これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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健全なスポーツ?in〈淫魔の宮〉

大砂漠をグランバロア商業船団の客船の砂上船で超えて機械の国、ドライフ皇国に着いた。

 

客船のスロープを一匹のプレーリードッグが下船している。

 

勿論、そのプレーリードッグは俺だ。着ぐるみモードである。

 

【すーぱーきぐるみしりーず ぷれいどっぐ】無しでも客船の屋内環境は快適に保たれていたが、イメージアップの一環として常時着用している。

 

着ぐるみの中は息苦しくもないし、寧ろ生身より快適ですらある。器用に動けるから不便も感じないしな。

 

それに出立前のシスターさんとレッセルは愛くるしい容姿にメロメロだった。

 

一時は警戒していたものの、このリアル志向毛皮のフワフワさを前に脆い警戒心は無力の極みでしかない。

 

客船の中でも子供に大人気だった。遊園地のマスコットキャラの役者になった気分だ。気分が良いので群がる子供に高級角砂糖を分けてやった。一人3個までだ。

 

俺はご褒美用に高級角砂糖を常備していた。

 

機械の国なだけあってMPで使用できる機械式アイテムが売られている。流石にそこいらの武器屋で強力な機械武器が売っている訳ではないが。パイルバンカーはどこに売っているんだ?

 

カーソンならパイルバンカーを使えそうな気がする。カーソンは武闘派メイデン化済みだ。

 

攻撃手段が拳だけなのは味気ない。

 

だから人間形態の武器も使わせてみたい。それもネタ武器種を。火薬式炸裂戦鎚とかないかな?

 

〈叡智の三角〉というクランでマスター達がデンドロ初の人型戦闘ロボを作ろうと四苦八苦しているらしい。なので今は武装開発に回すリソースが無いんだとか。残念。

 

でも【技師】系統などの生産職にオーダーメイドしてもらう事は出来る。・・・帰ったら生産系超級職の【設計王】に造ってもらおうか。

 

腕前は「全自動卵割り機」や【禍遷忌匣】の性能で既に証明されている。

 

パイルバンカーが欲しいならわざわざ皇国に来る必要無かったな。

 

やはり本来の目的に注力した方が良いか。

 

ふと見上げると鋼鉄の都市にそぐわぬ意匠の建造物が。威厳がありながら何処か淫靡な雰囲気を放っている。

 

俺の目の前には未だ攻略されていない難攻不落の【色欲魔王】転職神造ダンジョン〈淫魔の宮〉があった。

 

ここからならダンジョンに出入りする人の流れが見える。

 

まぁ、すぐには入らんがね。色々準備もあるし。

 

まずは、その準備一つとして〈蜃気楼〉ドライフ支部への顔出しだ。

 

〈蜃気楼〉カルディナ支部長から事前通達が行っているからな。すっぽかすのは流石に不味い。

 

顔合わせが済んだら、wikiに載っていたダンジョンアタックに必要なアイテムの買い出しと宿の確保。

 

状態異常対策は【瘴鼠衛衣】とカーソンだけで良い。

 

ジョブクリスタルで下級職の【採掘士】を【死兵】に変える。《採掘》は着ぐるみで代用できるようになったからな。

 

【死兵】はあの狂人が使っていたジョブだ。【死兵】というのはそれほど強いジョブでもない。ステータスは全然上がらない上、習得スキルは一つだけだからだ。

 

奴は特典と組み合わせる事で全身が欠損するまで動く不死者になっていたが、今回俺も似たような事をしようと思っている。

 

あれは活動不可になるまで戦闘を強制する、ある意味一種の呪いの装備だったが、俺はカーソンと融合する事で特典の破壊を未然に防ぐ事ができる。

 

そして融合中の装備スキルは固有スキル扱いになっているのだ。

 

つまり《ラストコマンド》中でも《窮鼠精命》と《星侵超樹》、特殊バフ化している【もかでぃあ】の保有カロリーの使用で自己延命蘇生コンボが出来ると踏んでいる。

 

即死級の状態異常でも《星の救世》の耐性と《窮鼠精命》の治癒困難を含むデメリット打ち消し&《星侵超樹》の超回復で復帰可能だ。

 

