本物を求める青年と救いたい少女   作:ばやす

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第23話

 天馬と神代から一方的に連絡先を交換された後、家で作業するためにさっさと家に帰る。一人でも多くの人を救うために。

 

 明日も謙さんの喫茶店で作業しようかとも考えたが、明日は特に家から出なければならない用事もないので一日中引きこもることにしようと思ったところで着信音が鳴り響く。ナイトコードのグループ通話かと思ったがどうやら違い、今日連絡先を交換した天馬からだった。

 

「もしもし八幡か?実は明日、フェニックスワンダーランドでショーをやるんだが八幡も見に来ないか?」

 

 ショーか…。今日のゲリラパフォーマンスを見ていなかったら即答でいかないと答えていたが、見た後ならば話は違う。あの二人のショーには、一回では見極められなかったが人を救えるであろう要素があった。それを突き止めに行きたい。

 

「わかった、行かせてもらうわ。」

 

「そうか!来てくれるのか!フェニックスワンダーランドの関係者じゃないから当然入園料は払ってもらうが、今はキャンペーンをやっていてな。4人以上なら全員半額で入園できるのだ!」

 

 それはいいことを聞いた。ニーゴのみんなを誘ってみるか。まふゆは部活で来れるか分からないが、絵名、瑞希は多分来れるだろう。奏は意地でも外に引っ張り出そう。食生活は俺が何とかしているが、やはり引きこもり気味では不健康だろう。

 

「それはいいことを聞いた。ありがとな。」

 

 そう言って通話を終える。

 

 奏はともかく他の三人にさっさと伝えたいところだが、残念ながらまだ全員ナイトコードにログインしていないので後回しだ。

 

 

 話は変わってつい最近の話なのだが、戸塚、川崎、材木座、ルミルミの4人で音楽ユニット「Chace back」を結成した。なんでもあと一人のメンバーで悩んでいたところに、偶々ルミルミを見つけて面識のある戸塚が声をかけた結果らしい。ルミルミは確か千葉に住んでいたはずだが、おそらく転校したのだろう。戸塚、川崎、材木座がこの前俺と会った時の演奏が耳から離れなくて、いつかあんな音楽を奏でたいということらしい。全員初心者らしいが、結成してからは毎日きちんと練習しているらしい。救ったというわけではないが、自分の音楽で進む道を決めてくれたというのは嬉しいものだ。

 

 そして、それに触発されたのか隼人と陽乃さんも「Feast of Free People」というユニット名で音楽を始めている。俺もお誘いを受けたが、既にニーゴで活動しているので、グループ名は出さずに既にユニットで活動していると言って断った。代わりに、偶然にも俺へのいじめには一切加担していなかった三浦も宮女に転校していたらしく隼人が声をかけて加入。あと一人といったところで、同じく総武からの転校してきた1年の一色が飛び込んできたらしい。総武でも隼人を追いかけてサッカー部のマネージャーをしていたらしく、隼人を偶然見かけて声を掛け、ユニットの話を出されたらすぐに参加を決意したという。

 

 現在は2グループでの合同練習をしていて、陽乃さんが残りのメンバー全員に音楽を教えているらしい。音楽は自分たちの音が大切だが、それも基礎の上に成り立つものなのでそれが正解だろう。

 

 いつかグループ合同で演奏会をしてみたいと言われたが、生憎ニーゴはバンドではない。全員で歌うことはできるがそれは演奏会ではないだろう。それにニーゴは音楽の魅力だけでなく、謎が多いということも世間から目を引く理由の一つとなっているし、自分たちの

スタンスもあるから、ニーゴとして人前に出ることは避けたいので、考えておくとだけ伝えておいた。

 

 

 夕食時になったのでキッチンで夕食の準備をする。ここに来る前に奏が買い込んだのであろう缶詰が大量にあるので、それがある程度の量になるまではそれを使ってアレンジ料理を試みている。缶詰は災害時には非常に役立つ食料品だが、消費しないとさすがにこの量は持ち出せない。ちなみにカップ麺は最近になってようやく消費しきった。最初に缶詰とカップ麺の量を見たときは頭を抱えたが、少し工夫すれば案外どうにかなるものだ。

 

 

 食事を終えて風呂に入り、残りの家事をすべて終えてから自分の部屋に戻る。そのころには夜の9時を回ったところだったが土曜日ということもあって全員ナイトコードに集まっていた。

 

『あ、アハト。こんばんは。』

 

 先に俺が入ったことに気が付いたえななんが俺より先にあいさつする。挨拶を返して全員がいつも通り作業を進めている。全員集中しているので、ショーを見に行く話はひと段落してからでいいだろう。俺は奏から声がかかるまで特にすることがないので暇つぶし兼全員の集中力を上げるためにピアノでクラシックを弾く。ピアノの調律の仕方をググって物は試しとやってみたところ、絶対音感のおかげで道具に頼ることなくすんなりとできたのだ。本来ならば調律師を呼ぶところなのだが、その必要はなさそうだ。

 

 今回の作業はピアノの効果で集中できたのかは分からないが、休憩に入ったのは23時30分といつもよりも休憩に入る時間が30分ほど遅かった。

 

「ところで、明日って全員予定空いてるか?明日、フェニックスワンダーランドに知り合いのショーを見に行きたいんだが、4人以上だと入場料が半額らしいんだよ。」

 

 休憩にはいったので全員の予定を確認する。

 

『ボクはいけるよ~。』

 

『私も明日は予定ないし大丈夫。』

 

『私も行く。明日は部活無いから。』

 

『わたしは外に出たくない。』

 

「Kは強制参加だ。ちょっとは外に出ろ。」

 

 少し酷かもしれないが、やはり外の空気は吸った方がいい。夏場なら無理させたくないが今は冬だ。倒れることはないだろう。

 

『ところでさ、Kはいつから外に出てないの?」

 

「一応父親のお見舞いに行くために3日に1回ぐらい外に出てはいるし、一応昨日も行ったみたいだが、それ以外では家の中でも日光を浴びていないはずだ。」

 

 回答を渋るKの代わりに俺が返す。家の中もカーテンは閉めっぱなしで、掃除するときにはさすがに換気するがその時Kは自室にいるし、Kの部屋を掃除するときはカーテンを閉めたリビングに移動するので日光を浴びることはない。

 

『K、それはさすがに健康に悪すぎ。』

 

普段は会話においてよく分からないを連発する雪だが、これにはさすがに突っ込んだ。

 

『うぐ、何も言い返せない…。』

 

 そんなこんなで、明日はニーゴのメンバー全員でフェニックスワンダーランドに行くことになった。さすがのKも、雪にまで体に悪いと言われたのがショックだったのか、無駄な抵抗をすることなく外への連行を受け入れた。

 

 さて、明日は一体どんなショーが見れるのだろうか。こんなにも明日が楽しみなことはさらさらなかったので、気分はまるで遠足前日だ。とは言っても小さい頃の遠足は特に楽しみではなかったので、あくまでもただの模範的な例えなのだが。眠れるか分からないがまだ11時40分。まだまだ作業はするので今気にしても仕方がないだろう。

 

 そして休憩が終了したので、俺はピアノの演奏を再開した。ニーゴのメンバー曰く、この時の俺の演奏は音が少し弾んでいたらしいが、俺にはよくわからなかった。

 

 

 

ヒロイン別でルート分けた方がいい?

  • 分けろ。色んな人との付き合いが見たい。
  • 分けるな。1本でいけ。
  • その他。この質問にその他ってある?
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