安定して更新している人ホントに尊敬します。
今回はセシリア登場です。
性格どうしようか悩んで、変えました。
「織斑さん、藤木さん、少しよろしいでしょうか?」
「ん?」
「んあ?」
二時間目の休み時間、隣の織斑と箒を捕まえて参考書と徒手格闘してると、金髪の女生徒に声をかけられる。
「……セットに時間かかりそうな髪型だな」
「そこに目が行くのかお前は」
思った事がポロッと口に出てしまい、織斑にツッコミを入れられる。だって、縦ロールだよ?初めて見たんだよ?最初に目が行くでしょ。
「それで、何か用か?見ての通り、俺と箒は藤木に勉強教えてるんだけど?」
「一夏、もう少し優しく言えないのか?」
「……悪い、棘があったな」
「気にしなくて大丈夫ですわ。単純に、ご挨拶しようと思っただけですので」
金髪の女生徒はそう言うと両手でスカートの端を摘みながら優雅に一礼をする。
「イギリス代表候補生のセシリア・オルコットです。宜しくお願いいたします」
セシリア・オルコット。
俺はその名前を聞くと、ガバッと顔を上げる。
「イギリス代表候補生……、イギリスのエリート、って所か」
「ふむ、凄いな。確か代表候補生は一つの国に何人も居るが、その中でIS学園に行けるのは片手で数える程だった筈だ。優秀なのだな、オルコットは」
「それ程でもないですわ。まだまだ未熟な所が多いので」
「……んなワケねーだろ」
織斑と箒の賛辞の言葉に謙遜するオルコットに思わず呟く。それが聞こえたのか、三人が俺に顔を向ける。
「ん?何か知っているのか、総牙?」
「……セシリア・オルコット。イギリス代表候補生にしてイギリスの貴族オルコット家当主。IS学園入試首席。代表候補生としての成績は同年代で比べるとイギリスの中ではトップクラスの実力。唯一オルコットより上なのは確かIS学園二年のサラ・ウェルキンだけ。そしてなにより……専用機持ちだろ、オルコットは?」
専用機。
俺のその言葉にクラスがざわっとする。
意味は文字通りISを個人の専用機体として持てるという事。
現在、世界中にあるISのコアは467個であり、製作者である束さんがコアの中身をブラックボックス化させてるから誰も量産できないらしい。作ろうと思ったらまず現存するコアの一つを解体する所から始めなきゃならないし、それで何も成果が得られなければ国どころか世界中から集中放火だからな。
閑話休題。
まあ、そんな大事なコアの一つ、しかも自分用にチューンナップされた機体を持っているという事は彼女はかなりの実力者だ。
「……よく調べてますね」
何とか言葉を捻り出したオルコットは、驚きの表情で俺を見る。ついでに言うと、織斑も。箒は何か苦笑してる。
「藤木、なんでそんなに詳しいんだ?」
「IS学園に入学しろって言われた後、勉強の息抜きとして世界中の代表候補生を調べてたんだよ、同年代だけだけど。俺達は男性操縦者だからな、一般学生は兎も角、代表候補生とは接触する機会が多くなると思ってな。知っていて損は無い」
「建前はいいとして、本音は?」
「(ISで)喧嘩しようぜオルコット!!!」
立ち上がってファイティングポーズを取ると、クラス中がズッコケた。織斑なんか頭を机に打ち付けてる。オルコットは引いてる。ちょっと傷付いた。
「やっぱりな、お前が喧嘩に結びつく理由も無しにそんな調べ事等する訳無いからな」
「モッピー酷いね……ごめん、謝るから秋沙雨放とうとしないで。てか木刀どこから出したんだよオイ」
「知らん。どこかのネクロマンサーと同じ技術じゃないか?それと今の私なら一人で武神双天破を放てそうだ」
「どうやってやるのか知りたい気持ちと知りたくない気持ちがせめぎ合ってる」
知ったら俺が死ぬから。てか一人で双天ってこれ如何に。
箒とそんな馬鹿なやり取りをしてると予鈴のチャイムが鳴る。
「あら、もう次の授業ですわね。それでは皆さん、御機嫌よう」
「ああ、またな、オルコット……お前らもアビ○オンが来る前に席に着いた方がいいぞ」
ホントに織斑の中では織斑先生ってどうなってんだろうね。
「それでは、この時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
腰に手を当てて教壇に立つ姉貴。よほど大事な時間なのか、山田先生もノートを開いて姉貴の授業を聞いている。
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
思い出したように言う姉貴。それって、授業潰してまで決めなきゃいけない程大事なことなのか?
