僕と紅魔郷とスカーレットデビル   作:ゆっくり翼

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しばらくこのぐらいの亀更新が続きます。ご了承ください。
後一ヶ月前ぐらいに総合UA10000突破記念の短編を短編集のようなもの(僕紅!)にあげました。
よかったら見てください。



[前回のあらすじ]
鉄人から試験召喚システムを守るため、地下室に潜入した明久達。
途中で仲間が次々とリタイアしていく中、なんとか明久だけが試験召喚システム前まで辿り着くことが出来た。
しかしそこには鉄人の姿はなく、多くの女子生徒から高い人気を誇る教頭の姿が……。



嘘です。

本当のあらすじ:雄二が翔子に勝利した。


第十六問 戦後対談

「Aクラス代表が戦闘不能になったので、五回戦はFクラスの勝ちです」

 

高橋先生がそう宣言した瞬間、クラスメイト達が我先にと俺の側まで雪崩れ込むように来た。

 

「よくやった坂本!」

 

「これで俺達の教室が」

 

「超豪華に!」

 

「俺達最下位クラスの、圧倒的勝利だ!」

 

Fクラスの野郎共が歓喜の叫びをあげている。

……こいつら、忘れてんのか?

 

「喜んでるところに水を差すようで悪いが、結局三対二で負けてるぞ」

 

俺の一言により、辺りが静まり返る。そして

 

『そうだったぁぁぁぁぁっ!!』

 

一斉に絶叫した……ってマジで忘れてたのかよ。こいつら馬鹿か? ……ああ、馬鹿だからFクラスか。

 

「ま、まあ良い。吉井をボコボコに出来るんだからな」

 

……ん?

 

「そういえば吉井がFクラスに来るんだったな」

 

「我が天使を汚した罪、どう裁いてやろうか……!」

 

……ほんと、こいつらは性根が腐ってるな。てかあの距離で聞こえてたのかよ。どんだけ地獄耳なんだこいつら。

つーかそもそも

 

「いや、明久は来ないぞ」

 

『は?』

 

余程俺が言ったことが衝撃的だったのか、Fクラス全員の目が点になった。

 

「……雄二、それ本当?」

 

「そりゃ、そんな風に使う気がないからな」

 

って翔子、いつの間に俺の側まで来たんだ? 全然気づかなかったぞ。

 

「……でもさっき明久と一緒に馬鹿やりたいって……」

 

「確かにそんなこと言ったな」

 

「……うん。だから――――」

 

「まああれお前を本気にさせるために適当に言った嘘だったんだがな」

 

「…………そう、なの……?」

 

「ああ。目的を達成するために本気のお前と戦う必要があったんでな。

そもそも親友ならあんな危険地帯に呼ばねーよ」

 

「……良かった」

 

翔子が胸を撫で下ろした。きっと自分のせいで明久がFクラスに行かなくて済んだと思ってホッとしてるんだろう。

 

「坂本ぉっ!!」

 

「ん?」

 

名前を呼ばれたから振り返ってみると、黒装束を身に纏った集団がこちらを睨み付けていた。

 

「……何のつもりだ、そりゃ?」

 

つーかいつの間に着替えたんだ?

 

「我等を弄んだ罪でお前を裁くつもりに決まってんだろ!」

 

「いや、明久の件はともかくあれはお前らがただ単に勝負結果を忘れてただけだろ」

 

てか明久の件についてもこいつらに聞かせようとは一切思ってなかったしな。

 

「さてこの罪、どう裁いて「退きなさい」ぐぼぁっ!?」

 

『狭川ぁぁぁぁぁ!?』

 

一歩前に出た馬鹿の鳩尾にスカーレット姉が蹴りを入れてそのままぶっ飛ばした。容赦無いなこいつ。

 

「で、何のようだ?」

 

「交渉よ」

 

「交渉?」

 

「ええ。まあ詳しくは後ほど話すわ。とりあえず二回戦の半分と四回戦以外の命令権の内容を決めてもらうから、今回の戦争に出場した選手だけを引き連れてこっちの陣地に来てもらえないかしら?」

 

……ああ、そういやそんな約束もあったな。

 

「で、何でそっちの陣地でやるんだ?」

 

「その馬鹿共に出来るだけ関わりたくないからよ」

 

