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どうしてこんな事になってしまったのだろうか?/どうしてこんな事をするの?
私は彼女を救えなかった。/彼女は私を助けてくれなかった。
私のせいだ。/あいつのせいだ。
私は彼女を裏切った。/あいつは私を裏切った。
“だから”
“私”が終わらせる。
6
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黒色結晶の階段を上りながらロイドは思案していた。
クロスベルから小田原に来て物凄い事に巻き込まれてしまった。
ほんのちょっとした護衛を兼ねた旅が世界を救う戦いに変わってしまい、もうすぐ決戦の場に辿り着く。
今回の事件によって色々と世界を知る事が出来たが判明した事よりも謎の方が増えてしまった。
古の竜が戦った敵の正体。
黒色結晶。
怪魔。
<<結社>>の目的。
そして“碧天の頂”が語っていた真の敵。
驪龍が黒幕ではない、ということか?
だとしたら一体誰が……?
ふと前を見ると“白の巫女”が通神を行っていた。
「はい、此方でどうにか彼女を止めてみせます。アーシャは後退してください」
『ぬう、小田原で不覚をとっていなければ怨敵と戦えたというのに……』
“白の巫女”が通神している相手は恐らく小田原城を襲撃した機竜だろう。
彼も古の竜の生き残りなのだろうか?
「なにか?」
「え?」
いつの間にかに“白の巫女”と視線が合っており、思わず間の抜けた声が出る。
直ぐに一回咳をして気持ちを切り替えると訊いた。
「君は古の竜の生き残りなのかい?」
仲間たちが階段を上る足を止めず、視線だけを此方に動かす。
“白の巫女”は暫く黙って階段を上っていると口を開く。
「そう訊く時点で私が竜であると確信しているのでは?」
「ああ、君が概念武装を持ち、概念を扱える時点で竜だと確信した。
比奈名居君と同じ可能性も考えたが彼女は特別みたいだからね」
「はい。比奈名居天子は例外中の例外です」
「なんで私は概念を扱えるの?」と天子が訊くと巫女は緋想の剣を指さす。
「私たちの概念武装は持ち主の概念核と連動し概念を増幅させる武器です。
ですがその緋想の剣は“極天の頂”が決戦用に創らせた武器であり、概念核そのものを素材としています」
「……まて、概念核は君たちの心臓みたいな物だと聞いた。それを素材に使うという事はつまり……」
「ご想像通りです。その武器は何人もの竜の命、そして“極天の頂”が削った自身の一部で出来ています」
まさしく決死の思いで作られた武器。
それが緋想の剣か……。
「あの……、私、そんな剣で弾幕ごっこしたり、神社ぶっ壊して遊んだり、暇だから大根空中輪切りとかしてたんだけど……」
巫女が天子を睨んだ。
もう仮面越しでも分かるくらい。
場の雰囲気を変えようと質問を続ける。
「もう一つ質問だ。君は八大竜王なのか?」
「…………」
“白の巫女”は答えなかった。
だがそれは無言の肯定と同じことだ。
それを最後に会話が途切れ、皆は螺旋階段を上っていく。
そして……。
「……ついたわ」
エステルの言葉と共に足場に到着した。
***
「ようこそ、終わりの地へ。ここは私たちの戦いに相応しい。そうは思わない?」
待ち構えていた驪龍と相対すると皆、武器を構えた。
天子も緋想の剣を構え、敵を警戒するが視線は上へ行ってしまう。
━━空が……。
歪みは既に渦となっていた。
上空に巨大な濁った流体の渦が出来上がっており、渦の中心からは漆黒の闇が溢れかえろうとしている。
もう時間が無い。
そう感じられた。
「徒党を組めば勝てると勘違いするのは雑魚の悪い癖よねえ」
「あら、それはどうかしら? 私たちは今まで何度も強大な敵と戦い、その度に仲間と一緒に乗り越えてきたわ」
エステルが一歩前に出る。
「そうだね。互いに信頼し、手を取り合うのはただの足し算じゃない」
ヨシュアが続き。
「たとえ一人では乗り越えられない壁でも仲間と共に、決して諦めなければ必ず乗り越えられる!!」
ロイドは笑みを浮かべ。
「私たちは多くの事を経験し、そして多くの人に助けられて進んできたわ」
エリィの言葉にネイトが続いた。
「私たちの背中には多くの思いと信頼がある。それが無い貴女には決して負けませんわ」
次にアマテラスとイッスンが。
「悪いなァ。裸族のネーちゃん! 神様ってのは頼られれば頼られるほど強くなるんだぜェ!!」
そして衣玖が続き。
「貴女が絶望を振り撒くというのならば私たちは希望でそれを上書きするだけです!!」
衣玖が此方を見た。
次は私か……、でも言いたいことみんなが全部言っちゃった気が……。
うわ! どうしよう!! なんか言わなきゃ!!
