GOD EATER 神となった少年と神をやめし少年   作:Jaeger

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ユウヤは恐かった


ばれてしまった自分の正体が


それがきっかけとなりトラウマがよみがえる………


天使と悪魔

「…はぁ…」

 

 

ここは極東支部、今のため息はアスカのものだった。

 

 

ユウヤがいなくなり一週間、彼女には寂しさと同時に不安が募っていく。

しかし、それはアスカだけではない。

 

 

「アスカ、心配なのはわかるけど私たちにできることはないよ。」

「…それはわかってるけど…」

 

 

クロナも心配で仕方ない、けれど心配したところでユウヤが帰ってくるわけではない。

それを彼女は、十分理解していた。

 

 

「でもどうして私たち第一部隊は捜索に行ってはダメなんですか?」

「それは私たちが第一部隊だからだよ。

第一部隊はアラガミの討伐が主な任務だから捜索は任務の範囲外だからだよ。

だから、今はユウヤが見つかるのを祈るしかないよ。」

「……そうですね、何かすいません。」

 

 

その時、エントランスのエレベーターの扉が開いた。

アリサは扉の方に駆け寄る。

 

 

「ん、アリサか、スマン、ユウヤ見つけられなかったわ。」

「そうですか…ありがとうございます、タツミさん。」

 

 

扉から出て来たのは防衛班のタツミだった。

ユウヤがいなくなったのは極東にとってかなりまずいことらしく、防衛班も捜索任務に回されていた

 

 

「いいって、それに、あいつがいないと俺たちも困るし、極東にも元気がないからな。

まぁ待ってろ、絶対に見つけてやるからな。」

「はい、よろしくお願いします。」

 

 

たしかに、タツミの言うとおり、ユウヤがいないせいか、極東にはいつもの活力が感じられなかった

 

 

「あれ?クロナはどこに行ったんですか。」

 

 

みんなのところに戻ってきたアリサがクロナのいないことに気付く。

 

 

「クロナなら任務があるって言って行っちゃったわ。」

「そう…ですか。」

 

 

アリサの問いにサクヤが答える。

 

 

「…あの子は強いわ、本当に…」

「えっ?どういう意味ですか?」

「ほんとはクロナ本人も心配してるわ、多分ほかのみんな以上に。

それなのに、あなたやアスカを元気づけてくれてるでしょ。」

「…たしかに、そうですね。

すごいです、クロナは。」

 

 

それに比べて私は……、ついそう思ってしまうアリサであった。

 

 

「ふふっ、それにしてもあなたたち、本当にユウヤのことが好きなのね。」

「ちょっ、サクヤさん、そういうことをこんなに人がいるところで言わないでください!

恥ずかしいじゃないですか!」

「でも、もうほとんどの人が知ってるわよ?」

「……えっ?」

「あなたたちを見れば誰でもすぐにわかるわよ。」

 

 

そうですか、そういって顔を赤くしその場を去っていくアリサ。

 

 

 

 

(ユウヤ、お願いします、無事に、この極東に帰ってきてください!

みんなあなたの帰りを待ってますから!)

 

 

 

一つの願いを、胸の内に秘めながら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

ここは鉄塔エリア、ここに一人の少年の姿があった。

 

 

彼の名はユウヤ、極東支部第一部隊隊長の新型ゴッドイーターだ。

今彼は、壁に背を向けあたりを見回しながら警戒していた。

 

 

(…くそっ!なんでこんなにアラガミがいるんだよ…!)

 

 

神機さえあれば、そう思うユウヤだがそれは叶わない。

なぜなら、今彼は神機を持っていない。

この前の戦闘で、神機が大破したからである。

 

 

今、彼の視線の先には視界に入るだけでも十体はいるであろう、アラガミがいた。

 

 

(どうする?神機があればあのアラガミを一掃することは可能だが……)

 

 

そこでユウヤの思考は違う考えが浮かぶと同時に昔のトラウマがよみがえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――どうして、お前みたいな化け物が生きてるんだ!

 

 

 

―――――――――お前なんか生きててもしょうがないだろ?この化け物が。

 

 

 

化け物

 

 

 

この言葉はユウヤの一番嫌いで恐ろしく、そして何より憎い一言だった。

 

 

 

(俺は……生きてていいのか?)

 

 

 

そんな考えが脳裏によぎる。

 

 

 

(いいのか?俺みたいな化け物がこの世に生きてて。)

 

 

 

ついにはそんなことばかりを考えてしまうユウヤ。

 

 

 

しかし、彼はそのせいで気づくことができなかった。

 

 

 

目の前に、自分を捕喰しようとするアラガミ達に――――――――――

 

 

 

「っ、しまっ――――――――――」

 

 

 

そこまで言って彼の身体が真横に吹き飛ぶ。

 

 

 

とっさの対応でダメージを抑えることができたが……状況は最悪だった。

 

 

 

(ヴァジュラに…ボルグ・カムランか…まずいな)

 

 

 

目の前には、自分を捕喰くしようとゆっくりと近づいてくるアラガミ、

自分の後ろには壁、まさに絶体絶命の状況だった。

 

 

 

(死ぬ……のか………)

 

 

 

死、彼の頭の中にはその言葉しかなかった。

 

 

 

その時、ボルグ・カムランの尻尾がユウヤの心臓めがけて飛んでくる。

 

 

 

「っ、くそっ!…足が……!」

 

 

 

何とか回避し、直撃は免れたものの足に攻撃をかすめる。

 

 

 

本来の彼ならこの程度の傷、どうということはない。

 

 

 

しかし、今の彼には残された体力はほとんどない。

 

 

 

しかし、ここで彼はよからぬ考えが浮かび上がる。

 

 

 

(このまま死んだら……少しは楽かもな…)

 

 

 

生きていても仕方ない、そんな感情が芽生え始める。

 

 

 

その時、彼の足に激痛が走る。

 

 

 

「がっ!」

 

 

 

よく見ると、ボルグ・カムランの尻尾が自分の足に突き刺さっていた。

 

 

 

そのままユウヤを宙吊りにする。

 

 

 

このままでは喰い殺される、しかし、今の彼にはどうすることもできない。

 

 

 

そのままボルグ・カムランの口がユウヤの頭に近づいたとき―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の胸元に入れてあった銀色のロケットペンダントが出て来た。

 

 

 

(っ、…ティア……!)

