ウルトラマンジード ベリアルの子ら   作:ヨアンゴ

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第五話「そして僕にできること」Cパート

 

 

 

 ウルトラマンジードとともに出現した巨人は、メカニカルな印象を受ける姿をしていた。

 スリムかつマッシブな作り込まれたような体格に、側頭部にはルカの物とはタイプの違うヘッドホンのようなものが装備され。胸のカラータイマーも、X字型という特徴的な形をしていた。

 

「未知の超人……あれが、ウルトラマンエックスか……!」

「おいゼナ、ここはモアたちに任せておまえはさっさと戻れ。トリィにゼガンを用意させてある」

 

 初めて目にした新たなウルトラマンを前に、思わずといった様子で感嘆を漏らすゼナへと、ペイシャンが呼びかける。

 そうして、ライハが展開し続けるバリアの裏から、彼が星雲荘のエレベーターで転送される間にも。二人のウルトラマンと、二大怪獣の激突は開始されていた。

 

〈――ソリッドバーニング!〉

「サイキックスラッガー!」

 

 降り注ぐ火炎弾に対し、基本形態(プリミティブ)からジードが変じた赤い姿――全身を装甲し、エックスとは別方向でメカニカルな容姿をした高熱を武器とする形態(ソリッドバーニング)が、その頭頂部に仕込んでいた宇宙ブーメランを投擲する。

 飛来した刃を、嘴を持つ双頭の赤い竜の如き怪獣――パンドンが、鋼色の義手となった左前足で防ぎ、跳ね返す。

 帰って来たジードスラッガーを腕に装着したソリッドバーニングが、パンドンの方へ向かおうとすると。横合いから飛び出してきた大きな影が、その突進を受け止めた。

 頭部や両腕を機械化され、生身の部分も硬質の棘を密集させた橙色の甲殻に覆われた怪獣――三等身のずんぐりした体型で単眼を光らせるその魔獣の名は、ラグストーン。ノワール星の最主力兵器であると、レムの送ってきた情報が、ルカの伊達眼鏡に表示されていた。

 

「――ストライクブーストォッ!!」

 

 ジード・ソリッドバーニングは、ラグストーンに止められた腕から爆熱光線を発射。零距離からの直撃にも、ラグストーンはまるで堪えた様子を見せないが、そのまま全身のスラスターを全開にしたジードの推進力に圧され、運ばれて行く。

 そうして開けた道を、勇ましい掛け声とともにウルトラマンエックスが駆け抜けた。

 

 ラグストーンと、パンドン。いずれもその頭部を中心に覆うようにして、物々しい機械――メカレーターが埋め込まれたサイボーグとなり、本来の意志に寄らず稼働させられていた。

 特にパンドンの方は、メカレーター手術以前に左腕と右足を喪っていたらしく、それをさらなる改造で補った形をしている。

 

 ペイシャンやレムが言うには。おそらく、ルカを狙うノワール星人を妨害すべく戦ったフワワの部下、その生き残りが捕獲・改造されたこのパンドンは、度重なる機械化によりショック死する寸前の肉体を、その意志を無視して無理やり駆動させられているのだという。

 自らが同じようにされた姿を想像するだけで、ルカの裡に恐怖と嫌悪感が満ちるその、本来は手遅れである状態から――少なくとも、死を先延ばしにはできる数少ない存在が、このウルトラマンエックスだという。

 故に、ルカも。この時だけは兄の戦いではなく、エックスの戦闘に目を奪われていた。

 

 そんな、エックスの姿が、駆ける最中に変化する。

 

〈サイバーゼットンアーマー、アクティブ〉

 

 直接聞こえたのではない――ルカの持つテレパシー能力と、レムのくれたヘッドホン型通信機。その二つがエックスの内包するインナースペースの電波と感応したために届いた、電子音声を合図にして。エックスは装甲されていた。

 レムが送ってくれた、ベリアル軍の情報によると、エックスの扱う能力の一つがモンスアーマー――異星の超技術を得た彼らの世界の人類が、怪獣の力を再現した仮想情報体を、データ生命体でもあるウルトラマンの特性を利用することで具現化し、現実に出現する装備として扱う代物だという。

 現在、エックスが纏っているのは名の通り、宇宙恐竜ゼットン――あらゆる宇宙の、怪獣に区分される様々な生命体の中でも、最強種の一角とされる力を再現したアーマーだという。

