IS〜総てを守り、総てを砕く牙〜   作:白銀色の黄泉怪火

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遅くなりました。

箒が結構性格変わってますけど、それはほぼ総牙と総牙の街の人間のせいなので。


感想あればお願いします。


2話

 

 

 

 

 

「お、男……?」

 

 

クラスの誰かがそう呟く。

俺も驚きを隠せない。

確かに「もう一人ぐらい出てこいよ」なんて事を考えもしたが、まさか本当に出てくるとは……。

 

 

「おう。まぁ、仲良くしてくれ」

 

 

手を上げて笑顔を見せる藤木を改めてまじまじと見る。

茶髪の短い髪に、俺よりも少し高い身長。

体格を見れば、程よく鍛えられていると考えられる。

だけど、一番目を引くのは、顔の左側にある大きな傷だ。

こめかみから首元まで伸びた傷が何とも野性的な印象を与えて……『キ……』あ、やばい。耳塞ご。

 

 

『キャアアアアア!!!!!』

「ギャアアアア!!」

「ぐぅ……っ!」

 

 

今日三回目だってのにこの威力かよ。ISなんて目じゃない音響兵器だな。

ちなみに、藤木はまともに喰らったらしく、頭をぐらんぐらんさせている。

 

 

「二人目!二人目の男子!!」

「クール系の織斑君にワイルド系な藤木君!!」

「私一組で良かったーー!!」

「神様ありがとう!!」

「織斑×藤木、これは売れる!!」

 

 

最後のは聞かなかった事にしよう、そうしよう。

 

 

「……な、な、なん、で」

 

 

ん?

ふと窓側の席を見ると、壊れた人形の様に口をパクパクさせている箒がいた。

 

 

「何で、お前までISを動かしているんだ、総牙!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で、お前までISを動かしているんだ、総牙!!」

 

 

ガタッ、と音を立てて窓側の席の見知った女子が立ち上がり叫ぶ。

 

 

「お、箒久しぶり」

「あ、ああ、久しぶりだ……って、そうじゃない!なんでお前までISを動かしている!」

「んなもん知るか。お前の姉貴にでも聞けよ。……まぁとりあえず次に会ったらシバくけどな」

 

 

俺の呟きに箒の頬が引き攣る。何処かで「理不尽だよ!!」と声が聞こえた気がするが無視だ無視。

 

 

「何で私の周りには非常識な奴等しかいないのだ!姉さんはISを開発するし、千冬さんは世界最強になるし、その弟の一夏はIS動かしてしまうし、そして最後はお前か総牙!?お前まで非常識の仲間入りするのか!?」

 

 

久々に会っていきなり酷いなコイツ。

 

 

「え、篠ノ之さんって織斑君と藤木君の知り合い……?」

「今の話からすると、織斑君は織斑先生の弟?」

「それに今、姉さんがISを開発したって……」

「じゃあ、篠ノ之さんのお姉さんって、篠ノ之束?」

 

 

箒の暴露で教室が騒がしくなる。

だけど俺は一つ物申したい。

 

 

「違うぞ箒。お前の周りに非常識しかいないんじゃない、お前が非常識を呼び寄せているんだ……ドンマイ!」

「なお悪いわ!そしてそのドヤ顔にイラッと来たから殴らせろ!!」

「おっしゃあ!喧嘩か?受けて立つから屋上に行こうぜ!!」

 

 

箒にイイ笑顔でサムズアップすると額に青筋を立てて箒が拳を作り殴らせろと叫ぶ。

俺はその喧嘩を二つ返事で買うと箒を屋上に連れ出そうとするが、

 

 

「いい加減にしろ貴様等!!」

 

 

パンッバァァン

 

 

「痛っ!」

「ゴハッ!?」

 

 

箒、俺の順に織斑先生がその手に持っていた出席簿で頭を叩く。って、俺を叩いた時の方が若干音でかいんだけど?

 

 

「藤木、くれぐれも問題を起こすなと言った筈だが?」

「いや、そもそも箒が叫ばなければ問題にはならなかったんですが?」

「それはそうだが……それと篠ノ之、誰が、非常識、だ?」

「……あ」

 

 

しまった、という感じで箒の顔が青ざめていく。

知り合いとはいえ、目の前で自分の事を非常識呼ばわりされればそりゃ気に障るわな。

 

 

「大太刀持てば生身で空母艦縦に割りそうな人間は常識人とは言わないだろ……あ、やべ」

 

 

織斑、お前もか。

今の言葉で織斑先生の額に青筋立ったぞ?