酷い言い種だな。まあ気持ちは分かる。

 

「よっしゃあ、スカーレットさんから罵倒されたぞ!」

 

「ああ、ぞくぞくする……!」

 

「スカーレットさん、もっと罵ってぇっ!」

 

……現にこんなこと言ってる奴らだしな。

 

 

 

 

 

「さて、集まったわね」

 

あの後何事もなく皆を集めた後、無事にAクラスの陣地までやって来た。

 

「まずは一回戦からよ」

 

その言葉を受けて一回戦に出場した選手達が一歩前に出た。因みに命令権を使用できるのは一人一回までだ。

 

「…………愛子、後で写真を撮らせてくれ」

 

やはり康太はそれか。

 

「了解。康太君は相変わらず写真撮るの好きだね」

 

「…………俺の生き甲斐にもなってるからな」

 

工藤もそう思ったみたいだ。そういや知り合いだったな、こいつら。

 

「でもボクは体の凹凸があまり無いからそんなに撮りがいが無いかもネ」

 

「…………そんなこと無い。お前は充分魅力的だ」

 

「あっ、うん。あ、アリガト……」

 

康太の言葉を受け、工藤が顔を赤くした。

なるほど、どうやら康太にも春が来たようだな。

 

「次は私ね」

 

ラブコメやってる奴等を尻目に、博麗は久保に近づいた。

因みに博麗は俺が戦っている最中に帰ってきた。

 

「まあ特には……ああ、一つだけあったわね」

 

うん? 何を命令する気…………いや、アレがあったか。

 

「明久に変なことしないで」

 

やっぱりか。

あいつ、一見すると優等生なんだが……

 

「……どういうことだい?」

 

「とぼけないで同性愛者。あんたが明久に恋しているのは知ってるわ」

 

と、博麗が言っているように明久に恋するホモだ。

 

「……そうだとしても同性だからという理由で人の恋路を邪魔するのはどうかと思うよ」

 

「そこは別に禁止してないわ。どうでも良いし」

 

いや、良くないだろ。

 

「私が禁止したのは洗脳や脅迫とかの人権を無視した行動よ」

 

いくら明久が好きとはいえさすがにそこまではしないだろう……多分な。

 

「……そんな犯罪めいたこと、言われなくてもやらないよ」

 

「……だと良いわね。私からは以上よ」

 

命令を言い終えた博麗が、こちらに戻ってきた。

 

「次は二回戦よ」

 

今度は二回戦の選手が前に出る。と言ってもイスアード妹は姉の元にいるから出たのは姫路と島田だけだが。さてさて、どんな命令を下すことやら。

まあ多分明久に暴力をふるうなとかそんな感じだろ。

 

「島田さん、明久君を信じてください」

 

が、姫路の命令は俺の予想に反したものだった。

 

「な、何であんな女好きを信じなきゃいけないのよ!?」

 

……島田、お前本当に明久のことが好きなのか?

 

「それは偏見ですよ。あれは明久君が優しいが故になかなか決められなかった結果です。現に今はフランちゃん一筋じゃないですか」

 

「で、でも分からないわよ! もしかしたら今も他の女と――――」

 

「島田さん」

 

姫路が反論しようとしていた島田の言葉を遮った。

その声は若干低い。

 

「貴方が好きになった人は本当にそのような甲斐性無しですか?」

 

「っ!?」

 

姫路のその言葉に島田が押し黙った。

 

「とにかく、明久君を信じてください。私からは以上です」

 

そこまで言うと、姫路は下がった。

これで島田が明久への暴力を止めれば良いんだが……まあ多分無理だろうな。

しかし何故姫路はあんなことを言ったんだ? あの命令だとまるで島田に更生の余地があるような感じだが……。まあ今はそんな事を考えてもしゃあないか。

 

「次は三回戦……って私達ね」

 

そう言いつつ、スカーレット姉と十六夜が前に出た。

こちらからは秀吉とブライトだ。

 

「咲夜は木下に命令しなさい」

 

「承りました…………と言っても特に思いつかないのですが」

 

まああまり関わりの無い奴に対しての命令なんてそう簡単に思い付かないよな。

 

「なら咲夜、耳を貸しなさい」

 

「はい」

 

少し屈んだ十六夜の耳をスカーレット姉が手で覆いながら口を当てる。

 

『……………………』

 

『……それが良さそうですね』

 

話が纏まったのか、スカーレット姉が十六夜から離れた。

さて、何を命令する気だ?

