これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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狂人との邂逅と因縁。

「よう!グーダデン。調子はどうだ?排熱液の定期的な交換はやっているか?最近はゴブリンチップが売れ筋だ。」

 

俺に向けているであろう声を無視して歩いていく。俺はグーダデンではない。

 

「地竜の時計は家の裏側に置いてあるだろう。星座は網膜に焼き付いているか?」

 

頭がおかしい人はスルーが鉄板。変に反応して顔を覚えられては面倒だ。

 

「再構成計画の進行は難しいな。指揮官の脳髄が二つほど足りないんだ。」

 

周りの目がすごく気になって仕方がない。

 

さっきから狂人と黙り込んでいる2人組として見られている気がする。いい加減こいつの喧しい首を刎ねてやろうか。

 

「お前はグーダデン?俺はダグラーン。昨日の庭の穴はみたかい?」

 

・・・・・。

 

「今日はいい天気だ。愛国者の首でサッカーをしよう。」

 

まじで殺してしまおうか・・・?こいつもマスター。俺の中では殺しても良い人種だ。でも狂人に目をつけられるのはなぁ。

 

「やぁ。ルンバ。はうあゆー?」

 

!?普通に喋れたのか?

 

「あいむふぁいん。せんきゅー。」

 

殺す。

 

いくつものモンスターの血を吸ってきたショートソードで横凪に振る。PKの首や心臓を破壊してきた逸品だ。俊敏に反応した狂人が抜き放った刀で受け流す。

 

今のはPK慣れした反応だ。こいつもPKか。

 

「今宵のピーナッツヌガーは一味違うでしょう。」

 

そうか。そいつの銘はピーナッツヌガーでいいのかい?刀につける名前じゃねぇな?

 

「こいつの銘はフランベに決まってんだろ!」

 

駄目だ。狂人に交信を試みるの無駄だったな。

 

つまり、なんだ。俺に殺されテェんだな?さっさとそう言っておけよ!

 

俺はカーソンと融合した。街の外なら遠慮なく暴れることが出来る。

 

【瘴鼠衛衣】が巨大な鼠の体を象っていく。

 

奴は目を輝かせて全身の装備を換えた。闘争心が血に塗れた装備に反映されているかのようだ。

 

呪いの装備群。【暗黒騎士】か。

 

【暗黒騎士】は騎士系統の上級職であり、スキルで呪いの装備のデメリットを軽減することが出来る。

 

呪いの装備は【拳姫】に使われていたように拘束や拷問などの用途に使われることがあるが、デメリット付きの武具として扱う場合、同じ等級の装備より性能がかなり高くなる。

 

さらに言うと込められた怨念が強いほど装備スキルや防御力は向上するのだ。その分デメリットは強くなるが。

 

【暗黒騎士】は【騎士】のENDとHP、【呪術師】の耐性スキル、【暗黒騎士】の呪いの装備のデメリット軽減スキルの組み合わせで強力な装備を使うことが出来る強力なジョブとして一部のマスターの人気を集めている。

 

呪いの装備の凶々しいデザインが好きと言う層もいるが。

 

そして奴の装備群は血の不吉さだけではなく、テリトリーらしき黒紫のオーラで覆われていた。

 

おそらくは呪いの装備限定の装備強化だ。エンブリオは用途を限定的にするほど強化される。装備強化を呪いの装備限定にした時、その出力はさらに上がっているだろう。

 

そして全身を呪いで覆う奴の行動から判断して、多分あっている。だから正気ではないと言う評価も付け加えよう。

 

実際奴の全身からの出血と顔色が悪くなっている。病人のような出立ちでありながら、顔だけは狂戦士のそれだ。

 

黒紫の刀を後ろに構えて突撃してくる。しかし俺には正面戦闘に付き合う筋合いはない。

 

《採掘》で砂に潜り込み、【瘴鼠衛衣】の尖ったスパイク群で《気配察知》の反応を当てに奴を串刺しにしようと地上を蹂躙する。

 

