久々にアーマードコアfaやったらハマっちゃいまして、気付いたら二ヶ月放置してました(滝汗)
しかも話自体もほとんど進まないという亀進行。
入学式翌日の朝。
食堂へ向かう道中に織斑と箒の二人に会って、現在三人で朝食を食べているんだが…。
「ほ、箒、この鮭美味いな」
「あ、ああ、そうだな」
「…なあ、お前ら昨日何かあったのか?」
滅茶苦茶ぎこちなく会話をする織斑と箒を見て、その原因について聞いてみる。
というか、朝に寮で会った時からこんな感じだったら嫌でも気になるわ。
「い、いや、なんでもないぞ。なあ?」
「そそそ、そうだな!何にも無かったぞ!」
「嘘つけコラ。顔赤くなってんぞ」
コイツら隠し事下手すぎるだろ。
それよりも本当に何があったんだ?
さっき聞いた話だと二人は相部屋らしいが…あっ(察し)
「織斑、箒」
箸を一旦置き、両指をどこかの司令官の様に組む。
きっと今、俺の目はこれ以上にないくらい暖かく優しいモノに二人には映っている事だろう。
「――避妊は、しろよ?」
直後、味噌汁と水のアーチが食堂に現れた。
「お、おおおおお前は何を言っているんだ総牙!?」
「え、だって、ヤっちゃったんじゃないのか?」
「ち、違う!」
顔を真っ赤にして叫ぶ箒に俺は左手の親指と人差し指で丸を作り、そこに右手の人差し指を抜き差しする。
それを首まで真っ赤にして否定する箒。
やっぱり、これ系のネタには耐性無いのな。
「……藤木」
織斑復活。
だが、声色がとてつもなく低い。
実際、箒が真っ赤だった顔を若干青くして織斑を見ている。
「…何だ?」
「鼻に練りわさびと砥石で歯磨きと目にデスソース、どれがいい?」
「地味に怖えな!?どれも嫌だわ!?」
滅茶苦茶イイ笑顔で恐ろしい事言ってきやがった!?
お手軽に出来る拷問じゃねえかそれ!?
つーか、砥石で歯磨きって何!?
磨くどころかドンドン削れていってそのうち無くなるぞ!?
「全部無くなっちまえよ」
「だから心を読むのをやめてくれませんかね、織斑くん?」
もう、俺の中で織斑姉弟はサトリの子孫で確定。
コイツらの前で迂闊な事を考えるのは止めよう。
「お、織斑くん、藤木くん、隣いいかなっ?」
「ん?」
見ると、トレーを持った女子が三人立っていた。
「構わないぜ?どうぞ?」
俺の言葉に女子三人はガッツポーズを取る。
「ああ~っ、私も早く声かけておけばよかった……」
「大丈夫、まだ二日目。焦るような段階じゃないわ」
周囲からそんなざわめきがチラホラと聞こえてきた。
今なら動物園のパンダと酒を酌み交わせそうだ。
「……………」
「な、なんだよ箒?」
「……ふん」
ふと、視線を感じ、その先を見ると、箒が不機嫌面で俺を睨んでいた。
その目に冷や汗をかきながら箒に声をかけると鼻を鳴らしてそっぽを向かれる。
……はい、分かってますよ。「何私と一夏の時間を邪魔しているんだお前は」って事ですよね。
でもさ、お前ら相部屋なんだからこれぐらいいいじゃねえかよ。
恋すると女は心の余裕が無くなるのか?