「と、ともかく、そういう事よ!!」
ビシッと相手を指さすと周りから「えー……」という声が聞こえてくる。
「天子、それはあまりにも……」
「天人ネーちゃん、せっかくオイラ達が盛り上げてやったてのによォ……」
「ま、まあまあ、みなさん、今日はたまたま総領娘様は調子が悪かっただけですよ!」
五月蠅い黙れ。泣くぞ、おい。
そんな感じで一気にシリアスムードがどこかに行ってしまった此方を見て驪龍は「ふん」と不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「ほんと、友情とか信頼とか暑苦しいし、馬鹿馬鹿しいわねえ」
***
・● 画:『こいつ、誰かに似てると思ったらあれだ。武蔵に来たばかりの頃の天子、あんたよ』
・煙草女:『マジで生き別れの姉妹じゃないんさね?』
・天人様:『私をあんな捻くれ者の貧乳と一緒にするな!!』
・約全員:『えっ!?』
・あさま:『天子、落ち着きましょう。百、千……万歩譲って性格の面が似てないとしても体型ばかりは隠しきれませんよ?』
・天人様:『どういう意味だぁーーーー!!』
・ホラ子:『というかホライゾン今更気が付きましたが、あのラスボスチックな人が裸マントというのは天子様が裸マントしているのと同じことですよね。しかも男性陣、シリアスムードに流されて裸ガン見してますし』
・天人様:『……………………ぁ』
・賢 姉:『露出プレイね!! 本人じゃないけど、全部同じならもうそれ本人が露出プレイしたことでいいわよね!!』
・俺 :『あー……、気が付いていたけど言わないでおいたんだが。まあ、あれだ、今後の成長にご期待って事で』
・天人様:『ああああああああああああああああ!?』
・未熟者:『ちなみに今のうちに状況報告しておくと全員曳馬墜落地点まで後退してそこで関東連合の輸送艦に拾われる予定だよ!!』
***
「お前服を着ろおおおおおおおお!!」
顔を真っ赤にし、驪龍を指さすと彼女は面倒くさそうな表情を浮かべる。
「いやよ」
「警察! GO!!」
「え、ええ!?」
ロイドがどうすればいいんだという表情を浮かべながら前に出ると驪龍と向かい合う。
そして一度咳を入れると。
「クロスベル警察だ。とりあえず公然猥褻とテロの容疑で逮捕する」
「…………」
驪龍は暫く無表情でロイドを見ていると外套の端を掴み、思いっきり持ち上げた後広げた。
「ぶふっ!?」
「ぎいやああああああああああああああああ!?」
━━なにしてんの!?
思いっきり前を広げ、丸見えに。
あまりの恥ずかしさにその場でのた打ち回る。
「エ、エステル?」
「ヨシュア、見ちゃだめよ」
エステルはヨシュアの両目を手で覆い、衣玖は此方を見て噴き出すのを我慢している。
ミトツダイラは同情の目で此方を、イッスンは「インスピレーション!!」と叫び、ロイドが表情を固めたまま戻ってきた。
「…………ロイド?」
「ま、まて!! 今のは不可抗力だ!!」
━━決めた。
ふらりと立ち上がり、剣の先端を敵に向ける。
「決めた。あんたは絶対私が倒す」
口元に怒りの笑みを浮かべ、肩を戦慄かせる。
「もう世界とかどうでもいいわ!! 私は私のプライドの為にあんたを倒す!!