俺の必勝戦法だ。地上でしか活動できない暗殺チームを全滅させた実績がある。

 

しかし奴は《採掘》によって音も無く突き上がってくるスパイクを寸前で躱していく。

 

《危機察知》や《殺気感知》の装備スキルか?強化されたスキルならこうした芸当ができておかしくない。俺とカーソンのAGIで伸ばされるスパイクは亜竜級を簡単に串刺しに出来るのだから。

 

ヤるなら逃げられない範囲制圧か。

 

俺は俺の真上に奴がいるように追い込んで、円形のスパイクの柵で包囲した。

 

柵の中を次々にスパイクが突き上がり、状態異常に汚染された血霧で柵の中を満たしていく。

 

【探索隊】で《環境耐性》を持つ俺の血はカルディナの高熱に対して耐性を発揮する。少なくともすぐには蒸発したりしない。

 

それでも奴は倒れない。状態異常を対策してあるのか。呪いの装備のデメリットと被ったな。

 

ならば《窮鼠精命》で対策を貫通して共有し、病毒、拘束系状態異常で耐久戦を仕掛けるまでよ。

 

わざわざ正面戦闘に自信がありげな狂戦士を正面から相手取る奴がいるかってんだ。

 

大事なのは俺の土俵で戦って相手の得意を発揮させない事。

 

散々俺をメタった鬼畜UBMどもの戦闘で俺はその事実を学んだ。

 

肉体ドレインとか状態異常耐性貫通とか瞬殺首チョンパとかな。どいつもこいつも即死級の際物ばっかりよ。

 

ああ、カーソンに【瘴鼠衛衣】ごと起爆符で消し飛ばされた事もあったか。

 

《窮鼠精命》で弱っているはずの奴だが、俺は奴が死ぬまで地上に出る気はない。

 

どんな呪いの装備を持っていて、どれだけ強化されているのかわからない状態で愚を犯す必要はない。

 

だから俺の優位は覆ることはない。

 

筈だったのに。

 

《ラスト・コマンド》《起死回生の呪骸》

 

奴が拳を真下の砂地に叩きつけた。それだけで砂が弾け飛び、俺が地表に暴き出される。

 

攻撃の最終発揮値が上昇しているのか!?STRか攻撃力のどちらが上昇したかわからない、が、少なくとも奴の攻撃は一撃必殺に足る威力を持ち合わせている。

 

《採掘》で安全地帯を確保することは出来ない。状態異常は対策。強化されたらしき《危機察知》や《殺気感知》を持っている。高威力耐久型。

 

だったらAGIのヒットアンドアウェイでゴリ押ししかねぇよなぁ!!

 

俺は半アンデット化のデメリットを承知で【怨騎融鎧】と更に融合した。

 

鼠の意匠を全身鎧に取り込んだ巨大な人外騎士がカルディナの大地に出現する。

 

俺は血色の巨大コアとなって【鎧巨人】のように空っぽな鎧を操り、更に上昇したAGIで翻弄する。

 

しかし奴は追随してくる。AGIも上がっているのか!

 

しかし顔色がもう死人のようだし、装備は血に染まり切っている。

 

《看破》で見てみるとHPも0になっている。それでも動いているのは【死兵】の《ラスト・コマンド》か。

 

【死兵】の上限レベルだと最大で1分。1分凌いで仕舞えば俺の勝ちだ。

 

奴の狙いは上昇ステータスでの抹殺。俺が正面戦闘する気がないのは明らか。

 

ならば潰すなら・・・

 

脚だ!

 

「シィィヤアハァ!!」

 

奴は予想通りに呪われた武具を投擲してきた。刀では無く、投擲斧だ。

 

《石呪の斬痕》

 

異常なSTRで投げられた斧は狙い通りに俺の前脚を切断し、断面を呪いで犯す。

 

【石化】だ。切られた前脚の断面から石に変化している。エンブリオで強化された【石化】は石化速度が尋常では無い。

 

俺は石化が腰まで至る前に、前脚を自ら切断した。

 

ゴロンと巨馬の脚が砂地に転がる。呪いは前脚を完全に石化させた。

 

奴がニヤリと嗤った。獲物の足掻きが無駄である事を知っていたから。むしろ好都合ですらあった。

 

俺は今は無い目を見張った。奴のエンブリオの強化はここまでなのか。

 

石化が自切した断面から石化が進んでいる。実行者を問わない断面が石化条件・・・!

