街の外壁がまだ遠くに望める草原において、その三人の冒険者の姿があった。
杖を握りしめ、二人の同行者に守られながら歩く女操霊術師
最低限の武具を身にまとい前を歩き警戒する女拳闘士
メイスを携え殿を務める風来神の女神官
しばらく歩いたのだろう、操霊術師の口は幼げな声色で愚痴をこぼしていた。
操霊術師「ねー、やっぱこんだけ歩いて何もないんだし帰ろうよ。」
拳闘士「そうは言っても安全のためには大切だよ」
神官「それに万一蛮族でも見つけて討伐でもしようものなら、自信も付くしさ、その話でもしたら先輩冒険者が気前よく美味しい御飯でもおごってもらえるかもよ?」
操霊術師「‼…笑羽良はりさん‼」
拳闘士「‼…実苗かこさん‼」
神官「え?」
実苗かこ(操霊術師)・笑羽良はり(拳闘士)「心導しるべさん‼」
心導しるべ(神官)「はい?」
実苗かこ・笑羽良はり「行きましょう、街の安全のため、人の金で食う肉のため‼」
心導しるべ「はい」
◇◇◇◇◇◇◇◇
笑羽良はり「ッ‼敵‼」
実苗かこ・心導しるべ「‼」
冒険者としての初陣であればこれだけの反応ができただけでも十分だろう。
襲い掛かる蛮族を視認すると神官が叫ぶ。
心導しるべ「ゴブリン2体とレッドキャップ‼」
後ろから襲い掛かる蛮族はろくに手入れもされていないであろうボロボロの武器を神官に振り下ろした。
神官は辛くもその身をかわし、メイスを手に持った。
心導しるべ「二人とも‼やるよ‼」
実苗かこ「もちろん‼エンチャントウェポン、はりちゃん‼」
笑羽良はり「任せて」
拳闘士のこぶしに光が宿りゴブリンの矮躯にそのこぶしが突き刺さる。
心導しるべ「まだ‼」
神官が手に持ったメイスを体勢を崩したゴブリンに振り下ろすと二人からの痛打を受けたゴブリンが死に体で神官に襲い掛かり、それに乗じて拳闘士と神官に無傷の蛮族2体が襲い掛かる。
神官がついに避けきれずボロボロの武器をその身に受けた、
が...
心導しるべ「痛っ…くない?」
まず神官が、そして拳闘士、操霊術師がその事実に気づく。
強いのだ、目の前にいる蛮族よりもその前に立ちはだかる神官、ひいては自分たちが。
実苗かこ「こいつらよえーじゃん‼スパーク‼」
操霊術師が構え呪文を唱えると拳や武器でもってして打ち合っていた 五人 に杖から飛び出した稲妻が襲い掛かった
笑羽良はり・心導しるべ「ちょっ」
◇◇◇◇◇◇◇◇
心導しるべ「と、言うことがありまして」
街に帰った三人は行きつけの冒険者酒場で引き受けた街周辺の警邏の達成報告を終えると新人の苦労話を餌に先達からのおごりとアドバイスを受け取っていた。
先輩冒険者「え、何それめっちゃ面白いじゃんきみら‼」
先輩冒険者が目を向ける先には少し前まで新品同然だった装備の端々をすすけさせた二人とは対照的に、いまだに傷一つない体と装備を持つ操霊術師が縄に縛られ拳闘士の背に括り付けられていた。
実苗かこ「ねー、はりちゃんそろそろ降ろしてよ
実苗ご飯食べれないよ」
笑羽良はり「しょうがないなぁ」
実苗かこ「やったー」
拳闘士が縄をほどくと操霊術師は席に着き食事を始めた。
先輩冒険者「まだ名乗ってなかったね、私は斗和キセキ、仕事引き受けてくれる新人探してるんだけど君たちどうかな?」