 

「秀吉様。ここに週末に上映される恋愛映画のペアチケットがあります」

 

「うむ?」

 

「これを使ってシェーダ様をデートに誘ってください」

 

「ぶほぅっ!?」

 

おっ、秀吉が吹き出した。

まあそれもしゃあないな。面識があまり無い人からいきなり意中の人とデートに行ってこいなんて言われたからな。

 

「いいいいいいきなり何を言い出すのじゃ!?」

 

「お嬢様が折角の命令権なので二人の仲を進展させようとおっしゃったのでそれに従いました」

 

「し、進展!?」

 

秀吉が慌てている姿なんて珍し…………いや、考えてみればイスアード妹関連だと結構慌てている事が多いな。

 

「……わ、悪いがそれは受けられん。シェーダが断る可能性もあるのじゃし……」

 

「万が一デートに誘わなかった場合は……」

 

「万が一成功したとしてもシェーダを悲しませてしまうかも――――」

 

「秀吉様の胸が成長しているという噂を市内全域に流します」

 

「何がなんでもシェーダを誘うことを誓うのじゃ」

 

……まあそうなるよな。そんな噂が広がったらますます女として見られるだろうし。

てか校内じゃないところがえげつないな。

 

「じゃあ次は私ね」

 

十六夜が秀吉にチケットを手渡しているのを背景に、スカーレット姉がブライトに歩み寄った。

 

「何を命令するのー?」

 

「聞きたいこと……と言うより確認したいことが一つだけあるわ」

 

「んー?」

 

「ちょっと耳を貸しなさい」

 

スカーレット姉がブライトに更に近づき、さっきと同じような光景が繰り広げられた。と言っても身長の差があまり無いからブライトが屈むということは……あっ、スカーレット姉が背伸びをした。身長が若干足りなかったのか。

 

『……………………』

 

『えっ!?』

 

なっ!? ブライトの顔が驚きに染まった……だと……!

あのマイペースなブライトにあんな顔させるなんて……スカーレット姉は一体何を言ったんだ!?

 

「その様子だと当たりみたいね」

 

「……何で知ってるのー?」

 

「それは企業秘密よ」

 

……あの様子だとブライトは何かを隠していたようだな。その隠していたことは分からんが。

幼馴染みの秀吉なら何か知っているかもな。

 

「秀吉、何か知ってるか?」

 

「……悪いが、それはわしの口から言えん。聞くなら本人から聞いてくれんかの?」

 

まあそうなるわな。そこまで気になる内容でも無いし、これ以上の詮索はしないでおこう。

 

「まあ別に誰かに教える訳でもないから安心しなさい」

 

「……うんー」

 

どうやらスカーレット姉も広めるつもりは無いみたいだな。

 

「最後は五回戦よ」

 

……さて、ついに目的を叶える時が来たか。当初の予定と若干違うが問題は無い。

 

「翔子、俺が今から言うことを最後まで聞いてくれ。それが俺の命令だ」

 

「……分かった」

 

……さて、言うか。

 

「……俺が今回お前のクラスに挑んだ理由を知ってるか?」

 

「……知らない」

 

「実はな、とある証明をするためなんだ」

 

「……証明?」

 

翔子が首を傾げた。

 

「ああ……俺はな、許せなかったんだ。

俺の学力が全てという態度が原因であの事件を起こしてしまったこと、そしてそのことでお前の気に病ませてしまったことを」

 

翔子が何か言いたそうに口を開きかけたが、すぐに閉じた。

 

「だから『学力だけが全てでは無い』ということをどうしても証明したかった。他でもない、俺とお前に」

 

 

 

「馬鹿が天才に勝つ……つまり(観察処分者)お前(学年首席)に勝つことによってな」

 

 

 

「……だからあの時点数が少なかったの?」

 

「あそこで点数が高かったら元も子も無いからな。

で、それが今回の戦争の目的だ。情けをかけてもらったみたいで少し納得いかないがな」

 

本当だったらあそこの時点で終わっていたからな。

……さて、ここからが本番だ。

 

「……実はな、この目的を達成した後にやろうと思っていたことがある」

 