「それでさ、お前らの名前なんだっけ?」
気を取直して、俺の隣に座った女子に聞く。
すると、ガーンと擬音が付きそうな顔をされる。
「え、え?名前覚えて無いの?」
「いや、顔は覚えてるよ?でも自己紹介された記憶もないし、そもそも昨日俺が話した人間は織斑と箒とオルコットぐらいだし」
教師は話してて当たり前だから除外。楯無は言っても分からんと思うから除外。
「そ、そっか。そうだよね。私は谷本癒子、よろしくね」
「た、鷹月静寐です」
「布仏本音だよ~」
ツインテが谷本でショートカットが鷹月。んでこの袖がダボダボでパンをハムハムしてるのが布仏と…って。
「おい、布仏、口にジャム付いてんぞ」
「え、ホント~?」
「いや、袖で拭こうとするな。ほら、拭いてやるからじっとしてろ」
袖で口を拭おうとする布仏を手で制し、持っていたポケットティッシュで口に付いているジャムを拭き取ってやる。
ついでにダボダボな袖を捲くっておく。
「えへへ~、ありがとが~くん」
「どういたしましてって、が~くん?」
「えっとね~、総牙だから~、が~くんなんだよ~?」
「そ、そうか…」
一瞬、布仏が年齢を考えたらとても痛い格好をした兎と被るが、あの人は天才が一周して馬鹿になってしまったような人なので違うと断定、記憶の隅に蹴りとばす。
あ、違う、天才か馬鹿かじゃなくて、変態か馬鹿かのどっちかか…いや、どっちもか。
この際どっちでもいいや。
とりあえず水飲もう。
「総牙、お前まるで布仏の兄みたいだな」
「ぶふぉっ!?」
箒の一言に水を吹き出した。
「お前は何言ってるんだ箒?」
「いや、お前がなんだかんだ言って面倒見がいいのは知っているが、こうして見ると兄妹みたいだと思ってな」
「が~くんがお兄ちゃんか~」
「いや、俺は同い年のクラスメイトに兄と呼ばせる癖は持ち合わせてねえぞ?てか谷本と鷹月、何納得したように頷いてんだ。布仏もお兄ちゃん呼びは止めろ、俺の人格が疑われる」
「喧嘩中毒者の癖に人格もクソもないだろ」
「おーし、織斑、食後の運動とシャレこもうぜ?ニードロップ腹にカマしてやるよ」
「なんで食ったもの吐き出させようとするんだよお前は。お断りだ」
絶え間なくツッコミを入れる。
それより織斑の中で俺が喧嘩中毒者になってた。
そんな風に思わせるような発言した覚えが…いや、あるな、うん。
「そ、それよりも、二人共、朝すごく食べるね」
「やっぱり男の子だねっ」
「まあな、朝飯食わねえと力入んねえしな」
「健康維持の為には夜は少なめに、朝は多めに食事を摂るのが一番無駄が無いからな。……それにしても、鷹月さんたちはその量で平気なのか?」
織斑の視線は谷本たちのトレーに乗っている朝食を捉えている。
それぞれがパンと飲み物、それから少なめのおかずが乗った皿だけだ。
「わ、私たちは、ねえ?」
「う、うん。平気かなっ?」
「お菓子よく食べるしー」
「布仏、お前な…」
「間食は程々にな…?」
布仏の間延びした声に脱力しながらもその言葉に呆れる。
朝食を既に食べ終えた織斑もため息混じりにツッコミを入れる。
「…一夏、食べ終えたのなら行くぞ」
「ん?ああ、わかった。それじゃ藤木、また教室でな」
「おう」
俺をジト目で一瞥し織斑を連れていく箒に苦笑する。
後でフォローでもしておくべきか?
いや、そもそも俺が悪いのかコレ?
「藤木くんって、篠ノ之さんと仲良いの?」
「うん?ああ、俺の通ってた中学に箒が転校してきてな、それで仲良くなった」
「へー。じゃ、じゃあ、織斑くんとは?何か知ってる?」
「箒と織斑は幼馴染みらしいぞ」
瞬間、周囲がどよめいた。『え!?』という声が聞こえるレベルで。
それに続くように、手を叩く音が食堂に鳴り響く。
「いつまで食べている!食事は効率よく迅速に取れ!遅刻したらグラウンド十周させるぞ!」
白ジャージに身を包んだ織斑先生の声に途端に食事を再開する谷本たち。
ぐるっと見渡せば他の面々も同じような感じであった。
俺は食事の合間に喋ってたからもう食べ終えてる。
