これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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祝福されぬ命の灯火

俺のレベリング事業は順調だ。

 

楽してレベルを上げたいマスターや、安全にレベルを上げたいティアンを対象に無抵抗のメタルスライムを倒させる事で快適なレベリングを提供する事が出来ている。

 

最近では経験値増幅アイテムと併用する事でメタルスライムの必要数を減らす工夫もしている。その手のアイテムは高額ではあるが、利益は回収出来ているので問題は無い。

 

唯一の懸念材料はメタルスライムの仕入れだが、メタルスライムの養殖は環境が既に整っている為、周辺のモンスターを殲滅し、深海に適応したアンデッドを番犬として置いてある。

 

俺が最終奥義の悪用で増やしたステータスとアバターの殆どを最終奥義のコストにしたから、野生のモンスターに負ける事はそうそう無いはずだ。

 

ついでにグランバロアのサンプル回収クエストも達成出来る。環境が環境だけに達成報酬も美味い。

 

ヒヒ!全く、ボロい商売見つけちまったぜ〜!!

 

俺はぺぺぺッと高額紙幣を弾いて哄笑を上げた・・・

 

まぁ、この大金も借金の返済とカーソンの財布に吸収されてしまうがね。

 

・・・・・

 

船の端っこでいつもの鯉に餌をやっていると、バルタザールに呼び出された。

 

なんでもグランバロアの脅威となり得るUBMの討伐隊への招集だそうだ。

 

俺は複数体のUBM討伐実績と超級職という事で声が掛かったらしい。

 

報酬額も申し分無く、MVP特典者以外には報酬を割増にして払うと言うのだから断る理由も無い。

 

今は特典よりも金銭を稼ぎたいので逃亡阻止と最低限のサポートに徹するだけで大金が貰えるという、実に美味しい話だ。

 

しかし。

 

UBMの討伐隊の報酬にしては破格過ぎるという点が気になる。

 

「船団長。討伐隊に討伐ランカーのゼタが参加していないのは?」

 

「ゼタ・・・というかこの討伐隊には女は参加出来ん。いや、参加させてはならん。絶対にな。」

 

「・・・一応、理由を聞いても良いですかね?」

 

バルタザールはしばらく黙って考え込み、溜息を吐いた。

 

「聞いても逃げないか?」

 

「?」

 

「お前らが討伐するUBMだがな・・・」

 

俺はまだ返事をしていないのだが!?

 

「種族性別問わず性的に興奮して襲ってくるとの報告が」

 

ーーー急な用事を思い出した。じゃあな。

 

ガシッと凄まじい握力で俺の肩が掴まれた。ミシミシと骨が軋む音が聞こえる。

 

この握力、本当に上級職の老人なのか?

 

「儂、逃 げ る な っ て 言 っ た よ な ?」

 

船団長。あんたが俺をどう思っているのかは知らねぇが俺はノーマルだ。

 

「そうか。安心しろ。討伐隊に参加する奴等は全員ノーマルだ。」

 

安心出来る要素が何処にも無いんだが・・・

 

そもそも脳味噌ピンク色に腐ってるUBMってなんだよ。ユニーク過ぎるわ!

 

「UBMの能力を喰らったらそいつのクローンを孕まされるぞ。性別関係無くな。気をつけろ。」

 

なんで最低な追加情報を今言った!?悪質な嫌がらせだろ!!

 

そもそも何に気をつけろと!?しまいにゃハラスメントで訴えて勝つぞ俺は!!

 

「儂は嫌がらせで教えた訳では無い・・・半分ぐらいな。」

 

半分て。半分嫌がらせじゃねーか!

 

俺になんの恨みがあるってんだ。

 

「ルンバ。お前さん・・・最近随分とゼタと仲が良いな。幼児性愛者か?牢屋にブチ込むぜ?」

 

俺がノーマルだって端から信じてねーだけじゃねぇか!?冤罪はヤメロォ!!

 

「・・・冗談じゃ。儂も流石に悪ふざけが過ぎたな。すまなかった。儂は最初から疑っておらんよ。大体の人柄は見れば分かるからな。」

 

知ってた。ところで・・・何処までが冗談だったんだ?

 

「UBMが性的に興奮して襲って来るのは嘘じゃ。ちと悪ふざけが過ぎたのぅ。」

 

・・・そうか。本心から安心したぜ。女性の不参加理由は別にあるのか。

 

「因みにUBMのクローンを孕まされるのは本当じゃ。」

 

帰る!!

 

グシャ、と肩の骨が砕けた。

 

このジジィ、本当にただの上級職なんか?

 

・・・・・

 

討伐戦は阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられた。

 

汚い光景と汚い嬌声がガリガリとSAN値を削っていく様な地獄だ。耳と目が穢れるどころか純潔さえ穢れそうになった。

 

死人こそ居ないものの、何人もの犠牲者()を出しながら俺達討伐隊は汚物をこの世から塵も残さず焼却する事に成功した。

 

死亡するまで焼却して尚、数人が警戒する様に後ろを警戒していた。一瞬の油断が純潔を散らす激戦区だったのだから仕方ない事だった。

 

油断した者から喰われる()姿はくっきりと視界に刻み込まれていて、今にも吐きそうだ。

 

酷い戦いだった。何も生まず、その場に立ち会った全員に傷跡を残していっただけだった。

 

そんな戦いが収束した喜びは束の間だった。

 

通常なら誰もが望む事象だったが、何事にも例外は存在する。

 

見るに耐えない汚物の概念を凝縮した、特典の付与の時間だ。

 

管理AIによって無慈悲に、機械的にその工程は執行され、MVPに特典が付与される。

 

ーーーその瞬間は誰もが目を覆った。MVPに選ばれた者の、あまりの悲痛さに。

 

今まで、これほど醜悪な特典武具を、俺は見た事がない。

 

ハッキリ言って最低な気分だ。

 

何より最悪なのはーーー討伐MVPが俺に押し付けられた事だ。

 

俺は、初めてMVPになったことを呪った。

 

このUBMを担当した管理AIはこの特典の被験体にするべきだと思った。絶対に許さない。

 

糞にも劣る汚物は、海に捨てても叩きつけても呪いの市松人形の様に手元に返って来るので

 

 

 

俺はーーー考えるのを、辞めた。

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

後日、ルンバは討伐を強制したバルタザールを特典武具の餌食にしようとして牢屋にぶち込まれた。

 

以下は、厳重な環境下で行なわれた取調べによる供述である。

 

匿名のマスター「カッとなってやった。今は反省も後悔もしている。ジジィを孕ませようなどと、自分でも正気の沙汰では無かった。」




因みにバフ扱いで防げない糞仕様。分類的には出産の祝福。

子供の教育方針はどれにする?

  • 蠱毒にぶち込む
  • 普通の子供のように育てる
  • 子供の為だけの揺籠()で育てる
  • 放任主義。子供は勝手に育つ
  • 帝王に愛など要らぬ!!
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