緋想戦記Ⅱ   作:う゛ぇのむ 乙型

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~第五章・『赤十字旗の下で(Ⅴ)』~

 

 ロンドン市庁舎にある大会議室に数人の男女が集まっていた。

 大会議室内には大きな円卓があり、男女は円卓に備え付けられた椅子に座り部屋の北側の席に座る妖精女王エリザベスに注目している。

「さて、本題に入る前に一つ訊きたいことがある。カイエン公爵、私の許可なしに未だに軍拡している理由を訊こうか?」

 いきなり切り込んできたエリザベスにその場にいた全員が固まるが正面に座っているカイエンは余裕の笑みを浮かべた。

「あくまで自衛の為、ですよ」

「自衛? ほう? いったい何から守るつもりだ?」

「様々なものから。賊、英国内に居座っている猟兵、各地で出没し始めた怪魔。ああ、それから最近は我が領内でうろついている“妙な連中”とかですな」

「兵力が足らないなら英国憲兵隊を派遣してやろう。それに仮に治安維持の為だとしたら、航空艦の新造や機甲兵の製造。これらは守る力にしては過剰だと思うが?」

「果たしてそうですかな? 英国には異族が多い。

力を持った異族が反乱を起こした際、人間の歩兵だけでは抑えきれない可能性がありますからねえ。

我々は、人間のみを、エレボニア出身の人間を兵士にしてますので」

━━ああ言えばこう言う……。

 まったくもって腹立たしい。

 後でこいつの城目掛けて王賜剣二型叩き込んでやろうか?

「アルバレア公爵、お前もカイエン公爵と同意見か?」

 カイエンの右隣に座り、先ほどまで沈黙していた金髪の男が少し驚いたように体を動かした。

 この会議には各派から代表者が二人ずつ参加している。

 貴族派からは筆頭のカイエン公爵と領地は無いものの未だ力のあるアルバレア公爵。

 極東派から島津家当主の島津義久とその父貴久。

 革新派から宰相オズボーンとレーグニッツロンドン知事。

そして女王派からは自分とレミリアなのだがあの吸血鬼は日の出ている間は外出したがらないので基本いない。

 アルバレア公爵はやや躊躇った後、頷き「軍拡はあくまで治安維持の為です」と言う。

 没落したアルバレア家はカイエン家に従うような状態になっている。

この二人からは真意を聞き出す事は不可能だろう。

━━やはりハイアームズかログナーを揺さぶるべきだな。

 残りの四大名門であるハイアームズ家とログナー家は今の所中立を保っている。

特にハイアームズ家は女王派に協力的だがあそこの当主はカイエンやオズボーンとはまた違う侮れない雰囲気を持っている。

「そもそも、我々を警戒する前に身近な人物を警戒するべきではないですかな?」

「ほう? 誰をだ?」

「スカーレット家ですよ。スカーレット卿は英国内の異族を集め、私設の軍隊を所有している。今は大人しくしていますがあの我儘お嬢さんが気まぐれで反乱を起こすやもしれませんぞ?」

「……む」

 これはちょっと痛い所を突かれたぞ。

 スカーレット家の私設軍隊については黙認していた。

最初はレミリアが独自の兵力を持てば役に立つと思っていたのだが、予想以上にスカーレット家の軍は大きくなってしまった。

今度警告しようと思っていたのだが……。

 

***

 

・女 王:『よし、レミリア。お前の所の軍隊全部私に寄こせ』

・紅悪魔:『はあ!? 何言ってんのあんた! 嫌に決まっているでしょう!!

