これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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存在の実証者

遭遇は一瞬だった。【斥候】のジョブスキルのアラートよりも先に生存本能の警告が応戦態勢に変化させた。

 

 

咄嗟に獲得した【気絶】耐性で突き上げる衝撃に耐え、体内のアイテムボックスからポーションで回復する。

 

リソースが極めて薄い死の大地では《星侵超樹》の恩恵に与ることが出来ない。

 

直ぐに【故旧賦活】の融合を解除して【怨騎融鎧】と融合する。

 

怨念が巨大な人馬から生成され、怨念に起爆術式を込めて射出。着弾と同時に襲撃者を爆炎で覆うが、襲撃者のものらしき鋭角状の物体が炎幕を突き破って。

 

いや、それは襲撃者ではなかった。樹だ。

 

針葉樹に似た樹木が燃え盛る樹皮や枝葉を無視して突き出してきている。

 

不毛の大地を生命力に満ちた緑色の森が塗り替える。

 

草が一気に成長して地表を覆い、樹木は燃えながら花を咲かせ、果実を実らせる。

 

物が燃焼する現象はありふれたものだ。草木が倍速で成長する光景だって記録映像を編集すれば見ることが出来るだろう。デンドロのジョブスキルで似たような事だって出来る。

 

しかしこの光景が同時に発生している光景は、どう見ても異常だ。

 

燃えながら芽を出し、燃えながら成長を続ける植物の群れは植物モンスターのように異形でない普通の植物であるからこそ、さらに異常な事象である事を際立たせていた。

 

赤い森の中で黒い獣を中心に植物の領域が出来ている。

 

獣が踏みしめた土から幾つもの芽が生えて足跡を明確な形で残していた。

 

UBM・・・!さっきの爆撃も大したダメージを与えr

 

獣がルンバの頭を一口で咀嚼した事で思考に空白が生じる。

 

人馬鎧の頭部が最も容易く噛み砕かれる。俺のENDが適応された鎧を紙のように。

 

マズイ!?直ぐに横を擦り抜ける形で距離を取る。後退するには人馬形態は向いていない。最大限にAGIを発揮するのであれば前進しかない体型が仇となっていた。

 

しかし、獣は食事に夢中だった。自身の体積を上回る獲物を超音速で平らげた。飢餓を一時でも凌ぐ事に注力している。

 

ポーションで欠損した部位を修復する。鎧でも生体として判定されているが故に出来る事だ。しかしこのままでは餌として食べられるだけで終わる。

 

【故旧賦活】を解除して【怨騎融鎧】と融合したのは失策だった。

 

【怨騎融鎧】はデスペナルティになるまで装備枠から外れることがない呪われた武具だ。折角リソースが充満して【故旧賦活】を利用した回復が可能になったのに【怨騎融鎧】の融合を解除出来ない。

 

視界には【鎮樹獣神 アガナースタ】と表示されている。

 

古代伝説級であった【メガプランテスト】よりも小さい。UBMとしての特異能力の脅威度は現時点で【メガプランテスト】よりも更に下回っている。

 

しかし、強い。【メガプランテスト】をこの獣なら一蹴することができると、伝わってくる威圧感から感じる。

 

ただ速いだけでも無い。ただ力が強いだけじゃ無い。まだ能力を隠し持っていてなお、全力では無い。

 

これが神話級、なのか・・・?

 

俺には、【メガプランテスト】以上に勝機が見えてこない。

 

怨念の物質操作の応用で力場を形成して獣を捕らえようとするが、透明な力場を鋭敏な感覚で回避して人馬鎧を齧り取られていく。戦い方を変えても距離を取ることもできない。

 

奴にとって俺達はいくらでも再生する餌でしかないのか。敵とすら認識されていない。殺さないように、再生出来る様に手加減されてこのザマ。

 

スパイクも偶然ぶつかったとしても薄い毛皮を貫くどころか伝導した運動エネルギーで粉砕されてしまう。

極小の針は感覚で回避するどころか、風圧だけで散らされて終わる。

 