 

 一兆度という桁違いの熱量を操るゼットンの力を備えたエックスは、火炎弾を武器とする改造パンドン・メカレーターの迎撃をものともせず弾き、距離を詰めた。

 改造パンドンがその腕に備えた爪を薙ぎ、迎え撃つ瞬間。ゼットンに由来する予備動作のないテレポートが発動し、エックスの姿が消える。

 そして、空振りで隙を見せたパンドンの背後に再出現したエックスは、装甲された拳で、火を吐く大怪獣の背を力強く打ち付けた。

 

 ……だが、その痛烈な勢いに対しても。メカレーター手術を受けたパンドンは大きく姿勢を崩すということもなく持ち応え、その尾でエックスに反撃した。

 籠手のようなサイバーゼットンの腕から発生させた、ゼットンシャッターと呼ばれる全方位バリアでその一撃を跳ね返したエックスだったが、その唯一の死角である頭上に、ノワール星人の円盤の一つが飛来。シャワーのように注がれる光波ビームで灼かれる前に、再転移で改造パンドンから距離を取ることを余儀なくされる。

 

〈外観以外も改造されて、強度が上がっているようだな〉

「仕方ない――なら、内側から攻めよう、エックス!」

〈サイバーエレキングアーマー、アクティブ〉

 

 再び、エックスの姿が変わる――正確には、その身に纏うモンスアーマーが、換装される。

 ゼットンを模した鎧に頭部以外の上半身を装甲していたある意味シンプルな姿から、左肩の頭部を端として、右腕の先に尾が来るように怪獣を巻き付かせたような形状のアーマー――電撃を操る宇宙怪獣の力を再現した装備に改めたエックスは、距離を保ったままその右腕の銃から稲妻を放った。

 莫大な電気は磁力による物理的な干渉力を生じ、鞭のようにして改造パンドンの義手に絡みつく。この攻撃にはジードスラッガーを跳ね返した超金属の強度も用を為さず、感電したパンドンはエックスに一本釣りの要領で引き寄せられた。

 超高圧電流を纏った、数万トンの巨体。それ自体が危険な兵器となって宙を振り回されているために、ノワール星人の円盤も援護に近づけず。改造パンドンが、エックスの眼前に叩きつけられた。

 

 ……同時に、地を揺らす巨大質量が、もう一つ。

 

「――お兄ちゃん!?」

 

 ラグストーン・メカレーターの猛打を受けたウルトラマンジードが、ソリッドバーニングの防御力をして持ち堪えられず、もんどり打って倒れていた。

 優勢であったエックスとは異なる兄の苦境に、悲鳴を上げたルカはすぐに飛び出そうとするが。

 

〈待ってろジード、すぐに行く!〉

「――大丈夫です!」

 

 苦戦に気づいたエックスの呼びかけを、立ち上がったジードは力強く否定した。

 そうして、同じく駆けつけようとしたルカを制するようにして、ジードもまた姿を変える――赤き鋼、必勝撃聖棍ギガファイナライザーを操る究極の姿、ウルティメイトファイナルへと。

 

 ジードはエックスの優勢を見て、パンドンの火球への耐性を捨てることを判断をし、純粋に最高出力の形態を解禁したのだ。

 追撃に放たれていたラグストーン・メカレーターの突進を、ギガファイナライザーを横に構えてジードは受け止める。ウルティメイトファイナルをして、微動だにしないというわけにはいかず、足裏が地面に減り込むものの。それ以上力負けせずに持ち堪えたジードは、曲がっていた両腕を伸ばすことでラグストーンを逆にふっ飛ばしていた。

 

「行っけー、リッくーん!」

 

 モアの声援を受けて、というわけでもないだろうが。転んでもすぐに起き上がったラグストーン・メカレーターの頭部へ、ギガファイナライザーが旋回して襲いかかった。硬い金属同士がぶつかる大音声を奏で、打撃の威力にラグストーンがさらに後退する。

 

 ……怪獣保護を理念とする大地との共闘で、多少の手心も加わっているのかもしれないが。ウルティメイトファイナルの攻撃を受けても、尾を引くようなダメージを見せないラグストーン・メカレーターの耐久性は侮れない。

