◇現実世界 俺の負けか・・・俺はしょんぼりと項垂れた。
あの糞鼠に負けてしまったことは事実だ。
……だが何も問題はない。今は白星はあの糞鼠に預けておくとしよう。最終的に俺が勝者になってモテモテになれたらいいんだ。この場で肝心なのは土竜人の心証を損ねないこと……。
掲示板の住人達が寄せ集まってこっちのエンブリオをメタってくるUBMを殺る案を練っていく。
あのUBMは汚染地域にいるから横槍はない。よしんば相性がいい奴がいたとして黄河にいるとは限らないからだ・・・。まだまだプレイヤーは最大で第2形態のままだ。
だから今のうち・・・今が最大のチャンス到来のボーナスタイムなのだ。
俺は 土竜人の救世主になる
窓の外で雷が落ちた。
「くくくっ。アハハハハハ!!!!」
掲示板では大盛り上がりの様相を挺していた。UBM。ユニークボスモンスターはinfinite dendrogramにおいて人気コンテンツの一つだから。討伐したパーティの中から討伐に貢献したMVPが選出されて唯一無二の特典を獲得することができる。
だから掲示板の住人達の中には情報を抜き取るだけ抜き取った上で、俺を出し抜いてUBMを討伐しようとする不届き者が存在するだろうが・・・残念ながらアイツらにはあの糞鼠は討伐できない。
俺による工作・・・あのUBMを汚染地域から出さない為の堀を作っていたからだ。糞鼠の存在は俺が除染作業が大体5%ぐらいの時から気づいていた。
深さ30メテル横幅20メテルのUBMの住居を中心とした円の堀。堀の中は汚染された液体で満たされている。徒歩では近づくことなど出来はしない。あの粘度が高い液体を泳ぐのは不可能だ。小舟は無駄だ。すぐ朽ちる。空中に飛ぶしかないだろう。
空を飛ぶエンブリオは決定力に欠ける。堀の外からの遠距離攻撃は小さい糞鼠にまともに当たるとは思えねぇ。範囲攻撃も堀の中をカバーできるかどうか・・・
まぁ汚染に耐える耐性すら無いのであれば論外だとは思うがね。
・・・・
I日経過したが未だにあの鼠は生きているらしく、掲示板がデスペナ喰らった奴らで阿鼻叫喚の渦になっていた。
ステータス自慢は【衰弱】喰らった挙句その他状態異常でサンドバッグにされ、無謀な同期らがパーティを組んで小細工を弄していたが、貧弱なHPを【猛毒】で瞬く間に削られて全滅していた。
中には空から特攻した奴もいるようだが【石化】を食らって体を地面にばら撒いた最後を遂げた動画が配信された挙句MADの素材にされてた。
嗚呼、本当にあの糞鼠は生きているだけで他人の不幸をばら撒いてくれる。
パソコンを前に飲むコーヒーがいつもより美味しく感じた。
さて俺も観客席から舞台に上がって御礼参りに行くとしよう。
俺はパタンとパソコンを閉じた。
◇旧土竜人の故郷
【クエスト【討伐依頼――【獄彩瘴鼠 ディユージャイ】 難易度:八】が発生しました】
【クエスト詳細はクエスト画面をご確認ください】
【ルン・バ・ンルが耐性を上回る【溶解毒】に罹患しました!】
【汚染地域除染作業率20%】
【汚染地域除染作業率30%】
【【獄彩瘴鼠 ディユージャイ】が突如空いた穴に落ちる!】
【落下した【獄彩瘴鼠 ディユージャイ】を穴の底の尖った岩石が深く貫通した!】
【【獄彩瘴鼠 ディユージャイ】のいる空間が揺れている・・・】
【空間がボロボロと崩壊してゆく・・・】
【【獄彩瘴鼠 ディユージャイ】が【窒息】【出血】【頸部骨折】を罹患した!】
【HPが尽きた極彩色の鼠が光の粒子となって消滅してゆく・・・】
【<UBM>【獄彩瘴鼠 ディユージャイ】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【ルン・バ・ンル】がMVPに選出されました】
【【ルン・バ・ンル】にMVP特典【瘴鼠衛衣 ディユージャイ】を贈与します】
【クエストクリア 成功】
【クエスト【討伐依頼――【獄彩瘴鼠 ディユージャイ】を達成しました】
【クエスト【開拓依頼――旧土竜人の故郷除染 難易度:二】が発生しました】
