これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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勝者はただ1人

背後から突き出された刃物を最小限の動きで避ける。刃物は刀身に深い紫の刻印が光っていた。エンブリオか。

 

俺が防御しなかったのは。相手はマスターだからだ。防御貫通、ロックオン、致命、多種多様なエンブリオを初見で対処するのであれば。

 

相手を何もさせずに殺すか、何もさせずに条件を達成させない事にある。

 

俺は刺突で伸び切った腕をショートソードで切断した。

 

掲示板住人Sが切断された腕を庇う様に後ろに飛んだ。フードで覆われた顔がチラリと見えた。男だ。殺そう。

 

「ちょっ!?まぁ待てよ。いきなり攻撃するのは不味かったな。降参!降参するから!」

 

見え透いた時間稼ぎには付き合わない。俺はたとえ変身中のシーンでも攻撃できる男だ。

 

「えー!!?問答無用?!」

 

男が驚いた表情をしているのがおかしかった。

 

揺らいでいる今がボーナスタイムだ。畳み掛ける。俺は挑発した。

 

「オメーは最初っからヤる気だったろーが!《殺気感知》に反応があんだよ!」

 

男が驚いた顔をスッと真顔に戻して嗤った。

「バレたか。そりゃ悪かったな。こっちのミスだわ。【斥候】か。便利だな!おい!」

 

男がいつの間にか挟んでいた2本の長針を投擲してきた。スキルが発動している様で男のSPが【看破】で減少した事を見逃さなかった。ついでに言うなら奴のメインジョブは【投剣士】だった。

 

長針じゃなくて投剣か。ジョブスキルの補正。横に跳躍して避ける。投剣が刺さる音がした。

 

俺の脇腹を投剣が刺さっていた。ホーミング・・・!

 

「おっとようやく一撃くらったな?」

 

違う。ホーミングだけじゃねぇ。跳躍前に《危機察知》が反応しなかった。

 

おかしい。奴の何もかもが違和感でしかない。なんで初撃の奇襲で《危機察知》を隠蔽しなかった?《殺気感知》だって【斥候】を知っていたら気付いていたはずなのに。

 

「自信満々の割には随分と単調なんダナ?返してヤるぜコレ!」

俺は投剣を引き抜いて投げると同時に手に溜め込んだ血を手首のスナップで飛ばした。

 

奴は投剣と血飛沫を飛んで避けた。目潰しを警戒したか。

 

奴は岩の後ろに隠れた。無駄な事を。《気配察知》で正確な位置は割れている。

 

・・・おかしい。やはり奴は【斥候】を知っている。誘いか?

 

「オンドレぁ!死に晒せやー!!」

俺は突貫した。チマチマヤるのは性に合わねぇ。誘いごと踏み倒す。

 

胸が火の様に熱くなった。

 

「ゴフッ!・・・?」

背中から刻印が光っている刃物が刺さって胸を貫通していた。

 

【心臓損傷】【酸欠】【出血】

 

そうだ。奴はトレインを仕掛けていた時いつの間にか居なくなっていた。ゴブリンズの気配に紛れ込んで。

 

そう思っていたが、それだけじゃねぇ。《殺気感知》と《危機察知》、《気配察知》は未だに岩の裏を示している。しかも後ろは反応が一切ない。

 

「【囮】の《アンチサーチ・デコイ》と《ルアー・オーラ》さ。効果は索敵系のスキルの反応を出す囮を生成する。たとえお前が《温度感知》とか《生命力探知》持っていようが全ての索敵系スキルに反応するんだよ。《ルアー・オーラ》は言ってしまえばタウントスキルだな。」

 

「隠蔽の・・・エンブリオのオンオフを弄ったのか・・・」

 

最初は隠蔽せず、デコイで惹きつけて本体は隠れて奇襲する。二段構えの索敵殺し。それが奴のスタイル。

 

俺は・・・・

 

 

指で自分の目を潰した。

【眼球破壊】【盲目】が発生した。

 

《同病哀葬》【盲目】

 

「目がッ!?見えねぇ!」

後ろから奴が驚く声がした。

 

心臓ぶっ刺して、勝ったと油断したな?悪りぃナ。さっきの苦しげな表情と声は嘘だ。

それとついでに言うなら【盲目】は制限系の状態異常だ。

 

そして俺は《窮鼠精命》で状態異常のデメリットをカロリーと引き換えに相殺できる。目が無くても奴が見えている。

 

剣でのダメージは相殺できないが・・・病毒と制限以外の状態異常も相殺出来んだよ。【心臓損傷】【出血】【酸欠】もな。だから呼吸出来るし、継続ダメージで死なない。

 

《穢食星浄》を発動してカーソンと融合する。

 

そのまま奴をプチっと押し潰した。呆気ない最後だった。

 

馬鹿め。俺があの鼠を倒せたのは地形を大きく変えることが出来る巨体があってのもの。ショートソードで戦ってたのは俺自身が囮だった。

 

お前には幾つかミスはあるが・・・お前の敗因は1つ。俺のエンブリオを忘れていたことだ。

 

単純な敗因に笑いが堪える事が出来なかったし、堪える気がしなかった。

 

「ぷっ!くくくっ。アハハハハハ!!」

 

生きているものが1人になった荒原に怪物の嘲笑が響き渡った・・・

 

・・・・・

 

刺客をデスペナに追いやった俺はジーエンといつの間にかフレンドになっていた酔っ払いどもを誘って飲み会をした。

 

荒原でろくに準備せず行き倒れた事。1日かけてエンブリオが孵化した事。糞鼠を殺されて殺した事。粉をかけたら人妻だった事。土竜人族の毛皮がふわふわしていた事。話したい事が沢山あった。

 

「マスター!唐揚げトッピング各種詰め合わせ人数分ね!あと度数高い酒!」

 

え?この前酔っ払って暴れただろって?大丈夫大丈夫!特典武具で【酩酊】と【混乱】ぐらい防げっから!

 

プレイヤーの保護機能で一夜の過ちを犯したが今回はそうはいかねぇ。大事なのはギリギリまで理性を緩めて超えないこと・・・・!

 

カーソン。お前は唐揚げ何派?ってか酒飲めるの?あぁ自前で耐性持ってんのか。お前自身がスキル持ってる形だもんな!

 

俺は後付けパーツかよ!

 

あっはははは!た、た、た、楽しいなぁ!おい!俺は天下一のルンバ様だこのヤロー!!

 

俺は熱くなったのでパンツを残して全裸になった。

 

【泥酔】【混乱】【興奮】

あぁ?なんだこの表示?

 

ま、良いか!お前らーー!天下一武闘会やろーぜ!勝ったら会計そいつ以外の奢りで!

 

・・・・・

 

んんぅ。・・・・。

 

俺は酒場で全裸になっていた。腹には塗装料で顔が描かれていた。

 

店主も混じった全裸の酔っ払いどもが床に倒れ込んでいる。

 

俺は何故か飲み会に混じっていた女性マスターとジーエンがいなくなっていることに気づいて義憤に燃えた!

 

奴め!本懐を遂げたな〜!!

 

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

まるで成長していない・・・・

 

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))
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