殴りかかろうとより高いAGIで翻弄される。耐えることも回避する事も出来ない。

 

STR、END、AGI全てにおいて、上回られている。

 

無理だ。ステータスを上回るだけでこれだけの差が出るのか?勝てない。いっそのこと怨念を溜め込んで自爆するか?無駄に終わる。《カース・オブジェクト・クリエイト》を意図的に失敗して呪いを撒き散らすか?そんな小手先で通じるわけが無い。

 

!嗚呼、《同病哀葬》があった。ここのところ使っていなかったから、すっかり忘れてた。ステータスのごり押しが通用するようになったからな。状態異常という搦め手の出番が無くなっていた。

 

病毒系と制限系の状態異常を共有する《同病哀葬》と【猛毒王】産の【極毒】なら奴を確実に殺せる。俺のアイテムボックスには【設計王】から貰った厳重封印された【極毒】を封入した瓶がある。

 

神話級だろうが確実に差し違えても殺せる。

 

良いのか?

 

このまま後味の悪い勝利を騙し討ちのように、全力を発揮することなく、他人の力、オンリーでもぎ取った所で、俺はそれを喜ぶのか?

 

俺は。

 

ーーーこのまま殺せる。奴の被害がどうなるか分からない。

 

俺はッ!

 

ーーー自己満足で他人に犠牲を強いるのか。お前が原因で解放されたUBMなのに。

 

俺は、・・・

 

ーーー神話級武具はより強くなる為に必要だろう。俺はもっと強くなりたい。

 

・・・・・。

 

ーーー簡単に。確実に。騙し打ち?結構。卑怯?大いに結構!俺が正義だ。俺が正しい。危険なUBMの奴は悪だ。わかりやすい構造だよなぁ?・・・だったら、それで良いだろ。

 

・・・・・。

 

俺は。ゲームがしたかった。やりたく無いことをしたくない。努力が確実に報われる仕組みが欲しい。何をしても楽しめれば良い。それで良かった。

 

レベルが上がった。ステータスが上昇。スキルを習得する。出来ることが増えた。

 

UBMを倒した。特典をゲットした。ボスモンスターを倒した。女性水着がドロップした。

 

馬鹿騒ぎを起こしてフレンドが増えた。殺し殺される関係でも楽しかった。

 

【可逆性変身薬】を裏ルートで売り捌いた。気の抜けない社員どもが一味になった。

 

風俗にだって行った。リアルじゃ出来ないことだって、デンドロなら出来た。

 

つまり、俺は自分に正直に生きたいだけだった。

 

だったら、今俺が我慢する必要なんてあるのか?

 

他人に迷惑をかけるなんて、もう【可逆性変身薬】の販売やバイツァ・ダスト=第3の爆弾 事件でやった。

 

強くなりたい。俺はたった一つの超級職を取って、掲示板でマウントを取って住人どもの阿鼻叫喚を嘲笑ってやる。

 

気に食わない奴は殺す。イケメンは死ね。害悪UBMもだ。

 

メイデンには緊急進化する機能が付いている。進化すればカーソンは〈上級エンブリオ〉になれる。今奴に勝つ為だけにその他の可能性を殺す事を選ぶ事になる。

 

それに進化だって更に遅くなる。他のマスターは大体第5形態だ。今最高の第6形態になるのはまだまだ先になってしまう。

 

未来の可能性を狭める事で後悔するかもしれない。

 

それでも、今の俺は正直に生きる事が出来ない。

 

賢くならざるを得ない。そいつは、俺じゃ無い。

 

俺は生きたい。気分良く、後先考えもせず愚かに。

 

「だったら・・・やるしか無いだろうが!!カーソン!!寄越せッ!!可能性の全部を賭けろ!!特典だって使い潰しても良い!!後遺症が出ても構わねぇ!」

 

「だから!強制進化しろッ!!今!ここでだ!!」

 

カーソンは全てを聴いていた。読心で。生身で。

 

マスターの独白を。マスターの覚悟を。マスターの怒りを。マスターの信念を。

 

だからこそ。カーソンはエンブリオとして。隣を歩く一人の相棒として。

 

