「迅さん、久しぶりですね」
「最近忙しかったからなー ところで支部長見てない?」
「支部長なら用があるって言って出かけましたよ」
「あちゃー!入れ違いになったかー!」
「電話してみましょうか?」
「いや、そこまで緊急の用事ってわけでもないし別にいいさ。それより今日の夜ご飯何?」
「今日は食べていくんですか?」
「ああ、最近玉狛の飯が恋しくてな」
「今日はたしかレイジさんが担当でしたね」
「マジ?そいつは楽しみだな」
「・・・ていうか迅さん知ってたでしょ?未来見れるんだから」
「・・・最近修行の調子はどうだ?」
「今あからさまに話そらしましたね...」
S級隊員 迅悠一。未来視のサイドエフェクトを持つ彼はボーダーの要として多忙な生活を送っている。最近も何やら
迅さんと初めてあってから数年経つが、未だに底が見えない不思議な人だ。
そうこうしているうちにリビングについた。門限があるからといって帰った天音と林道支部長・陽太郎以外は全員揃っているようだ。
「やっぱりレイジさんの作る飯は美味いなー」
「褒めても何も出んぞ」
「いやいやお世辞じゃないって」
「迅さん!これ食べ終わったら模擬戦しない?」
「悪いけどちょっと用があってな、また今度でもいいか?」
「残念だけどしかたないか...。じゃあ小南、模擬戦しよ」
「"じゃあ"ってなによ"じゃあ"って!」
「あーごめんごめん、別にそういうつもりじゃ...」
「わかったわ、2度と立ち上がれないくらいボコボコにしてあげるから覚悟してなさい」
迅さんがいるせいか、いつもより少し食卓がにぎやかだ。正直僕も戦ってみたい気持ちはあるが今は何かと忙しい。
「ごちそうさまでした」
「おう」
食器を片付けるとある場所へと向かう。リビングから少し離れたところにある部屋。
扉を開けるとそこは
この部屋は僕専用の研究室。今までの本部研究室に設備では多少劣るものの機材と材料を独り占めできるのが素晴らしい。最近では起きて研究、学校から帰ってきて研究、修行した後研究、寝る前に研究などなど研究づくしの毎日を送っている。
最近、この部屋を貰えたんだからもうA級目指さなくていいのでは...?と思い始めてるがまあそれはそれだ。やはり設備・材料・資金の優遇は魅力的だし、他のみんなが必死で頑張っているのに自分だけ手を抜くのも申し訳ない。
ちなみに今はオペレーターの宇佐美先輩との共同研究で訓練用のモールモッドの開発をしている。名前は宇佐美先輩の案で"やしゃまる"とした。プログラムは宇佐美先輩が行い、僕は細かいディティールや硬さ速さなどの調整をしている。個人的なお気に入りは"やしゃまるゴールド"。満足いく金属光沢を出すために一時期授業中もずっとその事を考えていたくらいだ。
それはさておきもちろんランク戦に向けての準備もしている。
個々の実力を伸ばすのと並行して最近は
元々強かった僕や京極先輩もこのところぐんぐん力をつけていっているし、桜は元々師匠無しでBに上がった才能あるやつだったのでレイジさんという師匠を得てものすごい成長を見せている。
レイジさんの話だと朝できなかったことがその日の夕方にはできているらしい。頼もしいことだ。天音も宇佐美先輩にオペレーターの仕事を学んでいる。たまにオペレーター室から「もうやだ〜!覚えること多すぎ〜!」という声が聞こえることがあるが、なんだかんだいって天音は最後までやり切るやつなので心配はしていない。
「最初は仕方なくだったけど、このチームならAに上がることも夢じゃないかもな...」
そうつぶやくとまた作業を開始する。この男の夜はまだまだ続きそうだ...
他の3人の視点での話は番外編か幕間的なやつで後々します。