 それでも、一対一ならジードの優位は揺るがなさそうだ。ノワール星人の円盤による横槍も、額から放つ光線で牽制できている。

 ならば、それ以上の妨害を阻止することが肝要だと理解したように、エックスもまた姿を変える。

 

〈サイバーゴモラアーマー、アクティブ〉

〈一気に行くぞ、大地!〉

「ああ……!」

 

 胸に共通のX字の装甲を、さらには両肩に角を、両腕に爪を模した具足――ルカに合成された遺伝子の原種が一つ、古代怪獣ゴモラの再現体であるサイバーゴモラのモンスアーマーを纏ったウルトラマンエックスが、感電の末に動きの精細を欠いた改造パンドン・メカレーターへと突撃する。

 その際に、エックスが放つ周波数が収束されて行くのを、同様の技を操るルカの耳は捉えていた。

 

「ゴモラ振動波!」

 

 そうして、接触と同時にエックスが両腕から注ぎ込んだ青いエネルギーが、改造パンドンの全身を呑み込んで。輝きにより輪郭すら見えなくなった段階で、エックスがパンドンを投擲し、上空で大爆発を起こさせた。

 保護する、と言っていた大地と一体化(ユナイト)したエックスの行動に、思わず目を見開いたルカだったが――爆発の後、頭上から小さな影が降りてきた。

 その展開を知悉していたようにして、その飛来した物体――パンドン型の、掌より少し大きい程度の人形を掴んで止めたのは、ペイシャンだった。

 

「これがスパークドールズ化、か……」

 

 どことなく、苦々しい様子で呟くペイシャン。その彼が口にした用語の解説を、レムがまた伊達眼鏡のディスプレイに表示してくれた。

 

 スパークドールズとは、『命の時間を止める力』を受けた存在が変質した人形であるという。

 

 そしてウルトラマンエックスは、自身を構成する光量子の一部が生命をスパークドールズに変える特殊な性質を有しており、彼の干渉によって時間を停止させられたパンドンはたちまち、改造手術の負荷で死ぬことなく、封印された状態になったのだそうだ。

 

 エックスや、彼の粒子を再現した機能を持つモンスアーマーの場合。例えばガーゴルゴンの石化光線のように、ただ照らしただけで相手にその効果を発揮させることはできない。作用させるには対象の肉体を一度、ウルトラマン同様の光量子情報体へと変換――つまり、物理的には破壊することを必要としているために、このようにパンドンを撃破したらしいが。

 

「……こんな自由の効かない人形にして、保護したと言って良いのか?」

 

 ペイシャンが皮肉のように漏らす疑問には、先日フワワによる石化を体験したばかりのルカも、近しい気持ちがあったが。

 

〈――私も、かつては同じことを思ったよ〉

 

 再び、振動波を収束し――今度は波長を整えた一種の音波レーザーとして発射し、ノワール星人の円盤群を牽制しながら、エックスが耳聡くその声を拾っていた。

 

〈だが、私の相棒は諦めの悪い男でね。問題の先送りだとしても、確実に先へ繋げるのなら。彼らに自由を取り戻し、共存できる世界を実現する未来に託せると、そう考えてくれた――もちろん、その未来を実現するため、一番に努力しているのが大地だ〉

 

 自らの個性に意味を見出してくれた相棒を誇るように、エックスは語る。

 

〈だから私も彼とともに、未来の可能性を信じる――そう決めた。いつかメカレーターの呪縛も解いてやれる、そんな希望を〉

「……まぁ、多様性って奴は否定しない」

 

 エックスの言葉に、巨人を見上げていたペイシャンは、その視線を水平に近づけた。

 

「だが、おまえらだって何とでも共存するわけじゃないんだろ? ラグストーンはノワール星人の作り出した怪獣だが、最初から改造する前提で、発生の初期段階から脳を切除され操作桿を埋め込まれている。他の生命体から吸い出すことはあっても、それ自体に感情はない」

「……あなたの言う通りのようだ。解析の結果、ラグストーンからはそれ自体の感情が検知できない」

 

 ペイシャンの語るノワール星人の悍ましい所業を認めたのは、エックスではなく大地の声だった。

 皆の視線が集まった先では、ジードがラグストーン・メカレーターを圧倒しながらも、なお倒しきれずに手を焼く光景が展開されていた。

 