ええ、そうよ! 自己満足よ!! 悪い!? この外道、バーカ、アホ!!」
「「うわ、大人気ない!!」」と周りからツッコまれるが知るか!!
すると驪龍は楽しそうに目を細め、拍手する。
「いいじゃない、私情で戦う方が正義感で戦うよりずっと好感持てるわ!」
「は! あんたに好感なんか持たれたくないっての!!」
互いに睨み合うと同時に、駆けだした。
***
敵との距離を詰めるのと同時に背後からエリィの援護射撃が飛んできた。
驪龍はそれを軽々と避けると続いて頭上に振ってきた雷撃を斧で払う。
そして次の瞬間には此方の眼前に現れた。
━━時間操作!!
眼前で振るわれた斧の刃を緋想の剣で受け流すと回し蹴りを入れる。
だが。
「…………!!」
蹴りが急に減速した。
━━こいつ、こっちの時間も操れるっていうの!?
驪龍は斧を縦回転させると石突で此方の顎を狙う。
此方はいまだに片足立ちの状態であり、避けることは出来ない。
だから。
━━衣玖!!
腰に羽衣が巻き付けられると後ろへ引っ張られる。
それと入れ替わりに敵目掛けて銀鎖が叩きつけられた。
その際に妙な物が見えた気がした。
それは敵を覆う変な歪みの様な物であり、銀鎖の攻撃から敵が逃れると消える。
「今のは……?」
驪龍は横へ跳躍し終えると着地し、攻撃を再開しようとするがそこにロイドとヨシュアが挟み込むように飛び込む。
ロイドが狙うのは敵の胸部だ。
そこにトンファーを叩き込むが寸前の所で斧の柄で受け止められ、防がれる。
その衝撃で敵は後ろへスライドしヨシュアが背後から攻撃する。
だが攻撃を受ける瞬間、敵は背後に振り返り斧でヨシュアの剣を受け止めるが……。
「!!」
ヨシュアが消えた。
一瞬で背後に回り込み、一撃目を敵の背中へ。
次の瞬間には頭上に現れ、落下と同時の斬撃で敵の左腕を断った。
「断骨剣!!」
左腕を断たれた敵は即座に腕を再生し始めるがエリィの連射を受け、動きが止まる。
そこにアマテラスが勾玉を鞭状にして敵に巻き付け、更にエステルが棍を頭蓋に叩き込もうとする。
「く!! 動きが!!」
振り下ろされた棍が減速した。
━━また……!!
何かが見えた。
先ほどと同じ透明な空間の歪みの様な物。
それがエステルの棍に巻き付いている。
敵はエステルの攻撃が遅れている内にアマテラスの勾玉を振り払い、此方から距離を取る。
そこを“白の巫女”が追撃し、二人は位置を入れ替え合いながら攻撃を交差させる。
「…………」
さっきの歪みの様な物。
どうにも気になる。
「総領娘様? どうなされたのですか?」
「……ねえ、驪龍の周りに歪みみたいなもの見えない? 物凄く、僅かな歪みだけど」
「歪み?」と皆は驪龍と巫女の戦いの様子を窺うが首を傾げる。
「歪みってどうな感じの?」と訊いてくるエステルに「こう、透明な靄みたいのが掛かって」と答えるがどうやら完全に見えていないらしい。
━━私だけ見えている? それとも気のせい?
そう言えばあの時、概念が放出されたとき気になる声を聴いた。
確かあれは……。
━━もしかして!!
敵の謎が分かったかもしれない。
「次、私が一人で仕掛けてみるわ」
そう伝えると黒と白の少女の攻防に介入するタイミングを計り始めた。
***
「ほらほら! どうしたの!? 概念使ってもいいのよ!!」
斧を何度も無造作に振るい、その度に白の槍に弾かれる。
武器を弾かれる事によって隙が生じ、そこを“白”は突いてくるが別に構わない。
だって。
━━いくらでも歪められるからねえ!!