【クエスト詳細はクエスト画面をご確認ください】
【汚染地域除染作業率40%】
【汚染源たり得る汚染地域内のモンスターを全て根絶した!】
【汚染地域除染作業率50%】
【汚染地域除染作業率75%】
【汚染地域除染作業率100%】
【クエストクリア 成功】
【クエスト【開拓依頼――旧土竜人の故郷除染】を達成しました】
【ティアンが喜んでいます!】
【クエスト報酬にボーナスが付きます!】
【【ルン・バ・ンル】の【獣戦士】のレベルがカンストしました!】
・・・・・
◇黄河領土荒原
「のう。主様よ。」
んだよ。
「いい加減に立ち直ってほしいんだがのう。ずっとしょぼくれた人物の隣にいざるを得ないわしの立場になってほしいのだが・・・」
ことの顛末は土竜人の村に帰って報告していた時のことだった。
俺はUBMが縄張りにしていたこと。除染が完了した故郷の地形がクレーター状に刳り抜かれた地形になっていること。汚染源になり得るモンスターはもういないことを土竜人の村長を交えて命の恩人に報告していた。
その後、土竜人氏族の好意で汚染の危機がなくなった事を祝う宴が開かれた。可愛らしいモグラの特徴を持った土竜人女性にちやほやされてこの世の絶頂を極めていた俺は浮かれていた。
だからだろうか。あわよくばと言った気持ちがあったことは否定できない。
命の恩人の女性と酒を酌み交わさないかと誘いを掛けたのだが、やんわりと断られてしまった。
察しのついている人ももう既にいるだろう。あの可愛らしい女性は人妻であった。
俺は寝取るクズではなかったので素直に引き下がり、失意のうちに龍都への帰路を辿っているのである。
「こんなのって無いよ・・・あんまりだよ・・・」
あの侵略的な白いナマモノに騙された魔法少女もこんな絶望を味わっていたのだろうか。
俺には人妻に手を出す勇気がなかった。同人誌で背徳あふれる悦楽はきっと幻想で、現実は後悔と痛々しい傷痕しか残さないであろうから。
大事なのはリアルとフィクションとの区別をつける事だ。夢みがちなボーイを気取るのは痛いしな。
「まだこれから出会いはあるぞ?主様よ。この世界でまだ一週間も過ごしていないだろうに。」
深いため息をついて切り替える。
「まぁ逃した獲物は大きいけどな。出来ないもんはしょーがないか。」
それといつの間にかエンブリオとの距離が縮まっている事が少しだけ嬉しかった。こいつも中々の美少女だし。
土下座からこの距離感まで詰められたのは快挙ではないだろうか?
じっと隣を歩く俺のエンブリオを見つめる。海色の髪からアホ毛が生えている。顔も整っていて、服は黒を基調としたゴシック・ファッション。白い花弁のアクセントが綺麗だった。いけるか・・・?若干若すぎんだよなー。大人の色気って奴がねぇ代わりに少女特有の軽快さが引き立っていた。
俺は抜き打ちの顔面偏差値チェックをした事を悟らせず、カーソンの頭をポンポンと叩いた。
「進化すると容姿が変化するってホント?」
カーソンがギョッとした表情で硬直した。
「・・・主様よ。おんしは本当に色情魔じゃのう。あと今までスルーしておったが主様の思考はある程度読めておるからな。」
顔面偏差値ってなんじゃ顔面偏差値って。
今度は俺がギョッとする番だった。まさか今までの思考が読まれていたのか・・・?こいつにはプライバシーという概念は無いのだろうか?
俺はそっとデリカシーが皆無な事を考えていた事を棚にあげた。
これはとある夢のVRMMOの物語。
喧嘩は同レベル帯でしか発生しない。
ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート
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一人(抗菌と同じく特典化)
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双子
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五つ子(五等分の花嫁√(嘘))