「光と闇」   作:深海 芥莉

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あなたは、大切な人を、傷つけることが、できますか?




あなたは鋭利な物で相手を切り刻もうとします。

しかし、あなたの動きは単純なので、先読みされて避けられてしまいました。

あなたの持つ鋭利な物は殺傷能力に長けているものの、リーチ(長さ)が圧倒的に足りていません。

これでは避けられてしまうのは目に見えています。

それに加えて、あなたは今までに"それ"を振り回したことはありません。

扱い方がわからないのです。

それでもなお、あなたは"それ"を相手に向かって振り回し続けました。

 

…………………………………………

どれだけ"それ"を振り回しても、相手には傷一つつけることができません。

あなたはだんだん苛立ちを覚えます。

『なんで当たらないんだ』と。

『なぜ避けることができる』と。

 

人は考え事をしてしまうと、集中力が切れてしまうようです。

現にあなたは相手からの攻撃をもらってしまいました。

ゴロゴロと床を転がっているときも、あなたは考えてしまいました。

『自分からの攻撃は当たらず、相手ばかり攻撃を当てるのは不条理だ』と。

そう考えたあなたは直ぐに行動に移します。

そうですよ。

あなたにはまだ、切ってないカードが手の内にあるのですから。

 

相手はあなたがゆっくりと起き上がるのを余裕そうに見ていましたが、あなたの"なにか"を感じ取ったのでしょう。

相手は余裕そうに見るのをやめ、あなたを睨みつけます。

それもそのはずです。

あなたはあれだけ攻撃を喰らったのに不敵な笑みを浮かべているからです。

さぁ、ここからはあなたの反撃の時間です。

出し惜しみはせず、全力で行きましょう。

 

先ずあなたは"それ"を下から上に縦方向に高速で切り上げます。

するとどうでしょう。

相手の方向に縦方向の斬撃が飛んでいきます。

相手は目を見開いて、しかし横にスルリと避けてしまいます。

やはり1つでは足りません。

もっとたくさんの斬撃が必要です。

あなたは高速で"それ"を振り回します。

縦、横、斜め、とにかくいろんな方向に振り回します。

あなたの斬撃は、相手にとっては脅威なのでしょう。

相手はなかなか反撃の隙きを伺うことができず、避けることに集中しているようです。

 

実に滑稽ですね。

さっきまであなたをいたぶっていた者とは思えませんね。

自分の身に危機が迫れば血相を変えて逃げ惑うとは。

これだから………

 

ククッ……………これだからっ……………

 

 

 

『『っ!やめられねぇぜ!』』

 

 

HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA

 

 

 

笑いながら斬撃を放つあなたは、傍から見たら恐怖を感じることでしょう。

それでいいのです。

もっと

もっと!

あなたの前に立つもの全てに!

恐怖を振りまいてあげましょう!

 

 

おや?……!

そう気づいたときには相手の弾幕によってあなたは吹き飛ばされていました。

相手もあなたの飛ばす斬撃に慣れてきたのでしょう。

あなたは相手に反撃の隙きを与えてしまったようです。

ですが、あなたにはまだ秘策があります。

そうですよね?

ヨロヨロと起き上がるあなたは、その時間すらも頭の回転に使います。

そこで1つ、面白い案が思いつきます。

あなたの斬撃は安直なのです。

なので"それ"を振るったあとはすぐに斬撃が飛んでいきます。

それを改善しましょう。

斬撃を溜めるのです。

すぐに飛んでいく斬撃と時差斬撃があれば、相手はより警戒し回避に専念することでしょう。

思い立ったらすぐ行動です。

あなたならそれくらい、できますよね?

 

素晴らしいです!

まさか本当にやってしまうとは!

あなたの出した斬撃に遅延をかけるとは………

考えましたね。

 

ですが…

やはり相手も一筋縄ではいかないようですね。

最初は上手く行ったもののかすり傷しか与えることができず、後半は慣れてきたのかスイスイ避けられてしまいました。

 

これでは埒が明きません。

あなたは思わず握りこぶしを作りました。

そして相手の逃げ道を塞ぐように斬撃を飛ばします。

あなたの放った斬撃が床や壁に当たった衝撃により煙が発生してしまいました。

ですがその煙の中にいるのは分かっているのでその煙にむかって更に斬撃を飛ばします。

すると、あなたの放った斬撃が煙の中からあらぬ方向へ飛んでいきました。

弾かれたのでしょう。

こうなったら、あなた自身が…………え?

