GOD EATER 神となった少年と神をやめし少年 作:Jaeger
彼女はユウヤに意外なことを頼み込む……
「なあ…今日だったよな。」
「ああ、そうだ。」
ここは、エントランスロビー。今の会話はユウヤとコウタのものであった。
「ねえ、そろそろ来るんじゃない?」
「そうだね、そろそろ来てもいいころだね。」
さらにクロナとアスカもいた。
そんな会話をしていたら向こうから待っていた少女の姿が見えた。
「……本日より原隊復帰しました。またよろしくお願いします。」
「ああ、よろしく。」
「おう!」
「お帰りなさい、アリサ。」
「お帰りなさい!」
「……」
上からユウヤ、コウタ、クロナ、アスカの順に応える。
しかしアリサは下を向いたまま返事をしない。
少しして彼女はユウヤの方に向かった。
「あの、神狩さん、えっと…その……」
「?どうした。」
少しの沈黙が続く。ユウヤが彼女の言葉を待っているとアリサが口を開いた。
「私に、一から戦い方を教えてください!」
それは意外な一言だった。あのプライドの高いアリサが頭を下げユウヤに頼みごとをしているのだから。
「…なんで俺なんだ?」
「神狩さんなら同じ新型としての実力も十分あります。それに……」
「それに?」
「信頼してるんです、神狩さんのことを、だから、お願いします!」
もう一度深く頭を下げて頼み込むアリサ。ユウヤは少し考え決断した。
「…わかった、俺でよければ協力させてもらうよ。」
「!ありがとうございます!」
そういってまた頭を下げるアリサ、その時の笑顔は15歳の少女を思わせる笑顔だった。
そんな時、エントランスの一階の方から神機使い達の声が聞こえた。
「おい、聞いたか、例の新型、今日から原隊復帰したそうだぜ。」
「ああ、そうらしいな。まったく、あいつのせいでリンドウさんが死んじまったて言うのによく平気でいられるよな。」
「けどさ、偉そうにしてた割にはずいぶん弱い奴だよな。」
わざと聞こえる声で陰口をたたく神機使い達。
しかしアリサにとってそれは真実、反論のしようがなかった。
――――――が、しかし
「―――――おい」
一階の方から一人の少年の声が聞こえた。
その声は実に低く恐ろしく、そして何より怒りに満ち溢れていた。
声の正体はいつの間にかアリサの前からいなくなっていたユウヤであった。
普段の彼からは想像もできないくらいおぞましい声だった。
はっきり言って今の彼はアラガミ以上に怖い存在だった。
「お前ら、二度とアリサを笑うな。」
そう言い放つと神機使い達はその場を去って行った。
「……なんで…」
「…あいつさ、ずっと前からああやって言ってる神機使い達に怒鳴って黙らせてるんだよ。」
「―――――え?」
「あいつ本当にお人好しだよな、でもそれがユウヤっていうのかなって、オレはそう思うけどな。」
(全部、真実なのに…)
アリサは内心申し訳なく思った。しかし同時にうれしくも思えた。
こんな自分を守ってくれて、かばってくれて、優しくしてくれる彼に。
「そんじゃ、そろそろ行こうぜ。」
「はい!」
その返事はアリサの覚悟そのものを表す一言だった。
「そうだ、何かあったらサクヤさんに行っといてくれ、俺たちが任務に行ってること。」
「おう、任せとけ。」
そして二人は任務のためヒバリのもとへ向かっていった。
そんな後姿を見ていたアスカは
(……また、この気持ち…)
自分の中に芽生えた気持ちの正体が何なのかを考えていた。
●
ここは平原エリア、ユウヤとアリサの二人はシユウと、シユウ堕天種の討伐任務に来ていた。
――――――のだが
(…だめ、やっぱり、震えが止まらない…)
一歩一歩進むにつれアリサの震えはますばかり。
「大丈夫だ、アリサ。」
「―――――あ」
優しく声をかけ自分の手にそっと手を置いて気遣ってくれるユウヤ、すると自然と震えが引いていく
「お前は一人じゃない、俺がついてる。」
「……はい。」
優しい言葉に緊張もほぐれていき、これならいけると思うアリサ。
「いたぞ。」
「え!?」
今の一言でまたも震えと緊張がアリサを襲う。
向こうは自分たちより一足早く向かってきていた。さらに震えがましついには座り込んでしまった。
「っ、アリサ、しっかりしろ!」
(っ、だめ、震えが…止まらない…)
そうこうしているうちに近くまで接近してきている二体のシユウ。
もうだめだ、その時死を覚悟したアリサ。
「アリサ!!」
「――――――え?」
ユウヤの声で我に返るといつの間にか自分はユウヤに抱きかかえられ宙に浮いていた。
「しっかりしろ、アリサ!ここは戦場なんだぞ!死にたいのか!」
「っ…!私は…」
「お前は一人じゃない!俺たちがいる!サクヤさんやコウタ、アスカにクロナ、ソーマだっている!
