バカと無情の試召戦争 ~番外編という名の復習ノート~ 作:Oclock
AクラスとFクラスの戦争が終わった次の日に、こんなクソみたいなポスターを貼り出した。それから三日が経った今日、αクラス全員が俺の家に集まった。
目の前には入部届の山。その数は実に百を超えている。
零次「……お前ら、集めすぎじゃないか?」
学園公認の部活になったとは言え、『入部試験』までは、俺や明久がこの部活に所属している事がバレるのは避けたい。他にも色々と情報を極力規制するために、入部届の受付は、直接手渡し以外認めない方式をとり、今日まで部活を行なって来なかったのだ。
それなのにコレだ。しかも、所属クラスを確認したら、二年のAクラスやFクラスの名前もちらほら入っている。今さらやる気を出しましたアピールをしたところで、少なくとも俺には響かない。
零次「近衛、何かFクラスの連中を煽ったか?やけに奴らの名前が多いんだが。」
Aクラスはともかく、Fクラスは
明久「あ……その……零…。」
秋希「いやいや、それだけFクラスが勉強に必死になろうとしてるってことでしょう。それでいいんじゃない?」
明らかに明久の話を遮るように近衛が割って入ってきた。……これはアレか?明久がなんかヘマやらかしたのか?
零次「……まあいい。どうせ『入部試験』があるわけだからな。どうせ奴らはそこで落ちる。」
いや…………落とす。『
零次「というわけで、だ。各々入部試験で使用する問題を考えてもらってた訳だが……。進捗を聞こうか。」
そう言って、工藤・佐藤・影山・真倉と、順番に聞いていった訳だが……。まあ良くも悪くも優等生の作るような問題だ。ちゃんと勉強していれば解ける、良識の範囲に納まったものだ。
零次「……なるほどな。近衛はともかくとして……。久保、お前が『こんな問題』を作ってくるとは、思わなかったんだが……。」
だが、久保と近衛が提示した問題は、出題者の思想や悪意が、見える奴には見える、そんな感じのものだった。今いるメンバーで最も付き合いの長い、近衛が作ることは想定していたが、久保まで同じようなことをするとは……な。
利光「これでも友達だからね。君が何を考えてこの入部試験を企画したのか……。去年、君が受けた扱いを考えたら、まず普通に相手を試すような問題なんて、望んでない。今まで見下された仕返しに、意地悪な問題を出して受験者を叩き落とすつもりなんだろう?」
零次「…………流石だな。その通り、久保が言ったことは概ね当たってる。あの時『入部試験』なんて言ったわけだが、その実態は『退部試験』だ。文月学園の生徒連中が、いつまで『過去の概念』を引き摺っているか、再度確認するための、な。」
わざわざ『概ね』なんて言ったのは、俺は『見下した奴らへの仕返し』なんてことを少しも考えちゃいないからだ。そんなことをしたところで、そういう奴らは『知恵』よりも『悪知恵』を働かせるだけ。
秋希「そもそも零次はあんまり他人と関わりたがらないからね。実際50人もいるAクラスで、君らとしかほとんど交友してない時点で、察しがつくと思うけど。」
零次「友達100人作ったところで、そいつら全員と平等に接することなど、不可能に近いだろ。それに、組織は大きくなったら、自然と内部で小さなグループが出来上がる。そこに悪意を持った集団が出来たら、そいつらが余程の馬鹿でもない限り、一気に組織は瓦解する。」
俺は今まで何度もそういう経験をしてきた。俺の友達だった奴らが、次の日には敵になってることが当たり前だった日常が、確かに俺の人生にあった。
零次「ま、工藤も佐藤も影山も真倉も、それぞれ頑張って考えたんだ。お前達の問題も何かの形で利用させて貰うさ。」
愛子「……もしかして、私達も試されてた、のかな?」
零次「それはお前達の解釈次第だ。それにどういう印象を抱くのかも、な。」
拡大解釈と被害妄想は、文月学園の得意技だからな。ここにいる奴は、そうでないと半分ほど思ってるが。
零次「さてと、残るは明久だけだが……。一応聞くが、何か考えられたか?」
明久「…………。」
幽也「……まあ…………、考え……て…………ないよね……。」
ねるの「仕方ないっしゅよ。わたしゅたちだって、零次の考えなんて分かって無かったんしゅから……。ふあぁ……。」
真倉、それはフォローなんだろうか?
零次「まあ、安心しろ。今日集まってもらったのは、試験問題の中間報告だからな。ここで問題を考えて貰って構わないぞ。」
明久「そ、そうなの?」
零次「ああ。今までの会話で、どんな問題が『αクラス入部試験』にふさわしいか分かったろう?ズバリ、『自分以外が解けない、かつ正解に辿り着く過程までに地雷が存在する問題』だ。後半は出来れば入れて欲しい、ってだけだが。」
実際、俺が考えた問題には両方の要素があるし、久保や近衛も問題の意図を聞いたところ同様の要素が含まれていた。
他の奴らのはAクラス相当の学力故に問題の難易度は高いものの、そういった『引っかけ』が存在しない、素直な問題だった。これでは奴らの心の底、本性を測ることができない。
理不尽な問題を突きつけることで、俺の見たいものが得られる。そう思って、この条件を入部試験に求めたのだ。
秋希「それじゃあ、改めて皆で問題を見直すとしますか。」
零次「そうだな。選択肢は多い方がいい。なるべく沢山問題を量産するぞ。」
「「「了解!!」」」
さて。この入部試験を突破する奴は果たして何人いるのだろうな。期待せずに楽しむとしよう。