緋想戦記Ⅱ   作:う゛ぇのむ 乙型

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~第四十章・『灰色の戦場』 群れる脅威 (配点:富士麓)~

 迫る漆黒の波に対してどうするかの判断は一瞬であった。

「重力制御エンジン停止!! アンカー射出!!」

 “曳馬”の指示と同時にエンジンが停止し、艦が落下を始める。

そして艦底からアンカーが射出されると大地に突き刺さり、それによって急激に艦が大地に引っ張られ始める。

「“曳馬”より皆様へ!! 本艦はこれより急降下を行います!!

落下への備えをお願いいたします!!」

 艦の上方を漆黒の波が通過するのを確認するとエンジンを再起動し、アンカーを切り離す。

 だが落下を行っていた船体を止める事は出来ず灰色の大地が迫って来ていた。

「艦首上げます!! 総員に告ぎます!! 耐衝撃準備!!」

 船首側を上げ少しでも墜落の衝撃を押さえようとする。

 周囲に浮かんでいた流体の仮想海が岩肌とぶつかり砕ける。

青い流体の結晶を身に纏いながら曳馬は徐々に大地に迫り、そしてついに艦尾側の艦底部が地面と接触した。

 その直後、凄まじい衝撃が生じ、体が宙に浮いた。

 

***

 

 薄れかかっていた意識を取り戻すと浅間・智は直ぐに状況を確認した。

 甲板に倒れる仲間たちの姿。

衝撃の為甲板は中央から亀裂が入り、危うく艦そのものが両断されるところだったようだ。

━━危機一髪……という所でしょうか……?

 “曳馬”が何をしようとしていたのか理解した瞬間に、甲板に居る全員に重力制御の術式を掛けた。

甲板に体を固定する術式が間に合ったため落下の際に全員が吹き飛ばされずに済んだのだ。

━━もっとも、船がやられていたらダメでしたけれど……。

 起き上がり、立ち上がってみれば艦尾から曳馬が地面を滑っていた跡が見える。

 艦底部は地面に埋まり、所々黒煙が吹いている。

これでは再び飛行する事は不可能だろう。

「トーリ君!?」

 そうだ! 甲板に居た仲間には術式が間に合ったが艦内には届いていない。

これだけの衝撃だ、中は絶望的な事になっているかもしれない。

 そう思い血の気が全身から引いて行くのを感じながら確認のための通神を行う。

「みなさん、無事ですか!?」

『あー……こちら、兵員輸送区の天子。こっちは私も衣玖も無事よ。

ただ結構負傷者出てる。余裕ある人、手助けして』

『こちら点蔵。こちらはメアリ殿含めてその場居る者全員無事で御座る』

『成実よ。まったく手荒い歓迎ね。今、機関室に確認したのだけれどかなり被害を受けているわ。

全員吹き飛んでいないのを感謝するべきね』

『こちら“曳馬”、現在被害状況の確認中です。判明次第報告いたします』

 他の仲間たちからも次々と報告が入り、その間に甲板で倒れていた仲間たちも起き上がり始める。

『えー、ホライゾンです。こちらは一名無事です』

「……あの、トーリ君は?」

『ふむ、天井に頭から突っ込んでぶら下がっているトーリ様を無事と言っていいのでしょうか?

え? あ、無事で良いそうです。これからこの男を引っ張り出すので誰か来てください』

 ホライゾンの報告にほっと胸を撫で下ろす。

 兎も角これで艦に乗っていた自分の知人はほとんど無事だ。

その事を伝えるべく皆の居る方に振り返れば全員が上空を見上げていた。

自分も見上げてみれば思わず息を呑んだ。

 空が歪んでいた。

 朝。昼。夕。夜。

それぞれの色が入り混じり、荒れた水面の様に波打っている。

その光景は一直線に伸びており、先ほどの竜砲によるものだという事が理解できる。

『そっち見えてるね!?』

 直政からの通神に頷く。

『あのデカブツの攻撃の後にそうなった!! 何が起きているんさね!?』

 その言葉に答えたのはティオだ。

「恐らくですが先ほどあのリヴァイアサン型怪魔は大型クラーケンが使用する空間歪曲を圧縮して放ちました。

その為砲撃が通過した空間が強引な歪曲で崩壊しているのだと思います」

 “信じられない”と言うのが感想だ。

空間の破壊。

そんな事を生物が出来るのか?

