

 

 コンコン

 

「失礼します」

「おお、神崎」

 

 職員室前に着いてノックしてから入る。すると俺に気づいた大島先生が手招きしていたのでそれに従って大島先生のもとに向かう。

 

「すまんな、わざわざ呼び出して」

「いえ。大丈夫ですよ。それで、今日も野球部のデータですか?」

「ああ、そうだ。実は来週の土曜日にここで練習試合をすることになってな。それで、相手チームの試合をビデオで見ているんだが、あまり良い戦略が浮かばなくてな」

「対戦相手はどこですか?」

「このまえ試合した皐月高校だ」

「あ、あそこですか。それなら……」

 

 皐月高校との試合は俺も見ていたため、相手がどんなチームなのかよく覚えている。

 皐月高校は打撃主体のチームでバッティングはいいものを持っている。けれど、守備が崩れやすく、リズムを失うと立て直しが遅い。そこを的確に突いていき、徐々に崩していく戦法をとった方がいいことと、そうするための戦略を大島先生に伝えた。

 

「そうか。こうすれば……ありがとな神崎。助かったぞ」

「お役に立てたなら光栄です。それじゃあ、これから試召戦争あるので失礼します」

 

 時間を確認すると、午後一時五分を示していた。もう試召戦争が始まってしまっているのですぐに行かなくてはならない。

 

「そうだったな。すまないな。忙しいときに呼び出して」

「いえいえ。それじゃあ、失礼します」

「あ、ちょっと待て神崎」

 

 職員室から出ようとする俺を大島先生が呼び止める。振り向くと、大島先生がブラックの缶コーヒーを投げ渡してきた。それを受け取った俺は頭を下げて職員室を出る。

 缶コーヒーをポケットにしまっていると、もう一方のドアから高橋先生と、積み重なったプリントの束を持った一人の女子生徒が出てきた。今は試召戦争中なので、あれは自習用のプリントだろう。それにしてもかなりの量を持っているため、顔が半分くらい隠れてしまっている。あれは危ないな。

 

「木下さん、本当に大丈夫ですか?」

「平気です。これくらい」

「あの、よかったら手伝いましょうか?」

「あ、神崎君」

 

 俺に気づいた高橋先生がこっちを向く。高橋先生は学年主任を担当するほどの才女であり、そのうえ綺麗な容姿も相まって、生徒からも教師からも人気がある。去年は西村先生と同じくらいお世話になった人だ。

 

「だ、大丈夫よ。一人で持っていけるから……きゃ!?」

「危ない!」

 

 前に進もうとした女子生徒が躓いて倒れそうになったのを後ろから両肩をつかんで支える。プリントは散らばってしまったが、女子生徒が倒れなくてよかったことに安心する。

 

「大丈夫?」

「え、ええ。大丈夫……」

 

 けががなくて一安心していると、女子生徒の顔が赤くなっていることに気づく。よし、今の状況を整理してみよう。

 

 女子生徒が躓いて倒れそうになる

       ↓

 後ろから肩をつかんで支える

       ↓

 前にいかないように引きつける

       ↓

 後ろから抱き寄せる形に

 

 なるほど、よくわかった……って!

 

「ご、ごめん!」

「いえ、助けてもらったわけだし、気にしてないから!」

 

 俺は急いで女子生徒から離れる。いくら状況が状況だったからって、もっと他のやり方があっただろうに。顔に熱を帯びているのを感じる。絶対今顔赤いよな、俺。

 少し落ち着いてきたのを確認して、俺は女子生徒に視線を戻す。肩にかかるくらいに伸ばした髪で、前髪を分けてヘアピンで止めている。その顔は秀吉と瓜二つで……あれ?