全身が消し飛んでいても、同化中であり非実体生物で純竜級の【もかでぃあ】をカロリー源にすれば《窮鼠精命》は発動できる。

 

カロリーを【もかでぃあ】に貯めておけば限定的な不死身になれるのだ。

 

あとは【もかでぃあ】が瞬時とは言え、膨大なカロリーを使わせてくれるか次第なだけで。

 

このビルドの成立は【もかでぃあ】の一存に左右されている。事前の好感度稼ぎが必要だ。

 

必然的に【もかでぃあ】に奉仕する構造が出来上がった。

 

大分久しぶりに実体化した【もかでぃあ】に食料アイテムを貢ぎ、体の下は柔らかな敷物を敷いておく。

 

柔らかい鱗を丁寧に洗浄し、でっかい吸水タオルで水気を拭き取る。仕上げに魔力式ドライヤーで乾燥させる。

 

汚れと曇りがない鱗が日光に反射して輝いていた。【もかでぃあ】は生粋の箱入り息子なので傷跡が一切ない。

 

俺はたぷんたぷんの皮下脂肪を楽しみながら飼い主とペットの触れ合いに心を憩わせる。

 

多幸感で満たされていた。今まで何処かささくれていた心が、たぷんたぷんの脂肪によって解き解されている。口に食料を入れてやり、鱗を撫でる。

 

カーソンも【もかでぃあ】の脂肪製ベッドで微睡んでいた。普段は悪鬼の如き殺業を繰り出すというのに、リラックスしきった寝顔は普通の美少女だ。

 

カエルみたいな巨竜を世話するプレーリードックと巨竜の上で微睡む美少女という御伽噺のような平和な日常の光景が此処にあった。

 

・・・・・

 

夕方に近づいて、そろそろ取っておいた宿に行くかとカーソンを起そうとしたら、小さなハリネズミとヤマアラシの中間のような動物が乗っていた。

 

頭上に名称が表示されないからモンスターではないのだろうが・・・ガードナーのエンブリオか?

 

《気配察知》に引っ掛からなかった上に小型だから、戦闘関連以外の特性を持った非戦闘系ガードナーなのかもしれない。

 

ふむ。どうしたものか。当のガードナーは寝転がりながら脂肪を堪能している。見てわかるほどに楽しそうだ。

 

マスターはこの辺に居ないのか?

 

辺りを見回すと、こちらに気付いて歩いてくる女性の姿が。左手の甲に紋章がある。

 

外見の年齢は二十代前半くらいで、格好は普通にファンタジーっぽい装備だが、雰囲気がどことなく秘書のように感じる。

 

俺は瞬時に女性マスターの顔面偏差値をチェックして脳内に記録した。高記録だ。

 

「これは着ぐるみ?ベヘモット。此処でしたか。探しましたよ。」

 

『』

 

小動物が女性の言葉に反応する。ぴょんと軽やかに宙を舞って女性マスターの胸元に飛び込む。

 

その跳躍軌道は水泳の飛び込みのようだ。非戦闘系ガードナーの挙動でありながら技術点と芸術点が高い。

 

瞬時に玄人目線になった俺のAGIはその美しい軌道をはっきり捉えていた。

 

マスターがベヘモットを抱いて軽く会釈する。

 

「うちのベヘモットがご迷惑をおかけしました」

 

ああ。その子は大人しかったから大丈夫だったよ。

 

君もガードナーのマスターなんだろ?俺はTYPEメイデンの複合だから君と違って純粋なガードナーじゃないけど。

 

「えぇ。私達と一緒ですね。ベヘモットと一緒に歩いていたら急に居なくなってしまいまして。」

 

少し反省した様子の小動物が鳴いた。

『』

 

鳴き声の意味がわかっているのか女性は頷く。

「しかしベヘモットが楽しそうだったようで良かったです。」

 

うむ。久しぶりに正しいガードナーとマスターのあり方を見た気がする。普通はこうだよな。

 

「?普通、とは?」

 

ああ、口に出てたか。いや、こっちの事情でね。宿に帰るんだろう?暗くなるから気をつけろよ。

 

「御気遣いありがとうございます。では。」

 

『』

 

去っていく後ろ姿を見て俺は頷く。また違ったタイプの美女と接触できた。これだけでも皇国に来た甲斐があった、と。

 

起きたカーソンが怪訝そうな顔で「同類の気配を感じたんじゃがのぅ?」と言っていたのが後ろから聞こえた。

 

寝起きで寝ぼけてたんじゃないか?

