IS〜総てを守り、総てを砕く牙〜   作:白銀色の黄泉怪火

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ネット喫茶からの投稿。

てか、今まで携帯で投稿してたけど、やっぱりパソコンからの方がやりやすい←当たり前


感想お願いします。


5話

 

 

 

目の前で指を三つ折りにして座る裸エプロン姿の青い髪の女が微笑む。

ここだけだと新婚か?と、思う奴もいるかもしれないが残念ながらそうじゃない。

 

 

「うふふ?どうしたの?おねーさんに見とれちゃった?」

 

 

何も言わない俺に気を良くしたのかどうかは知らないが、女は胸の谷間を見せ付ける様に前屈みになる。

 

とりあえずそのまま無言で携帯を取り出して、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カシャッ

 

 

「さて、と。簪のアドレスどこだっけ?」

「待ってーーーーーーーー!!??」

 

 

簪のアドレスを探しながら壁に張り付く。

 

そしたら「へぶっ!?」と、蛙が潰れた様な声を上げて女がドアにぶつかる。

 

あ、あったあった。更識簪じゃなくて、簪で登録してたんだ。

 

 

「待って!連絡しないで!簪ちゃんにこれ以上嫌われたら私死んじゃう!!」

「オイ、お前今度は何やらかした?」

 

 

携帯をしまい、女―――更識楯無―――を見る。名前から分かる通り、簪の姉だ。

 

え、写真? しっかり保存したわ。コイツが何かやらかした時に簪へ送る為に。というか、既に何かやらかしてるらしい。

 

 

「もう一度聞くぞ?冬休みに会った後の三ヶ月間で何をした、ミイデラゴミムシ?」

「更識楯無!最後の『し』しか合ってない!!」

 

 

立ち上がり、手に持っていた扇子を広げる。そこには『憤慨』の文字が。…意外と余裕あるな、コイツ。

 

 

「仲直り、手伝わなくて良さそうだな」

「ごめんなさい手伝ってくださいお願いします」

 

 

ボソッと呟いた一言に態度を百八十度変えてマジ土下座をしてくる。てか、パンツとエプロン以外マジで何も着てねえ。

 

 

「はいはい、分かったからとりあえず着替えろ。風邪引くぞ」

「むー……」

 

 

なんでむくれるんだよ。相変わらずよう分からんな。

 

しっしと手で追い払う仕草をして、楯無は漸く立ち上がり、部屋にある扉を開けて中に入る。風呂場…いや、シャワー室だっけな、確か。

 

と、そんな事を考えてると、シャワー室の扉が開き、楯無が顔だけ出して―――

 

 

「―――覗いちゃダメよ?」

「とっとと着替えろ馬鹿女郎」

 

 

扉蹴っといた。「むぎゅぅ」とか何か聴こえた気がしたけど無視して部屋の中に入る。てか、部屋の入口で何でこんなにも疲れなきゃいけないんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、やっとあの視線地獄から開放的されたな」

 

 

俺は藤木と別れ、自分に割り当てられた部屋に入るとそのままベッドにダイブをする。

 

チラっと姉貴が持ってきたと思われる俺の荷物が目に入るが、どうせ娯楽品等入ってないと思うのでそのままで大丈夫だろう。

 

 

「だけど、驚いた。まさか、箒が居るなんて、な」

 

 

体勢をあおむけに変え、天井を見つめながら一人呟く。

 

思えば当然だ。箒はIS開発者、篠ノ之束の妹。その重要度は計り知れない。

 

そして、ここは国の干渉を受け付けないIS学園。保護するにあたっては最適とも言える場所だ。実際、俺も身柄の保護を理由にここに強制入学させられたんだから。

 

……そんなことよりも。

 

 

「綺麗になったよな、箒…」

 

 

ボソッと無意識に呟く。

 

六年という時間を嫌でも意識させられるぐらい箒は変わっていた。

 

とても良い方向に。

 

昔はいつも仏頂面で不機嫌そうな顔してたから、教室で見た、笑ったり、呆れたり、慌てたりした顔は余り見た覚えが無かった。

 

そして、間違いなく、箒を変えた人物は……

 

 

「藤木総牙、か。アイツが『あの』藤木だとしたら……」

 

 

――今の俺では勝てない。

 

その考えに辿り着くと思わず歯軋りしてしまう。

 

 

「誰かに仕組まれたモノなのかもしれない。必然かもしれないし、偶然かもしれない。だけど…!」

 

 

三回だ。

 

俺は、三回失った。

 

そして、その内の一回がまた俺の近くに戻って来た。

 

 

「守りたい、な。いや、守るんだよ、俺が」

 

 

もう、もう失うのは十分なんだよ…!

