GOD EATER 神となった少年と神をやめし少年 作:Jaeger
絶対絶命に陥るユウヤ。
その時、ユウヤに何かが起こる。
「おい、なんだよあのアラガミは」
「……ヴァジュラだ、俺たち新人たちの登竜門みたいなやつだ。
……てリンドウさんから聞いた。」
「とにかくどうする!?オレたち二人じゃ勝てるわけがないし
救援要請出してもそこまで粘る自信がないしどうすれば……」
「……………」
「……おい、どうしたユウヤ……!
まさかお前、あいつと殺りあう気じゃないだろうな!?」
「……勝てなくても、時間稼ぎくらいならできるだろ?」
「…………」
こいつはどうかしてる、コウタはそう思うのに十分な一言だった。
ヴァジュラはこちらにはまだ気づいていない、
自分はその間に逃げたいという一心だった。
しかし彼の言葉を聞いたコウタは
「……オレはなにをすればいい?」
「そうだな……俺が奴の足止めをする間に救援要請を出してくれ。」
コウタは彼の一言を聞いて彼にかけてみよう、そう思えた。
根拠はどこにもない、ただ彼に任せておくと自然と恐怖が和らいでいった。
「任せろ!そのあとはどうすればいい?」
「逃げてもいいし、戻ってきてもいい。好きにしてもらって構わない。」
「なっ、誰が逃げるか!」
「わかった、じゃ、いくぜ!」
言い放つとユウヤはヴァジュラに向かっていき
コウタは車の方に急いだ。
「無茶だけはするなよ!」
「わかってる!」
●
ユウヤはヴァジュラに向かう。
ヴァジュラはユウヤの存在に気が付いていない。
ユウヤは大きく飛びヴァジュラの身体に斬撃を与える。
しかし、ヴァジュラは痒かったかのように切られた方を振り向く。
(っ!浅いな……)
「ガアァァァァァァァァァ!」
「!」
雄叫びと同時に腕を振るい、ユウヤに直撃
地面に全身を強打、壁に強く身体を打つ。
「がはっ!」
大量の血を吐く。地面の雪を赤く染める。
ヴァジュラはゆっくりとユウヤに近づく。
ユウヤはヴァジュラをにらみつける。
(っ!こんなとこで……死ねるか!)
しかし身体が動かない。このまま死ぬのか。
「くらいやがれ!!」
「グアァ!?」
突然の不意打ちにさすがのヴァジュラも対応できず吹き飛んだ。
「大丈夫か!?ユウヤ!」
「コウタ……また、助けられたな。すまん」
「何謝ってんだよ!それよりあいつ、相当タフいな」
「救援要請は?」
「出したに決まってんだろうバカヤロー!」
「そんじゃいくぜ」
「ああ、わかってるって」
「……へえ、止めないんだな」
「もう止めたって無駄なんだろ。だったら最後まで付き合うぜ」
「……すまんな、俺の身勝手な行動に巻き込んじまって」
「今更謝るなよ!それより……くるぞ!」
「ああ!いくぞ!!」
そう言い放つとユウヤはヴァジュラに接近し、コウタはさらに距離を取る。
「ガアァァァァ!」
怒りに満ちた雄叫び、先ほどの不意打ちで完全に怒らせたようだ。
叫ぶと同時にユウヤ目掛けて腕を振り下ろす。
しかしそれは失敗に終わる。
「オレがいるのを忘れんなよ!」
コウタの銃撃がヴァジュラの攻撃を阻止した。
さらに追い打ちをかけるべく、銃弾を放つ。
しかし、ヴァジュラはそれをいとも簡単にかわす。
その間にユウヤが間合いをゼロにする。
「くらえ!!」
下からの切り上げ、さすがのヴァジュラも対応できず
攻撃が命中。
――――――――――命中はしたものの今のユウヤは手負い、全力で攻撃したが
斬撃は浅く大したダメージにはならなかった。
(っ、斬撃がだめなら!)