 

 

 

その時、彼の妹の最後の一言が頭の中で再生される。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――お兄ちゃん、生きることから逃げないで―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

それと少しの時が経つと、宙吊りにされていた彼の姿が消える。

 

 

 

「ギュアッ!?」

 

 

 

一瞬、ボルグ・カムランから驚愕に満ち溢れた悲鳴が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――よく見ると、ボルグ・カムランの尻尾の先端がなくなっていた。

 

 

 

実行犯はほかでもないユウヤだった。

 

 

 

彼の右手には引きちぎった尻尾の先端を喰っていた。

 

 

 

その姿は、実におぞましく、二体のアラガミは身震いを起こす。

 

 

 

喰い終わったのか、彼は尻尾を放り投げ、狙いを近くにいるアラガミに定める。

 

 

 

「――――――――――コロス」

 

 

 

その言葉を聞いた二体は急いで逃げよう、ここにいたら確実に殺される。

 

 

 

しかし、一歩遅かった。

 

 

 

彼は、一瞬でヴァジュラの前に迫り、変化した腕を使い一撃で一つの命を奪い取る。

 

 

 

そのまま、ヴァジュラの死体には目もくれず、ボルグ・カムランに向かっていく。

 

 

 

勢いで高く飛び、ボルグ・カムランの背中に右腕を突き刺す。

 

 

 

「ギュア……ギュウゥゥ………」

 

 

 

瀕死寸前のボルグ・カムランに何度も腕を突き刺す。

 

 

 

やがて、また、アラガミの命がなくなった。

 

 

 

それを確認したユウヤは死んだ二体のアラガミを喰らい始める。

 

 

 

しばらくして、食事が終わり、次に狙いを定める。

 

 

 

狙ったのは、数十対いるアラガミの群れだった。

 

 

 

しかし、彼は躊躇なくそこに向かっていった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

鉄塔エリアの地面に赤い液体が広がっている。

 

 

 

そんな中に一人立っている少年の姿があった。

 

 

 

しかし、今の彼を人というのは無理があった。

 

 

 

腕は変化し、背中からは見たことのない、まるで悪魔を表すにふさわしい赤黒い羽が生えていた。

 

 

 

腕からは血がポタポタとしずくとなって地面に落ちる。

 

 

 

ここには二十はいたであろうアラガミをわずか一分足らずですべて終わらせてしまった。

 

 

 

あたりを見渡す、周りには自分が殺し、喰い散らかしたアラガミの死骸がそこらじゅうに転がっていた。

 

 

 

もうここに餌はない、そう判断したユウヤはその場を離れようとして―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――背後に何かが降り立った。

 

 

 

 

振り向くと、そこには右手に剣、左手には盾という女戦士のような姿をした何か。

 

 

 

しかし、背中にはユウヤとは違った一つの汚れを感じさせない純白の羽が生えていた。

 

 

 

周りから見るとそこには、天使と悪魔が対峙しているようだ。

 

 

 

しかし、そんなことはどうでもいい、ユウヤの頭の中にあったのは―――――――――――

 

 

 

「――――――――――食イ殺ス!」

 

 

 

ただ、その一言だった。

 

 

 

持ち前のスピードで、一瞬にして目の前に迫り右腕を貫かせようとするが――――――

 

 

 

左手に持つ縦で彼の攻撃を簡単にはじいてしまう。

 

 

 

思わず、後ろに下がってしまう、それでも攻撃を仕掛けていくユウヤ。

 

 

 

しかし、簡単にはじいてしまう、ずっとそればかりが続いてしまう。

 

 

 

そこで初めてユウヤは一瞬、自我を取り戻す。そして違和感を覚える。

 

 

 

(なぜ……反撃してこない…?)

 

 

 

今の自分には隙しかないというのに相手は何一つ動かない。

 

 

 

そこで彼の意識は途切れる。

 

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

怒りが込められた雄叫びをあげながら飛び掛かっていくユウヤ。

 

 

 

しかし、次の瞬間、彼は驚愕のあまりその場で止まり、自我を取り戻す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――元に戻って、お兄ちゃん。」

「!!」

 

 

 

 

 

 

その瞬間、アラガミの剣がユウヤの腹部に刺さる。

 

 

 

しかし、今の彼には痛みなど感じなかった、なぜなら―――――――――

 

 

 

 

 

「――――――――――ティア!?」

 

 

 

 

忘れるわけもない、大切なたった一人の妹の声を。

まだ何かを言おうとするユウヤ、しかしここで―――――――――

 

 

 

「な……ぜ…」

 

 

 

ここでユウヤの意識が途切れる。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――ごめんね、お兄ちゃん。

少しの間、眠っててね。」

 

 

 

 

 

 

 

そういってアラガミ、ティアは剣先からユウヤにある何かを流し込んだ。

 

 

 

 

そのあと、その場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

続く………

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