GOD EATER 神となった少年と神をやめし少年 作:Jaeger
ここは榊の部屋、中には第一部隊の面々が驚愕の表情を浮かべていた。
「この子が」
「人間じゃなくて」
「実は」
「アラガミの」
「少女!?」
「…へぇ……」
「………」
上からアスカ、クロナ、サクヤ、コウタ、アリサ、ユウヤ、ソーマの順に叫んでいた。
漫画のような流れだがスルーしよう。
「オナカ…スイ…タ…」
「いっ!?」
「大丈夫だよ、この子は私たち人間を捕食対象とみてないから安心しなさい。」
榊の一言に少し安心の表情を浮かべる。しかし、警戒は怠らない。
「知ってると思うが、アラガミはみな『偏食』という特性を有しているんだ。」
「…アラガミが個体独自に持っている傾向…
私たちの神機にも利用されてる性質ですね。」
「その通りだよ。
まあ、君たち神機使いからすれば常識だね。」
「…知ってた?」
「…当たり前だ」
「えっ、わたし知らなかった…」
「………はぁ…」
コウタとアスカが馬鹿すぎてついため息をついてしまう。それでも榊は話を続ける。
「このアラガミの偏食は、より高次なアラガミに対して向けられている。」
「つまり、我々が捕食されないのはそのため…ですか?」
「その通り、誤解されがちだが、アラガミは他の生物の特徴を持って誕生するのではない。
あれは捕食を通して、凄まじいスピードで進化しているようなものなんだ。
結果としてごく短い期間に多種多様な進化の可能性が凝縮される…それがアラガミという存在だ。」
榊のわけのわからない話にちんぷんかんぷんなコウタとアスカ。すると、ここでサクヤが
「…つまりこの子は…」
「うん、これは我々と同じ『とりあえず進化の袋小路』に迷い込んだものと言ったところかな。
結果、この子はヒトに進化したアラガミだよ。」
「…人間に近い…アラガミ…だと…?」
「そう、先ほど調べてみたんだが、頭部神経節に当たる部分がまるで人間の脳のように機能しているようでね。
だから、学習能力がものすごく高いんだ…実に興味深いね。」
ついにはソファに座って項垂れる二人、まったくわけがわからないようだ。
「では最後に…このことは私と、第一部隊だけの秘密にしてほしい…いいね?」
「ですが、教官と支部長には報告をした方が…」
「サクヤ君…君はゴッドイーター、そんな君がアナグラに、「アラガミをつれて来ました」
などと報告するつもりかい?」
「っ、それは…しかし、いったい何のために?」
「言ったじゃないか、これは貴重なケースのサンプルなんだ、あくまで私自身としての研究対象に過ぎない。」
「でもいつかばれるんじゃ…」
「大丈夫、この部屋は他の区画とは通信インフラ、それにセキュリティ関係も独立させてある。」
そこまで言って榊は一度サクヤの耳に小さく語りかける。
「―――――――それに、君だって今やってる活動に、余計なツッコミを入れられたくはないだろう?」
「っ!」
サクヤにしか聞こえないつもりで言ったはずが、並みのゴッドイーター以上の聴力を持つユウヤと
ソーマにははっきりと聞き取れた。
しかし、それが何の意味か全く理解できなかった。
「そう!我々はすでに共犯なんだ、覚えていてくれ。」
「……たしかにそうだな。」
「それと、このことも仲良くしてやってほしいね。
ソーマ、君も……よろしく頼むよ?」
「ふざけるな!