「今は何故、どうしてと考えるよりも結果を受け止めて行動しよう」

 艦内から出てきたロイドの言葉に「そうだね」とオリビエが頷く。

「今の僕たちに必要なのは迅速な行動だ。

怪魔がここに向かって群がってくるかもしれない。その前に陣地を形成すべきだろう」

 その言葉に全員がはっきりと頷いた。

 

***

 

 先ほどの竜砲によって関東連合艦隊にも被害が生じていた。

 咄嗟に散開指示を出したため被害は最低限ですんだが、数隻があの砲撃に呑み込まれ跡形もなく消滅した。

そして更に問題なのは……。

「石垣山、機関停止!! 墜落して行きます!!」

 砲撃を逃れた船の一隻が突如墜落を始めた。

その船だけではない。

歪んだ空の近くに居た船は次々と機関が停止し、墜落して行っている。

「全艦に告ぐ! 歪んだ空から離れろ!!」

 そう北条綱成が指示を出すと艦隊が一斉に歪んだ空から離れ始める。

 恐らくあの空の影響で機関が停止している。

 近くに居た艦の報告によると流体が消失するらしい。

 あの空のせいで体勢を立て直さなければいけない。

━━だが最悪、というわけでもないか……。

 あの砲撃は怪魔も巻き込んだ。

此方よりも高密度で布陣していた敵はその戦力を大きく失う事になり、今も機鳳隊や武神隊が攻撃を加えている。

「二度目は……来ませんね」

 玉綱艦橋に居た誰かの言葉に皆が頷く。

 あの砲撃の後、巨龍は此方に興味を失ったかのように再び沈黙した。

それは砲撃が連射できないという事なのか、それとも本当にただ興味を失っただけのかは分からない。

 だがあの砲撃が即座に来ないのであれば立て直せる。

「後方より艦影多数!! 長野艦隊と博麗神社の部隊です!!」

━━……攻め時か。

「損害の多い艦は後退!! 無事な艦は本艦を中心に集結!!

前進し、前線を押し上げる!!」

 味方の援軍が到着し、敵が大きく陣形を崩している今が攻め時だ。

「敵陣突破後は降下部隊の出番だ!! 準備をさせろ!!」

「「Tes!!」」

 号令と共に関東連合の艦隊が集結し、敵陣に切り込み始めるのであった。

 

***

 

 墜落した曳馬の周辺では防御陣地の設営が始まっていた。

 堀を掘る時間は無い為適当な資材を積み上げ壁にすると術式盾をその後ろに設置する。

更に破損していない移動式の野戦砲を動かし敵に備えた。

「一応陣地は出来上がってきたけど……」

 そう言い天子は兵士たちを見る。

彼らは皆どこか負傷しており、装甲服も破損している。

 先ほどの墜落で幸い死者は出なかったものの重傷者が何人も出た。

重傷者は艦内で自動人形や英国王女が治療しており、そこでまた人員が割かれている。

「眼鏡、私は少数精鋭で前進するべきだと思う」

 そう右側のレンズに罅が入っているネシンバラに言うと彼は頷く。

「僕も同じことを考えていた。ここから二キロメートル進んだ場所に中継基地がある。

まずそこに向かい、今も戦っている守備隊と合流する。

連絡係としてシェイクスピアを連れて行ってくれ」

「私たちは残ります」

 そう声を後ろから掛けられ、振り返ればティータを先頭にパチュリー・ティオ・妖夢・アデーレが立っていた。

「通神基地をここに設置して外部との連絡ができるようにします」

「パチュリーさんは体力的な面で、私と妖夢さんは小田原のせいで本調子じゃないからここに残ります。あと索敵の為にはたてさんも残ります」

 彼女たちの言葉に頷くと陣地の設営を手伝っているミュラーの方を向く。

「ミュラーさん、貴方もここに残って防衛部隊の指示をお願い」

「了解した」

 さて、これで残るメンバーは決まった。

 陣地の設営も彼らに任せればよいだろう。

あとは此方で同行する兵士を決めるだけだ。

 眼鏡は辺りを見渡すと頷いた。

「十分後に前進しよう。それまでに皆、準備を頼むよ」

 