「生体部品を用いた、自我のないロボット兵器のようなもの……おそらくエックスでも、スパークドールズ化できない相手だ」

「そういうことだ。見ての通りあの姿のジードの攻撃を受け続けてピンピンしている。変な加減をするなよ、という警告だ」

「了解した――行くぞエックス!」

 

 そうして、エックスがジードに加勢しようとしたその時――白と青の混じった影が、彼を襲った。

 

〈……未知のウルトラマンの情報は収集させて貰った〉

 

 円盤から、先程の交渉時、代表を務めていたノワール星人の声が降って来た。

 

〈怪獣を人形に変える……恐ろしい能力だ。だが、人形集めにご執心ということなら、趣味に合うもう一匹も目にする機会を提供しよう〉

 

 ノワール星人が宣言した瞬間、エックスを薙ぎ倒した旋風の如き影が動きを止める。

 それを見て、ルカとともに戦況を見守っていたアサヒが口を開いた。

 

「あの怪獣は……」

「……あれは、グクルシーサー!?」

〈いえ……あれはホロボロス。声紋認証によれば、やはりフワワの部下の生き残りのようです〉

 

 白い(たてがみ)に、筋肉質な青い体躯の巨大な四足獣。その獅子の如き怪獣を目にしてペガが零した疑問を、レムが訂正した。

 両前足と、頭部をノワール星人に改造されたのは豪烈暴獣ホロボロス。圧倒的なパワーとスピードで、不意を衝いたとはいえ一撃でエックスを転倒させたその怪獣は、しかし苦しげな声を上げていた。

 パンドンと同じく――強制的な改造による肉体への負荷が、怪獣の強靭な生命さえも蝕んでいるのだ。

 その様子を見取ったエックスが、一つとなった大地の意志に突き動かされるように立ち上がり――

 

〈ただし、ラグストーンと合わせてな〉

 

 次の瞬間、背後からの突撃を受けて打っ飛んだ。

 

「な――っ!?」

 

 強烈な体当たりでサイバーゴモラアーマーを砕き、エックスに悲鳴を上げさせた怪獣はラグストーン・メカレーター。

 幾度も自らの装甲された頭を叩き鳴らす癖も、外見も全く同じだが、今もジードと向き合っているのとは別の個体だ。それが改造ホロボロスと共に、追加戦力として戦線投入されていた。

 ――しかもそれは、一体だけではなく。

 

「何――っ!?」

 

 エックスの窮地に駆けつけようとするジードの前にも、さらに二体のラグストーン・メカレーターが出現する。

 ジードとの交戦で消耗した一体を庇うようにして、二体並んでの突撃を受け。ギガファイナライザーを構えたジードが何とか受け止めるが――最初の個体がさらに追い打ちをかける格好で、遂にウルティメイトファイナルをも撥ね飛ばした。

 

「うわぁあああああっ!?」

「お兄ちゃん!」

 

 今度こそ手加減なしの、最強形態であるジードが上げる悲鳴を耳にして。ルカは再びライハの展開する防御圏を飛び出そうとした。

 

「ルカ、危険よ!」

「でも、ここで見てるだけでお兄ちゃんがやられたら――もっとどうしようもなくなるよ!」

 

 呼び止めるライハに、ルカは言い返す。

 エックスの方にも、さらにもう一体のラグストーン・メカレーターが追加で投入され、それぞれ三対一を強いられているウルトラマンたちの不利は免れない。

 事態の推移に合わせ、臨機応変に動けるように戦線には加わっていなかったルカだったが、これ以上はただ見ているわけにはいかない――!

 

「――ルカちゃん、あたしも行きます」

 

 そこで、ルカの横に並んだのは、アサヒだった。

 

「ライハさん。先に言って貰った御礼の分、ちゃんとあたしがルカちゃんを守りますから――リクさんを、助けに行かせてあげてください」

「…………頼んだわよ、二人とも」

 

 暫し、逡巡した様子を見せた後。アサヒの頼みに、ライハは頷いた。

 ルカと並んだアサヒは、ここまで見たこともないキリッとした表情で――凛とした佇まいで、彼女の変身アイテムだというジャイロを取り出した。

 一瞬、視線を交わした二人は互いに頷き合い――覚悟を決めて、行動に移った。

 

「――星まで届け、乙女のハッピー!!」

 

 叫びとともにアサヒがジャイロを引き、起動させるのに合わせて――駆け出したルカもまた、擬態を解いて、ノワール星人が求める怪獣――培養合成獣スカルゴモラという正体を顕にし、戦いへと加わった。

