本物を求める青年と救いたい少女   作:ばやす

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閑話

 

 

平塚side

 

「くそっ!こんなことは前代未聞だ!」

 

平塚は狭い牢の中で壁を殴りつけながら誰にともなく怒鳴りつけた。

 

教師は学校中に蔓延した無実の生徒の悪口を一切止めずにいじめを見過ごしていたと教育委員会に烙印を押され、そんなことは教師として、一人の人間として言語道断ということで、校長教頭含む教師は全員教員免許を剥奪されたのだ。そして総武高校も廃校となった。一部の生徒(葉山、戸塚、川崎、材木座)以外の殆どはどの高校にも受け入れられず、早くも就職先を探すことになってしまった。

 

教師陣も教員免許剥奪という肩書きが残り、なかなか再就職先が見つからないのが現状だ。

 

「それもこれも比企谷のせいなのに、どうして私ばかりにしわ寄せがくるんだ!ただ比企谷の態度が悪かったから更生させるために殴ったり部活に入れたりしただけじゃないか!」

 

特に平塚は、暴力など、警察沙汰の行為も行っていたため、刑務所に入れられる事になった。

 

損害賠償も決して安くはなく、一人の少年の人生を台無しにしたとの事で、総武全体で八幡に総額5000万円の損害賠償となった。とは言っても、株で稼いでいた八幡に取ってはあっても無くてもあまり変わりはない額であったが。

 

「くそ!比企谷のやつ、この塀の外に出たら、必ず抹殺のラストブリットを食らわせてやる!」

 

そう意気込んだが、その後彼女の姿を塀の外で見たものは誰一人としていなかったという。

 

 

雪ノ下side

 

「はぁ…、どうして比企谷君にあんなことを言ってしまったのかしら。」

 

田舎町の小さなアパートで独り言る。というのも、私が比企谷君に散々罵倒を浴びせた上に彼が家族と離れてしまうきっかけになったことがマスコミにバレて、父、母共に職を失い、田舎町に引っ越して、小さな工場で家族全員働いているのだ。

 

皮肉なことにも、彼女の世界を変えるという目標は、家族と総武校生と教師陣のセカイを限りなく悪い方向に変えるという形に終わってしまった。

 

姉さんは被害者の比企谷…、八幡くんから法廷にて彼女は今回の件には関係なく良好な関係を築いていると供述されたのでお咎め無しということになっている。

 

ちなみに葉山君のお父さんは雪ノ下家の顧問弁護士だったが、隼人のほうが比企谷君の事を全てマスコミにリークし、父は法廷で形式上は総武側に付いていたが、実際は比企谷君に付いて総武に相応の報いを受けさせたため、正当な判断のできる弁護士だと買われて、昇進したらしい。

 

彼の依頼解決の仕方はいつも斜め下なやり方だったけど、無意味なことは何一つとしてしていなかったことに今更ながら気づく。

 

しかもその上彼の妹の小町さんにもこの事を事実をねじ曲げて伝えてしまったせいで、彼は絶縁されたというのだ。本当になんということをしてしまったのだろう。だけど後悔とき既に遅し。こんな思考に意味は無いのだ。せめて一言謝りたかったが、彼が今どこにいるかは姉さんしか知らないし、教えてもくれなかった。

 

きっとこれから先も、このような意味の無い後悔を重ねながら小さく惨めに生きていくのだろうと思いながら、ここに来てから数え切れないぐらいについたため息の回数をまた一回増やし、眠りに着いたのだった。

 

由比ヶ浜side

 

 

「ヒッキーほんとに信じられないし!」

 

由比ヶ浜結衣は荒れていた。

 

曰く、海老名さんにした告白を自分にして欲しかったらしい。

 

曰く、総武が廃校になり、持ち前の頭と経歴ではどこにも編入できなかったときに、ヒッキーが助けてくれなかったことを怒っているらしい。

 

曰く、曰く、曰く…。数えればキリがない。

 

由比ヶ浜の父も、総武のニュースが大々的に取り上げられ、娘がその主犯だと会社に知られ、左遷されたらしい。由比ヶ浜は友達と別れたくない、などと言っていたが、はたして今の彼女に友達と呼べる存在がいるのかどうかも怪しいところだった。

 

由比ヶ浜の両親は、彼女にどうして道徳心が備わっていなかったのか悩み、悔やんだ。しかし、そんなことは後の祭りだった。

 

朝から部屋で荒れている結衣を怒鳴りつけ、父は仕事に向かう。待遇がいいとはお世辞にも言えず、由比ヶ浜家のストレスはとうに限界を超えていた。しかし、法廷で決まった比企谷君への損害賠償を払いきるまでは申し訳なくて、死んでも死にきれない。

 

「また大人になったら、千葉に戻ろう。そうしたら、きっとヒッキーに会えるよね。会ったら修学旅行の時みたいに告白してもらって、付き合うんだ。だから待っててね、ヒッキー…」

 

由比ヶ浜家はこのときを持って完全に崩壊してしまった。その数年後、由比ヶ浜は再び千葉に足を踏み入れたが、ヒッキーの影も形も見つけられなかったという。

 

 

小町side

 

「ごみいちゃん、本当に信じられない!」

 

八幡の元妹である小町も、由比ヶ浜同様に荒れていた。近所では、人格者であった八幡を追い出したことで毎日のように悪口を言われるようになり、父と母は会社の同僚に、小町は学校の友達に罵詈雑言を浴びせられたらしい。。

 

父と母は会社の上司にメンタルカウンセリングを勧められ通院した所、今までの自分がおかしかったことにようやく気がついたのだ。ちなみに小町には何の効果もなかったらしい。

 

気づけたことはよかったが時すでに遅し。もう二度と八幡の顔を見ることも出来ないのだ。

 

その日からは、小町を今までのように甘やかすことはせず、厳しく育てたという。

 

新しい学校でも、小町は兄を反面教師にして身につけた持ち前のコミュニケーション能力を発揮し新しい友達を作り一時怒りが納まっていたが、総武での事がバレた瞬間、その新しい友達も離れていってまた荒れた。

 

父と母は、言い分を聞かずに追い出してしまった八幡のことを思いながら…、小町はお義姉ちゃん候補を泣かせて自分をこんな目に合わせた八幡を恨みながら虚しい毎日を過ごしたらしい。

 

 

ヒロイン別でルート分けた方がいい?

  • 分けろ。色んな人との付き合いが見たい。
  • 分けるな。1本でいけ。
  • その他。この質問にその他ってある?
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