やはり【忌騎融鎧】も壊れたか・・・
だが代わりに珍しいものを手に入れることが出来た。マイナスLUCの犠牲になった【グデアメール】と引き換えに宇宙からの飛来物を確保できたのだ。
充分に黒字と言えよう。
隕鉄。リアルでは鉄とニッケル合金を主体とするものだが、デンドロでは成分が違うようだ。
この掌サイズの隕鉄は『液体』だ。衝突時の空気摩擦で超高温になっていた時から冷却した今でも液状のままに存在している。
隕『鉄』と言っていいのかすらわからないが、金属で隕石の一種であるから隕鉄と称する事にする。
この星で産出される宝石よりも貴重な未知の物質。ロマンがこの上なく刺激されるものがあるぜ。
無論、自分でアイテムに加工してみようと思ったが、コレは液体なのに分裂しない性質を持っていたので小分けにできなかった。
丸々アイテムに加工してしまうのは生産系超級職でも無い俺には心理的なハードルが高い。
つまり、勿体無いという事だ。
【設計王】に何を作ってもらおうかワクワクしてくるぜ。判明した性質が少なすぎるからどんな物になるかすらわからないが、特別な金属である事は確かだ。
大きな瓶に入れられた隕鉄は玉虫色の金属光沢を湛えて揺れた。
さてと、折角【死霊のブローチ】を作ったのに実験体が居なくなってしまった。
何か良い実験体が無いものか・・・
ふむ?
これは・・・最高品質の【怨霊のクリスタル】が・・・
なんかキモいことになっている。
普通の【怨霊のクリスタル】よりも血涙が結晶化しているからか、生物的というより結晶のイメージが強かった最高品質の【怨霊のクリスタル】が今は逆に生物的な口で覆われて一緒に収納していたモンスタードロップを貪り食っている。
キモッ!!気色悪っ!!遂に自力で動き出したぞこの触媒!?
慌ててモンスタードロップを貪り食べていた【怨霊の・・・ナマモノを掴んで放り投げる。
掴んだ手ですら食われたが《ネクロボディ》で元通り。
それよりも得体の知れないナマモノがいつのまにかモンスターの表示になっている。
【アノン・セミリビング・ボディ】、名もなき半生命体か?
何というか今まで見た事がないモンスターだ。見た目は生物なのに生物の気配がしない。
なのに細胞塊のように活動しているという矛盾。まるで精緻な機械が態と稚拙な動物の真似をしているかのような不可解さがあった。
アレは、なんだ?
ーーー結晶を覆う口だけだった怪異が生物の肉を喰らって半端な生命として受肉した。
ルンバが貯蔵していた大量の高位モンスターのドロップアイテムを喰らい尽くし、【死霊王】の血肉を取り込んだ。
肉肉しい音を立てて、コアだった結晶が全体に浸透していく。特定人物への怨念が生まれたての生命を殺害衝動に駆り立てた。
高位モンスターの細胞は全て【死霊王】細胞の糧になって【死霊王】の肉体が培養される。
ミチチ、と音を立てて腕が生えた。
俺にはソイツの肌感にとても既視感を覚えた。だってそれは俺のアンデットの体そっくりだったから。
ブチュリ、と目玉が飛び出る。
俺の眼。
グッチャグチャで落書きのような汚い配列が一点に収束して正しい配列に直されていく。肉に浮かんだ顔は上に、生えた脚は下に、手は左右に、目口鼻はオリジナルの配列通りに。
毛が生えていない全裸の男が立っていた。それは俺にとても良く似ていて、ソイツもアンデットだった。
ああ、そういう手合いか。
ーーーオリジナルと成り代わろうとする奴。
なんとなくわかった。これは早く倒したほうがいい。
◯治郎がいたら間違いなく言ってたぜ。「お前は存在してはいけない存在だ」ってな。
俺は奴に向かって《デッドリー・エクスプロード》を発動させた。
奴の怨念に引火した瞬間、一気に巨大なキノコ雲が発生する規模の大爆発が起き、俺は遠くまで吹き飛ばされた。
だってアレ最高品質の【怨霊のクリスタル】だから《デッドリー・エクスプロード》を使ったら特大の火薬に火をつけたようなのようなものだし。
だから小細工は必要ない。奴は【怨霊のクリスタル】が基なのだから怨念で動いているアンデットと何ら変わりがない。