 

 

 

 

 

 

 三体のラグストーン・メカレーターの連続攻撃に圧倒されていたウルトラマンジードを救ったのは、二体の怪獣による介入だった。

 内の一体は、既に見慣れた妹の真の姿――培養合成獣スカルゴモラの角によるかち上げが、不意打ちとしてラグストーン・メカレーターの背に突き刺さり、大きく投げ飛ばした。

 もう一体は――ウルトラマンジードが初めて目にする、褪せた銅色の怪獣だった。

 

「(……あれ?)」

 

 それを訝しむような気配を、スカルゴモラも漏らしていた。

 スカルゴモラの大角の一撃と同時に、サイバーゴモラアーマーの腕のような三本の大型クロー――ショベルのようなそれで、ラグストーンの体を払い除け、ジードを包囲網から救ったのは、全身を重装甲で覆ったロボットのような巨大怪獣だった。

 頭部に備えた三日月型の巨大な角に加え、尻尾の先まで背鰭のように張り出した二列の角というシルエットは、スカルゴモラとも似ているものの。体格は彼女よりも一回り以上大きく、右腕はジードの頭よりも大きな、鋏と言うよりも幅広のペンチのような装備を身につけていた。

 突然、仲間がふっ飛ばされたことにも動揺せず、むしろ遂に姿を現したスカルゴモラを狙うかのように三体目のラグストーン・メカレーターが突進しようとするものの。銅色の巨大怪獣が、腹部の正中線に備えた発光器官から放った五条もの極太いビームの照射を受けて、ラグストーン・メカレーターでも踏み留まれずに吹っ飛んだ。

 

「大丈夫ですか、リクさん?」

「(えっ!? アサヒって、ウルトラマンじゃなかったの!?)」

 

 怪獣の放った声に、スカルゴモラが激しく驚いた思念を漏らした。

 

「ふふーん、実はあたしのジャイロは、怪獣にも変身できるんです! リクさんは知ってましたよね?」

「いや、でも……前の怪獣はグリージョになったし……この怪獣は初めて見るし……」

〈おーい! ふわふわしてないで、こっちも早く助けてくれぇ……っ!〉

 

 敵を蹴散らした後、何処と無く呑気なやり取りを繰り広げる三人に対し。情けない声で救援を求めたのは、未だ一人、三体の屈強な怪獣から足蹴にされ続け、カラータイマーを鳴らすエックスだった。

 そのエックスの仕草か、はたまたノワール星人の指示によるものかはともかく。新たな戦力の登場に気づいたらしいホロボロス・メカレーターと、二体のラグストーン・メカレーターは、それぞれ一斉に攻撃してきた。

 エックスを取り囲んだ位置関係のまま。熊のように二本足で立ち上がったホロボロスが、白い鬣に蓄える静電気を増幅し放つ稲妻、ギガンテサンダーと、ラグストーン・メカレーターが改造によって備えられた両肩の砲口から連射する撃砕光線が、彼らの本来のターゲットであるスカルゴモラに集中する。

 それを、前に出たジードの展開したウルティメイトファイナルバリアと、アサヒの変身した超弩級怪獣グランドキングメガロスの背中から分離し、自律飛行する角・メガロススパインが十字陣形を組んで発生させた光子障壁(スパインイレーザー)による二重防御が、完全に防ぎきった。

 

〈――警告します。荷電粒子反応が増大中です〉

 

 二重のバリアを解いた直後。レムからの通信に、ジードが前方に目を凝らすと。ホロボロスが改造された頭部へと、エネルギーを集束していた。

 四本の脚で地面を掴み、自らを砲台のようにしたホロボロスが獅子吼の代わりに放つのは。純粋な光子ではなく、質量を持つ重金属粒子を、亜光速まで加速して射出する超運動エネルギー砲弾――すなわち、荷電粒子砲だ。

 サイバーエレキングアーマーほどの莫大な電力があっても、現代の地球の技術水準では発動できるか怪しいほどの超兵器。ノワール星の進んだ技術によるものとはいえ、それを後天的に取り付けられ、生命力を燃料に撃たされるホロボロスの負荷は甚大なものだろう。

 そうして、獅子がその命を削って放つ一撃を、前に出たグランドキングメガロスが迎え撃った。

 

