ウマッチョ ア ネーム?   作:オールF

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またつまらぬ二次創作を書いてしまった……
ウマ娘の喋り方や名前の呼び方に違和感あれば誤字報告や感想欄での指摘よろしくお願いします。


1話:食事制限って必要なの?

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園。

「トゥインクル・シリーズ」デビューを目指すため、ウマ娘たちが通う全寮制の学園で、東京都府中市に所在し、全国のウマ娘トレーニング施設の中でも最新鋭かつ最大規模の施設を誇っている。

 文武両道を掲げ、「Eclipse first,the rest nowhere.(唯一抜きん出て、並ぶ者なし)」をモットーとしており、このモットーは生徒会室に掲げられている。

 教育面では一般の中学・高校と同程度の座学授業を必修としている他、それに加えてレース座学、スポーツ栄養学、ウイニングライブ、レースのトレーニングなどウマ娘ならではの授業も組み込まれており、まさにウマ娘の為の学園となっている。

 

 

「あー……む。……ん、美味い」

 

 

 そのトレセン学園に通うウマ娘の1人、オグリキャップ。

 地方から転入してきたマイペース娘で、地元では連戦連勝。その噂を聞きつけた理事長が声をかけた形で、トレセン学園へとやってきた。

 地元の期待を一身に背負い、次回のレースに備えている彼女だが……トレセン学園一の健啖家である。

 

 

「やはり練習終わりのご飯は素晴らしいな」

 

 

 お皿にこれでもかとのった量の料理を平らげたオグリキャップがきゅっぷいと息を漏らす横で、彼女の友人でありライバルでもあるタマモクロスは食べる前には気にならなかった彼女の腹部を見つめていた。

 

 

「……なぁ、オグリン? アンタまた太ってへんか?」

 

 

 タマモクロスの何気ない一言が、オグリキャップに突き刺さ……らなかった。

 

 

「そうだろうか?」

 

 

 確かに練習後に比べると出っ張っている気もするが、食後なのだからこれくらい当然だろうとオグリキャップは頷く。いやいやいやと食い気味に手を振ったタマモクロスは口を開いた。

 

 

「い、いや……アンタ、それはアカンやろ」

 

 

 その出方はお腹から下見えへんやろとタマモクロスは顔をひきつらせる。しかし、オグリキャップは明日になったら引っ込んでいるだろうから大丈夫だと気にする素振りを見せない。

 

 

「でも、アンタ、トレーナーに言われてへんかったか?」

 

 

 レース前の大事な時期。食べるのは大切だけど、体重はこれ以上増やさないことと言われていなかったかと近くで聞いていたタマモクロスが指摘する。すると、オグリキャップはそんな話もあったな程度に思い出して「まぁ、大丈夫だろう」と食べ終えた皿を持って立ち上がる。

 

 

「ご馳走様」

 

 

「お、おう……いや、ほんま大丈夫かいな」

 

 

「へーきへーき」

 

 

 本当に何も気にしていないような面持ちで去っていくオグリキャップにタマモクロスは一抹の不安を覚えた。

 ウマ娘は毎日が特訓の日々だ。明日の練習で消費されるカロリーは人間の比を超えているため、食事量が多くなるのは仕方がないことなのだが、オグリキャップの食事量はその日のカロリー消費量と同等かそれ以上である。

 減量しろという命令が下っていればオグリキャップに雷が落ちるところだが、キープが目標なのであれば大丈夫なのだろうかとタマモクロスは思案するも、タッタッタッと食堂の床を鳴らしてこちらに向かってくる誰かに思考を妨げられる。誰やねんと振り向いた先にいたのは、先程まで隣に座って余裕の表情をしていたオグリキャップであった。

 

 

「タマ、ど、どうしよう……」

 

 

 少し涙目になったオグリキャップのセリフで皆まで言わんでいいとタマモクロスは額を抑えた。

 

 

「ほんまこの子は……」

 

 

 ライバルが減るのはいい事だが、倒すなら実力で倒したいし、体重の増加によるスピードダウンによるのが原因というのでは自分が納得できないとタマモクロスは「せや!」と思いついた。

 

 

「昨日たづなさんが言うてた新しいトレーナー……ええと、名前なんやっけな! まぁ、その人のところ行ってみたらどうや?」

 

 