突き出された槍は歪みによって遅延された。
攻守一転。
次に隙を突かれるのは“白”の方だ。
彼女の腹に拳を叩き込むとそのまま頭突きを喰らわす。
「っ!!」
“白”は苦しそうに後退ると大きく息を吐き出し、慎重に此方との距離を取った。
しかし解せない。
どうして“白”は概念を使わない?
概念無しで私に勝てると思うような馬鹿ではないだろう?
「ああ」
分かった。
どうして使わないのか。
意地悪そうに笑みを“白”に送ると斧の先端を向ける。
「紛い物の体ってのは大変ねえ。あんた、さっきの放出でかなり消耗しているんでしょう!
今の感じだとあんたが大技を使えるのはあと一回。それをいつ使うか考えているってところね」
「…………」
“白”は答えない。
だが図星だろう。
私には彼女の考えている事が大体分かる。
だって私たちは……。
“白”が構えなおし、此方もそれに応じて構える。
どちらが先に踏み込むか。
お互い牽制し合いながら円を描くように歩き始めると横から飛び込んでくる姿があった。
「あら!」
天子だ。
彼女は一気に此方に迫ると剣を振るう。
それを斧で払うと一歩後ろへ。
天子はそれを追いかけて一歩前へ。
互いの距離を保ちながら攻撃を交差させると敵が攻撃の手を変えた。
━━おっと……?
振り下ろしの様に見せかけ、膝蹴り。
それを避けると即座に横薙ぎの一撃が迫り、斧の柄で受け止める。
反撃の為重心を前に動かし、敵を押し出そうとするが……。
「!!」
押されるのと同時に敵が力を抜いて後ろへ逃れた。
━━思ったよりやるじゃない!!
なかなか良い動きをしている。
此方の動きに合わせて次の行動を迅速に行い、攻撃と防御を行う。
まだ次の行動への移行がぎこちないが経験を積めばそれもスムーズになるだろう。
斧を腰の辺りで構え、真っ直ぐに突き出す。
勿論敵はそれを避け、出来た隙を突いてくるが……。
━━歪めれば良いだけ……よ?
敵の剣が歪みに触れそうになった瞬間、止まった。
そして敵は武器を即座に構えなおし、此方の脇腹を狙って突き出してくる。
「こいつ!!」
腰を捻り、刃を避けるが僅かに脇腹が裂かれる。
僅かに眉を顰めると斧で床を叩き、衝撃波を生じさせる。
その衝撃を利用して敵から距離を一気に離すと睨み合う。
「やっぱりね」
天人はそう呟くと此方を指さした。
「あんたの技、大体分かったわ!」
***
此方の言葉に敵は答えない。
普段通りの涼しい表情で此方を見ている。
「変だと思っていたのよ。あんたが時を操れるなら何故時間停止という反則技を使わないのか……。
それは使わないのでは無くて、使えないのね」
敵は此方の攻撃を遅延させてはいたが、停止は一度もしていない。
そしてその遅延にも秘密がある。
それは……。
「あんたが身に纏っている歪み。それが時間操作の秘密ね。
あんたは時空を歪ませることによって加速や遅延、そして再生を行っている。
加速する時は自分の進路状に歪みを伸ばし、道を作ってそこを通る。
遅延は身に纏っている歪みで敵の武器や体を掴むことで発動。
そして再生は自身の負傷箇所に歪みを付着させ、巻き戻す」
敵は攻防一体の時間の鎧を常に身に纏っているようなものだ。
以前、筒井城で戦った八意永琳が使用していた“思兼”に似ている。
あれも不可視の鎧であった。
先ほどの一撃は歪みが最も薄かった場所を突破するように放った。
歪みが薄ければ遅延の効果も薄いらしく、刃は敵に届いた。
だが。
「やっぱり剣を持ってるせいか見えるのかしらねえ?