「……?」

 

「いい加減、お前の告白に対する返事をしようと思ってな」

 

「……っ!」

 

俺のその言葉に翔子が息を呑んだ。

……思えば告白されてから決心するまでにだいたい一年くらいか……俺も明久の事笑えないな。

 

「正直に言うと、当時の俺はお前の告白を快く思ってなかった」

 

「……え?」

 

翔子はショックを受けたような顔になった……ああ、これ誤解してるな。

 

「別にお前が嫌いだったわけじゃない。ただ当時の俺はお前の時間をこんなロクデナシなんかに費やしてほしくなかったんだ」

 

翔子の好意に答えることが出来ないロクデナシとな。

 

「……雄二はロクデナシじゃ――――」

 

「まあ最後まで聞けって。

それでな、最初は断ろうと思った。そうすればお前はもう俺のようなロクデナシに時間を費やさなくてよくなるからな。

……だがな、行動に移せなかった。何度断ろうと思っても、その度に本当にそれで良いのかって考えちまって、結局うやむやになっちまった」

 

「…………」

 

「で、そんな状態が続いて俺は段々と嫌になってきた。

……そんな時だったな。明久と親友になったのは」

 

そういや、第一印象は最悪だったな。なにしろあいつは女6人を侍らせて登校してきたんだからな。

まああの事件を境に印象がガラリと変わったが。

 

「この事を誰かに話したら少し気が楽になるかもしれない。そう考えた俺は親友のあいつに悩みを打ち明けた」

 

……まあ他人に判断を委ねたかった、という考えも少しだけあったことは否定出来ん。

 

「そしたらあいつ、呆気に取られた顔でこう言ったんだよ。

『馬鹿じゃ無いの?』

ってな」

 

あの時は全力で殴り飛ばしそうになったな。人が真剣に話してんのに茶化してんじゃねえ、と。

 

「俺が怒鳴るとあいつはこう言った」

 

 

 

『雄二がやってることは、下らない言い訳をして自分の本当の気持ちから逃げてるだけだよ』

 

 

 

「……最初はそのことを否定した。俺の思っていることは間違っていないと本気で思っていた」

 

そうでもしないと、翔子がこのロクデナシにずっと時間を費やしてしまうと思ったからな。

 

「まあ結局、それが真実だったけどな。

それからは俺は自分の気持ちに向き合うことにした」

 

そして今に至る、だな。

 

「今から言うのはお前の告白に対する俺の答えだ」

 

少し溜めてから、俺の想いを口に出す。

 

 

 

「俺と付き合ってくれ、翔子!」

 

 

 

「…………っ!!」

 

俺の言葉を聞いた翔子は下を向き、肩を震わせた後

 

「……うん!」

 

目に涙を浮かべながら満面に笑みを浮かべて、俺に抱き着いてきた。俺はしっかりと翔子を抱き止める。

数秒の抱擁の後、翔子と目が合う。

それを合図に俺は翔子に口付けを――――

 

『さぁぁぁかぁぁぁもぉぉぉとぉぉぉっ!!』

 

「うぉっ!?」

 

大地を揺るがすような大声に、俺は一瞬怯んだ。

 

「こっちに来い! 引導を渡してやる!!」

 

「殺っちゃうよー、霧島さんをたぶらかした屑を殺っちゃうよー」

 

「野郎ぶっ殺してやらぁっ!!」

 

…………そういや地獄耳だったなこいつら。

 

「翔子、離れてろ」

 

「…………分かった」

 

翔子は不満そうな顔で渋々と離れた。

そんなにキスがしたかったのか……やれやれ。

 

「そうかりかりするな。キスぐらいいつでもしてやるよ」

 

「……子作りは?」

 

「それは責任が取れるようになってからな」

 

じゃないとどちらも望まない結果になる可能性があるからな。

……まああのバカは流されてヤっちゃったみたいだが。

 

「……分かった」

 

さて、馬鹿共を沈めるか。

 

「さあ、お前の罪を「止めなさい」ぐふっ、ぐほぉっ!?」

 

『須川ぁぁぁぁぁ!?』

 

スカーレット姉が俺に突進してきた奴の背中を蹴り、倒れた瞬間にもう一度蹴り飛ばした。そのぶっ飛ばされた奴は壁に激突した後、動かなくなった。

まあ痙攣しているから死んではいないだろう。見た目は気持ち悪いが。

 