***

 

 巨大レンチを振り下ろし、渾身の力で巨大な瞳を叩き潰すと地摺朱雀はクラーケン型から離れた。

 白の巨体が力を失い、ゆっくりと墜落して行くのを見届けると辺りを見渡す。

 関東連合艦隊の突撃によって敵陣は左右に分断された。

自分と里見・義康は右翼側の敵を攻撃しており、今のが最後の一匹だ。

『左翼側もそろそろ終わりそうだ』

 近づいて来た“義”に直政は頷く。

「だけど敵の後続はまだまだいるさね」

 敵はまだ中央から北部に掛けて大規模に展開しており未だ此方が劣勢だ。

『……曳馬が墜落したが援護に向かうか?』

「いや、向うから連絡が無いって事は手助けは必要ないって事さね。こっちはこっちの仕事をしっかりとするよ」

 後方から三機の武神が近づき、通過する際に一機が此方に手合図した。

それに右手を少し上げ、答えると三機は此方に一瞥し進んでゆく。

 伊達家の武神隊のおかげで善戦できている。

彼らに感謝するのと同時に“後々厄介だな”という考えもある。

━━ま、交渉の事は正純に任せるさ。

 この戦いに勝たなくては交渉すらできない。

 そう思っていると輸送艦隊が前進しながら降下して行くのが見えた。

「どうやら前線に追加部隊を降下させるみたいさね。援護に向かうよ!!」

『Jud!!』

 飛翔器を展開させ地摺朱雀と“義”が輸送艦に向かい始め、護衛に加わるのであった。

 

***

 

 北部、崩落富士周辺の空は激戦区となっていた。

 <<結社>>の航空戦力と怪魔の航空戦力が激突しており、そこら中で爆発が生じている。

 そんな中を五機の機竜が突き進んでいた。

小田原城を襲撃した“団長”を一回り小さくしたような機竜達は小型の怪魔をその巨躯で引く潰し、クラーケン型には口内から竜砲を浴びせている。

 彼らは“団長”と共に目覚めた嘗ての騎士たちだ。

 永い眠りによって“核”が劣化し自我をほぼ失ってしまっている。

だがそれでも自身の最も深い個所に刻まれた“使命”と“恨み”だけははっきりと思い出せるレベルに残っており、彼らを駆り立てる。

 白い化け物。

 我らの敵だ。

 我らの栄光と繁栄と平和を奪った憎き敵。

 我らの家族と仲間と世界を奪った汚物共。

 許さん。奴らだけは決して許さん。

 我らを真似た小さな敵が群れを成して迫って来る。

 愚かな。

 いくら群れようが貴様らは贋作。

我らの怒りを受けよ!!

 機竜達が一斉に竜砲を放つと敵の群れが爆ぜた。

 残った敵はそのまま体当たりで引き潰して行き、彼らが通過し終えたころには敵は壊滅していた。

 この程度では収まらぬ。

 我らが誰であるかは分からない。

 だが体の奥底から奴らを根絶やしにしろという怒りが湧き上がって来る。

 次の獲物はどれだ?

そう思い、旋回した瞬間中央の一機が大きく揺れた。

そして鋼が砕ける音と共に竜の頭が引き千切れ、吹き飛んだ。

『!!』

 落下を始める同胞の背中に現れた一人の少女。

 漆黒の髪を靡かせ、巨大な戦斧を担ぐ少女。

 あれを知っている。

 姿形は違うが、この気配間違えるはずもない!!

『ォオ!!』

 残りの四機が少女に向かって一斉に竜砲を放つと墜落していた同胞の体を穿ち、砕く。

同胞の骸が内部から爆ぜると爆発が敵を呑み込む。

 だがその直後右翼側に居た一機の首が断たれた。

 少女だ。

先ほどまで同胞の体の上に居た少女がいつの間にかに移動し、別の同胞を砕いた。

危険だと判断し離脱しようとした瞬間には二機が断たれ、機竜の部隊は一機だけとなっていた。

 仲間が全滅した。

そう判断した瞬間、眼前に黒が現れる。

彼女はその黄金の双眸での瞳を覗きこみ、憐れむように此方の顔を撫でる。

「さようなら」

 直後、視界が一転し飛んでゆく首の無い自分の体が見えた。

 

***

 

 遺跡入口に到着したデュバリィたちは機竜隊が一瞬で全滅した光景を目の当たりにした。

━━今の、何が起きましたの!?