 その人ならトレーナーにバレんと問題の解決ができるやろと口にしたタマモクロスだったが、多分行かんやろと半分くらい聞いてなかったので名前もボンヤリとしか覚えていない。それ以上に聞いていなかったオグリキャップは「誰だそれは」と首を傾げる。特徴がたづなさんが言っていた新しいトレーナーのみで、名前も声も分からない相手を頼るのはオグリキャップにはキツかった。しかし、自分のトレーナーにバレて怒られるのはもっと嫌だった。怒られるだけならまだしも幻滅されて見放されては、次のレースに勝った時に奢ってくれると言っていた約束もなかったことになるかもしれないとオグリキャップは顔を上げた。

 

 

「わかった。探してくる」

 

 

「いや、今は夜やし……ってもう行ったんか」

 

 

 サクラバクシンオー並の行動力やなとタマモクロスはやっと自分の食事にありつけることになったが、皿の上の料理は全て冷めていた。

 タマモクロスのやる気が下がった! 

 

 

 ###

 

 

「今日からトレセン学園で新しくトレーナーとして皆さんのサポートをしてくれることになった街雄さんです」

 

 

 皆さんよろしくしてあげてくださいねーと理事長秘書である駿川たづなが壇上に立っている新しいトレーナーについて説明すると、全員の視線がその男へと注がれる。

 上下青と白のジャージに身を包んだ爽やかイケメンはマイクを手に取ると自分を見上げるウマ娘や教職員、集会に顔を出しているトレーナー達へと挨拶をした。

 

 

「初めまして、トレーナーの街雄です。皆さんの肉体面、健康面を支えるお手伝いをさせていただきます。よろしくお願いします」

 

 

 街雄は顔もいいだけではなく、声もよく、一部のウマ娘や女性教員が色めき立つ。しかし、彼は専属契約のトレーナーではなく、保健医のような立場であり、言葉通りに肉体面や健康面をサポートする、言わばスポーツジムなどにいるタイプのトレーナーであった。

 それを彼にスカウトされようと頑張っていたウマ娘たちは知らない。

 

 

 

 ###

 

 

 オグリキャップが自身の身体の変化に危機感を持ってから翌日、タマモクロスから情報を経てすぐさま動いたが名前はおろか、どこにいるのかも分からない街雄を探すのは無理だったので朝イチで寮を飛び出した(しっかりと朝ごはんを食べてから)。いつも校門前に立っているたづなから一昨日にやってきた新しいトレーナーの居場所を聞き出したオグリキャップはその教室の扉を開け放った。

 

 

「む、いない」

 

 

 おかしい。この教室にいるはずだがとオグリキャップは教室へと入ろうとするが、教室に置かれている数々のトレーニング器具に首を傾げる。確かにトレーナーと名乗っているのだから器具があるのはおかしくないのだが、それにしては数が多い気がする。

 トレセン学園内にも世間一般的なスポーツジム並の器具が置かれているトレーニングルームはあるが、この教室にはそこでは見たことの無い器具まで揃っている。見慣れない器具に視線を奪われていると自分が開けっ放しにしていた扉から一人の男が入ってくる。

 

 

「おや? 僕になにか用かな?」

 

 

 手に少ししか減っていないスポーツドリンクの入ったペットボトルを握った街雄は、自分より先に訪れていたオグリキャップに声をかける。

 

 

「……貴方は私の肉体面での悩みをサポートしてくれると聞いた。だから来た」

 

 

「もちろん! そうだ。君の悩みを聞く前に名前を聞いてもいいかな? 僕は街雄 鳴造」

 

 

「オグリキャップだ。よろしく頼む」

 

 

「うん! よろしくねオグリさん!」

 

 

 互いに握手をしたところで本題に入ろうと街雄はオグリキャップからその悩みを聞いた。

 

 

「なるほど、食べすぎで体重が増えていた、か」

 

 

 よくある事だねとウンウン頷く街雄にオグリキャップは「そうなのか?」と聞き返す。

 

 

「君たちの年頃なら当然だよ。それにウマ娘はよく動く分、よく食べなきゃいけないからね」

 

 

 なんだやっぱり普通のことじゃないかと心の中でタマモクロスの嘘つきと悪態づくも、でもと言った街雄の顔を見る。

 

 

「トゥインクル・シリーズに参加するウマ娘の体重が増える=レースに支障が出るって言うことだから油断は禁物だね」

 

 

「む、それは確かに」

 

 

 たった1キロ増えただけでも、ゴールタイムがやや伸びてしまった経験のあるオグリキャップは嫌なことを思い出したように顔を顰める。あの時のトレーナーは怖かったと思い浮かべる。

 

 

「じゃあ……食べる量、減らさないとダメなのか……?」

 

 