つか、「しまった!」って顔すんなら口に出すなよ。

 

 

「……織斑、言い残す事は無いか?」

「……俺は悪くねぇ!!」

 

 

バァァァン!!

 

 

某我侭公爵のセリフと共に織斑が出席簿によって崩れ落ちる。

合掌。

 

 

「全く……さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ。私の言葉には返事をしろ」

『はい!!』

 

 

織斑先生の鬼発言に皆一斉に返事をする。軍事学校かここは。……いや、兵器の扱い学んでる時点で軍事学校に近いものはあるか。限りなく女子高寄りだけど。

 

 

「ああ、藤木、お前の席は織斑の隣だ」

 

 

だろうね、空いてる席そこしかねえもん。てか、何で視線が集中砲火する最前列の席に座らせる。

 

……ああ、問題児だからか。

 

 

「さあ、授業を始めるぞ。さっさと準備をしろ」

 

 

入学初日から授業って、IS学園鬼だよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー……疲れた」

 

 

一限目のIS基礎理論が終わり、ゴキゴキと首を鳴らす。

予想はしてたけど……誰も話しかけてこねえな。

皆遠巻きに俺と織斑を見てヒソヒソと話している。耳を澄ませば「あなた話しかけなさいよ」とか「抜け駆けする気?」とか、妙な緊張感を出している。

 

 

(しかも、それが廊下でも行われてるからどうにもできねえな)

 

 

リボンの色からして二年と三年か?休み時間潰してまで来るとはご苦労なこった。

 

 

「藤木、ちょっといいか?」

「ん?」

 

 

隣から声をかけられたので顔を向けると、疲れた顔をした織斑がいた。

 

 

「お前も疲れてるみたいだな」

「そりゃあな。最前列で視線を浴びまくるし、職業不明のバル○トスが教師やってた事に驚かされるし、お前がいなきゃ既に心折れてたかも」

「確かに。てか、織斑先生はバルバ○スというよりガイ○スだろ」

 

 

天性のカリスマ性を持つ人間なんてそうそういないしね。

 

 

「……やめてくれ、姉貴なら覇道滅封を普通に使えそうだ、ノーモーションで」

「何その鬼キャラ」

「何時か『生けるバグキャラ』とか『つーかあの女剣刺さんねーんだけど』とか言われそうだし」

「ラ○ンか!」

「……二人とも千冬さんの事をどう思ってるんだ」

 

 

織斑と共に呆れたような声の方を向くと、声と同じように呆れたような顔をした箒。

 

「よ、箒。一年ぶりだな」

「ああ、久しぶりだな総牙。変わってなくて何よりだ」

「そう簡単に変わってたまるか。お前こそ、初日から盛大にぶちかましたな」

「……忘れてくれ」

 

 

プイ、と顔をそむける箒。どうやら思い返したら恥ずかしくなったらしい。

 

 

「……?」

「どうかしたか織斑?」

 

 

俺達の会話を聞いて、織斑が不思議そうな顔をして首を傾げてるので理由を聞いてみる。

 

 

「いや、お前、本当に箒か?」

「なっ!?」

「ブッ」

 

 

箒を指さし、そんな事を聞く織斑に箒は狼狽えて、俺は何となくそれを聞いた理由が分かる故に、思わず吹き出す。

 

 

「い、一夏、私を忘れてしまったのか!?」

「いや、俺が知ってる箒と今のお前が何か雰囲気とかが違うからさ。忘れた訳じゃないぞ?むしろ一目見て箒だって分かったぐらいだ」

「そ、そうか。忘れた訳じゃないのだな」

「ああ、それに……」

 

 

あ、箒ニヤケそうになるのを我慢してる。

好きな男が自分の事を覚えてくれてただけでそこまで嬉しいのかよ。

 

 

「そ、そういえば、箒と総牙ってどこで知り合ったんだ?一年ぶりって言ってたけど」

「ん?ああ、箒が俺の通ってた中学に転校してきてな。最初は取っ付きにくいやつだったんだけど、ガチンコで殴りあってその末に仲良くなった」

「いや、お前ら何やってんの!?何処の熱血青春漫画だよ!?」

 

 

だって事実だし。

違うところと言えば、素手と木刀だったぐらいだからな。

 

 

「まあ、私は総牙にそれを含めて二度も助けられた。総牙は私の恩人であり、親友だ」

 

 

……面と向かって言われると照れるな。

 

 

