声のした方向へ振り返るとそこには一人の女がいた。女の名は
星崎天音にとって彼女は学校の同級生。確かにこの二人に繋がりがあってもおかしくはないが...。
「チームを組むなんてどういう風の吹き回しですか?京極先輩」
彼女は男と同じ野良B級の一人である。普段彼女は個人ランク戦に入り浸っていてボーダー内でもそこそこ名を知られている。いくつかのチームから勧誘を受けたという話も聞いたことがあるが、それを断り今日まで頑なにソロプレイを続けてきた彼女が何故今更チームを組もうと思ったのか。きっと深いわけがあるに違いない。そう男は思った。
「天音には日頃からお世話になっててね...特に勉強面で。だから断りきれなくて...」
「そうよ、誰のおかげで赤点回避できてると思ってるの?」
思ったよりしょうもない理由であった。だが理由がしょうもなくても彼女が加わってくれるのは男にとって大きなプラスだった。なぜなら彼女は部隊に所属していない野良隊員の中で唯一のマスタークラスであり、太刀川慶と並んで個人ランク戦のヌシと呼ばれているほどの実力者だからだ。若干下がった京極への評価を顔に出さないように男は続けた。
「あはは...なんにせよ先輩が入ってくれるなら心強いです。」
「そうだろう!どんどんぼくに頼ってくれて構わないよ!」
「うっさいわよ、今から隊を作るための書類もらいに行くからついてきなさい。」
そう言うと3人はロビーを後にした。
「部隊を作るならせめてあと一人隊員がほしいけどどうするの?」
「はぁ?そんなの秀が考えてよ」
「わかったよ...。京極先輩は誰か当てあります?」
「いやー、ないね。ぼくが個人ランク戦で戦うのは大体正隊員だからね。みんなもうどこかの隊に入ってるよ」
「そうですか...じゃあ広報に頼んで隊員募集でもしようかな...それでいい?」
「それでいいわよ」
「いいんじゃない?」
「じゃあ後で頼んどきますね・・・おっと、大丈夫ですか?ごめんなさい」
「いえいえ!こっちこそすみません!お怪我は・・・って秀にい?」
「あれ、桜?久しぶりだな!」
「ほんとにね!あっもしかして隣にいるのって天音ちゃん?」
「えっ、もしかして桜!?久しぶりじゃない!元気にしてた?」
自分を置いて、曲がり角でぶつかった知らない少女と親しげに会話する二人。
「あの...ぼくおいてけぼり...」
京極のつぶやきを聞いたものはいなかった。
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