 

あなたは相手をよく見るように目を凝らします。

煙がだんだん晴れてくると、先程まで何も持っていなかった相手ですが、今その手には大鎌が存在しています。

全体的に黒塗りで、ところどころに相手のトレンド色、紫色の線が横に引いてあります。

刃の部分は、命を刈り取る所(もしくは刃先)は金属特有の白っぽい色で、刀身は真っ黒になっていて、いかにも死神を想起させるものとなっています。

これは想定外ですね。

 

相手は煙を払うようにその手に持った大鎌を横に振りました。

すると煙は一瞬のうちに消え去り、振り払った衝撃があなたを襲いました。

あなたはその一撃を防ぎきり、相手の顔を見ました。

その大鎌を持った相手の紫色の瞳は、先程の戦闘では見られなかった赤色の瞳をしています。

これはもしかしなくても、今まで本気を出していなかったようですね。

あなたはこの状況に深く絶望し、さらなる怒りを覚えます。

ですが、ようやく本気になってくれたことに僅かながらに楽しみを感じます。

ええ、そうです。

"私"にとっても、ね。

 

今この場には、先程戦闘をしていたということが嘘のように静まり返っています。

戦闘中にあなたの繰り出した斬撃が壁を破壊したのか、冷たい強風があなたの頬を叩くようにして吹き抜けていきます。

まるで、今まで倒してきた奴らが、あなたに抵抗しているようです。

 

ふふ…

 

だから…どうしたというのです?…

 

そんなそよ風に負けるようでは、今まで築き上げてきたものを全て無駄にするようなものです。

それに奴らはもうここには居ません。

そんな罪悪感に囚われていては、これからの戦闘に支障をきたしますよ?

 

あなたは少しの間瞳を閉じ、深呼吸をしました。気持ちを落ち着かせます。

そしてあなたは閉じていた瞳を開け、相手に目を見やります。

利き手に持つ"それ"を握り直し、その切っ先を相手に向けます。

ふふ…それでいいのです。

今はただ、"それ"を振ることだけを…………

いいえ、"それ"をどうすれば相手に当てれるかを考えるだけでいいのです。

 

あなたが構えると相手は悲しそうな表情を見せ、服についていたフードを被りました。

相手の服は全体的に黒いので、黒い大鎌と相まってより死神らしさが出ています。

そして相手は大鎌を構えます。

 

緊張が場を支配します。

お互い武器を構えたまま動きません。

冷たい風が、今度は二人を包むように優しく吹いていきました。

 

相手が一瞬動きました。

それを見たあなたは急いで後ろに下がりながら、斬撃を縦に放ちます。

しかし、あなたの放った斬撃は、相手がいつ撃ったかわからない横方向の斬撃によって相殺されてしまいました。

周りに爆風が襲いかかります。

爆風によってもたらされるゴミが目に入らないように防ぎながら、あなたは焦ります。

一瞬、たった一瞬で、あなたと変わらないほどの威力の斬撃を放たれたことに対して。

あなたは驚きを隠せません。

それは"私"もです。

 

あなたに緊張が走ります。

相手の行動の一瞬一瞬をみて、更にそれらを予測して回避もしくは攻撃に転じなければならないのか、と。

余計なことを考えるなと言われたにもかかわらず考えてしまったあなたは、後悔しました。

目の前の状況に。

あなたが考えてる間に、相手の間合いに入っていたのです。

左からくる、そう思ったあなたは"それ"をこれから来るであろう大鎌の刃に対して垂直になるようにし、タイミングを合わせて防ぎます。

鋼と鋼がぶつかりあり、不快音が響きます。

あなたは顔をしかめながら、少しでも大鎌の軌道を下にしようと"それ"をうまく使い、あなたはジャンプしながら体をねじるように回転して回避します。

相手は回避している最中のあなたに対して、蹴りを入れました。

あなたはその蹴りによって大きく飛ばされてしまいます。

ですが蹴られた場所が背中だったので、受け身を取りすぐに体制を立て直しました。

が、目の前には大鎌を大きく振りかぶった相手が待ち構えていました。

次から次へとくる大鎌の攻撃に対して、あなたはあまりついていけていません。

あなたの"それ"で防ぎ、いなし、避けますが、ところどころに切り傷を負い、血を流しながら戦闘しています。

あなたは息も絶え絶えな状況に陥ってしまいました。

対して相手は息が切れておらず、その動きも鈍くなっている様子はありません。

あなたはこのままでは不味いと思い、相手と距離を取りました。

相手は距離を詰めてくるだろうと思いながらの後退でしたが、そこで相手が仕掛けてくることはありませんでした。

相手はこれからあなたがする事を見定めているようでした。

 

あなたはここで勝負を決めようと意気込みます。

これ以上戦闘を長引かせると、不利になるのはあなただからです。

そして、決死の覚悟を決めました。

その覚悟があなたの表情に出ていたのでしょう。

相手はもう一度悲しそうな表情をみせ、口を動かしていましたが、あなたは聞き取れませんでした。

あなたは、相手に向かって斬撃を放ちます。

もちろん相手は避けますが、相手が避ける場所を予測して放つ事も忘れません。

ですが、相手もただ回避に専念するだけでなく、隙きをみて斬撃が放たれます。

あなたはそれを回避しつつ斬撃を放ち続けます。

相手が体制を崩した瞬間を狙って一撃で仕留めるつもりだからです。

 

まだかまだかと思いながら未だに斬撃を放ち続けます。

腕が痛くなっても、息が上がって疲れたとしても放ちます。

そろそろ限界………

そう思った矢先に相手が体制を崩しかけていました。

好機と思ったあなたは、急いで相手の背後を取りに行きます。

そして、一思いにその首を飛ばしてやろうと一撃を…………………………

 

 

「少々、詰めが甘かったようですね」

 

 

そう思った時には、あなたの身体は上半身と下半身に別れていました。

 

 

 

 

To Be Continued

 




この話の難易度半端なくムズいんだがw
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