「そんじゃ、おっ先ー」
「あ、待ってよ藤木くん!」
「せっかくだから一緒に行こうよ!」
「が~くんの薄情者~!」
「あー、もう分かった分かった。まだ時間あるし待ってるからそんな目で見るな。って、布仏パン屑こぼし過ぎだし次はケチャップが口に付いてんぞ。何歳だお前は」
この後、ちょくちょく布仏に世話を焼きながら谷本たち三人と教室へ向かった。
「織斑、藤木、お前らのISだが準備まで時間がかかる」
「は?」
「へ?」
織斑先生の言葉に間の抜けた声を出す俺と織斑。
「予備機がない。だから、少し待て。学園で専用機を用意するそうだ」
その言葉に教室がざわめいた。
「せ、専用機!?一年の、この時期に!?」
「つまりそれって政府からの支援が出てるって事で……」
「ああ~。いいなぁ……。私も早く専用機欲しいなぁ」
皆が思い思いの言葉を口にする中、俺は専用機が用意されるという事実に顔を顰める。
横を見れば、織斑も俺と同じような顔をしていた。
「お前ら、何だその顔は。専用機を用意される事に不満でもあるのか?」
俺たちの顔を見て織斑先生が聞いてくる。
騒いでたクラスメイトも「不満を持つなんて訳が分らない」といった感じで俺たちを見る。
「……体のいいモルモット扱いされている気がしたんで。その前にもしデータ取りが目的なら学園の訓練機でも出来る筈なんじゃ?」
「もっと言い方を考えろ馬鹿者。それに、確かにデータ取りが目的だが、訓練機だと皆が扱える様に設定されている為細かいデータが取れない。よって、一人に最適化される専用機が用意される事となったんだ。理解したか?」
「…一応は」
織斑先生はああ言ってるが、恐らく自衛という目的も含まれてるんだろうな。
流石に二十四時間三百六十五日監視や護衛なんてそうそう出来る事じゃないし。
「それで、藤木は?何故そんなに不満そうな顔をしている?」
「あ~、俺の場合は不満というより疑問ですね。織斑はともかく、俺はIS動かせるのが判明してから半月も経ってないのに、なんで専用機が作られてるのかとか、専用機ってそんな簡単に作れるもんなのかとか、そもそもどこからISコア持ってきたの?とかですね」
俺が感じた疑問点を言うと織斑先生は眉間を抑えてため息をつく。
「なるほど、確かにいきなり言われたらそう思うのも無理はないな……。まあ、それらの疑問は全てお前らの専用機は『とある兎』が手掛けてるといえば解決してしまうんだがな。……おかげでこっちは書類の山だ」
「マジでお疲れ様です。今度会ったらシバいときます」
「よろしく頼む」
思わず立ち上がり直角の礼をする。
とある兎って、もうあの人しかいないよな。
何か嫌な予感がしてきたが、流石にアホみたいな専用機にはならないよな……あの人ならやりそうで怖い。
「さて、と、話は以上だ。授業を始めるから教科書を開け」
…まあ、専用機が来ても来なくてもやるだけやればいいだけの話だよな。
そう自己完結し、教科書を開いた。
「しっかし、専用機か。ISを動かしただけでこの待遇とは良い身分だな、俺らは」
午前中の授業を消化し、昼休み。
俺は食堂で昼食のカツ丼を頬張りながらそう呟く。
ちなみに、俺の正面には箒、その隣には織斑が座っている。
というか俺が座らせた。
「仕方が無いだろう。総牙も一夏も世界で二人だけの男性操縦者だ。ある意味では世界中にいる大多数の男達の希望みたいなものなのだからな」
「そんな期待、どうでもいいんだけどな」
「そうだな……俺も、自分の家族さえ守れれば他はどうでもいいし」
友人とかも確かに大事だとは思う。
IS学園に三年も居ればそこそこ仲の良い奴も増えていくだろう。
だけどもし、そいつらと家族が同時に危険な目にあっているとすれば、俺はその友人達を迷わず見捨てる。
…歪んでるなあ、俺も。人の事言えねえよな。
「ふ、だが総牙、もし私が『友人を助けて欲しい』と言ったらお前は助けてくれるだろう?」
「当たり前だろそんな事、聞くな。つかお前も俺の思考を読むのかよ…」
俺ってそんなに考えてる事分かりやすいのか?
