あるルーキーたちの軌跡   作:ふーの

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ワートリ最新話マジで嬉しい....。2ヶ月連続で摂取できるとは.....!!


ROUND2
戦士たちの日常


速水隊が単独8得点で圧勝。そのニュースはその日のうちにB級各隊を駆け巡った。

 

 

 

――――――――――――

 

 

「決まったぞ、次の相手」

「どこだ?」

「漆間隊、柿崎隊、速水隊だ」

「来たか秀...!」

B級暫定10位荒船隊隊長 荒船哲次は同級生で同じ部隊の隊員の穂刈からそのニュースを聞き胸を踊らせた。

 

―――秀がチームを作るらしい。その噂を聞いたのは大体数日前。荒船はそれを聞いたときからソワソワしていた。そして今日、ランク戦の初日。どうやらその噂が本当らしいということがわかったとき思わず心の中でガッツポーズしたほどだ。

荒船にとって秀は同じ学校の後輩で映画好き同士。映画のアクションシーンを再現するためにこっそりトリガーの改造をしてもらって遊んだことは一度や二度ではない。もちろんその後鬼怒田さんに二人揃って絞られたことも一度や二度ではない。

 

「あいつも水くせえよな チーム作ったなら言ってくれりゃあいいのに」

「顔ニヤけてますよ」

 

"ダルい"が口癖のスナイパー半崎が携帯ゲームから顔を上げて言う。ちなみに半崎の速水隊が圧勝したことを知ったときの第一声も「ダルっ!」だった。

 

「そんなことないだろ」

「いやニヤけてますって」

「そうだな。ニヤけてるぞ」

「そうか....?」

 

「何遊んでるのー?作戦会議始めるよ」

 

男たち3人でわちゃわちゃしていると事務仕事を終えたオペレーターの加賀美が入ってきた。その手にはなぜか小さな粘土細工が握られている。荒船隊では見慣れた光景なので誰もいちいち突っ込まないが美術に秀でた加賀美は時々こうして謎の創作をすることがある。今日は紫色の......なんだあれは、象か?などと思いつつ荒船は隊室中央の椅子に腰掛けた。

 

「次の試合は四つ巴。MAP選択権は無しで強力なルーキーのおまけ付きか......」

「超ダルいっすね」

「上位に上がれるんだ、この試合に勝てば。やるしかないだろ」

「だな」

 

現在の順位はB級10位。勝てばおそらく上位入りとなるこの試合。負けるわけにはいかない。荒船たちの会議にも熱が入る。

 

「MAPは正直どこを選んでくるかは分からん。ある程度射線を切れる場所が多いところだとは思うがな」

「そういうところでも大丈夫なように作戦練っとかなきゃね」

「ああ」

「....ところでどうするんだ、速水隊は。相当厄介だろう?」

 

満を持して口にした穂刈の問に荒船は首を横に振る。

 

「たしかに速水隊は強いだろうがそこまで不利ってわけじゃねえ。むしろうちにとって一番厄介なのは.................漆間隊だ」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「漆間くん次の相手決まったって......」

「知ってる」

 

オペレーター六田梨香の報告にスマホを見ながらそう答えた男の名は漆間恒。B級暫定11位漆間隊唯一の隊員だ。

 

「............」

「............」

 

隊室に沈黙が流れる。二人しか隊員がいない上に二人ともよく話すタイプではないのでこうなることは珍しくない。六田が事務をしている横で漆間がスマホをいじるというのが漆間隊の日常だ。

 

 

 

「.......じゃあ」

「うん。.......また明日ね」

 

この静かな時間が数十分続いた後漆間は短くそう言い放つと隊室を後にした。別に仲が悪いわけではない。長い間二人で活動していくうちに漆間の言いたいことを六田が察せるようになったのだ。それならば必要以上に話すことは時間の無駄だ。少なくとも漆間はそう考えている。ボーダーを後にしバイト先へと向かう道中次の試合のことを考える。

 

(相手は荒船隊・柿崎隊......あとルーキー)