その決断を尊重する。何を代償にしてもその願いを叶えて見せる。

 

ーーーカーソンはマスターに願われて誕生したのだから。

 

ーーーマスターはカーソンの全てを受け入れたのだから。

 

ーーーその在り方は時を経ても変わらずにいる、不変の性質だから。

 

全てを捧げて一度の奇跡を起こす。

 

負ければ全てを失い、勝てば全てを得る。

 

ルンバのinfinite dendrogramで積み上げたもの、全てを賭けの代償にした大博打。

 

初ログインして直ぐに賭け事をするようなマスターには、その在り方はある意味で生き様と呼べるものだったのかもしれない。

 

【同調者マスター生命危機感知】

【同調者生存意思感知】

【<エンブリオ>TYPE:メイデン【星浄巫蠱 カーソン】の蓄積経験値――グリーン】

【■■■実行可能】

【■■■起動準備中】

【停止する場合はあと20秒以内に停止操作を行ってください】

【停止しますか? Y/N】

【No】

【■■■による緊急進化プロセス実行の意思を認めます】

【現状蓄積経験より採りうる1278パターンより現状最適解を算出】

【対象<エンブリオ>:【星浄巫蠱 カーソン】に対して■■■による緊急進化を実行します】

【負荷軽減のため次回進化までの蓄積期間を延長します】

 

【■■■――完了しました】

 

ーーーアンデッドの人馬騎士は崩れていく。

 

【――Form Ⅳ 【The Demonstrationer of existence】】

 

ーー存在の実証者ーー

 

《メッセンジャー・アポートシス》

 

崩れた巨体の下には一人の人間が残った。

 

人間は鎧を纏っていた。怨念が循環して心臓のように鼓動する。

 

人間の四肢は植物で出来ていた。常にリソースを吸い上げて生命力を精製する。

 

人間は外套をつけていた。極彩色の布地が軍旗のように揺れる。

 

人間の心臓は黒い匣で出来ていた。血に流れる怨念を魔力に変換する。

 

人間の眼は黒い靄で覆われ、蒼炎のような眼光が外界を覗く。その眼は夢幻を捉えていた。

 

人間の周囲から黒い樹が生えていた。不壊の黒森は周囲の樹々を枯死させ範囲を広げる。

 

人間は二人で一人だった。左手の甲から全身に紋章が広がっていた。

 

一匹の竜が溜息を吐いた。体がないから意味がないけれど。

 

ーーー仕方がない飼い主だ。勝手にペットの命も賭けるなんて。後で高級なご飯を財布が枯れるまで奢って貰わなければ。

 

ーーーだから必ず勝ってもらなくてはならない。

 

《無形竜・・・《従朧竜器》

 

ルンバのレベルが上がった。総合レベル750。バフ化から外付けジョブ化へ。《メッセンジャー・アポートシス》時のみ【もかでぃあ】へのレベルの上乗せを5倍に。全ステータスを特化超級職並みに上昇させる【もかでぃあ】の真価を発揮する。

 

更にSP、MPを勝手に使って飼い主に《竜王気》を纏わせる。どうせ補充されるのだから。

 

もはや神話級UBMを相手取るに不足はない。

 

負ければ特典も、【もかでぃあ】も、レベルも失われる。カーソンもデンドロ内で一年は封印される。

 

勝てばハイリターンノーコスト。

 

わかりやすい構造だ。勝てば良かろうってな!

 

ーーー【アガナースタ】は思考する。獲物が小さくなって食いでが無くなってしまった。感じる力が全く違う。戦闘は避ける?別の獲物を探そう。

 

【アガナースタ】は冷静だった。飢餓に苛まれているが、命には変えられないことなど百も承知。それに何故か人間が【竜王】どもの《竜王気》を纏っている。

 

ーーー得体が知れない。危険。

 

そんな【アガナースタ】に情報が入り込んでくる。アレを倒せばそのリソースを全て奪う事が出来る、と。

 

神話級の更にその先がある事を【アガナースタ】は◼️◼️◼️◼️◼️の情報によって知っていた。【アガナースタ】が生まれる以前から君臨する強者達。その領域へ手を掛ける事が出来る。