「さて、イチャついてたところ悪いけど交渉の時間よ」

 

「……イチャイチャ……照れる」

 

……まあ否定は出来んな。

 

「次の条件を受け入れたら設備のランクダウンは無しで良いわ」

 

「条件はなんだ?」

 

「そんなに厳しくは無いわ。理不尽な理由で人を傷付けたらその日から1週間最終下校時刻まで補習、というものよ」

 

なるほど、島田とFFF団対策か。

 

「何だ、それなら簡単だな」

 

「なんたって俺達、日頃の行いが物凄く良いからな」

 

「Aクラスにも負けないぐらいな」

 

……今までの行動を見る限りとてもそうは思えないんだが……。

 

「……因みに言っておくけど、貴方達が行っている異端審問、あれも理不尽な暴力の内に入るわ」

 

『何だってぇぇぇぇぇっ!?』

 

……いや、普通分かるだろ。

 

「受けるんじゃない! それは罠だ!!」

 

「もし受けたりしたら大変なことになるぞ!!」

 

「心配するな。俺達は設備が一つ下がっても問題なくやっていけるからな」

 

……どんだけ人の幸せが嫌いなんだこいつらは……。

まあそこまで言うなら仕方ないな。

 

「分かった、その条件を呑もう」

 

『坂本ぉっ!?』

 

喜んで受けよう。

 

「交渉成立ね」

 

スカーレット姉が右手を差し出してきた。

俺は右手で握ることによって応じた。

 

「見事な戦いだったわ」

 

「そっちもな」

 

数秒間握ったあと、俺達は手を離した。

 

「さて、Fクラスの皆。お遊びの時間は終わりだ」

 

突然、教室内にドスの効いた声が響いた。

振り返ると、そこには鉄人が立っていた。

 

「鉄人? 何故ここに?」

 

「西村先生と呼べ。今から我がFクラスに補習についての説明をしようと思ってな」

 

ん? 我が?

 

「おめでとう。お前らは戦争に負けたおかげで福原先生から俺に担任が変わるそうだ。

これから一年、死に物狂いで勉強できるぞ」

 

な…………

 

『なんだってぇぇぇぇぇ!!』

 

『鬼』と呼ばれるほど厳しい指導をする鉄人が担任になるという最悪の出来事に俺達Fクラスは一斉に声をあげた。

確かに鉄人はどの生徒も平等で接する良い先生だ。事実、俺が悪鬼羅刹だからといって特に差別をすることはなかった。そこには感謝している。

だがそれとこれとは話が別だ。

 

「いいか? 確かにお前らはよくやった。Aクラスレベルが何人かいるとはいえFクラスがここまでくるとは正直思わなかった。

でもな、いくら『学力が全てではない』と言っても人生を渡っていく上では強力な武器の一つなんだ。全てではないからといって、ないがしろにしていいものじゃない」

 

まあそれはそうだな。現に俺も代表戦に辿り着く為に遠慮なく使ってたしな。

 

「とりあえず明日から授業とは別に補習の時間を二時間設けてやろう」

 

げっ、マジかよ! これはサボるしか無いな。

 

「ああ、一科目も壊滅的な点数を取っていない博麗、イスアード妹、坂本、木下は免除してやろう」

 

…………ん?

 

「良いのか?」

 

「良いぞ。その代わり成績が下がったらバンバン補習をしてやるからな」

 

「それは勘弁だな」

 

まあ成績を下げるつもりは更々無いが。

 

「おいおい鉄人、私はこれでもAクラスぐらいの成績だぜ。だから私も免除してくれよ」

 

ああ、そういや霧雨は総合がAクラス並だったな。

まあ――――

 

「ほう、ならお前の古典の点数を言ってみろ」

 

「後一点で二桁だ」

 

「問題外だ馬鹿者」

 

現代国語と古典の点数がすこぶる悪いが。

 

「さて、この事をイスアード姉妹にも――――」

 

「て……西村先生、チルノとシェーダには私が伝えます」

 

「そうか、頼んだ」

 

「はい」

 

スカーレット姉の返事を聞いた鉄人は俺達の方へと体を向けた。

 

