GOD EATER 神となった少年と神をやめし少年 作:Jaeger
みんなの不安は募るばかり
そんな中ユウヤは……
ユウヤはまたもサカキの研究室に向かっていた。
今回は呼び出されたのではなく、聞きたいことがあった。
聞きたいこととはほかでもない感応現象についてだった。
「失礼します。」
「やあ、いらっしゃい。それで、話というのは。」
「感応現象について教えてください。」
「っ、どこでそれを?」
「聞いているのはこっちの方です。答えてください。」
いつもより力の入るユウヤ。当然だ、ユウヤはまじめに聞いているのにサカキはいつものように笑顔でいる。
「……どうしても知りたいのかい?」
「はい。」
力強くうなずくユウヤ。
「…感応現象というのは新型同士が触れ合うことで起こる現象だ。それはわかるね。」
「はい、もちろん。」
「しかし、それが必ず起こるとも限らないんだ。
今まで何度も試していたが、成功例はほとんどないんだ。
ユウヤ君が見たのもきっと感応現象で間違いないね、でどんなものが見えたんだい?」
「…それがあまりにも映像が早すぎてよくわからなかったんです。」
「…そうか、それは残念だね。」
そういう割にはいつもの笑顔、ユウヤは苛立ちのあまり殺意が芽生えかけたが押し殺す。
そしてユウヤは部屋を後にした。
続いて彼はまたもアリサの眠る医務室に向かった。
もう一度感応現象を引き起こそうとしていた。
医務室の扉を開ける。そこにはオオグルマの姿は見当たらずいたのは何とサクヤ、アスカ、クロナの三人だった。
「あら、ユウヤもお見舞い?」
「はい、まあそうです。」
「?ユウヤ、何か隠してる?」
(やっぱ鋭いな、クロナは)
「え!そうなの!?ユウヤ、何かあったら言ってね、なんでも相談に乗るからね。」
「…ああ、ありがとう、アスカ。」
そういわれて少し照れくさそうにするアスカまだ少し慣れないようだ。
そしてユウヤがアリサの隣に行き、彼女の手に触れる。
また映像が流れ込んでくる。
今度は前と違いはっきりと何が流れているのかが分かった。
これはどうやらアリサの幼少期のころの記憶らしい。
「もういいかい?」
「まーだだよ。」
そんな会話が聞こえる。声からするに大人と子供がかくれんぼをしているようだ。
隠れているのはアリサ、探しているのはおそらく彼女の両親だろう。
これが感応現象の力。見たことないものや、覚えのない記憶がユウヤの頭の中に流れ込んでくる。
あの日はアリサが両親を少し困らせてやろうと思い崩れかけの廃墟にあるタンスの中に隠れていた。
そして両親がアリサを探しに来る。
そしてアリサの目の前に人影が迫る。
見つかった、それがわかり少しつまらなさそうにするアリサ。
その時、外から何かの雄叫びのようなものが聞こえた。
タンスの隙間から少しだけ外の様子が確認できた。
アリサは恐る恐る外を見て驚愕する
そこには身体の半分を失った、アリサの両親の身体が転がっていた。
その近くには両親を喰らったアラガミがいた。あれはこの前見た新種のアラガミだった。
「や、やめて……食べないで……」
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
その瞬間、景色が別のものに変わった。
「これが君たちの倒すべきもの、アラガミだよ。」
見たことのない病室には、アリサと一人の男が立っていた。
男の顔はよく見えない。
「これがアラガミだよ。」
「アラガミ……」
男がしゃべりながらモニターの映像を切り替える。
「そうだよ、そしてこれが、キミのパパとママを食べたアラガミだよ。」
そういって切り替えた映像にはあの黒いアラガミではなくみんなのよく知る人物
雨宮リンドウが映し出されていた。
なぜそこにリンドウが映し出されたのかはわからないユウヤだった。
「でも君はあの時とは違う、君はもう戦えるだろう?