「メガロスヘルブレード!」

 

 アサヒらしからぬ単語の混じった技名とともに、グランドキングメガロスの右手の先端から光の剣(レーザーブレード)が発生。再展開が間に合わないバリアではなく、その形状を維持するための干渉力で、荷電粒子の集束を受け止め切り裂こうという意図を理解したジードもまた、右腕からスマッシュバスターブレードを発生させ、メガロスヘルブレードに重ねる。

 

「リクさん!」

「息を合わせて、アサヒ!」

 

 そうして、ジードとメガロスがX字型に切り払ったのに合わせて、ホロボロスの放った荷電粒子の砲弾は拡散し。後にはウルトラマンや怪獣には無力な熱波と爆風だけが残された。

 それでも、人体には多大な影響を及ぼし得るものの。既にバリアの連続展開の限界が近かったライハとモア、それにペガとペイシャンも、レムが星雲荘のエレベーターで避難させており、放射線に曝されることはなかった。

 消耗したホロボロスに対し、グランドキングメガロスは額からグランレーザーを連射。ホロボロスはなおも俊敏な動きでそれを回避するが、エックスから距離を取ることとなり。ラグストーン・メカレーターの強靭な装甲にグランレーザーを弾かれたメガロスは続けて頭部の角から強烈な稲妻光線を放ち、ラグストーンの片割れを感電させて動きを止める。

 

〈――イィーッサァアーッ!!〉

 

 そうして。残る一体のラグストーン・メカレーターを、全身を使い下から跳び上がる勢いのまま蹴りつけたエックスが、再起した。

 無理やり動かされている風に、距離を取っていたホロボロス・メカレーターが重心を下げてエックスを威嚇。そちらとエックスが睨み合っている間に、グランドキングメガロスはノワール星人の円盤群に再度分離させたメガロススパインを突っ込ませ、連続射撃で牽制する。

 

「大地さんとエックスさんの方は、任せてください!」

 

 言い残したアサヒは、エックスの蹴りから起き上がったラグストーン・メカレーターの相手をするべく、グランドキングメガロスの巨体を前進させた。

 

「(……お兄ちゃん、危ない!)」

 

 そうして、エックスへの助太刀にアサヒを送り出せた頃になって。先程ふっ飛ばされていた、ジードが相手にしていたラグストーン・メカレーター三体が、再び地面に片腕を着けてから駆け出す、アメフト選手のようなタックルを一斉に繰り出してきた。

 三体並んだ突撃を、ジードはギガファイナライザーを構えて受け止める――だが、実際には同時に止めきれたのは二体までで、残りの一体がスカルゴモラに到達するのを、防ぎきれなかった。

 

「――ルカっ!」

 

 ソリッドバーニングをして踏み止まれず、ウルティメイトファイナルの状態のジードでも、何発も無防備には受けられないラグストーン・メカレーターの強力な拳が、スカルゴモラの顔面に叩き込まれる。太く強靭な彼女の首が伸びて、その打撃の凄まじさを物語り――

 

「(――こンのぉっ!!)」

 

 バネのように。弾かれたのと同じ勢いで戻ったスカルゴモラの繰り出した猛烈な張り手が、ラグストーン・メカレーターの胴を薙いだ。

 先程の、不意打ちとは流石に違うからか。大きく打っ飛ばされるようなことはなかったものの。自らの意志でも、ノワール星人の操作によるものでもなく、純然たるスカルゴモラの腕力による結果として、ラグストーン・メカレーターが後退する。

 そこに、迎撃として放たれる撃砕光線での痛みにも全く怯まず、スカルゴモラが追撃を仕掛けた。

 装甲されたラグストーン・メカレーターと、頭突きが合わさる。既にジードから痛めつけられていた最初の個体とはいえ、ウルティメイトファイナルでも手を焼く強大なパワーと、スカルゴモラは完全に拮抗し――否、一歩踏み出すごとに、手負いのラグストーン・メカレーターを押し切り始めた。

 

 ……明らかに、培養合成獣スカルゴモラはその戦闘力を増していた。

 先日、レムが披露した推論のように。彼女の細胞は、激しい戦いを乗り越えるたびに、より強く成長するということか。

 特に、前回のフワワとの戦いで。石化への耐性のみならず、エネルギーを枯渇寸前まで吸われた死に瀕したことで。超回復により、その生命力自体を大幅に増したと見られることが、ラグストーン・メカレーターを相手に互角以上に渡り合える急激なパワーアップの理由だろうか。