 

翌日、俺たちはドライフ支部で貰った【許可証】を提示して〈淫魔の宮〉に入場した。

 

本来ならば皇国への所属と高額な金銭、貢献実績が入手に必要な【許可証】だが、〈蜃気楼〉ドライフ支部ならばたった一つを用意する事は容易い。

 

俺の場合、事前にカルディナ支部長の推薦があったから国家所有の神造ダンジョンに簡単に入る事が出来た。 

 

上層の下級淫魔とトラップは【斥候】の《罠探知》とステータスで突破。美青年の淫魔は念入りに【規制済み】した。

 

中層からがお目当てのブツが存在するという。

 

俺は上層のボス部屋に出てきた中級淫魔の顔面を【規制済み】して中層に踏み入った。

 

この時点で《星の救世》を発動して二つの特典と融合済みだ。

 

【魅了】【気絶】【催眠】の耐性を獲得し、5つの耐性枠を保険に残している。【もかでぃあ】のお陰でLUCやDEXが上がって耐性の強度が上がっていた。

 

命綱であるスキル発動を阻止される事だけは避けなければ。

 

そして俺は【気絶】させた女性の淫魔達をゴクリと体内に飲み込んだ。男の淫魔は即座に全リソースを搾り殺す。

 

【メガプランテスト】の装備スキルである《星侵超樹》は周囲のリソースを吸収増幅させてHPに換える。

 

しかし、融合形態ならば、レジストが弱まった対象のSP、MP、HPを吸収対象に出来る。

 

俺の体内では植物の蔦に囚われた淫魔が並んでいた。触手モノの◯ロ同人みたいだ。

 

内部の淫魔をゆっくりと吸収してリソース化するのだ。イケメン淫魔は生かす価値がないので殺したが。ドロップしたアイテムは回収していく。

 

肉壁から伸びた蔦が記録結晶でこの光景を記録していく。

 

俺は今、幸せの絶頂を感じていた。桃源郷は此処にあったんだ・・・

 

・・・・・

 

〈淫魔の宮〉のトラップはかなり意地が悪い意図を持って仕掛けられているようで、《罠探知》などのスキルが無くても罠の存在を認識できる仕組みになっている。

 

認識できるからって回避するか解除できる訳ではないが。

 

《危機察知》対策済みの即死罠や《殺気感知》が正常に発動しない空間など、常に冷静に観察して臨機応変の対応を求められている感じだ。あと時々知能パズル含めるのはヤメロ。

 

冷静になって観察する事は精神的動揺や状態異常で妨害してくる淫魔相手では極めて難しい。追い討ちで罠解除に失敗したら死が迫ってくる辺り鬼畜としか言いようがない。

 

ティアンにとってはだが。マスターは強制的に精神を操る状態異常を保護機能の一環で無効化できる。

 

更に俺は並列思考で淫魔掃討担当と罠観察に処理能力を割いているから問題なかった。一体化したカーソンがミスをカバーしてくれている。

 

でも不満があるとするならば、さっきからカーソンが体内に捕えた淫魔を殺そうとする事だけだろうか。

 

何故か融合した【瘴鼠衛衣】がカーソンの制御下にあるようなのだ。俺の操作を一切受け付けない。代わりに【故旧賦活】で形成された根っこは俺の制御下にあるが。

 

表面上は順調に探索が進んでいるが、体内では忙しなく一進一退の攻防戦が繰り広げられている。淫魔を貫こうとするスパイクを根が絡め取り、根の間隙を突いて極細の針が淫魔を襲う。

 

上級淫魔の火属性魔法が直撃したがHP回復でごり押しして接近し、男なので仕留める。

 

順番通りに進まなければモンスターハウスに連戦する階層では、道を間違えて闇属性魔法の掃射で中の淫魔ごと攻撃された。

 

