バカと無情の試召戦争 ~番外編という名の復習ノート~   作:Oclock

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αクラス入部試験 ~一次試験~

 どうも、新しく出来た勉強のための部活、『αクラス』の入部試験に潜入中の青葉文です。現在、そんな部活の代表が中学時代『死神』の異名を持っていた双眼零次だということが、本人の口から堂々と発表されたところです。周りの様子を見てみましょう。

 

「アイツが代表!?」

 

「どう考えたって近衛さんがふさわしいだろ。」

 

「どうせ、脅して無理矢理代表の椅子に座ってるに決まってるわ!そうでなきゃ、あんなクズが代表になんて、なれるわけないんだから。」

 

 あやややや、荒れてますね~。まあ、それはそれとして、折角なんで隣にいる落ち着いた様子の生徒に話を聞いてみましょうか。もちろん、小声で。

 

文「ちょーっと。すみません。もしかして、知ってました?この事。」

 

雄二「……んあ?そりゃあ、初めて知りましたよ。ただ、何となく……、そういう予感はしてました。」

 

 あやや、意外にも丁寧な受け答えが返ってきましたね。もうちょっと粗暴なリアクションを期待していたのですが。

 

文「ほうほう……。その心は?」

 

雄二「このαクラスの話を聞いたのが、近衛から……だからですかね。近衛が双眼と同じ中学出身で、その頃から友人関係だったことは、本人から直接聞いています。文月学園に来てからも、度々一緒にいる所を見ましたし……。」

 

零次「………………おい。いつまで喋っているつもりだ。」

 

 ……ヤバい。完っ全にお怒りじゃないですかー。しかも、目がこっちを見ているし……。やっぱり去年の『あの事件』のこと、根に持ってるんでしょうかね。

 

零次「既に入部試験は始まっているというのに、随分と騒がしいな。それとも、自分が入部出来るというのを確信してるのか?」

 

「はあ?当たり前だろうが。」

 

「アンタみたいなクズがいるような部活、アタシ達が入れないわけないじゃない。」

 

「むしろ、お前が邪魔なんだよ!どうせ、代表やってんのだって、近衛達を脅してるだけだろ!そうに決まってる!」

 

 あちこちから、双眼君を罵倒するような発言が飛び交っている。加えて嘲笑うような声もちらほら聞こえてきている。

 ところで、彼ら本当に受かる気あるんでしょうかねー?これ、一応『試験』ですよ?そんな態度取る人を受け入れる企業や大学があるんですかねー?

 

零次「ほう……、仮にも部の代表に随分言いたい放題言ってくれるな……。まあいい。では早速、一次試験を始めよう…………と言いたいが。」

 

 再びこちらに視線が向いた。いや、私というよりは、坂本君かな?

 

零次「坂本、他のFクラスの奴らはどうした?アイツらの姿が一人として見当たらないんだが。」

 

雄二「アイツら?さあなぁ…………。今頃、試験のこと忘れて、どっかで遊んでんじゃねぇか?」

 

零次「そうかそうか……、分かった。奴らには然るべき処置をとろう。では、改めて一次試験といこうか。近衛、工藤、久保、佐藤。『例のもの』を配れ。……相手を間違えるなよ。」

 

 そう言うと、近衛さん達が、持っていた何か紙らしいものを皆に配り始めた。それから少しして、私のところまで来て…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私をスルーして、後ろの人にその紙を渡した。

 

 

 

 

 

 

 

 …………え?もしかして、私無視された?

 

零次「まだ、紙は裏返すな。貰ってない奴は、そのまま待機してもらおうか。」

 

 どうやら、今の対応が正常みたいですね。よく見たら、私以外にも貰ってない人がちらほらいますね。坂本君に少し離れた場所に座っている霧島さんも貰ってない。広報部の皆も貰っていないようですね。

 

「あの、すみません、先輩。私、紙を貰っていないのですが。」

 

秋希「え?………………要るの?」

 

「…………?ええ。これから一次試験でしょう?一部の人に意図的に渡してないように見えたのですが、流石に不公平では、ありませんか?」

 

 そんな中、花沢さんは指示を無視して紙を貰おうとしてますね……。近衛さん、明らかに困ってる表情になってます。

 でも……………………。私はどこか罠臭い気がしてならないんですよね。わざわざ、意図的に渡す人とそうでない人を決めているような配布の仕方をしている時点で、ねえ?

