これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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モル語という謎言語

観音上?

 

「主様よ。観音上では無い。彼女じゃ。」

 

あぁ、知っているよ。金払ってイチャコラする関係だろう?

 

俺らの弟子もとうとう色を知る年か。生暖かく見守ってやろうぜ。現場に記録結晶を持参してな。

 

「それはデリ嬢じゃな。良い加減に現実を見るのじゃ。この馬鹿者め。」

 

だ、だだだだだってこ、こいつか、彼女って、彼女ってお前・・・!

 

「落ち着け。年下の弟子に醜い嫉妬と殺意を抱くではないわ。」

 

カーソンが何か言っていたが、俺には聞こえなかった。ただ強い憎悪と殺意があった。

 

仕事中の師匠を差し置いて・・・訓練中に・・・可愛い彼女だと・・・!?

 

固く握り締めた拳から血が流れる。

 

ゆ!ゆゆゆゆ!許せんよなぁーーー!!

 

俺は義憤に燃えた。薄情な弟子に対して正義の鉄槌を下さなければなるまい。

 

「破門ッ!!天誅ゥーー!・・・グブエッ!?」

 

頭をかち割ろうと跳び上がったところをガシッとカーソンに押し倒されて拘束された。

 

「えぇ・・・?」

 

当の張本人はいきなり破門宣言を言い放った頭のおかしい師匠にドン引きしていた。彼女ができたと報告しただけだというのに。

 

実際、ルンバは本気で怒り狂っていた。

 

ログインした黄河で出来た最初の親友にすら、本懐を遂げたとなれば本気で牙を剥く事が出来る頭のおかしい師匠は唯一の弟子にキレ散らかす事が出来る。

 

自分を棚に上げた状態で人の不幸は祝福する上、人の幸福は呪う事が出来る歪んだ人格の持ち主だ。

 

しかしステータスの差が縮まったとは言え、対ルンバ経験が誰よりも多いカーソンに対して拮抗するステータスは無力に過ぎない。

 

カーソンは押さえ込みから一瞬で関節を外して骨を折った四肢を蝶々結びにして拘束。

 

バギバキメキッゴリッ!と人体から出してはいけない音を立てて、折れた骨の先端が皮膚を突き破った。

 

「えぇ・・・?」

 

・・・・・

 

「ほー。預けた先の娘さんとのぅ。やるではないか。ん?」

 

カーソンが初々しい馴れ初めを聴きながら俺の手作りクッキーを摘む。

 

・・・それは俺が厳重に保存してあった筈。カーソンが知らない筈だが、何故そこに・・・?

 

いや、そうか読心か。・・・思いっきり悪用されているのだが。相変わらず俺のプライバシーってやつはどこいった。

 

「えぇ、まぁ。最初は喧嘩ばっかりだったんですけど。あと親父さんに殴られました。」

 

ついさっき破門した元弟子が天地産の御茶菓子を摘みながら惚けた。

 

コイツもだ。サラッと俺の秘蔵の一品をネコババし、あまつさえ所持者の前でなんとも無いように食すとはなんたる外道。やはり破門して正解だったようだな・・・

 

それに恋バナでポヤポヤしている所に水を刺す様で悪いが、賭博の出入りが多くなったと部下の報告を聞く俺としては奴からパチンカスの気配が漂ってきているのを確認した。屑だ。屑の気配だ・・・

 

コイツ、一体どれほどのお小遣いをパチンコに・・・?

 

「で、どこまでいったんじゃ・・・?」

 

カーソンの声音が真剣味を帯びた。爛れた関係を通り越してドメスティックバイオレンスな関係を好む癖に、感性だけは乙女のままとはどういうことか。俺は純粋な疑問を抱いた。

 

「いえ、まだそこまでは・・・早過ぎないですか?」

 

バカめ。話を聞くにお相手は気丈で気が強い性格と見た。もっとガツガツ行ってやれよ。絶対言いたい事溜め込んでるタイプじゃねーか。

 

竜王の前に放り出した時の方がお前は輝いていたぞ・・・本質的に死線の中で輝ける男なんだよ、お前って奴は。随分とぬるま湯に浸かりすぎたな?

 

だから今からでも適当なモンスターの前に放り投げよう。手足を縛って。

 

俺は殺しの算段をつけ始めた。修行中の不慮の事故という建前でいこう。

 

その目は産業廃棄物を見る目だった。ここで殺しておいた方が世の為になる気がした。

 

「師弟揃ってそんな所まで似ずとも良いのじゃがの・・・。もっと相手を積極的に行くのじゃ!今のおんしにはハングリー精神が足らん!この腑抜けめ!」

 

カーソンが読心カンニングペーパーのボキャブラリーで罵倒する事でヘタレに発破をかけた。

 

さも乙女の代弁者のように振る舞っているが、言っている事は男のマスターが分析した結果だった。

 

