これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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平和?なデンドロ日和

うーん。この才能ボーイってやつは。

 

色んな武器持たせて使わせてみたら、鞭に似ている蛇腹剣が一番だったらしく、蛇腹剣を振るう姿は教えてもいないのに堂に入っている。

 

【グデアメール】と戦わせても一勝もできていないが十分すぎる。上級職パーティ相当の純竜級を超える伝説級のアンデットに手加減ありとは言え、数分は持ち堪えているのだから。

 

上手く蛇腹剣の長いリーチを使って距離を取りながら戦っているので、遠心力が発生し難い懐内に入り込まれるまでは善戦している。

 

後は近接とAGI対策って所だろうか。接近された相手を仕留める手段が欲しい。

 

ブーストも防御壁も直線起動と殺傷力ゼロ。現状、近接戦闘の手段が全く無い。

 

最悪、自分だけ防御して自爆術式発動でもいいのだが、自爆術式が使えない環境だと弱い。蛇腹剣が使えない狭い場所も同様だ。

 

暗器でも使わせるか?仕込み針とかバグ・ナグの扱いなら、カルディナの暗殺者どもを撃退してたら、要領を掴んだから教える事はできる。ブツも売らずに奪ってあるしな。

 

《瞬間装備》からのバグ・ナグは喉を掻っ切るには良い暗器だし、口内の仕込み針は目潰しに隙を作れる。

 

逆にピアノ線やトラップなんかの暗器は接近には余り向かない。設置して置く必要があるから瞬間的に対応が出来ない。しかし、これも上手く嵌れば意表を突くことが出来る。

 

仕込み針に塗る【快癒万能霊薬】でも治癒できない毒の解毒剤も調達した方がいいな。奥歯に仕込むタイプの。帰ったら【設計王】に融通してもらうか。

 

あれがあると【麻痺】とか【衰弱】等の状態異常で油断する奴に対して有効的な奇襲ができる。俺も一度それで痛い目を見た。二度目は無かったが。

 

AGIは・・・そうだなぁ、補正付きの装備アイテムでなんとかなるか?眼鏡やゴーグルは目に関する装備スキルがついてる事がある。

 

動体視力を上げるアイテムもあるだろう。更に眼鏡は目を保護する事も出来る。目潰しの対策になるからだ。サングラスのような目線がどこかわからないと尚良い。

 

・・・。俺が育てようとすると暗殺者目線になるのは何故なんだ・・・

 

最近俺の戦闘経験がだいぶ偏っているからだろうか。

 

目線を隠すサングラスに解毒不可の仕込み毒針、死霊術、蛇腹剣。どう見てもカタギの存在じゃねぇ。始末屋だコレ。

 

そもそも俺は正統派の戦い方をあんまり知らないしな。モンスターは特典とカーソンがいるし。対人は暗殺者の戦い方が性に合っているというか、もう暗殺者と変わんないような気がしてきた。

 

口塞いでから流れるように刺して発症した傷痍系状態異常で【救命のアクセサリー】を無効化。死体はアイテムボックスへ。一連の流れを無音で手早く済ませる自信すらある。

 

着ぐるみの性能も潜入向きなスペックなので、最近は皇国支部のお手伝いをさせて貰っている。

 

とは言っても表向きはギルドのクエストとして敵対犯罪組織の内部調査をしてきただけなのだが。建物内に消音された《採掘》で侵入して証拠品を貰って、穴から撤退だ。

 

つけられた作戦コードネームは土竜。蛇では無かった。流石に普段の着ぐるみから連想されるコードはつけられなかった。

 

話を戻すが、もういっそ【グデアメール】にそこら辺も教えて貰えば良いか。

 

あー。師匠としてやった事、飯作りだけな感じか?もう俺の弟子っていうか【グデアメール】の弟子のほうが正しい気がする。

 

流石に【グデアメール】のレベル上げには同行させる事は無いが。

 

あのレベル上げは【グデアメール】が復活出来る事を前提にした自殺も同然の所業なのだから、【グデアメール】より弱いティアンがついていったら間違いなく死ぬ。

 

上位純竜級の巣窟に誰が復活の手段も無しで行くものか。巣の中には偶にその純竜の種族のトップである【竜王】がいるので、遭遇した時点で死んでいる。

 

【グデアメール】の被キルスコアを稼いでいるのはそうした【竜王】の存在だ。

 