「クラス代表者とはそのままの意味だ。まあ、クラス長と捉えてくれて構わん。決まると一年間は変更ないからそのつもりで。自他推薦も良しとしよう」
つまり委員長的なポジションという事か。だけど、このクラスでそれを言うとーーー。
「はい!織斑君を推薦します!」
こうなる。
「私もそれがいいと思います!」
「私は藤木くんを推薦します!」
「私も私もー!」
大方、貴重な男子だから持ち上げておこうと思っているんだろう。それか、対抗戦で恥をかけという女尊男卑主義者の考えか。
チラッと、藤木を見ると……笑っていた。何考えてるんだ?
「では候補者は織斑一夏に藤木総牙……他にはいないか?先程も言ったように自他推薦も問わないぞ?」
「はい。俺は、セシリア・オルコットを推薦します」
姉貴の言葉に手を挙げてオルコットを推薦する。
「ほう……何故だ織斑?」
なんで俺の時だけ理由聞くんだこの姉貴は。
「オルコットはイギリス代表候補生、加えて入試首席で専用機を持っているらしいですから。対抗戦で優勝するとしたら、ぽっと出の男性操縦者より経験豊富な代表候補生を推薦するのは当然じゃないですか?」
さっき藤木から聞いた事をつらつらと述べていく。
別に、クラス代表になりたくない訳じゃない。だけど、それ以上に戦うのであれば……勝ちたい。そんな理由だ。
「ふむ、そうか……それでは候補者は三人か。オルコット、構わんな?」
「はい、私は大丈夫です。それで、選定の仕方はどうするのでしょうか?」
「そうだな……それでは、三人でーーー「三人で喧嘩して決めるに決まってんだろ!!」……藤木」
姉貴が言葉を続けようとしたところに藤木が割って入ってくる。
「多数決とかまどろっこしいモンは必要ねえよ、戦うんだったら一番強え奴が代表者でいいじゃねえか!」
目を爛々と輝かせて叫ぶ総牙を見て俺はふと思った。
ーーーこいつ、喧嘩中毒か?
「お前らもそれで良いよな、な!」
「え、ええ、それで良いですわ」
「俺もそれで構わない」
「だってさ、織斑先生」
「はあ、勝手に決めおって……まあいい。それでは三人でクラス代表者を決める模擬戦を行う。が、アリーナの時間が取れるかどうかが分からんな……」
ため息をつきながらアリーナの空き時間でも探しているのか、教師用の端末を開く姉貴。それを見て藤木がキョトンとした顔になる。
「え、そこはバトロワで良くね?」
「……三人同時に戦うという事か?」
「織斑正解。三人で戦ってその中で生き残った奴が代表でいいだろ」
「ルールが少し特殊ですが、面白そうですわね」
「確かにな、それに単純に時間短縮にもなる、か」
「そういう事」
拳をグッと握り締める藤木。
「ルールも決まったか。それでは今から丁度一週間後の月曜の放課後、第三アリーナにて模擬戦を行うとしよう。各自、準備をしておくように。それでは授業を再開する、全員教科書を開け」
こうして、一週間後にクラス代表者決定戦が行われる事となった。
だけど、少し気になる事も増えた。
(喧嘩好き、左頬の傷、藤木……もしかしてかも、な)
総牙、喧嘩中毒疑惑浮上