 

 数分後、一応準備が整ったと思っていいでしょう。その間にも何名か自分がスルーされた瞬間、配布物を要求する生徒がいましたが……。もしかして、試験を受けさせないために、わざと配らないという嫌がらせが行なわれてんじゃ……?ちょっと前までは罠っぽいと思いましたけど、やっぱり不安にもなっちゃいますね……。

 

零次「……準備が出来たな。それでは、一次試験の内容を発表する。いたって簡単だ。渡された紙を裏返して、自分の名前を書く。それだけだ。」

 

 …………本当に簡単なことですね。周りも、あまりに簡単すぎる内容に目を丸くしてますよ。

 

零次「…………ところで話は変わるが、入部届を締め切ってから一週間、君達の行動を『観察』させて貰った。普段どれだけ勉強しているか、人間関係はどんなものか…………その他色々な。」

 

ざわ……ざわ……。 

 

零次「俺達はこれから、共に支えあい知識を高めあう仲間を、現状に満足することなくひたすら上を目指す志を持った生徒を求めている。逆を言えば、過剰に自分の知識をひけらかす者、他人を平気で貶す者はαクラスに不要だ。」

 

「は、はあ!?」

 

「何よこれ!?」

 

零次「何が言いたいか、簡潔に言わせてもらうぞ。αクラスに不適切だと思った者には…………。書いて貰うぞ…………。その『退部届』をなぁ!」

 

 あややややややーー!そんなトラップは酷すぎませんか!?花沢さんはアングリ顔のまま、固まって動かないんですけど……!

 

「ふざけんなよ、テメー!」

 

「そうよ!なんで私達が不合格なのよ!私はAクラスなのよ!」

 

「そうだそうだ!大体、そこにいる赤髮の奴なんて、Fクラスじゃないか!ソイツが合格で、僕が落ちるなんてことが、あって良いと思ってるんですか!?」

 

 ……そういう態度を取るから、不合格なんじゃないですかねえ?

 

零次「さっきも言ったはずですが?直近一週間のあなた達の行動を見て、誰を次のコマに進めるか決めた、と。もちろん、αクラス全員で幾度となく議論を交わしあったうえで、ね。」

 

「デタラメ言ってんじゃねーよ!」

 

「だったら、尚更Aクラスの私が落とされて、そこのバカが受かるわけ無いでしょうが!」

 

 双眼君は変わらず、(表面上は)落ち着いた様子で対応してますが、向こうはヒートアップし続けるばかり。……段々同じ学年でいることが恥ずかしくなってきますね……。

 

零次「…………3年Aクラス、守屋香奈。」

 

「……はあ?」

 

零次「同じく3年Aクラス、金田一真之介。それからまたも同じく3年Aクラス近藤良文。レッドカードだ。今すぐ荷物をまとめて教室を出てけ…………いや、自宅に帰れ。」

 

 あー……もうこれは完璧にキレちゃってますね。最初からなんか不機嫌な感じは出てましたけど、今の双眼君からは堪忍袋の緒が切れたような感じがダイレクトに伝わってきますよ。

 

「テメェ、先輩に向かってなんて口利いてやがる!」

 

「そうですよ!貴方の匙加減で勝手に僕達を不合格にしておいて、文句が出ないとでも思ってるんですか!?」

 

 しかし、そんな感情を一ミリも把握していない優等生(笑)達はさらに罵声を浴びせる。

 

零次「先輩方、今の状況分かってます?自分の学力を過信して、軽々しい気持ちでαクラスの試験に挑んだ。あなた方が一次試験(ここ)で落とされる理由は、それが一番の理由だ。Aクラスだから合格確実など、思い違いも甚だしい。そんな現実を認めずそうやって喚き散らす。正直、醜いったらありゃしませんよ。」

 

「な、んだとぉ……。」

 

零次「そして、そんな醜い先輩の姿を、後輩達が見ている。我々2年はともかく、まだこの学園に来て日の浅い1年は、そんな先輩に敬意を払えますかねぇ……。」

 

 そう言われて、ちょっと記憶を整理してみました。…………よくよく思い出したら、今回紙を渡された生徒のほとんど……いや全員が2年と3年でしたね。

 

「そんなの、知ったこっちゃ無いわよ!後輩は後輩らしく、おとなしく先輩を敬って、言うことを聞いてりゃいいのよ!」

 

 あー、もう、これは救いようがないですねぇ……。どんどん3年の、特に学年トップであるAクラスの印象が悪くなっていっちゃいますよ。

 

零次「…………やはり、何を言っても無駄か。西村先生、フィールドを展開してください。自分の立場が分かっていない先輩方を強制退去させます。」

 

西村「……仕方がないな。私が見ても、αクラスの顧問としても、一人の教育者としても、目に余る光景だったからな……。」

 

 その言葉とともに、試召戦争のフィールドが形成される。科目は…………展開しているのが全科目の形成権限を持っている西村先生なので、判断がつきませんね。

 

零次「試獣召喚≪サモン≫だ。予定変更だ。一次試験はいきなりだが、試召戦争を行う。生き残った者に、二次試験に進む権利を与える。もし俺を倒せたら、特別に全員を二次試験に進ませてやるよ。自信のある奴はかかってこい。」

 

「「「試獣召喚≪サモン≫」」」

 

 その言葉に、退部届けを渡された全員が反応しました。私?召喚獣が生存すれば勝ちなんだから、召喚しなくてもよくない?