 

 

「だから、強くなるんだ、織斑一夏」

 

 

自らを鼓舞するように呟くと、眠ろうとそのまま目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そこでやっと気付く。微かに聴こえる、水音に。

 

 

「は?」

 

 

ガバッと跳ね起き、シャワー室がある方向を見つめる。

 

というか、水音が止んでる。

 

 

「む、誰か居るのか?」

 

 

そして、今日、藤木の次に多く会話したであろう人物の声が耳に入る。

 

 

「こんな格好ですまない。今日から同室となる篠ノ之――」

「ほ、箒」

 

 

シャワー室から出てきたのは、髪を下ろし、バスタオル一枚という格好の箒だった。

 

 

「い、いち、か?」

 

 

互いにフリーズ。

 

俺を見たまま固まる箒と、箒を見たまま固まる俺。

 

数秒、もしくは数分だろうか。頭が冷えてくると次第に自分の視線が箒の顔から下へと移動していく。

 

……山田先生よりかは劣るが、それでもかなり――

 

 

「み、見るな!」

 

 

箒の声に我に返る。

 

 

「わ、悪い!」

 

 

顔を横に向け、箒を見ないようにする。

 

 

「な、なんで、お前が、ここに、いる?」

「姉貴が渡して来た鍵がこの部屋のだったんだよ」

「な…」

 

 

視界の端に真っ赤な顔をして口を開いている箒が映る。

 

 

「ちょ、ちょっと待て!」

 

 

そう言うと一瞬で窓側のベッドに移動し、剣道着を抱えてドタバタとシャワー室に駆け込む箒。

 

この間にかかった時間が三秒程。ビデオの早送りを見ているみたいだった。

 

 

「…待たせたな」

 

 

未だに頬が紅潮している箒が懐かしい仏頂面でシャワー室から出てくる。

 

いつもしているリボンを持って行ってなかったらしく、髪は下ろしたままだった。

 

 

「そ、それで、お前が私の同居人、という事か?」

「あ、ああ。多分姉貴が仕組んだんだろうな」

 

 

見ず知らずの生徒よりも、気の知れた幼馴染みの方が変に緊張しなくて済むだろ、的な。

 

 

「そ、そうなのか…」

 

 

窓側のベッドに座るとモジモジとする箒。

 

相変わらず仏頂面を保ってるが、何となく分かる。今の箒は、頬が緩みそうになるのを我慢してるんだ。六年離れていたとはいえ、伊達に幼馴染みはやってない。

 

あ、そうそう、これだけは言わないとな。

 

 

「箒」

「な、なんだ!?」

「そんなデカイ声出さなくても聞こえるぞ?」

「あ、す、すまない…」

「そんなにショボくれなくても気にしてないからな?」

 

 

耳を塞いで指摘する俺を見て、ショボンとする箒。

 

 

「お前、本当に変わったよな」

「そ、そうか…?」

「ああ、綺麗になった」

「え…?」

「綺麗になった、美人になったよな、箒」

 

 

自然と頬が緩み、笑顔で今日何度も思った事を口にする。

 

因みに、これは弾から『相手を見て感じたことは、相手を侮辱するような事ではないなら素直に言っておけ。褒め言葉なら尚更』と何度も言われたからだ。

だから、最近は凄いと思っした相手を正直に褒めるようにしてる。

 

 

「……………」

「あれ?箒?」

 

 

何故かきょとんとした顔で俺を見つめる箒。

手のひらを箒の目の前で振ってみるが、全く反応がない。どうしたんだ?

 

 

「……(ボンッ)きゅぅ」

「箒ーーーっ!!??」

 

 

突然何かが爆発した様な音と共にハムスターみたいな鳴き声を出しながら倒れる箒。

慌てて箒の側に近づき、顔を見ると、何とも幸せそうな顔をして気絶していた。

 

 

「チクショウ!なんで俺が女子を褒めると何時もこうなるんだよ!」

 

 

弾に言われて中学の時から実践してきたが、ここでも同じか!

 

ホントになんでだよ!

 

というか、本気で箒はどうしようか?

 

 

「誰か、誰でもいいから助けてくれ!」

 

 

俺の叫びは、虚しく部屋に響いて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?」

「どうしたの?」

「いや、今織斑が世界の中心で何かを叫んだような気がする」

「意味がわからないわよ…」

 

 

多分、気のせいだろうな。

気を取直して、俺はテーブルを挟んで座っている制服に着替えた楯無の方へ向く。

 

因みに今は飯食ってる。視線地獄を教室で嫌と言うほど味わったのに、食堂でもそれに晒されるのは勘弁願いたいという俺の文句に

「じゃあ、食事持ってきてあげるわ」

と、楯無が態々部屋まで持ってきてくれたのだ。

感謝。

 

 

「それよりも、京弥と会えなかったから簪が拗ねてる、ねぇ…」

「うう、流石に悪い事をしたと思ってるわ…」

「そりゃ拗ねるわ。お前だって好きな奴に会いにいくのを邪魔されたりしたら怒るだろ、って悪い、楯無は好きな奴いないんだったな」

「アンタはイチイチ腹立つわね!?だって、簪ちゃん酷いのよ!?家に居たらずっと京弥さん京弥さんって、折角仲直りしたんだからもっと構ってくれてもイイじゃない!私だって『簪ちゃん』『お姉ちゃん』って互いに呼び合いながら簪ちゃんとイチャイチャしたいわよ!!」

「……うわぁ」

 

 