だったら怨念を燃やし尽くす《デッドリー・エクスプロード》を一発かましてやれば自然と怨念を綺麗まっさらに焼却してくれる。
アレは俺のパチモンになりたかったようだが、最初から発生原因の時点で欠陥だった。
何故なら怨念で動くアンデッドなど俺がだいぶ前に切り捨てた手法だ。怨念式のアンデットはコストが低くても弱点が多すぎるからな。
だからこうして《デッドリー・エクスプロード》で焼き殺されている。
アレの敗因は【怨霊のクリスタル】から生まれた怪物だったという事。怨念式じゃなければもっと善戦できただろうが、もはや消えてなくなる奴には意味のない事か。
爆発音が鳴り止んだ。あとは巻き上げられた土が雨のように落ちてくる小さな音だけ。
爆破も終わったという事は怨念がなくなったという事。つまりアンデットにとっての死亡だ。
さてと、ドロップアイテムを拾いに行くかね。奴のドロップアイテムからはきっと《死霊術》に対応しているものが得られる筈だ。
だが、ドロップアイテムは爆心地には無かった。
・・・これは・・・爆破で消し飛んだかな。
辺り一面が酷い有様になっている。これでは死亡は確実だろう。
いやぁ・・・奴は強敵でしたよ(勝者の余裕)
まさかここまで怨念が強い【怨霊のクリスタル】を作ると自意識が発生するのだな。アイツらがどれだけ俺に対して殺意を抱いていたのかが分かる一幕だった。
そもそも【怨霊のクリスタル】の時点でおかしかったしな。アレ無生物だったのに血走った目が俺をターゲッティングしていたし。
しかし残念な事に非常な赤字だ。
最高品質の【怨霊のクリスタル】、高位モンスターのドロップアイテムの貯蔵が失われてしまった。
しかも爆破でドロップアイテムが消し飛んで得るものなしとは。
とても興味深い現象ではあったが、最高品質の【怨霊のクリスタル】の生成方法が確立されていないとなると、未知の種族の再現や実験は出来ないだろう。
取り敢えず研究室に報告書のみになるが【怨霊のクリスタル】のモンスター化について伝えておこう。きっとアイツらの好奇心に刺さる筈だ。
今日は随分と珍しい物が見れたものだ。
【死霊のブローチ】の検証に必要な《死霊術》の実験材料も無いし、一旦帰って《カース・オブジェクト・クリエイション》のレベル上げと報告書の作成でもするか。
俺は爆心地から何もなかったかのように【ぷれいどっく】で追跡を予防して帰った。
レジェンダリアの大規模森林破壊なんて言われたらどれだけの賠償額なのか分からないので犯人扱いされる前に帰ることにしたのだ。
俺は何も見なかったし、何も知らない。それで良いと心の底から思った。
これはとある夢のVRMMOの物語。
べチャリと大規模な爆発の原因について調べていたレジェンダリアの調査員の頭の上に落ちてきた物があった。
調査員はスライムだと思い、手で振り払うが、
振り払った手が食われた。
手を食われた激痛に苦悶の表情で絶叫する調査員に肉塊がにじり寄って。
絶叫が途切れる。また森に静寂が訪れた。
レジェンダリアの森はいつものように風で葉が擦れる音を鳴らし始めた。
レジェンダリアの森は大魔境。
〈アクシデントサークル〉によって召喚された強力なモンスターが居座ったり、召喚されたモンスターを喰らった怪物が生息している。
今日も何処かで命の絶える音が森から響いた。
子供の教育方針はどれにする?
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蠱毒にぶち込む
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普通の子供のように育てる
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子供の為だけの揺籠()で育てる
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放任主義。子供は勝手に育つ
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帝王に愛など要らぬ!!