簡単な話だ、こいつに向かって引き金を引けばいいだけだ。」
「引き金を、…引く…」
「そしてこう唱えるんだ
アジン、ドゥヴァ、トゥリー!」
「…アジン…ドゥヴァ…トゥリー……」
「そうだよ、そうすれば君はさらに強くなれる。」
「もっと…強く…
アジン…ドゥヴァ…トゥリー…」
そしてここで映像が途切れた。
感応現象がそこで終わった、自然と理解できた。
「そういうことだったのか…」
「?どうしたの、ユウヤ、何か様子がおかしかったけど何かあった?」
「……いや、なんでもない、気にするな。」
「今のは……いったい…」
「っ!アリサ…」
「アリサ!目が覚めたのね、よかった。」
「……」
「サクヤさん、どうしたんですか?」
「ううん、なんでもないわ。」
「さっきのは…あなたの…」
どうやらアリサはユウヤと同じで、自分の過去を見ていたようだ。
「神狩さんの記憶が、わたしの頭の中に流れ込んできて…
神狩さんももしかして?」
「ああ…けど今は言わないでくれ。」
「…私、神機使いになれて、やっとパパとママの仇が取れると思ったのに
なんであんなことを!」
そういって頭を抱え込むアリサ、ユウヤはやさしい言葉をかけながらアリサの頭をそっとなでる。
「大丈夫だ、お前は何も悪くない。それにリンドウさんがまだ死んだと決まったわけじゃない。」
「……はい、ありがとうございます、神狩さん。」
「アリサ、ちょっといいかしら、聞きたいことがあるの。」
サクヤが口を開く。彼女に話しかけられ身体を揺らすアリサ、
相当びびっているらしい。
「大丈夫よ、別にあなたを責めるわけじゃないわ、ただあなたにあの日、何があったのか教えてほしいの、無理にとは言わないわ、あなたが良ければ。」
「……両親が殺されて数年間、私は精神不安定のまま、病院での生活を送っていました。」
アリサが口を開きだす、みんなは黙って彼女の言葉に耳を傾ける。
「…そしたら突然、新型神機の適合があるといわれて、私は無理やりフェンリルの病院に移されたんです。」
「…そうだったんだ。」
「でも私は嬉しかった、これでやっと両親の仇が討てると思って、
オオグルマ先生も、いい人でしたし。」
「っ!」
やはりユウヤは今の一言に反応してしまう。
あの会話を聞いてしまったからである。
もっともアリサにそんなことは絶対に言えない。
彼女はオオグルマのことを慕っている、言える筈がなかった。アリサは話を続ける。
「それで極東に仇のアラガミが出るって言われて、あの時なぜか仇のアラガミがリンドウさんになってそれで…!うううぅ……!」
「アリサ!もうしゃべるな!」
ユウヤが急いで止める。
「…そう、ありがとう、ごめんなさい、無理させちゃって。」
ごめんね、そう告げてサクヤは部屋を出る。
「アリサ、大丈夫?」
「……はい、ありがとうございます。神闘さん。」
「クロナでいいよ。」
「あっ!じゃあ私もアスカでいいよ!」
「…はい。」
少し戸惑いながら答えるアリサ。
「じゃあ私たちはそろそろ行くね。」
「じゃあね、アリサ、何かあったら何でも言ってね。」
「はい。」
そして部屋を後にする二人。
「……」
「……」
部屋の中にしばらく沈黙が続いた。
いるのはユウヤとアリサの二人だけ、アリサは気まずそうになり、ユウヤはいつもと変わらない様子だ。
「…じゃ、そろそろ俺も行くよ。」
「えっ!」
「?どうした。」
「い、いえ、その……」
「?」
一人はさびしいのでここにいてほしい、なんて言えない。
なのでアリサはもじもじしだして、徐々に顔を赤らめていく。
「…寝るまでいっしょにいようか?」
「えっ!な、何でですか?」
「いや、なんかさびしそうだったから。」
「べ、別にさびしいわけないじゃないですか!何勘違いしてるんですか!」
そういいながらさらに顔を赤くしていく。それを見たユウヤは面白くなって苦笑する。
「な、何を笑ってるんですか!ドン引きです!」
「いや、アリサの反応がちょっと面白くてさ。」
「なんで面白いんですか!」
「いろいろ。」
怒るたびさらに顔を赤くしていき、それを見てついには笑ってしまうユウヤ。
しかしアリサは怒ることがばかばかしく思えたのか、もう怒らなくなった。
なぜなら今どれだけ顔が赤くなっているのか自分でもわかるくらいになっていた。
「……じゃあ、寝るまでいてください。」
「ああ、いいよ。」
OKの返事をもらって少し嬉しそうにするアリサ。
そしてすぐさま横になって眠りについた。
「おやすみ、アリサ。」
しかしそのあと、ユウヤは部屋を出ることはなくそのまま椅子の上で寝てしまった。
「…二人とも楽しそうね。」
「そうですね、アリサも少し元気が出て来たみたいでよかったですね。」
「……」
「?アスカどうしたの、ふてくされたような顔してるけど、何かあった?」
「…なんでもない。」
「何かあるって顔してるよ。」
「…自分でもよくわからないよ。」
そういって顔をうつむかせるアスカ、それを見た二人はかわいいと思ってしまった。
(まあ、…アスカの気持ち、わからないこともないよ)
内心そう思うクロナなのであった。
続く…