 

「(――スカル超振動波!)」

 

 そうして零距離で放ったスカル超振動波は、グランドキングメガロスの攻撃にも平然と耐える強靭な表皮をすり抜け、ラグストーン・メカレーターを内側から責め立てた。

 外殻は、スカル超振動波を注ぎ込まれてなお砕け散らず。ただ、内部を破壊されたラグストーン・メカレーターの動きが鈍った。

 ……そう、鈍っただけ。ラグストーンとしての生体部分を粉砕されても、メカレーターがなお、機械化された魔獣の外骨格を突き動かす。

 とはいえ。筋組織を焼き切られ、明白にパワーダウンしたメカレーターでは、最早スカルゴモラの膂力に抗いようもなく。

 動きの鈍ったラグストーンを平然と投げ飛ばす妹の勇姿を見て、ジードは負けていられないと眼前の敵に集中した。

 

「――クレセントファイナルジード!」

 

 ギガファイナライザーを用いた最大貫通力を誇る技が、組み合っていた二体のラグストーン・メカレーターに炸裂。ラグストーン・メカレーターの強靭な装甲に、横一文字の裂傷を刻み込んで吹っ飛ばす。

 だが、この一閃でも、装甲を切り裂いただけ。充分に振り切れる間合いではなく、完全な威力を発揮できなかったとしても。なお致命傷に届かないラグストーンの防御力は、エタルガーの鎧にも匹敵するかもしれない。

 それが五体。さらに動きが素早く、レムが言うにはこれまた並のウルトラマンの光線を寄せ付けないほどに豪烈な体躯を誇るホロボロスの、強化改造体まで居る状況。

 そして上空には、二十近い円盤群。ノワール星がこの戦い――スカルゴモラを手に入れようとする本気を厄介に感じながら、その妹を庇うような位置取りで武器を構え直したジードは、さらに絶望的な音を聞いた。

 

 続々と響いた、金属が打ち合う音――それは新たなメカレーター怪獣の参戦を告げる、音だった。

 

 

 

 

 

 

「(嘘……)」

 

 兄と一緒なら。さらに、アサヒも居てくれて。ついでに、ウルトラマンエックスとも力を合わせて。

 フワワとの戦いを経て、自分自身も明らかに強くなった今なら、誰にも負ける気はしないと。

 そう思っていたスカルゴモラでも、流石に慄くような光景が、眼前に広がっていた。

 

〈言ったはずだ。培養合成獣スカルゴモラを頂くことが、我らの悲願であるのだと――最早出し惜しみはしない。我が星の総力を挙げて、この戦いに勝利する!〉

 

 ノワール星人の宣言で並んだのは、さらに追加された十体のメカレーター化された怪獣だった。

 内訳は、ラグストーン・メカレーターが六体。残りの四体は、直立歩行するヤギのような怪獣――レムが届けてくれたデータによると、ラグストーンの亜種である、夢幻魔獣インキュラス。おそらくノワール星人が地球人の意識を調べたというのは、この怪獣の能力によるものと目されるのだそうだ。

 インキュラス・メカレーターはラグストーンほどの耐久性はない、とは付されているものの。問題はそのラグストーン・メカレーターだけで、合わせて十一体も存在することだ。

 エックスによるスパークドールズ化は無効だと、他ならぬ大地が認め。ジードの最大貫通力を誇り、エタルガーの鎧を切り裂いたクレセントファイナルジードでも。内部から破壊する、スカルゴモラの超振動波でも。アサヒの変身したグランドキングメガロスの超弩級要塞というべき大火力でも、未だ一体も活動停止に追い込めていないのに。

 流石に、倒し切れるビジョンが見えない――思わず怯んだスカルゴモラに、無数の光が照射された。

 

「(きゃぁあああああああっ!?)」

 

 大量の追加戦力に、味方全員の注意が寄せられた隙を衝いて。ノワール星人の円盤群が、スカルゴモラに集って来ていた。

 続々と照射される光線は、ラグストーン・メカレーターの撃砕光線にも劣らぬ威力を持っていて。その集中砲火が、不意を突かれたスカルゴモラを苛み続ける。

 

「――ルカっ!」

 