「じゃあ俺はまだまだ仕事が残っているからこれで失礼する。Fクラス諸君。明日はくれぐれも逃げるんじゃないぞ」

 

そう言った後、鉄人はAクラスから出ていった。

 

「さて、私は明久とチルノの様子を見てくるわ。優子と魔理沙はついてきなさい」

 

「了解よ」

 

「ん? ……ああ分かった」

 

……なるほど、二回戦と四回戦の命令を決めるためか。

 

「で、他についてくる人は?」

 

スカーレット姉のその言葉に反応する人は誰もいなかった。

 

「……あら、薄情な友人達ね」

 

「そうじゃねえよ」

 

ただ明久とイスアード姉が召喚獣関連で倒れることはしょっちゅうあることだから、皆あまり心配していない……というより信用しているだけだ。

 

「ええ、ちゃんと分かってるわ。じゃあまた会いましょう」

 

スカーレット姉が教室のドアに手を掛けた。

 

「待った」

 

そのまま出ようとしたところを俺が止めた。

 

「……まだ何か用があるのかしら?」

 

「まあな。と言っても一言で済む」

 

ただ俺の新たなる目標を言うだけだからな。

 

 

 

「次の戦争は絶対に勝つ」

 

 

 

「……楽しみに待ってるわ」

 

そう言い残すと、スカーレット姉は今度こそ教室のドアを開けた。










ドカーン

「「わぁい!
なぜなにぼっこう、はっじまっるよぉ!」」

「みんなー集まれー。なぜなにぼっこうの時間だよー」

「このコーナーでは、本編での補足と」

「読者から寄せられた質問に答えていくよ」

「じゃあ早速本編に触れていきましょう」

「結局、ゆうじが言った『あきひさをFクラスに連れていく』ってのは嘘だったんだね、良かった」

「そりゃそうよ。いくらあの坂本でも親友にそんなことするわけないじゃない」

「……お姉様はゆうじのことどう思ってるの」

「クールでシニカル」

「原作!?」

「まっ、それはおいていて次は命令権よ。まずは一回戦ね」

「こうたとあいこが良い雰囲気だしてたね。まあわたしとあきひさには劣るけど」

「流れるようにのろけるのは止めなさい。で、久保のことなんだけど……」

「原作通りあきひさに恋するホモだったね。でもあきひさは渡さないよ!」

「まあ明久に男色の趣味はないからこの恋が報われることは無いわ。
……催眠でも使わない限りね」

「あれ、今最後に不穏な言葉が聞こえたような……」

「気のせいよ。次は二回戦ね」

「まな板に更生フラグが立ったね」

「因みに島田が更生するかどうかは秘密よ」

「そもそもあのまな板は本当にあきひさのことが好きなのかな?」

「今の島田はツンデレのデレを抜いてヤンデレのヤンを少しだけ入れたようなものだから仕方ないわね」

「それ最悪じゃないですかヤダー……今の?」

「後フランがまな板っていうと彼女が悲しむから止めなさい」

「えっ? ああ、そういえば【―――】お姉ちゃんも胸が小さ――――」



『そこまで小さくない!』

『いや、ちいさいだろ。それも絶壁に匹敵するほど。
……オーケー僕が悪かったからまずはその凶器を下ろしてくれ。
てかそのチェーンソーどっから――――』



「…………」

「…………」

「……続けましょうか」

「……そうだね」

「もう一つの命令は次回で分かるわ。さて、次は三回戦ね」

「さくやがひでよしにしぇーだとデートに行くように命令してたね。そういえば何でさくやは映画のチケットを持ってたの?」

「ご都合主義よ」

「メタすぎるよ!?」

「まあその辺りは読者の想像にお任せするわ」

「うわっ、読者に丸投げた……まあそれはどうでも良いとして、お姉様はるーみあに何を言ったの?」

「それは秘密よ。どうしてもと言うなら本人に聞きなさい」

「んー、そこまで気になる訳でも無いし良いや。それよりもお姉様ってるーみあより背が小さ――――」

「最後は五回戦よ」

「あ、うん…………ゆうじの告白タイムだったね。てかあの事件って一体何?」

「あっ、それは原作と一緒よ」

「あれ、言っちゃうんだ」

「まあ別に隠す意味もないしね。
……因みに事件内容も原作と一緒だから書かないつもりよ」

「気になる人は是非原作を買ってみてね」

「とまあ露骨なステマはおいといて、本題に戻りましょう。
この作品では翔子がちゃんとした告白をしているわ。因みに告白した理由は、坂本に自分の気持ちが偽りではないと分かってもらうためよ」