(荒船隊はいい。問題なのはルーキーと柿崎隊.........特に柿崎隊か)

 

漆間のバトルスタイルは隠密行動からの奇襲。隊員が一人しかいないこともあって狙うのはほとんどスナイパーだ。だから荒船隊相手には隊長でマスタークラスアタッカーである荒船にさえ気をつければ有利に戦える。事実ここ最近荒船隊相手には負けなしだ。だから荒船隊は普段通り戦えば遅れを取ることはない....。だが柿崎隊は違う。柿崎隊はその性質上漆間が最も苦手とする隊の一つだ。その理由は柿崎隊の堅実さにある。

 

柿崎隊は慎重すぎて柔軟さにかけるとも言われるが、裏を返せばちょっとやそっとのことでは崩れないということだ。

柿崎隊はまず合流を優先し滅多に離れて動くことがないため、奇襲を仕掛けたとしてもすぐに対応され、3VS1、もしくは2VS1を強いられることとなる。奇襲したはいいものの柿崎隊を崩しきれず負けたのは一度や二度ではない。

 

故にほとんど情報が無いルーキーよりも天敵である柿崎隊の対策に時間を割くべきだろう。まして柿崎隊は今回のMAP選択権を持っているのだから....。漆間がそう考えたのは自然なことだった。これが吉と出るか凶と出るかは神と実力派エリートのみぞ知る......

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

「文香、虎太郎集まってくれ」

 

隊室のオペレーター用PCの前。柿崎隊隊長 柿崎国治はいつもの場所に隊員たちを集めた。柿崎隊が作戦会議をするときはいつもここと決まっている。

 

「さっき通達が来た。次の相手は荒船隊・漆間隊・速水隊だ」

 

「速水隊って今日デビューでしたよね?もう中位まで来たんですか!?」

「ああ。8点取って圧勝だったらしい。」

「それは.....!まずいですね....」

「ああ」

 

柿崎隊は現在暫定14位。試合の結果次第では下位に落ちることが十分考えられる崖っぷちの状況なのだ。

 

「幸いMAP選択権はうちにある。漆間隊も荒船隊もそこまで相性が悪いわけじゃねぇし、しっかり作戦を練れば勝てる......と思う」

 

「と思うって!ザキさんそこは言いきってよ〜」

 

オペレーターの宇井真登華が笑いながらツッコむ。それに呼応して虎太郎と照屋も笑う。柿崎隊室には和やかな空気が流れていた。

 

「とにかく問題なのは速水隊だ。速水と京極の強さはお前らも知ってるだろ」

「そうですね....。二人ともエース級の強さを持っている"尖った駒"ですし」

 

柿崎隊の強みはその堅実さとチームワークにある。その連携力はボーダートップクラスではあるがその分圧倒的なエースという存在がいない。それゆえ二宮や影浦、村上のような圧倒的なエースを擁する部隊への勝率は低い。そのような部隊と当たったときには敵エースにその連携を乱され他の隊員に各個撃破されてしまったり、他の隊員が時間を稼いでる間に敵エースに大暴れされてしまったりする。日夜ソロランク戦に明け暮れ高い実力を持つ京極と生駒旋空クラスの旋空という一発を持ち、A級とも渡り合える速水を擁する速水隊はまさに天敵であった。

 

「今回は速水隊への対策を最優先に考えよう。とはいえある程度スナイパーの動きを制限できるMAPがいいとは思うが....」

「ではこういうのはいかがですか?」

「隊長オレもやりたいことがあって!」

「ちょっとちょっと二人とも、ザキさん困ってるでしょ〜」

 

柿崎隊の隊室でのいつもどおりの日常。柿崎は隊員たちのやる気を嬉しく思いつつ会議を続ける。ただ勝利のみを目指して......