そう簡単にあきらめてんじゃねえ!」
そういってアリサを怒鳴るユウヤ、そこで初めて気づく。
自分はなんて幸せなんだろう、こんなにも自分のことを大切に思ってくれる仲間たちに囲まれて。
そう考えると自然と涙があふれ出てくる。
「…ありがとう…ございます。」
自然と感謝の言葉も出てくる。
「グアァァァァァァァァァァァ!」
シユウ堕天種が近づいてくる、今彼らは空中にいるため身動きが取れずにいた。
「うるせえんだよ!!」
そう叫びながら向かってくるシユウ堕天種にいつの間にかためていたチャージクラッシュを放ち
シユウ堕天種を真っ二つにした。
空中でチャージクラッシュをためるなどあり得ない。
しかしそれ以前にシユウ堕天種をたったの一撃で仕留めるなどといったソーマもやりそうにないことをするユウヤを見てこの人はやっぱりどうかしている、そう思えた。
「さあ、アリサ、あとはできるな?」
「はい!もちろんです!」
そういって神機を構えるアリサ。
今の返事にさっきまでの恐怖は感じられず、感じたのは彼女の覚悟そのものだった。
「行きます!」
アリサがシユウに向かって走り出す。
シユウがアリサを近づかせまいと、無数の火球を打ち出す。
しかし、アリサはそれを防ごうとはせずただひたすら回避を繰り返しながらシユウの目の前まで迫る
「はあっ!」
アリサの斬撃がシユウの翼に食い込む。
「ググ……グアァァァァァァァァ!」
「っ、きゃあ!」
流石に効いたのか、悲痛な叫びをあげ暴れだす。
アリサは急いで神機を抜き取り銃形態に変形、後退して無数の銃撃を放つ。
「くらいなさい!」
アリサの放った銃弾は見事全弾シユウに命中、そこに隙が生まれた。
アリサはその隙を見逃すことはなく、神機を剣形態に変形させ神機を振り上げ――――――
「――――――終わりです!」
神機を振り下ろしシユウというアラガミはそこで絶命した。
「はぁ…はぁ…やりました……私、勝てました!」
「ああ、お疲れさん。」
そういって座り込むアリサに労いの言葉をかけるユウヤ。
「あの…ありがとうございます、ここまで頑張れたのはあなたがいてくれたおかげです。
本当にありがとうございました。」
そういって深く頭を下げるアリサ。
「俺はなんにもしてないって、これはアリサ自身の力でやったことだ。」
「いえ、それでもいいんです。私はあなたに助けられましたしね。」
「そうか。」
「……あの、もう一つお願いしてもいいですか?」
「ああ、いいけど。」
「あの…えっと…その…」
「?」
徐々に顔を赤くしていくアリサ、ユウヤはじっと彼女の言葉を待つ。
……内心笑いながら。そしてアリサが口を開いた。
「あなたのことを下の名前で呼んでもいいですか?」
「……ぷっ、あははははははははははははははは!!」
「なっ、何がおかしいんですか!?」
「いやすまん、結構考え込んでたからどんな頼みかと思えばそんな事か。
ああ、いいよ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
そういって座りながらも頭を深く下げるアリサ。
その時思った、今日はいったい何度彼に頭を下げ何度感謝の言葉を言ったのだろうと。
そんなことを考えているとだんだんおかしくなって笑ってしまった。
ユウヤもそれにつられて笑ってしまう。
「よし、そろそろ帰ろうぜ。アリサ。」
「はい!“ユウヤ“!」
ユウヤの後を追って帰っていくアリサ。
彼女の顔はまるで恋をした少女のような顔だった。
続く……