あんたに“貸す”予定はあるけど、あげるつもりは無いわ!!』

・女 王:『カイエンに言われてな。貴様が私に対して反乱を起こす為に軍を増強していると言っている』

・紅悪魔:『……………………ソンナコトナイデスヨ?』

・女 王:『ウオルシンガム、今すぐ部隊を率いて紅魔館に向かい制圧しろ。ああ、これでもかというほどニンニクと銀、聖水を叩き付けてやれ』

・番 犬:『Roger that』

・紅悪魔:『ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待て!! 分かった! 今度あんたがやりたがっていた“神喰ってます2”貸してあげるから!!』

・女 王:『最新作の“神喰ってます2:カレーピクニック編”だぞ?』

・紅悪魔:『く……! まだ終わってないけど、いいわ! 貸してあげる!! というか今度はセーブデータ分けなさいよ!! この前の、私のデータ上書きしやがって!!』

・女 王:『あれはキャラに“ダークネスブラッド”とかいう痛々しい名前を付けていたお前が悪い。目障りなので消した』

・紅悪魔:『やっぱり故意か……!!』

 

***

 

 なんだかレミリアが騒ぎ始めたがもう既に交渉は成立した。

 後でウオルシンガムに受け取らせるとしよう。

さて、これでレミリアの軍隊に対しては反論できなくなったので。

「うん。よし、この話はここまでにしよう。異議は無いな? よし」

「いやいやいや! 話は終わっていませんぞ!!」

━━っち、うるさい奴だな。

 どうやってこのナルシスト髭を黙らせようか?

そう考えていると会議が始まってからずっと黙って薄い笑みを浮かべていたオズボーンが喉を鳴らし笑い始めた。

「な、何がおかしい!!」

「これは失礼。女王陛下らしいと思いましてな。それで、許可なしの軍拡についてですがスカーレット卿には厳重注意をするべきでしょう。勿論、カイエン公爵、そちらにも。

この話はそれで終えるのが良いのではないですかな?」

 その言葉で会議室が静まり返った。

 カイエンもこれ以上この話をするのは不味いかもしれないと判断したのか、眉間に皺を寄せながら沈黙した。

そして場が仕切り直されると宰相が此方を見る。

「女王陛下、そろそろ本題に入るべきではないですかな?」

「ああ、そうだな」

 さて、獲物の前に餌を吊り下げる時間だ。

「まずはこれを読んで欲しい」

 そう言うとこの場にいた全員に通神文を送った。

 

***

 

 通神文に添付されていた文章を読み終えるとカイエンは大きくため息を吐き、眉を顰めた。

「これは、どういう事ですかな?」

「読んだ通りの意味だ」

「……今月末より二年間、代表者会議を停止し一部政治的権限を英国女王エリザベス及び宰相オズボーンに一任する。また、それに合わせて軍の再編を行い、二年間の間極東派の兵士、貴族派の兵士など英国内の全戦力を正規軍に貸与する。

ふざけているのか!! これでは独裁ではないか!!」

 そう憤った風に立ち上がるとオズボーンが「カイエン公爵、落ち着きたまえ」と言う。

「あくまで二年間の間のみ、それを過ぎれば代表者会議を再開し軍の編成を元に戻す。

更に円滑に事が運ぶように再編した軍に各派閥から指揮官を出していただく。

政治的権限も外交や開戦などの軍事的なもののみ。貴族派や極東派を解体するというものでは無い」

「そんな事、信じられる筈があるまい!! 極東派も……!!」

「この案、承知いたした」

「…………なに?」

 島津義久の言葉に驚愕したように見せた。

 手持ちの軍事力を奪われるなど、完全に支配されたのと同義である。

極東派はあくまで英国と対等な関係であることを第一として内戦で和睦した。

こんな案を承認するとは思えないのだが成程、“情報通り”と言う事か。

「先の肥後での失態、全ての戦力が連携できていれば起きなかったであろう。

関東での富士消失、<<結社>>とやらの暗躍、怪魔の脅威。英国が、いや、この世界が脅威に晒されているのは事実。国家体制の改革は必要でしょうな。

今のままでは聖連や関東と渡り合うどころか九州一統も厳しい」

 「ですが」と義久は女王を見る。

「島津は生き延びるための選択を常に行う。もし、島津が“危険だ”と判断した場合は……」

「ああ、分かっているさ。お前たちを敵に回すと非常に面倒臭いと内戦で理解したからな」

 魔女殿の言っていた通りだ。

 女王派と極東派は通じている。

我々を潰した後に我らの土地を極東派に与えるなど話があるらしい。

━━まったく、馬鹿にしてくれる!!