 

「もしかして、秀吉のお姉さん?」

「あら、秀吉を知ってるの? そうよ。私は姉の木下優子。優子でいいわよ。秀吉とややこしくなるでしょ」

「俺は神崎仁。仁でいいよ。よろしくね、優子」

「仁君ね。こちらこそよろしく」

 

 プリントを拾い集めながらお互いの自己紹介をする俺と優子。すべてのプリントを集め終わったので、俺は少し多めに集めたプリントを持って立ち上がる。

 

「さて、それじゃあ持っていこうか。どこに持ってくの?」

「えっ? でも、仁君に迷惑かけちゃうし……」

「迷惑だなんて思ってないよ。俺が手伝いたいだけだしね」

 

 笑って俺の気持ちを伝えると、優子は顔を赤くして小さく、けれどはっきり聞こえる声で答えた。

 

「そ、そう……なら、Aクラスまでお願いしてもいいかしら?」

「了解。あ、高橋先生。すいませんが同行をお願いしてもいいですか?」

「わかりました」

 

 高橋先生から同行の許可をもらったので、俺は目的地であるAクラスに向かう。少し遅れて優子もついてくる。その顔には疑問が浮かんでいた。

 

「ねぇ、なんで高橋先生に同行を頼んだの?」

「それはね……あ、来た」

『いたぞ、神崎だ!』

『木下秀吉もいるぞ』

 

 優子に理由を説明しようとする途中、Dクラス男子三名がこっちに向かってきた。

 

「えっ、ちがっ……私は――」

「優子、下がってて」

 

 優子を俺の後ろに下がらせ、Dクラスの男子に向かい合う。

 

「お前一人で戦うってか?」

「Fクラスが舐めてんじゃねーぞ!」

「お前らさぁー、人違いしといてその態度なの?」

 

 Dクラスの態度に呆れながらも俺は言葉を続ける。

 

「はぁ……。高橋先生、Fクラス神崎がDクラス男子三人に勝負を仕掛けます。科目は古典で」

 

「承認します!」

「Fクラスが調子に乗ってんじゃねー!!」

「『『『試獣召喚!!!』』』」

 

 召喚キーワードが発せられたことによって、足元に幾何学模様が発生する。俺の召喚獣は黒いコートを羽織ってて、手には黒の片手剣を持っている。初めて自分の召喚獣を見た感想は、

 

「俺が読んでる小説のキャラそのままじゃん!」

 

 俺が何度も読んでいる小説の主人公の装備そのままだったので、驚いた半面、嬉しさもこみ上げてきた。好きなキャラの装備を付けて戦えるってすごい嬉しい。 対するDクラスの召喚獣は、一人は同じく片手剣、一人は大剣、もう一人は刀だった。少し遅れて点数が表示される。

 

 古典

 Fクラス 神崎仁   139点

        VS

 Dクラス 野々村和樹  97点

      佐藤拳士  101点

      斎藤輝   115点

 

『『『……は?』』』

「なに、あの点数……」

 

 Dクラスと一緒に優子も驚いている。そりゃそうだ。Fクラスにこんな点数を取ってる奴がいれば誰だって驚くよな。

 

「さて、とっとと終わらせますか」

 

 相手が驚いている隙に、俺の召喚獣は相手の一人の首に水平斬りを入れる。

 

 Dクラス 野々村和樹  0点

 

「えっ?」

 

 点数が一気に無くなったことに一人は呆然としている。

 

「このやろう!」

 

 正気に戻った相手が大剣を上から大きく斬りつけてくる。それをステップで右に避けて、居合の要領でカウンターを決める。

 

 Dクラス 斎藤輝  0点

 

「は?」

 

 一人は一撃で決められたことに驚いている。

 

「とりゃー!!」

 

 最後の一人が真正面から突きの体勢で突撃してくる。

 

「それじゃあ、避けてくれって言ってるようなもんだよ?」

 

 突きを避けて踏ん張りのきかなくなった相手の背中を垂直に斬る。

 

 Dクラス 佐藤拳士  0点

 

「嘘だぁーー!!」

 

 最後の一人は認めたくないのか、大きく叫んでいた。

 

「0点になった戦死者は補習ーー!!」

 

 0点になった人を補習室に連れていくために西村先生がこちらに向かって走ってきた。それを見た瞬間、男子の顔が青ざめていくのが見てとれる。

 西村先生が三人を捕まえて補習室に連れて行こうとするが、

 

「西村先生、ちょっと待ってください」

「どうした、神崎? なるべく早くしてくれ」

「た、助けてくれるのか?」

「違う。名前を間違えといて何もないわけないよな?」

 