 

奴のエンブリオは呪いの装備を強化するもの。呪われた武具の切り替えが奴の汎用性を高めている。

 

シンプルだがエンブリオと戦闘方法の強いシナジー。高性能な呪われた武具を更に強化させるとここまで厄介だとは・・・!

 

「お茶会の準備は済んだか!?」

 

訳の分からない妄言と同時に刃渡り以上の人馬の腰を刀で両断する。

 

もはや動くことは叶わない。石化を抑える事もだ。

 

最悪、《高位霊術師》の《デッドリー・エクスプロード》で諸共自爆しても良いのだが・・・

 

空っぽの鎧に気付いた奴が鎧の中に入り込んで俺の姿を探す。

 

次の瞬間入ってきた断面が極彩色の壁で塞がり、鎧の内壁が収束していく。

 

壁には鋭い剣の群れがびっしりと生えており、鎧は中世の拷問器具のように内部の人物に風穴を空けんと自らを外から圧縮していく。

 

狙いを察した奴は装備を【グデアメール】のような呪われた全身鎧に変更し、巨大な戦斧で剣の群れを薙ぎ払い、鎧の中から脱出を試みる。

 

それは正解だ。実際鎧の強度は奴の強化された呪われた武具で突破できる。

 

しかしお前はここで詰みだ。

 

俺は《デッドリー・エクスプロード》を鎧の外側から発動させ奴ごと鎧を爆破させた。

 

奴は全方位から火薬の壁に包まれて爆発したようなもの。いくら【暗黒騎士】の耐久でも【高位霊術師】の奥義は耐えられまい。

 

なんせ呪われた装備の怨念も燃料なのだから。

 

俺は血色の鼠の姿になっていた。

 

【怨騎融鎧】と【瘴鼠衛衣】との融合で鼠型コアの自力移動を可能としたのだ。

 

俺は奴の侵入と同時に脱出し、遠隔操作で鎧を操っていた。

 

【鎧巨人】の《アーマー・アジャスター》と違って怨念の物質操作の容量で鎧の遠隔操作は可能。形状も元が【瘴鼠衛衣】だから操り易いし。

 

まぁこのコアを破壊されたら終わりだから、シェルター代わりの鎧に隠れていた方が安全なのだが。

 

1分経過。【死兵】の《ラスト・コマンド》は終了。更に全身を《デッドリー・エクスプロード》で燃焼させた。装備は破壊。

 

もはや動くことすらあるまい。

 

なのに。

 

「ルゥゥゥンバァアアアアア⤴︎⤴︎!!!」

 

粉塵の中から《殺気感知》と奴の怨叉が聞こえるのはなんなんだ。

 

しぶとい奴だ。いや、まさか・・・爆破の瞬間全裸になったのか!?

 

・・・正気ではない。いくら《危機察知》で全身の呪われた装備が危険物になったからといって、身を守る為に爆破に生身で対応するなんて!

 

爆破の性質から考えて、反射の領域で判断したはずだ。

 

痛覚がカットされているとはいえ、生物の本能的な恐怖を当たり前の様に乗り越える精神性は主人公級か、或いは怪物級か。

 

しかし全身の燃焼を免れたといっても《ラスト・コマンド》はもう終了しているはずだ。

 

《看破》を奴が全裸で唯一装備している装備に発動させたが、詳細不明。少なくとも燃焼しなかった事から呪われた装備ではない。

 

俺の《看破》のレベルじゃ性能を把握できないものもある。そして唯一無二の装備スキル。

 

MVP特典だ。

 

それも【死兵】にアジャストした特典。

 

効果は十中八九、《ラスト・コマンド》の強化。それしか考えられない。効果時間の延長か?