「ゆうじはその告白を最初はしょうこの為に断ろうとしてたんだよね。でも出来なかった」

「まあそれも当然よ。あの時点で坂本は翔子のことが好きになっていたからね。
まあ彼はそのことを本能的に無視してたんだけども」

「で、その真実を突き付けたのがあきひさ、と。
……そういえばゆうじは6人侍らせていたとか思ってたけどあの時あきひさにアタックしてたのってわたし含めて3人だよね?」

「きっとそれはアタックしている3人の近くにいる奴もそうだと勘違いしたのよ」

「なるほど」

「まあ今はちゃんと分かっているでしょうがね。
で、その後ちゃんと考えて、今回の告白に至ったってわけよ」

「これで全ての命令権についての説明は終わりだね」

「まだ二回戦の半分と四回戦が残っているけどね。……まあそれは次回分かるから良いでしょう」

「次はお姉様の提案についてかな」

「別にそれについて話すことは無いわよ。本編に書いてあることと同じだし」

「まあそれはそうなんだけど。
でもさ、リメイク前の誰々以外は罪を悔い改めるまでAクラスと関わるなと比べると緩く感じるような……」

「確かにその命令だと私達は彼らに関わらなくてすむわ。
その代わり、その分の矛先は他のクラスへと向けられることになるわ。彼らが禁止されたのはAクラスへの接触だけだからね」

「あっ、そっか……じゃあ他のクラス全てに関わるな、にすれば?」

「そんなことしたら確実に彼らの不満が溜まっていくわよ。なにしろ、クラスメイトと先生以外の誰とも関わってはいけないからね。
で、いつかその不満が爆発。そうなった彼らは何を仕出かすか分からないわ」

「なるほど……つまり、元凶の暴力を縛らないといけないってことだね」

「そういうことよ」

「でもさ、悪口とか言われそうだけど……」

「私が縛ったことは『理不尽な理由で人を傷つける』ことよ。当然、過度な悪口も入っているわ」

「ああ、確かに」

「これで私の提案については以上ね。
最後は坂本が言ったことについてよ」

「二回目の試召戦争か……今から楽しみだね」

「そのことなんだけど、やるかどうか分からないわ」

「え?」

「今迷ってるのよね。原作最終巻のところまでか夏休み最後までか」

「そうなの?」

「ええ……まあ多分原作最終巻まで書くでしょうけどね。
ということで本編の補足は以上よ」

「次は質問返答だよ。今回の最初の質問は◆紅桜白夜◆さんから頂いた
『目の前には飲んだら20歳ぐらいになる薬があります。さて、どうする?』
という質問だよ。
……20歳ぐらいか……背、伸びてるかな……?」