 もう怒られるのは嫌だが、ご飯を食べる量が減るのも嫌だという葛藤に苛まれながらそう口にすると街雄は「そんなことないよ」と首を振った。

 

 

「確かに食事制限をすれば体重は落ちるよ。だけど栄養が不足してしまうから筋肉も縮小してしまう。筋肉が縮小すると代謝も落ちるんだ」

 

 

 どんなに食事制限をしようとも結果的に、食事を元に戻した途端にリバウンドするケースが多く、しかも代謝が落ちているから前よりも痩せるのが難しくなるんだと語る街雄の話に耳を傾けるオグリ。

 

 

「だから、食事量をそのままに体型を維持するなら食べた分以上のトレーニングが必要になるね」

 

 

 綺麗な身体を作るには、バランスのいい食事を摂りながら運動するのが一番な理由もこれに当たる。やはり、痩せようと思うなら食べた分だけ動くのが一番なのだ。

 

 

「それにオグリさんは成長期だし、極端な食事制限はやめた方がいいと思うよ」

 

 

「……そうか」

 

 

 それならなんとかやっていけそうだと安心したオグリキャップに街雄は朗らかな微笑みを浮かべると同時に、最後の言葉を解き放とうと身体に力を込めた。

 

 

「ガッツリ動いて、ガッツリ食べる……レッツマッスルッ!!!! 

 

 

 瞬間、街雄の着ていたジャージが吹き飛んだ。唐突にモストマスキュラーポーズを取った街雄は、ムキムキのボディービルダーの身体に街雄の顔をそのままにくっつけたような劇的な変化であった。

 ジャージが包んでいた大胸筋は大暴れするかのように大きく、上腕三頭筋、三角筋が唸りを上げる。黒いブーメランパンツだけの姿になった街雄の身体には筋肉の神が宿っており、普段はあまり驚かないオグリキャップもこの変わりようには疑問符を浮かべざるを得なかった。

 顔から下が別人では? 理科の授業で習った質量保存の法則とは一体? そもそも筋肉の膨張だけで服が吹き飛ばせるのか? 

 様々な疑問の生じたオグリキャップであったが、無理に食事制限を強いて痩せなくてもいいという今日の結論を思い出して、我に返ると感謝の意を込めて街雄へと頭を下げた。

 

 

「うん! また何かあったらいつでも来てよ!」

 

 

 こうしてオグリキャップの悩みは解決した。この日から、食事量に加減しなくなったオグリキャップとトレーニング量を増やして欲しいと言う彼女の無茶ぶりに振り回されるトレーナーの姿が見られたのは別の話。




コラム:脂肪と筋肉の比重は筋肉の方が重く、逆に言えば同じ重量なら筋肉の方が脂肪よりも体積が小さい。

ウマ娘を知らない人はこれを読まないだろうから、街雄さんの解説だけするぞ!

街雄鳴造
『ダンベル何キロ持てる?』にて主人公 紗倉ひびきが通うシルバーマンジムに所属する青年トレーナー。爽やかな顔立ちのイケメンで衣服を着ている時は標準的や体型なのだが、興奮するとパンツ以外の衣服を弾き飛ばし、首から下が合成写真を疑わんばかりのゴリマッチョ体格になる。
絵に描いたような人格者で(服さえ着ていれば)無敵のイケメン好青年。
筋肉やトレーニングに対する情熱は強く、トレーニングの解説中にボディービルのポーズを交えつつ服をキャストオフして、筋肉を見せつける癖がある。そのため、ダンベル何キロが女性キャラの方が多い作風ながら一番の肌色要員になっている。
登場人物曰く「知性を持った筋肉みたいなもの」。その凄まじい筋肉について「才能のある人が生活の全てをトレーニングに捧げて、ようやく到達できるレベル」とも評されるほどのバケモノ。
性格は良くも悪くも筋肉バカだが単純な脳筋でもなく、高校卒業後はアメリカに留学してスポーツ理論を学んでいた。
そのため、トレーニングも個々の要望に理解を示し、古い根性論や自分の様なボディビルダー向けのトレーニングを強いる様な事は決して行わせない。ダイエット向けやスタイルや体型作りや維持を意識したトレーニングもちゃんと指導し、休憩も取らせ、何より体力の低さを決して馬鹿にしないので、ダンベルキャラには総じて慕われている。

ウマ娘世界での立ち位置は「キンニク! お悩み相談室」にいる肉のお兄さん。筋肉とトレーニングで全てを解決してくれる。なお、ウマ娘はみんな日々トレーニングを重ねているので、解決するお悩みは筋肉やトレーニングの限りではない。
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