そうよ。私の能力は時間を歪ませる事。時空を歪ませ、遅延や加速を行う。
まあ、それ以外にもあるけど……。
で? それが分かった所でどうするの?」
唾を呑んだ。
そうだ。
それが分かった所でどうする?
「私の概念が見えているのは貴女だけ。ほかは全く見えちゃいない。
それじゃあ何の意味も無いわよねえ?」
私だけが見えてもこの敵には勝てない。
なんとか、なんとか自分のこの能力を仲間に伝えられないか……。
「まあ、でも? 私の能力に気が付けた事は褒めてあげるわ。だからそうねえ、一段階ぐらい難易度を上げても……」
直後、驪龍の体が砕けた。
何かが驪龍の胴を貫き、彼女の首から下、左半分が千切れ吹き飛ぶ。
「あ……?」
槍だ。
巨大な槍が驪龍の前に突き刺さっていた。
「おま……え……!!」
浮遊する岩の上に騎士が立っていた。
アリアンロードだ。
彼女は岩から飛び降り、黒色結晶の足場に着地する。
「どうやら本人が認知していない攻撃は遅延できないようですね」
彼女はそう言うと体の大半を失いバランスを崩している驪龍に蹴りを叩き込み、地面に突き刺さっていた槍を回収した。
そして此方を一瞥すると一礼する。
「事情は既に存じております。蛇が第七柱<<鋼の聖女>>、この槍を貴女方と共に振るいましょう」
「アリアンロード、どうやって此処へ?」
巫女の言葉にアリアンロードは頷くと先ほどまで立っていた岩を指さす。
「浮いている岩から岩へ跳んで参りました」
「流石ですね」
いやいやいや、流石どころか色々と凄すぎだろう……。
岩から岩への距離は結構あるぞ?
半目になりながら呆れると仲間たちの方を見る。
後ろではロイドとエリィは険しい表情、エステルとヨシュアは驚きの表情、ネイトと衣玖、そしてアマテラスはキョトンとした表情をしていた。
ちょっと前までは敵だったのだ。
特にロイドやエリィは複雑な心境だろうが……。
━━味方が増えるのは大歓迎よ!!
そして今が。
「チャンス……!?」
驪龍が吹き飛んだ方向から歪みが来た。
それは今までのとは違い、巨大ではっきりと視認できる歪み。
━━ミト!!
戦術リンクで此方の思考を読み取ったネイトが後方へ跳躍すると彼女の居た一帯が文字通り潰されて消滅した。
「なんですの!?」
「これは……空間消滅!?」
敵はミトツダイラが居た時空を歪ませ、消滅させたのだ。
「ふう……、今のはちょっとヒヤっと来たわ」
驪龍がゆっくりと立ち上がると既に修復されている体を捻って確かめた。
そして不機嫌そうな表情を浮かべるとマントを翼の様に広げ、浮遊する。
「不意討ちなんて卑怯じゃないかしら?」
「貴女が卑怯を語りますか」
「ええ、語るわよ。だって私、卑怯な事をするのは好きだけど、卑怯な事をされるの大嫌いだもの」
そう言うと驪龍はクスリと笑う。
それから手を上空の渦に掲げると小さな笑みを歪んだものへと変えてゆく。
「役者も増えたし、そろそろ本番と行きましょうか!」
「!!」
渦から何かが驪龍に注ぎ込み、彼女が身に纏っていた歪みが膨張して行く。
そして膨張した歪みは十個に分裂し、此方を囲んだ。
「「あははは!!」」
十個の黒の外套が舞った。
二十の黄金が此方を嘲笑い、敵意を向ける。
「分身……!?」
十個の歪みから十人の驪龍が現れた。
「さあ、第二ラウンドを始めましょうか!!」
大元の驪龍が指を鳴らした瞬間、十人の驪龍が一斉に動き始めた。
第一部のラストバトル!! 強力な力を持つ敵に対してどう天子たちは対抗するのか……?