 

[フィールド:日本史]

 

2-A 双眼零次・・・444点

 

VS

 

3-A 金田一真之介・・・358点

 

3-A 守屋香奈・・・256点

 

3-A 近藤良文・・・291点

 

他3-A生徒14名・・・平均287点

 

他3-B生徒10名・・・平均157点

 

他2-B生徒4名・・・平均196点

 

他2-C生徒12名・・・平均142点

 

他2-D生徒2名・・・平均88点

 

2-F 坂本雄二・・・146点

 

 普通の試召戦争ではまず見られない数の召喚獣が教室中に一気に現れる。にしても、これだけの人に退部届を渡してたの……?いや、一部ソレを渡されてない人も参加してますね。一年生は……、まだ召喚獣の操作実習を受けてないからなのか、私と同じ考えからなのか、一人も参加しないみたいですね。一方で2年の方のAクラスは、自分の代表の恐ろしさを知っているからなのか、大人しく退部届に鉛筆を走らせてました。

 

「はあ!?なんだよその点数!?」

 

「明らかにカンニングじゃないの!!」

 

「そもそも、この人数に勝てると思ってるんですか?ここに貴方の味方はいない。大人しく、さっきまでの失言を取り下げて、僕達を入部させなさい!!」

 

 うわあ……。ここまで分かりやすい敗北フラグと言うのは、見たことがありませんね。坂本君以外の生徒も『まさか、この人数相手に勝てるわけない。』『これだけ人がいるなら楽勝だ。』と高を括っているのか、余裕そうな表情を見せています。

 

零次「…………先輩方、後で腕のいい耳鼻科の先生を紹介しましょうか?言ったでしょう……ここから強制退去させると。」

 

 

 

スカカカカカーーーーーン!!

 

 

 

 あやあ!?い、一体何の音ですか!?そ、そして…………。

 

[フィールド:日本史]

 

2-A 双眼零次・・・444点

 

2-F 近衛秋希・・・408点→208点

 

VS

 

3-A 金田一真之介・・・358点→戦死

 

3-A 守屋香奈・・・256点→戦死

 

3-A 近藤良文・・・291点→戦死

 

他3-A生徒14名・・・平均287点→戦死

 

他3-B生徒10名・・・平均157点→8名戦死

 

他2-B生徒4名・・・平均196点→1名戦死

 

他2-C生徒12名・・・平均142点→戦死

 

他2-D生徒2名・・・平均88点→戦死

 

2-F 坂本雄二・・・146点

 

 こ、この状況は何ですか……。さっきまで召喚獣を出していなかった、近衛さんが何かしたんでしょうが……。仮にそうだとすれば、どうやってこれだけ大量の戦死者を一瞬で作り出せるのか…。しかも戦死したのは退部届を渡された人のみ。これを偶然と取るべきか、それとも全て計算されていたのか……。う~む……分からないことが多すぎる!

 

秋希「は~い、試験終了で~す。戦死した人はおとなしくお帰りくださ~い。」

 

「ふ、ふざけるな!!」

 

「こんなインチキで勝って嬉しいの!!」

 

秋希「インチキって……私はただ腕輪能力(公認チート)を使用して、『友達』を助けただけなのだけど?零次一人で戦うとも言ってないのに、それの何が悪いことなのか、納得のいく説明をどうぞ、先輩?」

 

 あ、やっぱり腕輪でまとめて倒したんですか。まあ、肝心の能力が全く分かりませんが。

 

「くっ……。ですがあんな回避不可能な攻撃なんて、理不尽なことに変わりないじゃあないですか!」

 

零次「理不尽?何を言ってるんですか。世の中なんてのは理不尽の連続、自分の思い通りにならないのが普通なんですよ。先輩方は、俺より一年多く生きてるのだから、この程度のこと知ってて当然だと思ったのですが……。それとも、今までの人生思い通りにいっていたから、そんな『当たり前』のことも理解出来ずにいるのですかね……。」

 

 あの後、戦死者は西村先生によって補習室へと強制連行させられました。最後の最後まで、例の3-Aの3人は喚き散らし、他の3年も恨めしそうに双眼君を睨んでました。対照的に2年の方がよっぽど大人しかったですねぇ……。後輩の方が余程しっかりしてません?

 そして、現在教室に残っているのは、ざっと数えて30名……。

 

零次「さあ……。二次試験といこうか……。」

 

 こうして…………、恐怖の入部試験……もとい『退部試験』が幕を開けました。

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