 だが、好都合だ。

 敵は私を道化にするつもりらしい。

ならば私はあえて道化になろう。

「ふざけるな!!」と怒鳴り机を思いっきり両手で叩く。

ちなみに結構痛くて言葉が詰まった。

「……っ!? ……ごほん。この様な案、呑めるわけがない!」

「おい、カイエン。いま痛かったんだろう?」

 無視だ。

「これはどうみても英国、妖精女王による独裁! このような事を認めてしまえばエレボニアの伝統と誇りを失いかねん!」

「エレボニア人の伝統や文化を消すつもりは無い。あと、痛かったんだろう?」

「…………。どう言おうが我らはこのような事を認めん!! 絶対にな!!」

「カイエン公爵、お前がどう言おうともこの案は通させてもらうぞ。で、痛かったのか?」

「ぬ、ぐ! 失礼する!!」

 肩を憤らせ、退出しようとするとアルバレア公爵が慌てて「お、おい! カイエン!!」と立ち上がり、ついてくる。

そして会議室のドアノブに手を掛けた瞬間、背後から女王に声を掛けられた。

「近いうちにそっちに行くぞ」

「ええ、お好きに。来れれば、ですが」

 ドアノブを回し、開けると女王が「あと一つ」と呼び止める。

それに振り返ると嫌味な笑みを浮かべながら訊いて来た。

「やせ我慢しなくていいんだぞ? 痛かったんだろう?」

「失礼する!!」

 最後のは演技で無く、本気で怒りながら退出するのであった。

 

***

 

 カイエンとアルバレアが退出すると会議では沈黙していたレーグニッツ知事が「公爵は動きますかな?」と此方に視線を送ってきた。

「動けば手筈通り。動かないのであればそのまま取り込む。そうであろう? 宰相?」

「ええ。ですが今後の事を考えると公爵には動いて頂いた方が良いですな」

 あの怒り方なら動くだろう。

 ここまでは予定通り。

残る問題は……。

「公爵がどの程度力を持っているか、ですな」

 義久の言葉に頷く。

 公爵が妙に強気なのには必ず理由がある。

奴にとっての切り札がある筈だ。

「獲物を釣り、仕留めるには“時機”が重要。浅ければ仕留めきれず、深ければ此方が手酷い怪我を負う」

 そう言うと義久は立ち上がり、それに続いて貴久も離席する。

「それから、島津を内側に入れるという意味。くれぐれも忘れぬように」

 そのまま義久と貴久も退出した。

 先ほどの言葉、警告か。

 島津は“今回は”英国に付くが状況が変われば我らの敵に回る。

そういう意味だろう。

━━貴族派との戦いでは苦戦できんな。

「宰相、奴らとの戦。どの程度で片が付くと思う?」

「現状判明している戦力ならば蜂起したところを畳み掛ければ一月以内に。奴らの中には私の手の者もいますので」

「やはり問題は協力者か……」

 カイエンの協力者が誰かは不明だが今の所貴族派が猟兵以外の外部からの戦力を入れた様子は無い。

という事は何らかの、我々に対抗できる兵器などを手にしたと考えるべきだろうか?

「ともかく情報収集は続けろ。奴の行動全てを監視しろ」

「仰せのままに」

 宰相が頭を下げるのを見るとため息を吐く。

━━さて、どうなるかな?

 そう思いながら会議室の窓から差し込む朝日に目を細めるのであった。

 

***

 

 市庁舎から出るとカイエンは道路に停車されていた導力リムジンに乗り込む。

それに続いてアルバレア公爵も乗り込むと彼は焦りの表情を浮かべながら此方に詰め寄ってきた。

「どうするのだ! カイエン!! このままでは女王派に潰されるぞ!!」

「…………」

「要求に反発すれば間違いなく女王派は仕掛けてくる! 今の戦力では勝てんぞ!!」

「…………」

 沈黙している此方に苛立ったのかアルバレア公爵は此方の肩を掴む。

「カイエン!!」

「…………ク、クハ、ハハハハハハハ!!」

「な、何を笑っているのだ!?」

 これが! これが笑わずにいられるか!!