「……諦めなさい。私はもう諦めたわ……」

「…………」

「…………」

「……返答しようか……」

「……そうね……」



明久「飲まないよ。元に戻れる保証が無いからね」

フラン「悪戯用に取っておくよ」

レミリア「一応取っておくわ」

咲夜「妙な薬の扱い方を心得ているパチュリー様に渡します」

パチュリー「……実験に使うわ」

コア「飲みます!」

美鈴「パチュリー様に渡します」

翔子「……取っておく」

瑞希「ノーレッジ先生に渡します」

久保「一応取っておくよ」

優子「ノーレッジ先生に渡しておくわ」

愛子「飲んでみよっかなー?」

雄二「ノーレッジ先生に渡すぞ」

霊夢「売るわ」

シェーダ「…………えっと、ノーレッジ先生に渡します」

魔理沙「戻れる保証があるなら飲むぜ」

秀吉「一応取っておくのじゃ」

康太「…………一応取っておく」

チルノ「ノーレッジ先生に渡すよ」

ルーミア「ノーレッジ先生に渡すー」

島田「こ、これを飲めばウチも巨乳に……!」



「以上よ」

「ぱちゅりーに渡す人が多いね」

「まあこの作品のパチェは薬品の取り扱いが上手いからね。
さあ、次へ行きましょう」

「りょーかい。次の質問はHAZAMAさんから頂いた
『明久の第一印象は何ですか?』
という質問だよ。
……これって色々とネタバレにならないの?」

「明らかにネタバレになりそうな発言は避けるからno problemよ」

「そうなんだ……それとお姉様、わたしあまり答えたく――――」

「はい、スタート」



フラン「えぇっ!? ……あっ、あー、えっとー、そのー…………お、美味しそうな血だなぁって……ち、違うよ! 決してあきひさを人間として見てなかったわけじゃなくてそもそもその時のわたしはってこれ言っちゃ駄目だったんだ!
え、えーっと、あれも言っちゃ駄目だしこれも言っちゃ駄目だしあうぅ……。
……と、とにかく色々と仕方なかったんだよ!」

レミリア「落ち着きなさいフラン。
私は……まあふとした切っ掛けですぐに壊れそうな存在に感じた、とだけ言っておくわ」

咲夜「……何かから逃げているように感じました」

パチュリー「……レミィから聞いた通りだと思ったわ」

コア「ネタバレになるかもしれないのでパスします!」

美鈴「無意識に他者との繋がりを拒絶しているように感じました」

翔子「……面白い人」

瑞希「変わった人だなと思いました」

久保「問題児だと思ってたよ」

優子「問題児だと思ってたわ」

愛子「レミィから聞いた通りだなぁって思ったよ」

雄二「チャラついたハーレム野郎だと感じたな」

霊夢「変な奴、だったわね」

シェーダ「…………優しい人だなぁと」

魔理沙「面白そうな奴、だったな」

秀吉「変わった奴、じゃな」

康太「…………女装すれば良い被写体になりそう」

チルノ「あたいよりかバカそうだなと思ったよ」

ルーミア「面白そうな人だなーと思ったー」

島田「……変な人だと思ったわ」



「以上よ」

「うぅっ、弁解出来なかった……」

「大丈夫よ。物語が進めば明かされるから……多分」

「あれ、今多分って――――」

「さて、最後の質問よ」

「う、うん…………。
最後の質問は下僕さんから頂いた
『フランが明久にラッキーハプニング発生! それはどんなの? そして、それを見た人はどの様な行為に移る?』
という質問だよ。
……これってあきひさが被害者の方で良いのかな?」

「多分そうでしょうけどそれじゃ面白くないから明久がフランに、にしておきましょ」

「良いの? そんな勝手なことして」

「これぐらいなら大丈夫よ。で、ハプニングの内容は無難に『公共の場で明久がフランを押し倒した後胸を揉む』でいきましょうか」

「ラッキーハプニングのテンプレだね」

「ああ、あと『見た人』だから答える人は明久とフラン以外よ」



レミリア「放置ね」

咲夜「写真に撮ります」

パチュリー「……放置安定ね」

コア「じっくりと見ます!」

美鈴「公共の場はさすがに不味いので明久さんを引き離します」

翔子「……目を反らしてあげる」

瑞希「えっと…………助けます?」

久保「スカーレットさんから吉井君を引き離すよ」

優子「明久君を引き剥がすわ」

愛子「面白そうだから放置だね♪」

雄二「放置安定だな」

霊夢「面倒臭いから放置」

シェーダ「…………えっと、明久君を助けます」

魔理沙「あー、フランから明久を引き離すぜ」

秀吉「まず明久に声をかけて正気に戻すのじゃ」

康太「…………胸を揉(ブシャァァァッ)」

チルノ「からかうよ」

ルーミア「放置ー」

島田「お仕置きよ!」



「以上よ。放置する人が意外に少ないわね」

「まあわたしとしては早く退いてほしいんだけどね」

「あら、意外ね。貴女のことだからてっきり歓迎するのかと」

「だって早く退かないとあきひさが社会的に死にそうだもん。
それにわたしは攻められるより攻める方が好きだしね」

「ああ、確かに普段はフランが攻めてるほうが多いわね。
ベッドの上だと攻守逆転してるけど」

「はぅっ!? な、何で知ってるの!?」

「それは秘密よ。
以上で今回の質問返答は終了よ。◆紅桜白夜◆さん、HAZAMAさん、下僕さん、質問ありがとうございました」

「そ、それじゃあ次回も――――」

「「ゆっくり読んでいってね!!」」
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