「俺は今、箒に俺以外の友達ができた事に感動してる」

「お前の中の箒はどんだけコミュ障なんだよ」

「そこまで言われると流石に傷付くぞ?」

「……悪い」

 

 

ガックリと大袈裟に肩を落とす箒に掌を垂直に立てて謝る織斑。

 

 

「あ、後さ箒。新聞で読んだけど、剣道の全国大会優勝おめでとう」

「え?」

 

 

ガバッと箒が顔を上げる。

 

 

「凄いな、優勝だぜ?幼馴染みとしては鼻が高いよ」

「あ、う、え、と、あ、ありがとう」

 

 

落ち着け箒。

どもりまくりじゃねーか。

 

 

「今度見せてくれよ、久々に箒の剣が見たいからさ」

「う、うむ。なら暇な時にでも剣道場に来てくれ。私は剣道部員だからな、大抵はそこにいる」

「分かった。って、もう時間ないな。また後で話そうぜ?姉貴の滅席簿食らいたくないし」

「出席簿な?」

 

 

俺のツッコミと同時に予鈴のチャイムが鳴る。

そしてチャイムが鳴り終わるタイミングで織斑先生が教室に入ってくる。

 

 

「全員席に着け。次の授業を始めるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ―――」

 

 

現在授業中。教壇に立ち、スラスラと教科書を片手に説明をしていくのは、副担任の山田先生だ。

 

 

(あ〜、ちょっとこれはヤバイな……)

 

 

山田先生の説明を聞きながら、俺は授業スピードの速さにちょっとした焦りを感じている。

流石エリートが集うIS学園、授業スピード半端なく速い。

一応、入学前に鈍器という名の参考書を渡されたから、予習はしていたんだけど、このままじゃ一ヶ月程で着いていけなくなりそうだ。

てか、それ以前に十日足らずであの鈍器読破しろって無茶な話だよね!

 

 

「織斑君、藤木君、どこかわからない所はありますか?」

 

 

俺が悪戦苦闘してるのを気づいたのかどうかは知らないが、山田先生が俺達に聞いてくる。

 

 

「俺は大丈夫です」

「俺も……と言いたい所ですけど、あの参考書読むための時間が足りなかったです。補習か何かお願いできます?」

 

 

途端に織斑が驚いた顔をして俺を見る。

うん、何考えてるか分かったからイラッときた。

 

 

「オイ織斑、お前俺の事勉強できない奴だと思ってたろ?」

「あ……顔に出てた?」

「ちょっとは否定しろよ!正直なのは良いことだけどさ!それと俺は人並みには勉強できるからな!?」

「いや、お前の印象からだと『学生の本分は勉強じゃなくて喧嘩』とか言いそうだし」

「あ、それは否定しない。勉強の合間に喧嘩してるんじゃなくて、喧嘩したいが為に勉強してる感じ」

 

 

俺が通ってた中学じゃ「ある程度勉強できればタバコ吸っていようが酒飲んでようが特に何も言わない、だから勉強しろ」って教師が言ってたからな。皆やんちゃしてるけど、勉強はそこそこできる。理由がしょーもないけど。

 

 

「弾みたいな事言う奴だな……」

 

 

何か織斑に呆れられた。てか、弾って誰だ?

 

 

「藤木、時間が足りなかったと言ったな? 後どれぐらいあれば参考書を読み終える?」

「ん?あぁ、一人でやるなら後十日ぐらい欲しいですね。補習とか受けさせてくれるなら一週間ぐらいで終わりそうですけど」

 

 

織斑先生にそう答えると織斑先は、「そうか」、と何処か満足そうな顔をして頷く。

なんで若干嬉しそうなの?

 

 

「ふ、藤木君、分からない所があったら、放課後教えてあげますから、ね? 頑張りましょう?」

「分かりました。それじゃ、放課後よろしくお願いします」

 

 

山田先生にそう返答する。普通の教師と生徒の会話だと思うんだけど。

 

 

「ほ、放課後……放課後に二人きりの教師と生徒……。あっ!だ、ダメですよ。藤木君。先生、強引にされると弱いんですから……それに私、男の人は初めてで」

 

 

何か勝手にトリップし始めた。

 

 

「……山田先生、授業を再開してください」

 

 

呆れ返った織斑先生がトリップしたままの山田先生を現実に戻して、山田先生は慌てて授業を再開しようとしてーーー何もない所でこけた。

 

 

「うー、いたたたた……」

 

 

(……大丈夫なのか?この先生……)

 

 

恐らくこのクラスの考えが初めて一致した瞬間であった。





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