俺はカーソンが既に手遅れである事を悟った。カーソンの人間性も限界と見える・・・

 

「腑抜け!?でも・・・積極的になって嫌われたら嫌ですし・・・」

 

ヘタレだ。しかし俺にとって良いヘタレだ。見てて面白い不幸を招く予感しかしない。やっぱり殺すより此方が良いか。

 

俺はヘタレを起因とする些細なすれ違いから、関係が破局するまでの過程を読み切った。間違いない、90%だ。

 

90%の確率で奴は彼女と関係を破局する。

 

殆ど未来予知の領域の予測精度だったが、数々のカップルの不幸を見届けてきた経験が間違いないと囁いていた。

 

その顔は確定された破局の運命を祝福する悪魔に似ていた。思わぬ愉しそうな見世物にニコニコと笑みが止まらない。頬が引き攣って口元に引っ付いたガムテープが痛かった。

 

俺は簀巻きになった状態で愚かな元弟子を嘲笑った。精々今は楽しんでおけば良い。楽しい時間程失われた時は味わい深いものになるからなぁ・・・

 

クククク・・・

 

「・・・なんか悪どい事を企んでる顔をしているんですけど。」

 

「気にする必要はないぞ。いつもの持病じゃ。ほっとけば勝手に失敗するでの。」

 

クッキーを食して水分を欲したカーソンは紅茶が注がれたカップを傾けた。

 

・・・・・ 

 

ぐぎゅるるるるるぅ

 

「・・・・・。」

 

ぐごごごごごごごご

 

「・・・・・。」

 

ぐるるるるるるるる

 

「絶対体内にガードナー飼ってるだろ。TYPEは部位置換アームズの複合か?」

 

ぐぎゅ?ぐもっ!

 

「・・・・・。」

 

なんなんだコイツは・・・無口腹ペコキャラはベタっちゃあベタなんだが、実際に見ると何というか、濃いな・・・

 

「飯プリーズ」

 

ちっこいのが喋り出した。

 

「普通に話せんのかよ。」

 

てっきり腹話術()だけで会話するものだと覚悟していたが。

 

「当たり前」

 

ちっこいのが常識的に考えろと顔に出して言ってたが、お前が言ってんじゃねぇ。

 

当たり前ならさっきのはなんだったんだ。

 

俺はそう思ったが口には出さなかった。拗れても面倒だったからだ。

 

「じゃあそっちで頼むわ。」

 

そういうことになった。

 

翻訳機能も働かないような未知の言語はモル語だけで良い。

 

というかなんでモル語は《魔物言語》と翻訳を使ってもおかしな事になってんだ・・・?もるとは一体・・・?

 

そして。

 

「ごちそうさま店主腕上げたね」

 

自分の顔が隠れるほどトッピングと麺が高く積まれたラーメンを見た事はあるか?もはや麺に対して殆どスープが無いようなものだからスープは別の器で出されているが。

 

ましてやそれを何杯もお代わりするとは。お陰で店は殆ど貸切状態だ。

 

俺は初めて見たぜ。人間一人の一回の食事でテイムモンスターの食費の平均超えするなんてよ。

 

カーソンでもその規模の食事は出来なくはないが、それはガーディアン形態であってメイデンの状態では無理だ。

 

この前とある店で注文したら予想外の量が出されて奮闘したものの、最終的に顔を青くして口を押さえていたからな。お残しはさせない主義なので俺も一緒に食って片付けた。

 

まぁ、カロリー補給は大抵ガーディアン形態で補っている量が九割五部程だ。体の大きさによって一度の消化吸収量が変わってくるので、偶にカロリー補給の為に最大の大きさになる事はある。

 

小さい方が小回りが利いて戦闘に向いている場合が殆どなので、最近戦闘で巨体が活かされる機会は少ない。

 

わざわざ巨体でプチッとするより人型でペチンと殴るだけで頭が木っ端微塵に粉砕できるようになったから。俺達にとって人間なんて殆ど豆腐のようなもんだ。

 

んで。そんな戦闘力の塊になった俺達でも出来ないことはある。

 

実践的で専門的な知識と技術が必要となる分野。その中でも特殊な獲物の狩猟だ。

 

今回は珍しく俺は依頼人として来ていた。

 

そしてその依頼を達成出来ると狩人ギルドに判断されたのが、自分の体積以上のラーメンを体内に収めた棒読みでちっこいのである。

 

「で依頼って何」

 

これはとあるVRMMOの物語。

いつからモル語が使われるようになったのか・・・それは意外と誰も知らない・・・というか一部のティアンが《魔物言語》を日常会話に使い始めた所以も知らない・・・彼らは大体フィーリングで生きている・・・その発生は管理AIさえ知らない・・・

子供の教育方針はどれにする?

  • 蠱毒にぶち込む
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  • 子供の為だけの揺籠()で育てる
  • 放任主義。子供は勝手に育つ
  • 帝王に愛など要らぬ!!
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