全て思惑通りに進んでいる!!

獲物は罠に掛かった!!

 大笑いを終え、深呼吸をすると唖然としているアルバレア公爵に「いや、失礼」と頭を下げた。

「アルバレア公爵が心配されるのも当然。だが、心配御無用! 全ては我々にとって良い方に進んでいるのだよ」

「……カイエン、一体何を企んでいる」

「ここは危険だ。話は飛空艇の中でするとしよう。ああ、あとそれからログナー公爵やハイアームズ公爵に“我が船”に集うように連絡しよう」

 さあ、いよいよだ。

 明日、この国は大きく変わるだろう。

そして私によってエレボニアの再興が成るのだ!!

 そう思いながら笑みを浮かべるとリムジンが空港に向かい始めるのであった。

 

***

 

 空港からスカーレット家の飛空艇が離陸するとⅦ組のメンバーは広めの部屋に案内された。

案内された部屋は攻撃用の飛空艇とは思えないほど豪華な内装となっており、紅い絨毯と金の刺繍が目立つ。

 部屋をまじまじと見ていると美鈴が「あ、気になります?」と笑みを浮かべた。

「お嬢様の趣味で内装をかなり変えているんですよ。基本、紅色なんで慣れるまでは妙な感じがするかもしれませんね」

 字名(アーバンネーム)が<<紅の悪魔>>と言うだけあってあの吸血鬼は紅がお好きらしい。

ここに来る途中の廊下も紅の絨毯が敷かれており、アリサが「軍用機とは思えないわ……」と呆れていた。

 部屋の中にあったソファーに皆が腰掛けると美鈴は「さて」と姿勢を正した。

「ではでは、皆さんに今日やってもらいたいというか、行ってもらいたいところを説明しますね」

「━━行ってもらいたいところ……ですか?」

 その言葉に美鈴は頷く。

「ええ、行ってもらうのは桜島の火山、その内部です」

「はい!?」

 マキアスが驚くのは無理は無い。

美鈴は俺たちに噴火して間もない火山の中に入れと言っているのだ。

噴火自体は収まったが今も噴煙を上げ、火山ガスが充満しているところにだぞ?

「火口からダイブするなどと言った馬鹿げた事ではないと思うが、今の火山内部に入るのは自殺行為だぞ」

「あはは、まあそう思いますよね」

 そうユーシスの言葉に美鈴は苦笑すると「安全な入り口があるので大丈夫ですよ」と言う。

「今から話す事は他言厳禁、もしこの場に居ない誰かに伝えたらこわーい人たちが来る事になっちゃうので気をつけてください」

 美鈴はそう茶化すように言うが目は笑っていない。

これから話す事が“相当”だと理解すると全員姿勢を正した。

「桜島の噴火は自然的なものではありませんでした。噴火直前に桜島内で流体が急激に乱れ、爆発を生じさせたのです。

桜島内部で“何らかの力”が爆発した結果、島は噴火、周辺に大きな被害をもたらしましたね」

「……あの、その力というのは?」

 エマの質問に美鈴は首を横に振る。

「研究者たちが必死に調べましたが未だ判明していません。たが、この前の富士で起きた物に近かったという事は確かだそうです」

 息を呑む。

 先月起きた崩落富士の消失事件。

 徳川と協力した関東連合、怪魔、そして<<結社>>が崩落富士一帯で争った結果起きた未曾有の事態。

あれ以降、あの一帯の地脈は消失し、文字通り死の大地となったらしい。

 あれと同じ事が起きていた?