 

 

―――――――――――――――

 

「「速水隊初勝利おめでとう〜!!」」

S級隊員迅悠一とオペレーターの宇佐美がクラッカーの紐を引っ張ると、パンと音が鳴り中からキラキラとしたテープが飛び出る。玉狛支部では速水隊初勝利を祝ったパーティが開かれていた。パーティと言っても迅と宇佐美が半ば暴走して開いたパーティなのでそこまで豪華というわけでもない。実際パチパチと拍手しているのは桜と陽太郎ぐらいのもので他の隊員は少し冷めた様子で座っている。

 

「ありがとうございます!」

「桜はいい子だねぇ。それに引き換え....お前らもっと喜んでもいいんじゃないの?」

「僕は別に良いって言いましたよね....」

「そうよ。こいつらが下位に負けるわけないでしょ!なんたって私達が鍛えたんだから」

「いや秀たちを育てたのはこの陽太郎だ!」

「あんたは黙ってなさい」

 

カピバラに乗ったお子様、陽太郎に小南が軽くチョップする。何するんだこなみ〜!という声を無視して秀たちに話しかける。

 

「あんたたち今回勝ったからって油断するんじゃないわよ。次は四つ巴だし中位からは一筋縄じゃいかなくなるわ」

 

「それは秀たちもわかってるでしょ」

「そうだよ!わざわざ小南に言われなくたってそれぐらい!」

「京極あんた後で覚えときなさいよ....」

 

「だが小南の言うことも最もだ。何か策はあるのか?」

 

木崎が秀たちに問う。秀は食べていたものを飲み込むと木崎の方を見る。奥のテーブルでは迅・宇佐美・桜・天音がお菓子を囲んで楽しそうに話していた。

 

「具体的には今から考える感じですけど....まあ荒船隊対策が急務ですかね」

「....それはなんでだ?」

 

秀の返答を聞き木崎はその理由を聞いた。もちろん分かってて聞いているのである。「なぜ」の部分を言語化することは大切なことだ。それに別テーブルで話していた桜や天音も気づけば秀たちの会話を聞いている。そこそこ経験豊富な秀や京極と違いこの二人は経験が浅い。ここで戦略のことについて聞かせておくのはいい経験になるだろう。木崎の意図することを察した秀は分かりやすさを心がけながら話し始める。

 

「まあ今回は敵に中距離が多いので全体的に不利なんですけど....一番長距離で強いのが荒船隊だからですね。僕らの弱点は遠距離持ちがほとんどいないこと。荒船隊に徹底的に距離取られて狙撃されるのが一番どうしようもない展開です。漆間隊は奇襲狙いなので何もしなくても自分から近づいてくるでしょうし、MAP選択権を持っていて中距離に強い柿崎隊は警戒すべきですが僕の旋空を使って崩せればなんとかなるでしょう。」

 

「.....そんなところだな」

「もっと素直に褒めてあげればいいのに」

「.......なんのことだ」

 

小南のツッコみに対して木崎は照れを隠すように目をそらす。そんな師匠の姿を見て桜も笑う。

 

「.....陽太郎が寝そうです」

「おっマジか〜。お子様にはちょっと遅すぎたかな」

「オレ寝かしてくるんでやっててください」

「悪いなー京介」

 

烏丸が陽太郎を抱きかかえ部屋に連れて行く。その後ろを雷神丸もトコトコとついていく。高校生と子供とカピバラ。傍から見たら異様な光景に見えるかもしれないがこれが玉狛支部の日常だ。

 

「ねぇねぇ人生ゲームしない?」

「天音負けたら勝つまでやるじゃん....」

「まあいいんじゃない?どうせぼくが勝つし!ねぇ小南」

「泣かす!」

「楽しそうだね!」

「オレもやる!」

「迅さん入ったら勝負にならないでしょ....」

「おっ京介!陽太郎はもう寝たのか?」

「はい」

「ほらほらレイジさんも!」

「せかすな宇佐美」

 

まだまだランク戦は始まったばかり。これから3ヶ月間戦いの日々を過ごす彼らも、今は少しだけその羽を休めて.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これからの構想を考える必要があるのとワの最新話を読んでから続きを書きたいっていうのがあるので少しの間更新を止めます。楽しみにしてくれてる方はすみません!!ほんとにすぐ戻ってくるのでしばらくお待ちください
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