 

そんな思考は急接近したルンバの顔面殴打によって途切れた。

 

傷をつけられた事で殺意が満ちる。もはや撤退を選ぶ事を破棄した神話級UBMが神話の如き本領を出し始める。

 

《万象神森》

 

森は騒めきだす。【アガナースタ】と森全体に異様な雰囲気が漂う。

 

構わず不壊の木杭を叩き込むが貫通しない。無効化されたかのような手応えだ。

 

自身を呪い、呪いを耐性を貫通して共有させる事で弱体化させようとするが、これも無効化。

 

ーーー無敵のギミックがある。間違いなく森に。

 

俺は首を狙って振われた【アガナースタ】の爪撃を不壊の木杭で受け流す。

 

同時に黒い森を拡大化させて森を枯らしていく。反応は劇的だった。

 

【アガナースタ】に一瞬、緊張が走った。しかし安堵したかのように弛緩。

 

まだギミックは全てではない。しかし森を排除する事自体は合っている。

 

【アガナースタ】だけを夢幻世界に誘致する。夢幻世界で質量爆撃を実行してみるが、俊敏に回避。側にあったキューブに棘を瞬間的に生やす。後脚に当たったが、刺さらない。

 

夢幻世界でも無効化が発動している・・・?しかし質量で押し潰される事は避けようとした。押さえつけは有効。

 

夢幻世界で精神を拘束している間に、現実世界で〈破壊不能オブジェクト〉で物理的に拘束する。【窒息】を試みるが効果がない。

 

依然俺が有利だが決め手がない。

 

俺が生やした黒い森が辺り一面を覆っている。奴の森はない。

 

無敵化・・・森・・・?

 

ああ!そういう事か。

 

俺は黒い森を形成しているスキルの発動を止めた。靄のように森が消滅する。

 

辺りは掘り返された不毛の大地だけが残った。夢幻世界の中で【アガナースタ】が咆哮を上げる。まるで手負の獣のように。

 

奴にとって無敵化のスキルの発動媒体が【森】である事が重要なのか。

 

しかし神話級UBMはただ自分の領域を消し去られただけで終わったりしない。

 

《解脱超克》

 

今度は重力や慣性を無視した空中機動を始める。夢幻世界で避けていた質量キューブも豆腐のように粉砕する。更に現実世界の【アガナースタ】の体が消えていた。

 

決着は夢幻世界でつけるしかないか。

 

俺は夢幻世界に入り込む。無敵の盾である〈破壊不能オブジェクト〉は使えない。

 

対して【アガナースタ】は複数の異能で攻撃性を跳ね上げている。

 

たとえ異能群が物理法則の無視であるならシステム面から攻めるまで。

 

俺は怨念を用いて自らを呪い、【呪縛】【衰弱】【死呪宣告】等複数の状態異常を罹患させて【アガナースタ】に共有させる。

 

俺は《窮鼠精命》でデメリットを相殺できるが、無敵化がなくなった奴は俺を殺して【死呪宣告】の共有を解除させる他に無い。

 

【死呪宣告】のカウンターが1減る前に【アガナースタ】は動いた。

 

俺は生命力を削り取る怨念で構成された呪いの剣を携えて正面から激突した。

 

夢幻世界を人外の膂力によって生まれた衝撃波が揺らす。

 

俺の鎧は胴体に大きな風穴を開けていて、【アガナースタ】の前脚は一部が生命力を奪われて木乃伊になっていた。

 

《星侵超樹》《窮鼠精命》で【胴体欠損】や【内臓欠損】を修復し終わる前に【アガナースタ】が予測不可能な動きで接近して頭部を消し飛ばす。

 

俺は首が無い胴体だけで呪剣を振るって【アガナースタ】の後脚を完全に木乃伊にする。

 

【アガナースタ】と俺の白兵戦は四肢欠損を当然の物とした凄惨な”殺し合い”だった。

 