いくら人間に近かろうと……化け物に変わりはない」
そういって榊の部屋を出ていくソーマ。
しかし、今の彼から苛立ちなどは感じられなかった。
「…でも、仲良くなるといってもどうすれば…」
「たしかにそうだよな、なんせ相手はアラガミだしな……」
いつの間にか復活したコウタやアスカも一緒に考えていた。
そんな中、一人少女の方に近づいていく青年がいた。
「………」
「ちょっ、ユウヤ、何してるんですか!?危ないですよ!?」
「なんでだよ、さっき博士が言ってくれただろ、俺たちが襲われる心配はないって。」
「そ、それはそうですけど……」
そのままユウヤは右手を少女の頭の上まで伸ばし、頭を撫でる。
「俺はユウヤだ、よろしくな。」
「……ゆう…や…?」
「そう、ユウヤだ。」
「………」
すると少女は俯いて考え始める。
そして少しして前を向いて笑顔でユウヤに飛びつく。
「ゆうやーーーー!!」
「うおっ、いきなり来たら吃驚するだろ?」
「うー、ゴチソウサマ?」
「いや、その場合は多分、ごめんなさいだろ?」
「……ゴメンナサイ?」
「そうだ、偉いぞー。」
そういってまた頭を撫でるユウヤ、そしてうれしそうに笑顔を見せる少女。
「ほら、この子、危険じゃないだろ?みんな考え過ぎだぞ。」
「というわけだ、みんな、今後、この子のことは任せたよ。
ああ、あとユウヤ君、君はここに残ってくれ、少し話したいことがある。」
「……わかりました。」
少し警戒した声で返すユウヤ。そのあとほかの面々は部屋を後にする。
今、部屋にはユウヤ、榊、アラガミの少女の三人がいる。
緊迫した雰囲気が場の空気を凍らせる。
「……博士、話しっていうのは?」
「……君はなぜ、この子に警戒心を持たない?」
「…この子が俺たちに危害を加えないから…ですかね。」
「ふむ…確かにそれもあるかもしれない。
……でも、あるんだろう?それ以外の理由が。」
「………」
ユウヤは押し黙る。榊はこの後衝撃の一言を口にする。
「―――――――――君はいつから、アラガミになっていたんだい?」
あまりにも衝撃の一言だった。
もし、ここにほかのメンバーがいたら腰を抜かしているだろう。
「……いつから気づいていたんですか?」
「質問をしているのはこっちだよ、で、どうなんだい?」
ユウヤは黙り込む、榊は楽しそうで興味津々な表情で次の言葉を待つ。
「……たしか、七つの時でした。」
「へぇ……そんなに早かったのかい。
でも、今まで力が出なかったのは君自身が抑えていたのかい?」
「…はい、抑えが利かなくなったのは俺自身が死にかけた時でした。」
「ふむ……つまり君のその力は君が窮地に立たされた時に目覚める、そういったところだね。」
「多分…そうです。」
的を射た発言を次々と発していく榊、その時部屋の扉が大きな音を立てて開いた。
「……おい、てめぇ…さっきの話は本当か…?」
「…ソーマ、やっぱいたのか…」
「おやソーマ、盗み聞きはよくないな。」
「っ、俺の質問に答えろ!!」
「……ああ、本当だ。」
「てめぇ!なんで今まで隠してやがった!あいつらはお前のことを心配してんだぞ!!」
「…あの時、あいつらに言って俺やあいつらに得があったか?」
「っ!……」
そこでソーマは勢いよくつかんだユウヤの胸ぐらを放しユウヤから離れる。
今の彼はソーマも引かせてしまうほどの威圧を放っていた。
「あそこでこのことを言ったら余計に混乱を招いただけだ、違うか?」
「…確かにユウヤ君の言う通りだ、とりあえず、このことは私たちだけの秘密にしておこう。」
知ってしまったユウヤの正体、しかしソーマはユウヤに対して恐怖など微塵もなくあったものはただ一つ。
そう、喜びだった。
この場面でこんな感情が芽生えるのはおかしい、けれどソーマは嬉しかった。
自分に似た存在が現れたのだから、しかも、その存在が身近にいたのだから……
翌日………
相変わらず食堂は混んでいる。
アスカたちお馴染みの三人は珍しく早起きをしてユウヤと朝食に行こうとしていた。
結果、ユウヤは部屋にいなかったので仕方なく三人で行くことになった。
まあ、これが彼女たちの日課である。
食堂に着いた三人は椅子に座って誰かと楽しそうに話しながら食事をしている姿を発見する。
他にいたのはコウタと…人影にいてはっきりとは見えなかった。
「ユウヤ、おはよう!」
「おはよう、ユウヤ。」
「おはようございます!ユウヤ!」
「ん?あっ、おはよう、最近三人そろってること多いな。」
「まあ…いろいろあるの………ええぇ!!ソ、ソーマがいる!」
「……なんだその言い方は。」
「いや…珍しいなーって思って。」
何と彼らといたのはソーマだった、驚きのあまりアスカやアリサも驚きの表情。
この前の一件でソーマとの仲を深めることができたユウヤ。
(…まずは、第一関門突破…てところか…)
食事をしつつクロナ達とソーマの会話を楽しそうに眺めるユウヤであった。
続く………