 五機はほぼ同時にやられた。

 高速の攻撃か? いや、だがあの瞬間、五人の敵が存在したような……。

「彼女が遊んでいる内に突入します」

 そう冷静に言う“白の巫女”に僅かながら嫌悪感を感じた。

「貴女の仲間が斃れたというのに随分と冷静ですのね?」

「彼らの力ではどう足掻いても彼女に勝てません。出会った時点であのような結果に終わるのは明白と言えるでしょう。

ですが彼女の気を引くことが出来るのであれば……」

 “白の巫女”が指示を出すと機竜達が上空に居る“黒の少女”に群がりはじめる。

だが次々と断ち切られ、墜落して行く。

「……私たちも様々な悪行を行ってきましたが、それなりに受け止め、考えていますわ」

「彼らを憐れむことで勝てるなら幾らでも憐れみますが? そうではないのでしょう?」

 それ以上の会話は続けなかった。

 何処か変だとは思っていたがこの少女、予想以上の狂人だ。

己の使命に心酔し、それを果たす事しか考えていない。

 この手の輩に説得や交渉は無駄である。

 自分も護衛の任務を果たす事だけに集中しよう。

そう判断すると部下たちに命令を出す。

「貴方たちは此処で待機! 入口を死守しなさい!!」

 眼前に広がる巨大な空洞。

 この先にある遺跡が今回の作戦の終着地だ。

━━鬼が出るか蛇が出るか……。

 “白の巫女”と共に空洞を降りはじめ、遺跡に向かうのであった。

 

***

 

 灰色の大地を天子たちが駆けていた。

 前列にはアマテラスとその左右に二代と宗茂、中央両横には防御力の高いウルキアガと成実、最後尾には点蔵とネイト、<<銀>>が配置され、残りは中央に固まって走っていた。

 今のところ運よく大規模な敵群には出会っていないが……。

「右側! クーガ型10で御座る!!」

 点蔵の声に皆が一斉にそちらを見れば突き出た岩の裏からクーガ型の怪魔が現れ、此方に向かって来ていた。

「“十字砲火”!!」

 誾が“十字砲火”から砲撃を放つと四体が吹き飛んだ。

残りの六体は三体ずつ左右に分かれて向かってくるが。

「やらせないわ!!」

「おっと!」

 エリィとオリビエの銃撃によって此方に辿り着く前に全て倒れる。

「足を止めないでください!!」

 先頭の宗茂の言葉に全員が従う。

 少しでも足を止めれば敵に包囲される可能性がある。

その為ひたすら突き進んでいるのだが……。

「我が王! 大丈夫ですの!!」

「お、おおう、ま、まだまだぁ……ひぃひぃ、ふぅ」

 戦闘職では無い正純やトーリは厳しそうだ。

それ以外にもアリスや浅間などの後衛たちも疲労の表情を浮かべており、どこかで休息をとる必要があるかもしれない。

 そんな中余裕の表情で綺麗なランニングフォームを披露しているホライゾンの事は知らない。

「これ、鈴とか御広敷とか、連れてこなくて良かった、わね!」

 そう言う天子の言葉に皆が頷く。

 戦闘職では無い鈴と御広敷は小田原に残り、家康公と共にバックアップを頼んでいる。

「あー、でも、御広敷が居たら、いざ、って時の、囮になるかも!!

あ、シロくん! 土地、買えた?」

「現在小田原の商工会と交渉中だ。なに、奴らの弱みは事前に調べてある。

主要メンバー一人ずつ落としていく」

「……あの、警察、ここにいるからな?」

 「国家権力など怖くない!!」と宣言しているがもうそろそろ本当に捕まってしまえ。

そう思っていると息を切らしているトーリを心配そうにネイトが窺う。

「我が王? きついのでしたら、私が……」

「はい、貰いーーーー!!」

 喜美がトーリを担ぎ上げ、ネイトが「あ!」と声を出す。

「あら、ミトツダイラ? 愚弟が欲しいの? 欲しい?