その【竜王】の巣の中で【グデアメール】が、なんか強い小型の獣と爬虫類に似たドラゴンと遭遇したらしい。気づいたらプチッと潰されたようだが。

 

マスターの存在は確認出来なかったが、奇妙な組み合わせは間違いなくエンブリオしかない。

 

上位純竜を上回る【グデアメール】を瞬殺したという事は、第六形態は到達しているのだろう。

 

だが、エンブリオのモチーフになっているであろう恐竜と小型の獣に関連している逸話ってあったか?種族関係無しにモチーフが巨人と小人なのかも知れないが。

 

そんな事を考えながら作業を進める。【グデアメール】が小僧を鍛えている横で、俺は死体に生える植物に怨念を込めていた。

 

この【屍生草】という植物は【死霊術師】の触媒に使われるアイテムの原材料であり、生きている植物でありながら怨念に対する高い親和性を持っている。

 

この【屍生草】が生えたティアンの死体はアンデットになる事が無いぐらいに、死体よりも怨念を溜め込みやすい。

 

死体が多い天地ではこの植物を輸出している。血気盛んな天地の住人に陰鬱な【死霊術師】は反り合わず怨念利用に適した【屍生草】も無用の長物だが、他国の【死霊術師】に需要があるので売っているといった感じだ。

 

カルディナで【死霊術師】の関連アイテムは大体集まっているので、怨念を利用する術式研究の一環で手に入れる機会があった。

 

最も、カルディナの【死霊術師】界隈のオークションでは超希少な超級職の全身遺骸も出回る時があるのだが・・・

 

まぁ、オークションに参加する権利も無い俺には程遠い話ではある。

 

怨念を吸収する特性を利用して高密度の怨念を封入する容器にできないか、というのが目的だ。完成図は兵糧丸サイズの球体だな。何処でも持ち運びが出来ると便利だから。

 

今まで垂れ流しの怨念は何も無いところに集めて爆破したり、符に込めたりと消費するか、時間に余裕がない時は勿体ないが【清浄のクリスタル】で消している。

 

【清浄のクリスタル】は殆ど消臭剤扱いだ。まぁ元々怨念は生物が排出する汚物のような物なのだが。放って置くと疫病の原因になったり、剥き出しの魂を溶かすしで有害でしかない。

 

怨念の被害でいうならば、最も受けているのは天地だ。

 

天地では死体と遺留品、怨念が発生しやすい為、強力な妖刀やアンデットが盛んに発生する。怨念を一箇所に集めているのは良いのだが、その分単体の被害がヤバい。

 

死んでも生きてても修羅道世界。それが天地だ。天地を代表する噂の中で突然発生した妖刀が死んだ所有者の仇討ちをしたという逸話がある程に。

 

まぁ、要はいちいち怨念を処理しなければならないというのは面倒なのだ。大量の怨念を浄化してきた【清浄のクリスタル】も怨念の処理速度が遅くなって濁ってきた。新品だった頃の輝きが鈍くなってきた事だし、そろそろ買い換え時なのかもな。

 

【屍生草】を摺鉢で擦り潰して球状に整形。しかし吸収量も変化無し。まぁ形が変わっただけだからな。やっぱり研究所の【高位薬師】か【錬金術師】に調合してもらうしかないか?

 

【屍生草】は意図的に怨念を込めても一定以上になると溢れ出す。

 

他に使えそうなのは・・・消費期限間近の【清浄のクリスタル】ぐらいか。コレを砕いて混ぜ込んでみるか?クリスタルはファンタジーだと大体、魔力とか不思議パワーを込める容器として使われるマジックアイテム扱いだ。

 

ただの結晶になった元【清浄のクリスタル】なら怨念の器になり得るかもしれない。

 

【清浄のクリスタル】に怨念を浄化しなくなるまで怨念を込めてから、念入りに砕いて砂状になるまで擦り潰してから【屍生草】のペーストに混ぜる。

 

クリスタルの粉末を混ぜたからかボロボロに崩れやすくなったので膠で固める。

 

試しに怨念を込めてみるが、前よりも怨念を溜める事が出来ている。あとは生産職にジョブスキルで性能を上げて作って貰えば、怨念の器の完成だ。

 

あ?

 

山の向こうから黒い雲が向かってきた。雨か?

