これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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性紀末救世主

ジーエンが裏切りやがった。俺はログアウトとログインを経て汚れを落とし、いそいそと服を着て酒場を出た。酒場は酒と吐瀉物で汚れていて、後片付けが面倒だったのもある。

 

アイツらはどこへ行ったのか。この龍都の前の宿かと思って行ってみたが、いなかった。女性マスターの宿を探したほうが良いかもしれない。

 

俺は賭博場のオーナーの伝手を使って情報屋に接触し、女性マスターとジーエンの特徴を細かく話した。

 

「昨日の夜だな?」

あぁ。ジーエンは酔っ払ってた。女性マスターは精神保護で足取りはしっかりしていたな。

 

情報屋は紙をピッとちぎり取ると連れ込み宿の位置を書き込んだ。

 

「一万リル」

高いな。まぁ良い。こっちもオーナーの伝手で来た。せせこましい真似で面子を潰すわけにはいかないし、情報屋もオーナーと繋がってる客をぼったくろうとはしないだろう。

 

情報屋の紙片を元に連れ込み宿の場所にたどり着いた。此処か。

ある程度グレードが高い宿はサービスが行き届いているので賄賂で個人情報を引き出したり、部屋に入ることは出来ない。

 

が、標的は女性マスターではなくジーエンなので必ずこの出入り口から出てくる・・・!

 

来た!女性マスターはいない。ログアウトしたか。何やらジーエンの様子がおかしいが関係ない。此処で奴を仕留める。

 

俺はスッと背後に回り込むと細い首に手刀を叩き込んだ。

 

・・・・・

 

【高位学者】ラン・ジーエン

「こ、此処はどこ!?」

気が付いたら目隠しされた状態だった。音は反響していない。密室の様な音が響きやすい場所ではない様だ。首が痛みを発していた。

 

「気が付いたかよ。嘗ての同胞。」

前の方から声がした。聞き覚えがある様な気がする。

 

「き、君は誰なんだ!」

いったい何で拘束されているのかが分からなかった。

 

「誰かって?悲しいよ・・・君との仲だろ?ジーエン。」

目隠しが外された。ギョッとする。

 

「ルン!?何でこんなこと!?いや、それよりも」

「こんな事だと、貴様。まだ分からぬか。」

 

バッと両腕を全身を大きく見せて彼は言った。

「お前が先に女を抱いたからに決まってんだろーがっ!!」

 

「」

 

大仰な動作を交えて彼は続けた。

「悲しいよ。君とは同じ階段にいたと思っていたんだぜ。それをよくも・・・」

 

「」

 

「君は先に階段を昇って居なくなってしまうのか?」

 

スゥと大きく息を吸った。

「僕かぁまだ童貞なんだよ!!」

 

「へ?」

 

【斥候】ルン・バ・ンル

 

どうやら勘違いだったらしい。それどころかもっと凄いことになってた。

 

「ひっ、エグっ、ぁああああぁぁ!!」

 

【悲報】ジーエン氏【勃起不全】になってた。( ゚д゚)

 

息子さんが引きこもりになってしまわれた悲しみは俺には分からない。

 

分からない、が。

 

俺はそっと何も言わずにジーエンを抱きしめた。悲しみが少しでも軽くなれば良いと思った。

・・・・・

 

ひとしきり泣きじゃくって居たジーエンは落ち着いたらしく、未だに身を縛る拘束具の解放を求めた。

 

やはり気分は優れないらしい。顔が少し青ざめている。

 

俺はカチャカチャと拘束を外しながら質問した。

「いつからだ・・・?」

「起きたら・・・」

スッとジーエンは立ち上がった。

 

「起きたら彼女がいなくなっていたんだ」

 

そうか。返事を返しながら酷く既視感を覚えていた。いつのことだ?何に既視感を覚えているんだ・・・?

 

「それに酔ってたけどホテルの部屋に入った後の記憶がないんだ。」

となるとやはり怪しいのはその女性マスターだな。

ホテルの受付に聞いてくるか。

 

どうやらあのホテルは無記名で利用できるホテルだった様だ。彼女は二日前から泊まっていて、一昨日も男性を連れてきたらしい。

 

情報屋に再び接触して男性の情報を受け取った。女性マスターの情報は余り無いらしい。やはりマスターはいきなり現れたからな。それまで何をしていたかっていう情報がぶつ切れになっている。

 

男性に聞き込みを開始したところやはり【勃起不全】だった。

 

まごう事なく彼女は黒だ。エンブリオか。男性をある意味で殺す恐ろしいエンブリオ。

 

・・・・・いたな。そんな奴。

 

「アイツかぁあああああああ!!!!」

ブラックリスト入りの!男性限定【勃起不全】エンブリオ!確か名前は【銀麗華】!

 

ひとまずその男性とジーエンを連れて官憲に男性を襲っている女性マスターがいる事を訴えた。

 

この世界は《真偽判定》という嘘か本当か分かってしまうスキルがある。

3人分の証言を合わせて女性マスターは指名手配された。【銀麗華】罪状は後遺症が残る傷害罪。

 

【ヤバイ奴】infinite dendrogramその◯【龍都潜伏】

 

奴はマスターに手出ししていない様だ。デスペナで状態異常が消えてしまうからか。後遺症を残すことに注力している。ティアンの男性の息子達が危ない!

 

ターゲットは連れ込み宿に着いてくる男性・・・!だが奴は被害者を悉く気絶させている。恐らくは戦闘職。しかし犯行時のことを被害者に見せる事がない・・・。

 

保身か?《真偽判定》があれば簡単にバレてしまうというのに。知らないのかも知れない。

 

俺も関係した事が無かったら知らなかった。まだinfinite dendrogramが始まって内部時間で三週間ちょい。膨大なジョブとエンブリオで情報が埋もれてしまっている。

 

検証の時はフードをかぶっていたから顔が分からない。PKといい、後ろめたい奴はフードで顔を隠している・・・

 

今奴はどこにいる?どれだけ想定しているんだ?