真正面に座る箒の微笑にむず痒い気持ちになりながら、カツ丼のカツを口に放り込む。
笑うな箒。お前は俺が家族最優先の人間だって事知ってるだろうが。
「それよりも、まずはオルコットとの試合に向けて特訓しないとだな」
「ナイス織斑」
「は?」
「いやこっちの話」
話題変えてくれてありがとう。
箒も俺へ向けていた視線を織斑に移動してくれた。
「特訓、と言うのはいいが具体的な方法は決まっているのか?」
「出来るなら学園の訓練機に乗りたいんだけどな」
「あ、それ多分無理っぽいぞ?」
俺の言葉に二人が顔を向ける。
まあ、俺も昨日楯無から聞いた事なんだけどな。
「なんでだ藤木?」
「二月から四月にかけては二、三年生の予約が馬鹿みたいに多いらしい。多分三年生は卒業が近くなると訓練機の予約を少なくするみたいだからな」
「ああ、成程。自分たちは卒業するから、訓練機の予約を在校生に譲っているのか」
「そういう事。更に言えば、四月から入ってくる一年生はまだ浮き足立っている状態だからな、すぐさま訓練機の予約をする新入生ってのは珍しいらしいぞ」
「確かに、入学していきなり訓練機を借りて訓練を開始する生徒なんてそうそう居るものでは無いな」
「そうか…、なら訓練機を借りるのは難しいな」
「その悩み、解消してあげようか?」
不意に、声をかけられる。
声の聞こえた方向を見ると、赤色のリボンの生徒が立っていた。
ちなみに、IS学園はリボンの色で(俺と織斑はネクタイの色で)学年が分かるようになっている。赤色は三年、つまり最上級性だ。
「噂で聞いたわよ。君達、代表候補生と勝負するんでしょ?」
「藤木、もしかしてもう広まってるのか?」
「織斑、女子の噂話の広まるスピードを嘗めるなよ。正しく光速だから」
一人が喋ればそれを聞いた五人が別々の方面で喋る。その後、その五人から聞いた奴等がまた別々の方面で……って感じだな。しかもよく尾ひれはひれ付くから噂の中でとんでもない事になってたりする。
と、そんな事を考えてる間に先輩が俺の隣に座ってくる。
「私、訓練機を友達と一機ずつ予約しているからよかったら私達が教えてあげようか、ISの操縦?」
ずずいと俺と織斑を交互に見ながら身を乗り出してくる先輩。
あ、箒の眉間に皺寄った。
「結構で「大丈夫です。俺達は彼女…『篠ノ之さん』に教えてもらう事になってるんで」い、一夏?」
箒が何か言おうとするのを遮って、織斑が箒の苗字を強調しながら先輩の誘いを断る。
って、オイオイ、それを言うと……。
「篠ノ之って――ええ!?」
ほら、驚くだろ。
物珍しさから俺と織斑に目がいくが、箒――IS開発者篠ノ之束の妹ってのも十分に珍しいからな、当然といえば当然の反応だな。
「ですので、気持ちだけ受け取っておきます。すみません」
「そ、そう。それなら仕方ないわね……。それじゃあ、頑張ってね?」
「あ、その前に一つだけいいですか?」
織斑が頭を下げると先輩は顔を少し引きつらせながら何処かへ行こうとするが、引き留める。
「な、何?」
「いや、先輩の名前が分からないんで名前だけ教えて下さい」
「……宮代よ。宮代香織」
「あざす。んじゃ宮代先輩、お手を煩わせてスンマセン。ありがとうございました」
織斑に倣い、俺も頭を下げる。
宮代先輩はその光景にどうしたらいいか分からず、暫くオロオロしていたが「それじゃ、頑張ってね?」とさっきと同じセリフを言うと食堂から出て行った。
「ふう、行ったか」
「行ったか、じゃねえよ織斑」
「そうだぞ一夏。それに、なんでいきなり私を苗字で……」
「悪い悪い。箒の苗字を言った方が効果的だと思ったんだよ。実際、箒も言おうとしてただろ?」
「それは……」
言おうとしてたのか。
まあ、箒は確実に嫉妬から思わず出そうになったってのは分かるんだけどな、織斑はなんで断ったんだ?
「し、しかしだな一夏、折角ISに慣れる機会を無駄にしたのだぞ?本当にいいのか?」
「いや、よくはないと思うけどな。ハニトラとかを警戒しておくべきだろ?」
「あ、そういう事か」
織斑の言葉でやっと断った意味が分かった。
箒は織斑の言葉の意味が分からず、「ハニトラ?」と首を傾げている。
「確かに単純な厚意で俺達を誘ってたのかもしれないが、もしそうじゃなかったとしたら危険だからな、だから断った」
「流石に警戒しすぎだと思うけどな」
入学してから一日二日で行動を起こすのは早すぎるだろうよ。
「しなさすぎよりかはマシだろ」
「ま、確かにな」
「むう…、だが特訓はどうするのだ?」
「訓練機を借りれないならさ――」
箒の疑問に対し、俺はさっきから考えていた事を笑顔で二人に言う。
「――剣道場行って、軽く戦り合おうぜ?」
感想宜しくお願いします。