ウマッチョ ア ネーム?   作:オールF

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こっちの方が続けやすいな……(出すウマ娘に悩む点以外は)


2話:正しいフォームでスクワット!

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園にあらゆるトレーニングに精通した男、街雄鳴造がやってきた。アメリカでスポーツ理論を学んだ彼は知性を持った筋肉と比喩されるほどに筋肉とトレーニングを愛している。彼の下にとある相談のために訪れた1人のウマ娘はその凄まじい筋肉を目にして、言葉を失ってしまったが彼の話は非常にわかりやすく、もし何か(トレーナーに怒られるようなことになったら)また訪れようという気にさせるほどであった。

 だが、そんな彼の下へとやってくるウマ娘は少ない。何故ならば、彼女達には自分のトレーニングや衛生面を管理してくれるトレーナーがいるため、相談事というのはすぐその場で済んでしまうことがほとんどである。

 また、鳴造はウマ娘とマンツーマンで指導するタイプのトレーナーではなく、誰でも気軽に相談できる保健医やスクールカウンセラー的立ち位置にいるため、彼にスカウトされたいと願ったデビュー前のウマ娘たちの希望は儚くも散っていった。

 相談者が来ない鳴造の教室は閑散としている……わけでもなく、暇が出来れば訪れている女性がいた。

 

 

「んっ、んっ、あっ、んっ」

 

 

 その女性はいつも着ている緑色の制服からジャージへと着替えると鳴造の前で腰を上下に下ろす。その顔には苦闘の表情が浮かんでおり、額や頬には汗が滲んでいた。

 

 

「50! OK! よく頑張りました!」

 

 

「は、はい〜……」

 

 

 鳴造の一声でくてっと倒れ込んだ女性は息を弾ませるも、そこには何か達成感に満ちたようなものがあった。鳴造はそれを見て嬉しそうに笑顔を浮かべると、女性へスポーツ飲料の入ったペットボトルを手渡した。

 

 

「いいですね、駿川さん! ナイススクワットでしたよ!」

 

 

「そ、そうですか? ありがとうございます……」

 

 

 そう、喘ぎ声にも似た呼吸をしていたのは緑色のジャージに身を包んだトレセン学園の理事長秘書である駿川たづなであり、彼女がやっていたのはスクワットと呼ばれるトレーニングであった。

 

 

「久しぶりにやったんですけど、やっぱりキツイですね」

 

 

 鳴造から手渡されたドリンクを飲み、額の汗を拭ったたづなは楽な姿勢になると、息を整えていく。

 鳴造のために設けられた教室はトレセン学園でも使用していない教室を3つもぶち抜いた巨大な部屋である。これは鳴造がトレセン学園に招かれる際に、ウマ娘たちのために十分なトレーニングができるようにと理事長に求めた結果、何故か鳴造の求めたもの以上の教室を用意された結果である。これには普段は怒らないたづなも鬼の角が生えた。トレセン学園には既に最高峰のトレーニングルームが用意されており、さらには室内プールや実際のレースをシミュレーションするためのコースも用意されている。これ以上の練習施設の増築は維持費が重なるばかりで得にならないというのがたづなの意見であった。

 しかも、そこに赴任するトレーナーはウマ娘の、ではないというのもたづなに懐疑心を持たせることになった。

 けれども、やってきたのはアメリカで様々なスポーツ理論、トレーニング理論を携えて帰国し、複数のボディービル大会で優勝しすぎて審査員に回ってくれと打診された程の男である。

 一体、どんな男かと集会での全校生徒への挨拶前に、たづなが彼の実力を測ったところ、それは凄まじいものが返ってきた。鍛え上げられた筋肉量だけでも目を見張るものがあるというのに、ウマ娘トレーナーにも劣らない知識量を持ち、トドメには肩(僧帽筋)でメディシンボールをリフティングするという技まで見せた。

 これでは認めざるを得ないとたづなは理事長に対して詰め寄るのをやめたのだが、折角のトレーニングルームなのに利用者がいないのは勿体ないということで、暇を見つけてはこうして鳴造と共にトレーニングをするようになったのだ。

 

 

「駿川さんは何かスポーツをされていましたか?」

 

 

「えぇ、少し……それがどうかしましたか?」

 

 

「いえ、とてもフォームが綺麗だったので。経験者かなと」

 

 

 スクワットというトレーニングはどのスポーツ経験者でも1度は行うものであり、また小中高の体育の授業でもウォーミングアップに組み込まれていることがあるほどの知名度を持っている。しかし、一概にスクワットと言っても、しっかりと正しく行わなければ身体を鍛えるどころか、傷つけてしまう危険性もあるのだ。

 たづなのフォームはスクワットの理想形であり、足幅を肩幅より少し広めに開き、踵に重心を置いて猫背にならないように視線は真正面へと向ける基本姿勢が守られている。息を吸い、太ももが床と平行になるぐらいまで腰を落とすハーフスクワットの姿勢は完璧で、そこから息を吐いて立ち上がる際に膝を伸ばしきっていないのも好印象だった。

 腕のポジションはお好みなのだが、鳴造と同じく腕組み派だった。正しいフォームで楽しい筋トレライフを過ごせているたづなに鳴造は満足そうであった。

 

 

「はい、以前に陸上競技を」

 

 

 もうやめてしまいましたがと付け加えたたづなに鳴造はなるほどと頷いた。

 

 

「だから、こんなにいい大腿四頭筋とハムストリング、大臀筋を持っているんですね」

 

 

「そう言って貰えると嬉しいです」

 

 

 自分よりも圧倒的な筋肉を持っている人に褒められるのは正直いって嬉しいことであり、たづなは微笑んだ。

 

 

「でも、最近はあまり動けてなくて……お恥ずかしいです」

 

 

 何がとは言わなくても、脳みそは筋肉ではなくちゃんと脳みそで出来ている鳴造には理解出来た。女性にとってその悩みは永遠に付き纏ってくる問題であり、避けられない事案だ。だからこそ、トレーニングや食事法といった改善策があり、それを提示して健康的な身体へと導くトレーナーという仕事がある。

 

 

大丈夫ですよッ!! スクワットを毎日50回やるだけでも、身体は変わっていきますよ!」

 

 

 言いながら、パンツ以外が吹き飛んだ鳴造はその場でバーベルを持ちながらスクワットをこなす。この光景にも初めは当惑していたたづなであったがもう慣れたしまったのか、特に気にすることなく「はい、わかりました!」と気のいい言葉を返した。

 

 




コラム:スクワットをやりまくった翌日は筋肉痛で歩けなくなる。

初めはサイレンススズカにしようと思ったんですが、たづなさんの誕生日が近いということで。おめでとうございますたづなさん。明日、僕のところにスマートファルコン連れてきてくださいね!
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