咲人「・・・あ、ごめん。」
目が合った少女に謝罪の意味を込めて会釈する。
???「あ、いや、その・・・」
その場でそこで歌っていた少女はしどろもどろし始めてしまう。それもそうだ。知らない男が急に現れて1人練習?しているところを聴かれたのだから。おそらく人見知りしているのだろう。なので俺はここから何も言わずに立ち去るのが普通だろう。
咲人「あ、ええっと、すまなかった。」
もう一度会釈してその場を去る。その少女もただこくっと頷いて答えてくれた。大通りまで出て再び先程の歌を思い出す
咲人(あれは、有名なミュージカルの曲だったな・・・今日は何かとミュージカル関連に縁があるな)
そう思い今は気分も良かったのでまた少しだけ歌って帰ることにした。大通りの端っこの方に移動し歌うためマイクやスピーカーの準備を始める。もう日が傾き始めた頃だ、曲選は優しめに柔らかい曲を・・・
咲人「〜〜〜♪♪」
モチベーションも良くて声もよく伸びた。とあるミュージカルのエンディングで歌われる曲だ。声の伸びや滑らかさ、いかに透き通らせるかが大事になるが、フェニックスステージでの舞台、先程の少女の歌でいい意味でテンションが上がっていたので喉の調子はすこぶる良かった。いつもよりも心無しか足を止めてくれる人も多い気がする。
咲人「ふぅ、ありがとございました。」
さすがに夜も更けてきたので切り上げようかと考え始めたその時だった・・・
???「済まない、少しいいかな?」
咲人「ん、あんたは?」
そこに1人の男が現れた。見た目は俺とさほど年齢は変わらないように見える。優しい第一印象を与える柔らかい声の持ち主だった。
類「ああ、失礼。僕は神代類だよ?」
咲人「桜小路咲人だ。それで、なんの用?」
類「歌声が素晴らし買ったので足を止めたまでだよ。今の曲は有名な・・・」
咲人「ああ、知ってるのか。」
類「うん、そこで相談なんだが・・・」
彼はフェニランの小さなショーチームの役者兼演出家をしているらしい。そしてカバンの中身を見せてもらったがロボットがかなりの数入っていた。神代によると最近歌声やパフォーマンスがマンネリ気味になっているらしい。そこで俺の声を使ってみたいそうだが・・・
咲人「1人の声で変わるもんなのか?」
類「そうだよ?考えてでも見てくれないかい?うちの団員は4人なんだが君が1人ずつ歌うだけで4つも違うレパートリーになるんだよ?3人で歌う、全員で歌う、1人増えるだけでやれる事は沢山増えるんだ。ショーで演技をしてくれとまでは言わないんだ、頼むよ。」
咲人「んー・・・」
フェニランのステージということも教えてくれてるし金を要求されているわけでもない・・・詐欺とかでは無さそうだが、ショーか。表舞台に立つのとかは気が引けるがやってみないことにはな。
咲人「・・・明日そのユニットで集まるのか?」
類「ああ、来てくれるのかい?」
咲人「とりあえずは行くだけな?」
類「ああ、十分だよ♪」
今日はステージの場所だけを聞いてまた明日という事になった。正直なところを言うと彰人や冬弥以外にこういった形で歌を褒められたのが初めてで少し舞い上がっていた。ショーというものに少なからず憧れはあったし、俺が求める自由もあるかもしれない。行く価値は十二分にあると思った。
〜翌日〜
昨日は帰ってから親の顔を見ることなく就寝出来たため昨日に引き続き心の健康状態は良かった。昨日はあの神代という人にフェニランのオープン前に入れるパスを予め借りていた。
咲人(・・・ショー目的で何度か入ったことはあるけど、オープン前ってこんなに静かなんだな)
スタッフや整備の声や音は聞こえてくるが客のザワザワしたのは聞こえてこない。
咲人(まぁいっか、ええっと場所は・・・)
伝えられて大人が通るには少し細い道を通ると小さいが確かにステージと呼べるものがそこにはあった。
類「・・・あ、来てくれたんだね♪」
咲人「まあ、俺が行くって言ったしな。」
類「ふふ、それもそうだ。じゃあ行こうか?こっちだよ。」
そのまま神代に案内される。客席も多少ボロいが十分な数にある。補強されたあとも見られて十分に客をいれられそうだ。ステージも近くで見ると補強がなされており十分に機能を発揮してくれそうだった。
咲人「して、メンバーは?」
類「今は裏で作業をしているよ。呼んでくるから待っていてくれるかい?」
咲人「ああ。」
咲人(声の数からしてあいつ含め4、か5か?)
そして数分後、
類「彼らがので僕とショーをしている仲間さ♪」
司「ハーっハッハッハ!俺はこのワンダーランズ×ショータイムの座長、天翔るペガサスと書き天馬、全てを司ると書いて司!」
咲人「・・・・・・(ミミフサギ)」
司「おい!なぜ耳を塞いでいる!」
咲人「いやうるさい、口だけじゃなくて存在がうるさい1回存在ごと黙ってくんね?」
司「おい!なんだと!初対面でそれは酷くないか?」
初対面で天翔るとかペガサスとか言うようなやつに言われとうないわ。
咲人「はいはい天馬ね。覚えた覚えた。次お願い」
えむ「はいはーい!鳳えむだよ!今日は類君に新しいキャスト候補が来るって聞いてずっとワクワクしてたんだ!」
咲人「そうかそうかよしよし、飴ちゃんあげるから1回落ち着いてくれる?」
えむ「わーいやったー♪」
司「おい!なんか俺の時と違くないか!」
えむという少女が雨を舐めてる最中ちょっとだけパニクった頭の中を整理する。え、なに?鳳って言ったか?鳳って言ったらこのフェニランを運営、経営してる代企業の・・・滅多にない苗字だし娘さんか。そんなお嬢がなんでこんなボロステージで・・・てかペガサスうるさい。
咲人「とにかく、鳳だな?よし覚えた。次は・・・」
???「え?・・・え、えっと・・・」
見覚えのある少女だった。狼狽える声は昨日公園で、俺が神代に誘いを受けるきっかけとなった歌を歌うさらにきっかけとなった少女
類「すまない、彼女は人見知りをしてしまうのでね。僕から紹介させてもらうよ。彼女は草薙寧々。このワンダショの自慢の歌姫さ♪」
歌姫、そう言われて俺も納得する。昨日練習とはいえ彼女の歌声を聞いた俺には歌姫たる所以、実力も理解出来た。
咲人「無理に話さなくていいぞ?あくまで俺は補佐で来てるから。」
寧々「あ・・・ご、ごめん」
謝られてしまった。そんなつもりはなかったんだがな・・・
咲人「そんで神代。俺はこれからどうすればいい?」
類「ふふ、難しい事ではないよ?これから僕たちが簡単なショーをするから、それを見て君が加わるか否かの判断をしてくれればいい。君の実力は言伝だが僕からみんなには伝えてあるから君の入団を拒むものはいないし入ってくれるのならバイト身分にはなってしまうが正式にワンダショのキャストとしての扱いをさせてもらうよ?」
咲人(ふむ、いたせりつくせりって訳か。だがまぁ確かに見て見ないことには分からんな・・・ほとんど演技も歌も未知数。コイツら自体の雰囲気は俺はかなり好きだし、俺自身にも合っているとは思うが、やりたいかどうかは別だしな。)
そう考えている間にワンダーランズ×ショータイムのショーが始まった。
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