魔術師達の神様ごっこ、その後始末 作:出来心な魔女
「ルーゼ! シャリオ! 我ら3人で、絶対に、絶対にあの星へ行くぞ!」
はしゃぐのは、リアン。大切な大切な友人だった。
大魔道士3人、結婚もせず研究の道を突っ走ってきた。
あえて言うなら、通信越しの弟子のエイリアンが子供みたいなものだ。
今から千年掛けて、異星へ行く計画がスタートするという。
ならば、自分達は絶対にそれに乗るのだと、リアンが騒いだ。
いつもどおりのリアンの我儘に頷いて、転生の準備をする。
財産を空間魔法で収納し、さらに隠し財産を作り、転生した後の行動を細かく検討した。
この二人となら、どこだって行ける。未来でも、異星でも。
この二人と一緒なら、僕はいつだって笑顔でいられるのだ。
「この、浮気者の子め!!」
だから、怒り狂って髪を振り乱し、僕の首を絞める男は知らない。
夢を見る。
夢を見る。
それは、何よりも輝かしい夢。何よりも苦しい夢。僕は、その夢から友情を、夢を、希望を……あるいは、目立たぬことの大切さを、生きる術を学んだ。
その夢を誰にも言う気にはなれなかったのは、そういう術だったからだと今は知っている。目立ってはいけない。隠れないといけない。
友達との約束の時までは。
約束では、14歳から一年掛けて記憶を取り戻し、15歳の誕生日に約束の地にて会う。
僕は一度死んでいるから、記憶は最初から、ただしゆっくりと取り戻す式だった。
第一候補は我が家だが、ここに集まることはないだろう。
第二候補も知り合いの屋敷なので除外。第三候補は公園となっている。
この日の為に、愚物の仮面をかぶり続けてきた。
僕は、こっそりと部屋を抜け出して、公園へと向かった。
満月だ。夜道を歩くのに苦労はしなかった。
轟々と風が吹く中、僕らは再開した。二人は先についていた。
「シャリオ!!」
大きく手を降ったのは、メガネを掛けた知的な少年だった。青い髪のおかっぱで、肌は白く、中性的な顔立ちをしている。ひと目でわかった。ルーゼだ。
リオンはというと、炎のようなくせっ毛の赤毛で長髪である。ついでに褐色。
ついでに言うなら、僕は黒髪黒目。でも、けっこう美形なのは自覚してる。
「おお、シャリオ! 懐かしいな!」
「本当にいた……本当に来た……嘘だろ」
「ん、半信半疑でも来てくれた事に感謝するぞ、シャリオよ」
「当たり前です。我ら三人の友情は、永遠ですから!」
ルーゼが胸を張る。
「では、早速儀式を行うとするか!」
「そうしましょうか!」
「……うん」
僕達は結界を張った後に、リオンの用意した真っ赤で大きな宝珠を囲んで三人で手をつなぎ、魔力を注いだ。
【1000年の時を経て! 我、ここに蘇り!! 愛の神、リオン!】
【1000年の時を経て。私はここに蘇りましたよ。知恵の神、ルーゼ】
【1000年の時を経て。僕は蘇った。力の神。シャリオ】
【【【我ら三神、只今参上!!!】】】
僕達の念話は、あのときと同じように星に届いただろうか。
輝く宝珠を、白く息を吐きながら見つめる。
「それはともかく、シャリオ。怪我だらけなのはどういうわけだ?」
「そうです。虐待されているのですか?」
「ん、二人にあったらどうでもよくなった」
二人が心配してくれるのが嬉しくて、僕はにへらっと笑う。
「どうでもはよくないだろう。引き取る手続きはどうするのだったか……」
「無理。国付きの隠密の家」
「そんなんあったんですね、この国」
「そういうわけでさ、抜け出すの大変だから、二人で楽しんでよ。足抜けも大変そうだし、なんとか自由を得られるほどほどの地位になって合流するから」
「むう……」
「魔法でどうにか出来ないのですか」
「その魔法の大家なんだよ。しかも、戦闘特化」
「えっ 魔法残ってたのですか」
「我らはインテリだからなあ……。頑張れよ、シャリオ。どうにもならぬようならなんとか匿おう」
「お願い。……そろそろ戻らなきゃ。ごめんね」
僕は、家まで戻る。
「お散歩かい? ルナ」
「ええ。今日は良い満月の日ですから」
内心で舌打ちしながら微笑んだ。
当代最強の魔術師が……兄が、同じ笑みを浮かべて佇んでいた。