「まあ桜島のは小規模だったから噴火程度で収まったらしいですが……。

で、ここからが本題で爆心地を調査していたところ桜島内部に“遺跡”が発見されたのです」

「遺跡が……?」

 不変世界には正体不明の遺跡が多く存在している。

 多くの国がその研究をしているがあまり進展が無いらしい。

「妙だな。噴火中の火山内の遺跡を発見できたこともそうだが、遺跡が爆心地にあったのならなぜ健在している?」

 ラウラの言うとおりだ。

桜島を噴火させるだけの爆発が起きたのなら遺跡は跡形も無く吹き飛んでいるはずだ。

だが恐らく俺たちはその遺跡に向かう。

内部に入れるだけ健在しているという事だ。

「それに関しては実際に見てもらったほうが速いと思います。というかそれも“私たち”の目的の一つですから」

「それって“嵐”の時に私たちを取り込みたいから?」

 フィーの言葉に美鈴は首を横に振る。

「全ては“嵐”を越えた後のためです。そう、“嵐”の先に待つ“終末”に対抗する為に」

 

***

 

 美鈴から大体の説明を受けた後は自由行動となった。

 取り合えずシャロンから貰った朝食を食べると皆でよく遊んでいたカードゲーム“ブレード”をし、それに飽きると個人行動を始めた。

 リィンも少しだけエリオットやガイウスと会話すると部屋の外に出た。

 飛空艇の中はブリッジ以外なら自由に入ってもいいと言われたが乗組員に迷惑を掛けるのは良くないと判断し、甲板に向かう事にした。

 通路突き当りの階段を上がり、甲板入り口のドアを開けると声が聞えてくる。

「……の? …………で、…………ことよね!!」

 知っている声の方に向かって行くと甲板の手すりに上体を乗せながらアリサが誰かと通神している。

「もう! 今度そっち直接行くからね!!」

 そう憤ったように表示枠を閉じ、振り返ると目が合う。

「えっと……」

 何となく気まずく、お互いに目を逸らすと同時に苦笑した。

「今の、イリーナ会長と?」

 そう言いながら横へ行くとアリサは頷く。

「この飛空艇の事とか、女王派や革新派がやろうとしていることに加担しているのかとか問い詰めたけどはぐらかされたわ」

 RF社全体は分からないが経営者であるイリーナ会長や上層部は女王派と親しいと聞く。

女王派がやろうとしている事はきっとかなり前から計画されていたはず。

ならば協力的であるイリーナ会長も以前から知っていたはずだ。

「……どうしてかしらね」

「ん?」

「内戦がようやく終わって、平和になったのにまた戦おうとする。確かに必要な事なのかもしれないわ。でも、それは正しいのかなって……」

 何もしなければ国を守れない。だが何かをすればやはり血は流れる。

何が正しいのか? 平和とはなんだ?

内戦を戦い抜いた俺たちはつい、そう思ってしまう。

「きっと、皆、それを探しているんだろうな」

「え?」

「正解なんて分からない。何が正しい事なのかなんて知らない。

もしかしたら正義は悪で悪は正義なのかもしれない。

だからこそ自分の目で見て、聞いて、触れて、考えて、そして信じる。

この世界で生きる以上俺たちは傍観者じゃなくて当事者なんだ。

そう、思う事が必要なんだと、思う」

 だからこそ、俺たちは“嵐”の中で立ち止まるのではなく、立ち向かい、どちらでもない道を見つけたい。

そう思っているとアリサが唖然とした表情を浮かべた後、吹き出した。

「あはは、御免御免。なんかリィンが格好いい事言ってるなあと思ったらつい」

「ひ、酷いな」

「でも、そうね。何かが動き始めたなら立ち止まっていられない。流れに流されないよう、自分の意志で動いて、見極めましょう」

 そう言えばいま世界を大きく動かしている武蔵も俺たちと同じくらいの年の集まりだと聞いた。

彼らも自分の意志で動き、見極めているのだろうか?

 そう思いながら流れる雲を見ていると艦内アナウンスが流れた。

『まもなく桜島に到着します。特科クラスⅦ組の皆さんは待合室に集合してください』

 遠くを見れば噴煙を上げる大きな山を持つ島が見える。

 桜島。

 あそこにある遺跡に行った時、俺たちは何を決意するのか……。

 妙な胸騒ぎを感じながらアリサと共に艦内に戻るのであった。

 




代表者会議。そしてリィンたちは桜島へ。
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