 

この辺は思いっきり爆破させる事が出来る代わりに、遮蔽物が無いから雨が降ったらテントに雨宿りしなければならない。

 

しかし俺の《危機感知》はあの黒い雲に対してアラートを鳴らしている。風邪を引くかもというものではなく、近づくほど激しくなっていく。

 

雨雲の中に雷のエレメンタルでもいるのだろうか?

 

《望遠》で拡大したら雲から黒い点が行ったり来たりを繰り返しているのが見えた。

 

蟲だ。雨雲じゃない。蝗害現象・・・!

 

飛蝗系魔蟲の相転移が起きたのか!

 

俺は【グデアメール】をアイテムボックスにしまいこみ、カーソンと融合して小僧を飲み込んで保護した瞬間、毒薬を摂取して《同病哀葬》を発動するが、前面の蟲が壁になって視線を通す事が出来ない。

 

堕ちていく蟲の数よりも押し寄せる蟲の方が多い。繁殖力に長ける魔蟲の中でも相転移を起こす種族はステータスがかなり低い代わりに、繁殖力が極めて高い。

 

いや、繁殖力が高すぎるから相転移を起こすのか。

 

とある【教授】が提唱する一説によると、本来は定住する性質を持つが天敵がいない状態で大繁殖した結果、食料不足に陥ると餌を求めて放浪する様になるのだとか。

 

しかし、極稀に相転移の群を一匹だけで食い荒らす同族喰らいが現れて、魔蟲の中でも強力な個体が出現する事がある。大自然の蠱毒だな。

 

俺としては後者の方が良かったのだが、今回はそうでも無いらしい。

 

堕ちた蟲のドロップアイテムが地面を覆い、蟲が少ない樹々に纏わりついて食い尽くす。

 

怨念を爆破させて散らすが、《同病哀葬》同様蟲の数が多すぎる。

 

俺の持つ《同病哀葬》以外に広域殲滅スキルは無い。とうとう唯一の生物である俺目掛けて纏わりついてきた。俺のENDを突破出来ずに状態異常で死んでいくが、終わりが見えない。

 

コレ、ずっとこのままなのかね。多数を対象に出来る《夢静風景》も《同病哀葬》も認識がトリガーである以上、全てを殲滅することは難しい。

 

この群れが全滅するか、通り過ぎるまでかなり時間がかかるだろう。

 

こんなに生きている動物が捨てるほどいるのなら生きているモンスターのアンデット化してみっか。

 

《死霊術》は死体をアンデットにするスキルだが、生者の死体を経由しないアンデット化自体は出来る。

 

しかしその難易度は高い。デメリットとして、術者と対象に力量の差がある事が条件になる上に、アンデット化の際に対象の魂が怨念に溶ける。

 

しかし尊厳も感情も薄い魔蟲の魂が怨念に溶けようと問題はない。ましてや俺を食おうとする輩など。

 

膨大なステータスの差、群を対象にする程の怨念の供給、全てが揃っていれば俺が支配する怨念に溶けてテイム無しに直接支配する事が出来るはずだ。

 

それに怨念の量も爆破術式より僅かな量ですむ。

 

死んだ魔蟲から発せられた僅かな怨念も掻き集めて【忌騎融鎧】から生成された怨念と混ぜ合わせる。

 

広く、薄く、均一にムラなく怨念のドームを広げていく。外円部になると怨念の薄さでドームが崩れたりムラが出てしまったが問題はない。

 

群を全て覆い尽くすほどに広げた時点で拡大を止めて、《死霊術》を怨念を通して伝播させ、魔蟲の群れを一気にアンデット化させた。

 

流石に群れ全体を一度にアンデット化させるのは難しかったか、中心から遠かった故に怨念が薄い空間にいた魔蟲はアンデット化が出来ていない。

 

しかし数の差はひっくり返った。アンデット化していない魔蟲の生命力に反応してアンデットの群れが襲い掛かった。

 

共食い現象に似ていながら異なる光景が空中で繰り広げられる。

 

【グデアメール】のように怨念式アンデットでありながら理性的なモンスターは例外中の例外だ。

 

元来、アンデット化した生物は同種であろうと血縁関係であろうと生命力、或いは負の感情に対して鮫が海中に溶けた血に反応する様に襲い掛かる。

 

生前通りの動きをする事こそあれど、そこに食欲や防衛本能といったものはなく、ただ殺す為だけの反応でしかない。

 

