GOD EATER 神となった少年と神をやめし少年 作:Jaeger
そして今、ユウヤの過去が明かされる………
「ユウヤー、おきなさーい、もう朝よー。」
ここは小さな集落、ここには百人もいない人が平和に暮らしていた。
今の声はユウヤの母、神狩ミツキである。
すべてを見通すかのような赤い瞳、きれいな顔立ちで女性ながら身長が180ぐらいはありそうだ。
「……はーい。」
いかにも眠っていましたという声が壁の向こうから聞こえる。
少しして向こうから一人の少年とその少年に担がれて眠っている少女がいた。
少年は幼いユウヤ、このころは12歳である。
しかし、歳に見合わない背丈ですでに160はあった。
「もう……ティア、起きなさい、もう朝よ?」
「……もう少し…寝る…」
「いや、さすがにだめだろ。」
「…はーい…」
ユウヤに注意され立って大きくあくびをする。
「あ~ぁ、おはよう、お母さん、お兄ちゃん。」
「おはよう、ティア。」
「おはよう、早く朝ご飯食べなさい。」
そして二人はパンが置かれている机の前に座りパンをかじる。
ティアはユウヤの本当の妹ではない。
四年ほど前、村の外にいたティアをミツキが発見しこの家に引き取ったのだ。
食事を終えたユウヤは少し離れた棚に向かいそこに立てかけられている写真に挨拶をする。
「父さん、おはよう。」
写真に写っているのは楽しそうに肩車されている幼きユウヤ。
そして、その肩車をしている男性。
この男性がユウヤとティアの父、ミツキの夫の神狩ジンである。
力強い黒い瞳、逆立った髪に軽く180はある身長。
そう、ユウヤのオッドアイは両親から受け継がれたものである。
今背丈が高いのも両親から受け継がれたもの、髪は父からのものである。
この時のユウヤにはすでにアラガミの力が宿っていた。
しかし、ミツキはそのことを知らない。
当たり前だ、知られれば殺されてしまうからだ。
ティアはこのことを知っていた、というより、たまたま知ってしまったのだ。
写真に挨拶し終わった二人はいつも通り外に出て散歩に向かう。
外はいつも通り平和な様子だった。
元気に走り回る子供たち、楽しそうに会話をしている大人たち。
さまざまな人がこの集落では暮らしていた。
「ねえお兄ちゃん、今日はどこに行くの?」
「そうだな……じゃあ、また行くか?」
「うん!行く!」
そういって彼らは村の外に向かっていく。
本来、ここの集落は9歳以下の子供は外に出るのを禁止にしていた。
しかし、10歳以上の子供がいれば出てもいいという危険な決まりができていた。
「そんじゃ、いつものとこ行くか。」
「うん!」
彼らは村の外に誰も知らない、もちろんアラガミすら知らない秘密の場所にこもっていた。
ちなみにこの場所を見つけたのはユウヤである。
このころから彼の観察力は相当のものであった。
「ところでお兄ちゃん、どうしてアラガミは危険なの?」
「ん?それはな、俺たち人間はアラガミの餌なんだよ。」
「…餌って?」
「えっ、そうだなー…要するに、俺たちはアラガミのご飯なんだよ。」
「なるほどー。」
二人はいつも通り楽しく会話をしていた。
――――――――この時、ユウヤは何かを察知する。
「?お兄ちゃん、どうしたの?」
「…ティアはここで待ってろ。」
「えっ、何で――――――――――」
そこまで言うとユウヤは村の方へと走っていく。
彼は何もできないとわかっていた。
だがユウヤは昔から正義感が強かった、そのためか小さいころから父と同じゴッドイーターになりたいと思っていた。
しかし、ミツキはそれを反対していた。
なぜなら、ジンはもともとゴッドイーターであり、すでに戦死していた。
そのためユウヤのことはひどく反対していた。
そして村の前まで来た彼は驚愕する。
そこにいたのは、かつて自分にこの力を与えた張本人のアラガミが立っていた。
アラガミはそれに気づいて振り向く。
「ギガアァァァァァァァァァァァァ!!」
耳が裂けそうなほどの雄叫びをあげる。
すると、先ほどまで何も異変がなかったユウヤの様子がおかしい。
突然頭を押さえ、地面に膝をつく。
先ほどの雄叫びを聞いて出て来た集落の住人達。
勿論、その中にミツキの姿もある。
そして住人達は驚愕の表情を浮かべる。
無論、目の前にいたアラガミに対してだがさらに驚くべき存在が。
それは、先ほどの声を聴き頭を抱え膝をついているユウヤだった。
彼の両腕、両足はすでに人間ではない何か別のものへと変化していた。
「…ユウ……ヤ…?」
「に……げて……」
かろうじて自分の意識を保って放った言葉だったが住人達は行動に移すことなく立ち尽くしていた。
それから少ししてティアが現れる。
「お母さん!みんな!早く逃げて!」
しかし、彼女の声は今のみんなには届かなかった。
「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」
叫びが聞こえ耳を押さえながらもそちらの方を見る。
視線の先にいたのは一言で言い表すのなら、悪魔。
そして、ユウヤはアラガミの方に飛び掛かるがまたしてもあの叫びを放つ。
「ギガアァァァァァァァァァァァ!!」
その叫びを聞いて彼はまた膝をついて倒れこむ。
アラガミはその場を去る。
少ししてユウヤが目を覚ます。
最初は異変に感じなかったがすぐに全員の視線がこちらに向いていることに気付く。
みんなの視線は今までのように優しいものではなく、危険なものを見るときのようなものだった。
「…母……さん…」
泣くような思いでミツキによっていくユウヤ。
しかし、そんな彼を絶望させるような一言が帰ってくる。
「――――――――――寄るな、この化け物が!」
「―――――――――え……?」
一瞬、理解できなかった。
今日、さっきまで優しく接してくれていた母の冷たい言葉。
それを理解したとき、彼の頬に涙がつたっていた。
「…そ、そうだ!来るな!化け物!」
ミツキの言葉に便乗してユウヤに非難を浴びせる。
「そうだ!なんでお前みたいな化け物が生きてるんだ!」
「とっとと死んじまえ!この化け物!」
こうして彼の人生は地獄に変わっていった。
もうここにはいられない、そう思い急いでその場を去る。
そんな彼についていく一人の少女の姿があった。
「ティア!行っちゃダメ!あれは化け物よ!」
「嫌!お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん!!」
そう言い放ちユウヤの後を追うティア。
そして彼らのこういう生活が二年ほど続いた。
そして悲劇が起こる。
二年後、ティアはあるアラガミによって殺された。
そのアラガミとはほかでもない、自分にこんな力を与えたあのアラガミだった。
あの日、彼は誓った。
この世からアラガミをすべて消し去ると。
三年後、彼は極東の新型ゴッドイーターとなった。
続く………