片眼を木乃伊にした。両足が消し飛んだ。既に動かない後脚を犠牲に頭頂から両断する。血溜まりが夢幻世界に広がり、両者ともに見るも無惨な姿でなお互いの命を狙い合う。

 

それは永遠に殺し合う事を強制される等活地獄のような光景だった。枯れた身体を引き摺って神獣は宙から突撃し、血塗れで手足を欠けながら内臓を垂らし呪剣で応戦する。

 

無軌道移動で反撃を回避しHP切れを狙う【アガナースタ】。

 

【死呪宣告】で耐久勝ちを強いながら呪剣で致命傷を狙うルンバ。

 

互いに敵と断じ、常に眼を離す事なく、歯を剥き出しにして笑う。

 

生きる為に殺す。両者の意思は一致している。相手を蹴落とす闘争に心臓が沸き立ち、黒い匣が忙しなく脈動する。

 

【死呪宣告】のカウントダウンはあと少し。

 

【アガナースタ】の姿が速度の限界を突破した瞬間、姿がブレて宙を埋め尽くすほど幾つも分身を作り出し、俺が最大出力の《竜王気》と怨念を混ぜ込んで餓者髑髏のようなオーラを纏う。

 

無数の【アガナースタ】と黒紫に染まった餓者髑髏が互いを消し飛ばすであろう威力を持って激突する。

 

時間は引き延ばされる。モノクロの色彩。唯一色付いた無数の獣の眼は死の間際にあってギラギラと生命を輝かせていた。飢えた獣のような追い詰められた輝きではない。それは透き通っていながら万物を粉砕せしめる程の意思が込められていた。

 

喉元から衝動が迸る。気付けば獣のように叫んでいた。恐怖では無い。溺れそうなまで溢れかえった興奮と歓喜の叫び。この世全てを手に入れたかのように錯覚するほどの悦びに、傷だらけの脳の中で真っ白なスパークが散る。

 

水と超純水が異なる性質を獲得するように100%の殺意は感情的な衝動では無く、生物的な、本能に似たものに移り変わる。

 

俺と【アガナースタ】は今、生きている。この世界で誰よりも。死を目の当たりにして隅々まで潤された生を実感することができる。どこまでも耽美で背徳的な愉悦。平穏の中では得られぬ悦楽。

 

壊れた枷は元に戻らない。俺は戦いの悦びを知ってしまった。麻薬より濃厚な中毒性に理性は塗り潰される。

 

もう、どうなったって良い。俺はどうしようもないほど満たされた。

 

だから、感謝、感動、親愛。ありったけの想いを込めてーーー

 

お前を殺す。

 

 

 

引き延ばされた時間は元通りの時間を取り戻す。モノクロの視界は色鮮やかに世界を輝かせる。

 

ーーー餓者髑髏の致死の呪いの手が正確に【アガナースタ】本体を捉えた。無数の獣の幻が真夏の夢のように消える。

 

俺以外に生きている者がいない世界から音が消えた。あれほど聴こえてくる心臓の鼓動音が止んだ。

 

三千年の時を生きた獣の命がその生に終止符を打った。

 

それは祭り上げられた神では無く、一匹の獣として最期の瞬間まで生きた。

 

闘争の果て。勝者はただ1人。最大限の敬意を以て敗者の屍を乗り越えて。

 

俺はそっと神獣の木乃伊を横たわらせる。

 

皺まみれの木乃伊のわかりにくい表情はあからさまに喜色満面の笑みで満ちていた。

 

ーーーありがとう。

 

頬を伝う涙は夢幻に溶けて消えた。

 

木乃伊が光の塵になって宙へ舞う。

 

俺はこの見慣れた事象の光景を忘れない。

 

最後の光が溶けて、獣がいた証は特典として受け継がれた。

 

【スウチェング・ヘイワン】や【グデアメール】のように意思が残る事はない。

 

未練はない。獣の生は満たされたのだから。

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

法則を支配し、あらゆる束縛を撃ち破る獣の概念は死して尚、敵対者を大いなる威厳を以て圧倒する。闘争の栄光が堕落した瞬間、所有者に牙を剥くであろう。

 

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))
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