故に、共食いの様な生きる為の行動ではなく、この場で起きているのは殺す為だけの現象。

 

やがて魔蟲の群れは死んでドロップアイテムに変わったか、アンデットの群れに成り果てた。

 

アンデットの群れを動かしている怨念を通して広範囲に散らばったアイテムを回収させて、アンデットの群れは死体用アイテムボックスへ収納。

 

初めて生きた生物をアンデット化させたが、まだ初歩的な応用でしかない。今のはなんの工夫も無い《死霊術》の怨念による拡張だけだ。

 

いっそ《グラッジ・アンデット・クリエイションver1.10》のように様々な術式が組めれば良かったのだが。

 

この図面から見るに、怨念の扱いは俺の方が上だろうが、元の開発者は俺より《死霊術》に長けていた。

 

《グラッジ・アンデット・クリエイション》は《死霊術》に怨念の容器、生命認識、自動発動プログラム、アンデット化素体形成・・・etcなどを追加した上で、非実体であるはずの術式を物質に留めている。

 

あの掌サイズの黒い卵の事だ。

 

《看破》しても文字化けしていたので【宝石職人】が生成する《ジェム》とは思えない。

 

あれは【死霊術師】だけで・・・いや【大死霊】としての力だけで形成している。アンデットとしての呪いという形で。

 

【呪術師】は物品に呪いを込めるし、【宝石職人】はジェムにジョブの魔法を込める。両方とも形あるものに実体なき力を込めるジョブの例だ。

 

しかし【呪術師】は呪いだけで物品を作ることは出来ないし、【宝石職人】は発動した魔法を宝石に変換する事は出来ない。

 

しかし製作者であろう【大死霊】は呪いそのものを形にした。

 

あれこそが俺の求める技術。編纂された術式の精緻。

 

でもまぁ、流石にそこまでの外道行為は俺でもやらないが。

 

【大勢の人間の魂を怨念に溶かすことを何とも思っていなければ】あんな術式は組めない。

 

あれは足止めとして制御も期待しない“力”を作り出すだけ。手駒ですらない。

 

周囲の環境次第では被害がより大きくなるだろう。アレは死んでいるものが多い程怨念を増し、力をつける肉の化け物なのだから。

 

【グデアメール】の場合はフレッシュゴーレムにはならず、コアを追加する形で終わったが。

 

本来はコアが破壊されない限り、どれだけ鎧を破壊されても再生して充分に活動できる最上位アンデットとして君臨するはずだった。

 

コアさえ残っていれば偶然触った生き物を啜って完全復活できる程に。

 

そのコアに俺の意識が完全に残っていたのは完全に事故だろう。マスターである俺が〈自害〉してしまえばコアが消失し、完全復活の術が失われてしまう。

 

最悪の場合、コアとの同期を強めている再生時に〈自害〉された時点で、即死処理に巻き込まれる可能性すらあった。

 

また、元から鎧が本体である【グデアメール】ならコアが無くなっても存在する事は出来ただろうが、弱体化は避けられないだろう。

 

フレッシュゴーレムは中心素材が強力であればその他の素材が多少劣っていてもカバーする事ができるのが利点だが、少なくともこのアンデット群はフレッシュゴーレムの素材として纏めずに偵察部隊としての運用をする予定だ。

 

まず、一体一体の従属キャパシティが極めて低く、群れでどんな場所でも届く“手”として運用できるし、膨大な数こそフレッシュゴーレムよりも大きく優れた性質だからだ。

 

広く多く配置できるというのは俺に足りない視点を補う事ができる。

 

それに俺の予想が合っていれば、《メッセンジャー・アポートシス》で大きく応用が出来るだろう。

 

小僧をベッと吐き捨てる。グチャリと人間が立てる音とは思えないほどに湿りきった音を立てて地面に落ちた。

 

涎塗れだ。ばっちいな。川で洗うか。

 

グッタリと死体のように青ざめたガキンチョは恨めしげに力無く睨んだ・・・。

 

ゲバッと血反吐を吐く。【猛毒】の状態異常表示。

 

特に対策もなく状態異常に罹患した体液を摂取した孤児のHPはレッドゾーンだった。

 

これはとある夢の物語。

ルンバ「あっ・・・ヤベッ!」

カーソン「忘れておったのぅ・・・」

孤児「・・・。( ゚д゚)、ペッ」

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))
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