 

という訳で俺は【掲示板住人F】を召喚した。奴は追跡を能力としたエンブリオのマスターの1人だ。

 

Fは不思議そうに言った。

「おい。俺が前に凄惨な死に方してデスペナ食らったのお前のせいだって忘れたのか・・・?」

 

説明感謝。

彼は【勃起不全】を食らった唯一の男性マスターだ。俺の肉片を食らって罹患した。

俺は煽った。息子さんの調子はいかがですか?

 

「治ってるよ!人に物頼む態度間違ってんじゃねぇか!?」

 

カーソンが首を傾げて不思議そうに言った。

「それでも招集に応じたのは何でなんじゃ?」

 

何だかんだで付き合ってくれる良い奴だ。Fはツンツンしながらデレた。

 

「ティアンだからだ。別にお前があの性病擬きに罹ってたら来てなかった。」

 

「流石一度性病擬きに罹患した人の言葉は違いますね〜!」

 

俺らは同時にお互いの顔面を殴り飛ばした。

 

・・・・・

パンパンと手を叩いたカーソンが言った。

「流石にもう良いかのぅ。」

 

俺らはカーソンに武力制圧された。1番この中でステータスが高いのはガードナーのエンブリオであるカーソンだ。

「「ふぁい。さーせんした。」」

 

ムクっと立ち上がった俺らは同時にキリッとしてスタスタと歩き始めた。

「何をしている。行くぞ。」

「奴の反応はこっちだ。ログアウトされたらもう追跡出来ねぇ。急げ!」

 

「殴り合ったと思ったら連携してるし・・・・気持ち悪い奴らじゃの。」

 

 

奴は龍都の一角でベンチに座っていた。フードは被っていなかった。

 

「居たぞ。アイツだ。・・・どうする?」

俺はノープランだった。市街地戦になったらどうしようとか全く考えていなかった。

 

カーソンに目配せする。頼んだぞ。今はお前が頼りだ。

 

無茶振りをされたカーソンがギョッとした。

 

Fは突然ギョッとしたカーソンを見てマスターが何も考えていなかったことを見抜いた。

 

そして呆れ顔になったFを見てカーソンの反応から何も考えていないことを見抜かれた事を俺は察した。

 

無言の時間が流れる。

 

無言の同意をした俺達は手をスッと出してジャンケンの構えを取った・・・

 

ジャンケンに負けた軍師こと俺の作戦はこうだ。

 

顔が知れていないFが接近して気を引く。ベンチの裏に回ったカーソンが【頚部骨折】で奴をデスペナにして始末する。

 

俺は建物の裏でカーソンが公衆の面前で殺人を行うのを見守る・・・

 

2人に同時にどつかれた俺が始末役をすることになった。カーソンの方がステータス高いのに。解せなかった。

 

柔かな笑顔を意識しているつもりの胡散臭いFがターゲットに接近していく。

 

接近に気づいたターゲットがいきなりエンブリオを発動させた。

《陰陽流転房中術》

 

ターゲットは瞬歩らしき歩法でFの目前に移動して北斗の拳の様に体の数カ所を目も止まらぬ速さで突いた。

 

どうっと倒れたFがビクンビクンと痙攣している。まさか・・・

【勃起不全】

 

奴のエンブリオは時間をかけて浸透勁の様に染み渡らせるスキルだった。

 

今は秘孔使いみたいになってる。進化だ。エンブリオが第二形態に進化している。

 

秘孔を突かれたFが体の表面をグニャグニャと波紋の様に蠢かせた後、

 

そこには女体化を遂げて息を荒げたFの姿があった・・・。

 

奴のエンブリオは【勃起不全】を発生させるエンブリオなんかじゃなかった!寧ろ【勃起不全】は【性転換】への過程・・・!!男の機能が女の機能に変わる変化の途上・・・!

 

第二形態になって出力が増大化した奴のエンブリオは女体化までの時間を超短時間まで縮小させたのか・・・!!

 

作戦は最初から失敗していた。奴は索敵系スキルで俺たちの殺気を感知していた!

 

第二形態になった奴のスキルが【瘴鼠衛衣】で防げるかは未知数だ。

 

俺の息子がやられる前にやってやる!

 

ショートソードを脇に構えて突進する。剣を振りかぶるのは隙ができる。高速インファイターにそれは無謀でしかなかった。気分は通り魔スタイルだ。

「死ねぇ!」

 

俺はショートソードをターゲットの心臓に突き刺した。はずだった。

 

俺の体が体重を剣にかけようとして倒れ込んでいく。奴の体に剣が飲み込まれていった。いやこれは・・・!!

 

「残像だ。」

 

後ろから声がした。

《陰陽流転房中術》

ドドドドと俺の体が音を立てて衝撃をのみこんでいく。

 

俺は今奴に秘孔を突かれていた。

《窮鼠精命》!!

カロリーがゴリゴリと削れていく。膨大なカロリーを蓄積しているのは俺じゃなくてカーソンの方だ。【瘴鼠衛衣】はカーソンにアジャストした結果だった。

 

《窮鼠精命》と《陰陽流転房中術》が激しく綱引きを繰り広げていた。

 

「おごごごっ!!!おっ」

 

そしてその綱引きの綱にされている俺はカロリーが削れる挙句、体を変えて治されてを繰り返してバグを起こし、尻から爆竹を入れられたカエルの様に血肉を撒き散らして爆散した。

 

「マスターーーーー!!?」

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

気づいたら深刻な雰囲気から一気にコメディに変化していた。

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))
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