ユウヤは後ろに下がり神機を銃形態へ変形、そして放つ。
放たれた五発の銃弾は見事命中。
「ガアァァァァァァァ!」
ヴァジュラから悲痛な叫びが聞こえその場に倒れこむ。
「はあ……はあ……やったのか?」
「さあな……っ!いや、まだだ!」
「グアァァァァァァァァ!」
ヴァジュラは雄叫びを上げながら起き上る。
しかし何か様子がおかしいことに気づく。
そして、一瞬でヴァジュラが二人の目の前に来る
(っ!早い!間に合わない!)
急いで装甲を展開するユウヤ、しかしそれは間に合わず直撃
その反動でコウタは反対側に吹き飛ぶ。
動けない
動けないユウヤにヴァジュラはゆっくりと近づく。
彼は動けない。絶対絶命の状態だった。
(こんなところで……まだ……死ねない)
意識が朦朧としてきた。
(ティア……ごめん)
ヴァジュラの口が大きく開く、口がユウヤに覆いかぶさる。
しかし、ヴァジュラは違和感を覚えた。
ヴァジュラの口の中にあった感触、それは冷たい雪と固い壁の食感。
そしてヴァジュラの身体から血が噴き出す。
「ガアァ!?」
流石に驚いたのか、変な声を上げるヴァジュラ。
コウタもその光景を見てあ然とする。
そして彼はヴァジュラの後ろを見た。ヴァジュラも後ろを見た。
そこに立っていたのはユウヤ、あれは彼がやったのか、そう思いユウヤの顔を見たコウタは驚愕する。
先ほどの彼の顔とは違う歪んだ笑みを浮かべたユウヤが立っていた。
そして彼は神機をヴァジュラの顔めがけて振り下ろす。
実に単調な攻撃だ、しかしヴァジュラは避けようとはしなかった。
いや、「避けれなかった」というべきか。
ヴァジュラもコウタと同じく彼の歪んだ笑みをみて身体が竦み動けなかったのだ。
そしてヴァジュラはユウヤの攻撃を許してしまう。
ヴァジュラの目に深い傷がつく。
「ガアァァァァァァァ!」
悲痛な叫びが聞こえる、ユウヤはさらに追い打ちをかけようとして、その場で膝をつく。
「はあ……はあ……?俺、なんで生きてんだ?」
彼は先ほどのことを覚えていなようだ。
そして、ヴァジュラはその場から去る。
「っ!そうだ、コウタ!大丈夫か!?」
「へへ……まあ、な。
それより、さっきのどうやったんだよ?」
「?さっきのって何が?」
「え……お前もしかして、覚えてないのか!?」
「ああ、気が付いたらヴァジュラが逃げていて
俺何してたんだ?」
その言葉を聞いてコウタは彼の恐ろしい笑みを思い出した。
「……いや、なんでもない。
オレの見間違いだったかもしれない」
「?そうか」
「おーーい!大丈夫かー!」
「!リンドウさん!それにアスカとクロナまで!」
「ユウヤーーーーーーーーーー!!」
アスカはユウヤの名前を呼びながら彼に飛びつく。
「うわーーーーん!よかったーーーーーー!ユウヤが生きててよかったーーーーー!!」
「オレの心配は!?」
「まあいいじゃねえか、それよりヴァジュラはどうした?」
「ユウヤが追っ払いました」
(立ち直るのはえぇな)
「ええっ!ユウヤすごい!もう新人の域を超えちゃってるね!」
(泣き止むのはええよ)
(……こいつは何者だ?)
リンドウはまたも違和感を覚える。
こいつは新人だ、だが新人がヴァジュラを追い払ったなど聞いたことがない。
それはリンドウも同じで自分も新人時代はヴァジュラを追い払ったことなど一度もない。
その時リンドウは彼に若干の恐怖を感じた。
「おっ、そうだ、クロナ、姉上に連絡を頼む。
ヴァジュラは逃げたってな」
「はい、わかりました」
そういって通信機を取出し連絡をしだすクロナ。
それから少しして
「連絡終わりました」
「はい、お疲れさん。
そんじゃ戻ろうぜ」
リンドウの一言で歩き出す。
もっとも、ユウヤはアスカに担がれながら歩いている。
(あいつ、この先とんでもない奴になるかもな)
そんなことを考えながら、タバコを吸うリンドウなのであった。
続く………