 

効果がどれほどか分からない以上、狙うは特典の破壊か【死兵】の弱点である首の切断しかない。

 

俺は血色の鉤爪と歯を生やした。鼠の姿では剣は使いづらい。

 

四つん這いになって鼠の走り方を今この瞬間、最適化させる。

 

奴も既に死んでぼろぼろの体でテリトリーのエンブリオから呪われた装備を取り出して装備する。《告別の黒闇》を発動させて性能を更に上げる。

 

爆破で吹き飛んだ戦斧の破片が砂漠に落ちた。

 

示し合わせた様に両者は走り出した!

 

鉤爪を振り翳して部位の切断を狙う俺。呪いの槍でリーチを生かして串刺しを狙う奴。

 

より速い俺が有利。しかし奴の《告別の黒闇》で強化された刺突はフェイク。

 

槍を正面に手放して《爆破》。呪いの槍は込められた怨念を解放して爆発し、飛び上がった俺を退け反らせる。

 

瞬時に空中で体勢を立て直すが、追撃する様に奴も爆風を突っ切って次の呪われた武具を装備している。

 

禍々しい短剣で自らリストカットをして、血を撒き散らすと同時に俺に【呪縛】の状態異常が発生した。

 

《メンヘリック・リストカッター》

 

本ッ当に呪いの武具は陰湿だな!

 

しかも血を掛けてきた。汚い。更に【呪縛】が強まる。【暗黒騎士】の《ブラッド・カース》だ。二重の【呪縛】・・・!!

 

呪いの大剣に装備を切り替えて上段に構え、【呪縛】で動けない俺に照準を決める。

 

《処刑の血飛沫》《リバース・クルセイド》

 

地面から生命を削る闇属性のエネルギーが迸る!漆黒の光が血色のオーラを纏って俺を飲み込もうとして。

 

カルディナの砂漠が爆発で巻き上がる。

 

「土中のタイムセールは恒星。」

 

勝ちを確信した奴が妄言を吐き捨てる。

 

勝ってもそれなのかよ。

 

まぁ、勝負は終わっていないんだが。

 

奴がギョッとした。

 

砂塵の影から葉が生い茂った枝が生えて砂の幕を突き破る。

 

根本で球根みたいになった俺から大樹が生えて巨大化していく。

 

大樹の周りは幾つも若葉が生えて急激に成長し、黒い森となる。

 

今まで使うことすら無かった、【故旧賦活 メガプランテスト】と【樹精寵紋 ディアプラン・キャンドル】の装備スキルだ。

 

【故旧賦活 メガプランテスト】は周囲のリソース量に比例する短時間の超速リジェネ。

 

【樹精寵紋 ディアプラン・キャンドル】はHPの継続的な消費で嘗ての夢幻の世界の森を俺を起点に形成する。

 

形成された森は物質に干渉するが、夢幻の存在としての性質で《破壊不能オブジェクト》の性質を持つ。

 

その分代償は重いが、超速リジェネと併用する事で相殺できる。

 

そして奴は全方位から無言の殺意を受けて索敵系が役に立たなくなった。

 

領域展開ってな。俺の術式じゃなくて【キャンドル】のだが。

 

少なくともAGI型でも無いお前には必中さ。

 

「ブッチャー!!」

 

両手斧を装備した奴が全方位から押し寄せる根を弾き飛ばすが傷は付かず、やがて黒い根の波に飲み込まれる。

 

奴の目は飲み込まれる寸前まで闘争の狂気に染まっていた。

 

俺はプチっと奴を圧殺した。

 

《殺気感知》は反応しない。

 

黒い根の隙間から光の粒子が漏れ出て、奴の死を確実なものにしていた。

 

「お前はまぁまぁ強かったよ。俺が殺してきた中じゃあな。」

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

後に〈超級〉となった【呪王】とルンバの因縁はここから始まる・・・!

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))
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