最後の最後に欲望ぶちまけやがった。

 

 

「だけど、拗ねた簪ちゃん、可愛かったなぁ…」

「あ、もうダメだコイツ」

 

 

思わず引いて距離を取る。

なんかもう、妹を想う姉の目をしてない。完全に恋する女の目だ。恋してる相手が実妹ってなんなんだお前。

 

 

 

 

 

こいつ等―――更識姉妹に会ったのは約三ヶ月前、ちょうど冬休みの時だ。

その時は……というよりそれ以前から楯無と簪は仲が悪い、というか、色々あって簪が楯無に劣等感を抱いて避けてる様な状態だった。話は聞いた事あるが、常に姉と比べられ、『優秀』な姉と『出来損ない』の妹、って感じに言われていたらしい。

うん、言った奴マジで殺したい。ボッコボコにしてやんよ♪

……ゴホン。そして年が明ける五日ほど前に、それに耐えきれなくなった簪が家出した。

季節は冬で、計画的に行うなら兎も角、感情に任せて飛び出して来たもんだからいざ冷静になったら寒さと空腹で途方に暮れていたらしい。

 

―――簪はその時に、俺達と出会った。

 

見つけたのは俺の一個年上の京弥って奴で、その時の簪に色々としてやったらしい。主に上着を貸したり、匿ってやったり、ココア作ってやったりとかだったな、確か。

そして、簪が俺達と出会って二日ぐらいたった日に、京弥の一言で簪は俺達の新たな『家族』となった。

 

 

 

 

 

『私には、もう居場所なんて無い。あの家に、私の居場所なんて……』

『なら、作ればいい』

『え?』

『無いなら作る、簡単な事だ。だけど、もし、自らの手で一から作る勇気が出ないのであれば―――』

 

 

 

 

 

―――俺達がお前の居場所になってやるよ、簪。誇れ。俺達が、お前の新たな家族だ―――

 

 

 

 

 

今更ながらも、言ってる事がイケメン過ぎるだろうよ、京弥……。

まあ、そんな事があって、そこから更に色々とあったりして、簪は楯無と仲直りをしたんだ。

因みに、簪はその時に京弥に惚れていて、楯無の話を聞く限り家でも京弥の事を話してるらしい。

え、飛ばし過ぎ?過去はそこまで振り返らない主義なんで。

ということで簪は俺達の『家族』だ。血縁とか、んなもん超越してやるよ。

 

 

「まあ、一応、簪の機嫌取りは手伝ってやるからさ……早く現実に戻れ。気持ち悪い」

「ホントに酷いわねアンタ! 姉として妹を大事に想うのが悪い訳!?」

「一回脳味噌煮沸消毒してこい」

 

 

ギャアギャアと叫ぶ楯無を適当にあしらいながら飯を食べる。

 

 

「そうそう、聞いたわよ?藤木君、織斑君と一緒にイギリスの代表候補生と模擬戦をするのよね?」

 

 

何やら微笑を浮かべながらそんなことを聞いてくる楯無。

 

 

「もう広まってるのかよ。女子の噂話の広まり方は光の速度だなホントに」

「IS学園はイベント好きな人が多いのよね。それに、世界で二人の男性操縦者よ?注目度は計り知れないわ」

「正確には注目されてるのは織斑の方だろ。世界初の男性操縦者にしてブリュンヒルデ、織斑千冬の弟。それに比べりゃ俺は唯ISを動かせただけの男だ。注目度で言えば織斑の方に集まる」

 

 

これが世間から見た俺と織斑の差だ。気にしてる訳じゃ無いけどな。

 

 

「マスメディアが発信する情報を鵜呑みにするとそうなるわね。それに藤木君の事は情報規制されていたし。でも藤木君は、そんなものをひっくり返しちゃうような実力を持ってるじゃない」

 

 

何を考えているのか分からない笑みで俺を見る楯無。

 

 

「アホか、俺は所詮喧嘩が強いってだけでIS操縦なんてド素人だぞ?」

「…勝つ気は無いの?」

 

 

『意外』と書かれた扇子を広げてそんなことを聞いてくる楯無。

 

便利だなその扇子、ってそうじゃなくて。

 

 

「俺は別に勝ち負けなんてどうでもいいんだよ。俺は唯―――」

 

 

―――強い奴と戦いたいだけだ。

 

 

「アナタ、バトルジャンキーね」

 

 

心底呆れた様に溜息をつく楯無。

 

 

「つーかよ、お前も知ってんだろ。俺が住んでる街の特性をよ?」

「…そうね、今更言う事じゃないわね」

 

 

はあ、と再び溜息をつかれる。

 

 

「老若男女問わず規格外な人たちが多いものね…もうロアナプラから来た運送屋がいても驚かないわ」

「そこまで荒れてねえよ」

 

 

あんな地の果ての様な場所と一緒にすんな。

 

 

 

 

 

そして飯を食った後、色々と下らない事を話して、疲れのせいかシャワーも浴びずにそのまま寝た。





やっとIS学園一日目が終わった…。

もう少し展開速くしたいんだけどな…。

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