 その一言でDクラスの三人は床に並んで座り、

 

「「「すいませんでしたーーー!!!」」」

 

 一斉に土下座をしてみせたのだった。

 

「い、いいわよ。別に。昔からよく間違われてるし……」

 

 Dクラスの行動に優子は戸惑っていた。誰だって、目の前で急に土下座されたら驚くよね。謝るように促した俺も驚いてるし。正直ここまでするとは思ってなかったし。

 

「終わったようだな。それじゃあ、お前らは補習だ」

「今度から気を付けろよー」

 

 謝罪を終えた三人は西村先生によって補習室に連れてかれた。

 

「高橋先生、ありがとうございました。それじゃ、行こうか」

「高橋先生に同行を頼んだのは、こういうことだったのね」

 

 俺の傍まできた優子が納得していた。さっき説明しようとしたが、Dクラスが来たおかげで話す手間がはぶけた。

 

「あ、あの……」

「ん?」

「その、ありがとね。名前のこと……」

「気にしないで。名前を間違えといて謝らない奴らが許せなかったからやっただけで」

「それでも……ありがと」

 

 そのときの優子の顔を見た瞬間、俺は顔を逸らしてしまう。いや、だってこの表情だよ?顔を赤くして上目遣いで見つめてくるんだよ? 反則だよ、これ。

 

「そ、それじゃあ、Aクラスに行こうか」

 

 照れを隠すために、俺は足早にAクラスに向かう。優子もそれに遅れずについてきた。高橋先生はどこか嬉しそうな表情をしながらもついてきてくれた。

 

 

 Aクラスに到着して高橋先生がドアを開ける。二人は普通に入っていくが、俺は入るのに抵抗があった。外から教室の中を見たことはあるが、入ったことはないのだ。恐る恐る入ると、視線がこっちに集中する。その視線から目を逸らすように、教卓と思われる大きい机に向かいプリントを置く。

 

「それじゃあ、俺はこれで」

「あれ? もしかして仁君?」

 

 ひとこと言ってAクラスを出ようとすると、教室の後ろの方から声をかけられた。その声の主は黄緑のショートヘアーでボーイッシュな雰囲気を漂わせる女子だった。こちらに近づいてきたその女子は、

 

「愛子じゃないか。Aクラスだったのか」

「うん、そうだよ。仁君こそFクラスなんてビックリだよ」

「ねえ、二人は知り合いなの?」

 

 俺と愛子の親しげな雰囲気に優子が疑問に思ったのか、そんなことを聞いてくる。その質問に愛子が答える。

 

「去年、大島先生が水泳部に仁君を連れてきたことがあってね。そのとき仁君にはマッサージや差し入れとかしてもらってたんだ。そのときに仁君と友達になったんだよ」

「ふぅーん、そうなんだ」

 

 愛子の説明に優子が納得したような返事をする。けれど、その返事にはなぜか、どこか不機嫌な雰囲気が漂っていた。

 

「……神崎」

 

 後ろから声をかけられて振り向くと、黒髪ロングの女子生徒がいた。その容姿は日本人形のように整っていて、凛とした雰囲気もあるかなりの美人。ひと言で表すなら大和撫子だ。

 

「……代表として礼を言う。ありがとう」

「気にしないで。えーと……」

「……霧島翔子」

「霧島さん、俺がやりたくてやっただけだから気にしなくていいよ」

「……翔子でいい」

「えっ?」

「……優子と愛子を名前で呼んでる。だから私も名前で呼んでほしい」

「わかったよ、翔子。なら俺のことも仁って呼んでよ」

「……わかった」

 

 翔子とも友達になって場の雰囲気がにぎやかになってきているが、このままここにいるわけにもいかないので、そろそろ戻ることにする。

 

「それじゃ、俺はそろそろ戻るよ。試召戦争もあるし」

「仁君、また今度ね~!」

「今日は本当にありがとね」

「……ありがとう」

「神崎君。今日はありがとうございました」

「いえいえ。それでは失礼します」

 

 俺はAクラスを後にして、急いでFクラスに走った。

 

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