女性淫魔を【気絶】させたところをカーソンが操る【瘴鼠衛衣】が掻っ攫って肉盾にし、更にそれを囮に俺が淫魔を乱獲する。

 

カーソンが極小の針の群れを切り離して散布し、呼吸器を傷つける方法を編み出した。針はHP回復でまた再装填できる。

 

俺は根っこを不織繊維状にフィルターを形成する事で対応するが、スパイクがフィルターを引き裂こうと躍起になってくる。

 

俺とカーソンの間で淫魔を巻き込んだ奇妙な代理戦争が勃発していた。

 

哀れな淫魔達は綱引きの余波で散っていく。俺達は揃ってゾーンに入っていた。視界がクリアになって色っぽい淫魔の印象が平坦に、フラットに貶められる。

 

人型しか余計な認識を省いた思考で瞬時に判断して捕え、カーソンにフェイントを仕掛けるが、ゾーンに入ってより集中力が強化されたカーソンにフェイントは通用しない。

 

より全体的に、戦力的に、俯瞰的に。

 

一対一の勝負は一対一対複数に変遷し、状況に付いていけないものから順に振り落とされる。

 

時に一対一に逆戻りすることもあれば、淫魔を利用して複数対一に持ち込む。

 

針を盾に根を使い、根の成果物を針が掠め取る。音もなく落ちてきたギロチンを人外のSTRを発揮する根で粉砕し、迷路を針でマーキングして攻略する。

 

広い中層のボス部屋での淫魔争奪戦はボスを放置、召喚された淫魔をスコアに空間を縦横無尽に利用した大接戦となった。

 

思えば俺はカーソンとは対等に喧嘩をした事がない。ジョブスキルが固有スキルより多かろうがステータスの差で押し切られてしまうのだから。

 

だからカーソンに喧嘩を吹っ掛けたのはこれが初めてだった。ステータスは一致。手数も互角。競い合うには周りの全てが敵でスコアというフェアな条件下。

 

確保する淫魔が多くなるほど俺の根は増殖するが、この競技は淫魔を殲滅する側が有利だ。

 

確保した淫魔を殺してしまえばいい上に、守るより攻める方が手順が少ない。

 

針だって破壊しても再生するどころか、再生にリソースを使って根の増殖速度を抑える。

 

俺は持ち前の並列思考をフルに活用して根を総動員し、カーソンは針を手足以上に使いこなす。

 

淫魔達は召喚された端から根と針に蹂躙に晒される。必死に抗戦を試みる淫魔は端から針に削られ、逃走する淫魔を根の壁が堰き止める。

 

針と根の切れ端がボス部屋に散乱してボス部屋は隅々まで危険地帯になっていた。呼吸するだけで極小の針に肺を侵され、床に潜伏した根が奇襲してくる。

 

とうとう流れ弾がボスの致命傷となる。ボスの顔以上の塊が貫通していた。召喚はMP切れでもう既に打ち止めになっていた。

 

合図もなしに始まった競技は合図もなしに終わりを告げる。言葉にせずとも伝わる暗黙の了解が二人の間で共有されていた。

 

他に生きているものもいない安全地帯となったボス部屋で融合を解除する。【昏倒】した淫魔の山が分離された。

 

「フゥフゥ、フゥ。俺の、勝ちだぜ。カーソン?」

 

集中が切れて乱れ始めた息を整えようとする俺に対してカーソンは応じた。

 

「フゥーーーー。・・・そうじゃな。わしにとっての初黒星じゃ。」

 

俺はニヤリと口を歪めようとして失敗して変な顔になった。表情筋が痙攣でおかしいことになっている。

 

急に変な顔になった俺を見てカーソンが吹き出してコロコロと笑った。

 

淫魔が【昏倒】している死屍累々のボス部屋で二人の笑い声が響いた。

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

ドメスティックな関係が解決したように見えるが根本的な問題は解決していない。それがルンバ・クオリティ。

 

カーソンに加虐嗜好(マスター)が追加された。

 

ルンバは大量の【永続性累積型惚れ薬】の素材を手に入れた。

 

【死兵】がカンストした。

 

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))
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