でも、あげない!!」

 「こ、この!!」とやや頬を赤く染めつつネイトが怒ると先頭を走っていた二代が「ふむ」と正純の背後に移動した。

「失礼するで御座るよ?」

「は?」

 二代は正純の腰に手を回し、容易く腰の辺りで抱える。

「ふむ? これではちょっと走り辛いで御座るな」

 そう言った直後、正純が回転した。

 二代の右脇下で正純を引っ掛けそのまま回す。

そして角度を調整すると肩に担ぐように抱え、最前列に戻った。

「いま、さらっと凄い事してなかったか?」

 ランディの言葉にエステルが頷いた。

 

***

 

 それにしても。

 天子は駆けつつ周りを見る。

 自分の左には衣玖が、右には浅間で、前には馬鹿を抱えた喜美、そして後ろにはエリィで……。

「嫌がらせか!?」

「え?」

 衣玖が目を点にしたので慌てて首を横に振る。

━━胸が、こう、上下に、上下に、上下、上下、上下……。

「ねえ、浅間?」

「はい?」

「やっぱ胸の分、重いの?」

「はい!?」

 しまった。

走っている疲れとかで思わず口走ってしまった。

だが言ってしまったのだからしょうがない。このまま訊いてしまおう。

「胸が大きいと走り辛いんじゃないの?」

「え、えー? えっと、その、私の場合術式で胸を押さえていたりしているのでそこまで大変じゃなかったり……」

「え!?」と反応したのは後ろに居たエリィだ。

だが彼女は直ぐに頬を紅め、視線を逸らす。

「衣玖は?」

「私は、喜美様と同じだと思います」

「ふふ、そうね。自分の重心を理解していれば一番楽な足運びというのが出来るものよ。

ここら辺、舞いを嗜んでいる衣玖は分かっているようね」

「舞いねぇ」

 移動中の重心を理解するのは戦闘にも活かせるはずだ。

 最近では柔軟に色々な知識や技術を学ぶようにしている。

今度喜美の言う事を訊いてみるとしよう。

そう思っていると前方に鉄の塀が見えてきた。

「中継拠点で御座る!!」

 そう二代が言った直後、拠点内部から爆発が生じた。

 

***

 

 拠点に近づき始めると敵の群れが拠点を包囲しているのが見えた。

「正純、誰かに拾ってもらうで御座るよ!!」

「はぁ!?」

 正純が抗議するよりも早く二代は正純を宙に放り投げる。

 “翔翼”を展開し駆け出すとアマテラスと宗茂も同時に動き出した。

敵はまだ此方に気が付いていない。

その隙を突いた。

 まずアマテラスが敵の中央に飛び込むと一閃で辺りの敵を蹴散らす。

そこへ二代と宗茂が飛び込み、此方に気づいた敵から仕留めて行った。

 その間に周囲を窺えば、遠い場所の敵は反転し此方に向かい始めてきているのが見える。

 だがそれに対して行動はとらない。

なぜなら。

「拙 僧 発 進!!」

 左側の敵には半竜が、右側の敵には伊達副長が飛び込む。

 更に仲間が合流した事によって敵を一気に蹴散らし始めた。

そして最後に正純を第五特務がキャッチしていたので「よし!」と頷いた。

 

***

 

 一帯の敵を一掃し終えるとエステルは一息ついた。

 走った後の戦闘は中々にハードであったが信頼できる仲間たちと戦っているという安心感からいつも以上に力を出せた気がする。

「中も無事ならいいけど」

「こっちは無事だぜ」

 突然の懐かしい声に驚くと拠点の門が開く。

拠点の中から数人の兵士が現れ、それから僅かに遅れて懐かしい顔が現れた。

「久しぶりだな。お互い、厄介ごとに巻き込まれる運命にあるようだ」

 青年だ。

 燃えるような赤毛を持ち、大剣を担いだ青年。

嘗て共に戦った大切な仲間。

「アガット!?」

 アガット・クロスナーが堂々と立っていた。

 




広域で展開される戦いと旧友との再会。
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