 不意に、痛みが遠退いた。駆けつけた兄が牽制の光線を放ち、さらには頭上にバリアを展開して、スカルゴモラを守ってくれていたのだ。

 だが、その横合いから、先程まで戦っていたラグストーン・メカレーターたちが組み付いてきて。ジードが引き離される。

 

「ルカちゃん!」

 

 再び迫る円盤群を、スパインストームで追い払いながら。グランドキングメガロスが地を揺るがして駆けつけようとする。

 彼女が相手取っていた二体のラグストーン・メカレーターが、進行を阻むように次々とタックルを繰り返す。およそ三倍にも迫る重量と強固な装甲は、それでもほとんどダメージを通さないものの。メガロスの反撃もまたラグストーン・メカレーターには有効打足り得ず、引き離しきれない。

 猛然と駆け出したエックスもまた、その行く手に先回りしたホロボロスに飛びかかられて、押し倒された。複数の怪獣との連戦で消耗した彼は、その腕を食いちぎられないように抵抗するのが精一杯という様子で、カラータイマーの点滅を速める。

 

 そんな中、自身に取り付いていたラグストーンたちを打ちのめしたジードが、再びスカルゴモラを庇う位置に立ったのは――新たに追加されたラグストーン・メカレーターたちが整列し、まるで迫る壁となって兄妹を押し潰そうとするように、一斉に駆け出し始めたところだった。

 

 ――同時に、絶望を裂く光が迸ったのも、その瞬間だった。

 

「――!?」

 

 圧倒的な突進に身構えていた兄妹の前で走った、青い光芒は、六体のラグストーン・メカレーターを薙いで行く。やはり一体たりとも、その光線や巻き起こされた爆発には大打撃を受けることなどなかったが――着弾点を中心に生じた穴に引っかかると、これまでの脅威が嘘のように為す術なく呑み込まれ、その穴とともに消えて行った。

 

「――時空の彼方に追放したのか!?」

「ゼナさん……ゼガン!」

 

 生じた事象を、研究者でもある大地が理解するのと。それを引き起こしたものが誰であるかを理解したジードが歓声を上げるのは、ほとんど同時だった。

 ジードと同じように、光の出処である方角にスカルゴモラが視線を回せば――そこには一週間前、ヤプールの襲来で共闘したAIBの怪獣兵器、時空破壊神ゼガンの姿があった。

 

「――待たせたな。下がっていろ」

 

 ゼガンと融合し、操縦するゼナが告げると同時。頭部の角を黄色に発光させたゼガンの胸元に青い輝きが宿り、それが光の奔流として迸った。

 薙ぎ払われたゼガントビームは、グランドキングメガロスが打ち弾いたラグストーン・メカレーター二体を直撃。破壊光線としての威力はまるで通用しないが、続いて引き起こされる時空構造体への干渉に伴う、異次元転送作用が発動。あくまでも物理的な強度に性能を特化していたラグストーン・メカレーターの装甲を無為と化し、その圧倒的な馬力による抵抗も虚しく、時空の彼方へと魔獣たちを放逐する。

 ノワール星の主力怪獣を次々と葬る、シャドー星の最終兵器――その脅威に気づいたように、ノワール星人の円盤群がスカルゴモラから、ゼガンの方へと攻撃対象を変更しようとするが。

 

「させるか!」

 

 ジードとメガロスが熱線を放ち、円盤群の射程にゼガンを入れることを阻害する。

 

「(――ゼガン、こっちもお願い!)」

 

 スカルゴモラは、再び向かってきていた残る三体のラグストーン・メカレーターを迎撃。活動停止には遠いとしても、兄妹との戦いで既にダメージを蓄積させていた今となってはスカルゴモラの剛力には抗えない。次々と投げ飛ばしてやると、間髪置かずにゼガントビームが照射された。

 その照射が終わった直後、ゼガンに向かっても、青白い光弾が叩き込まれる。

 

「――ぐっ!」

 

 最後のラグストーン・メカレーターを異次元送りにしたのと引換えに。ノワール星人の円盤群ではなく、肉薄したホロボロス・メカレーターの荷電粒子砲がゼガンを捉え、その胸部を直撃していた。

 

〈――その兵器は、これで封じた!〉

 

 主砲の発射口を兼ねる胸部を抉られ、ゼガンが倒れ込むのを見て。ホロボロスを操るノワール星人が、渾身の叫びを上げた。

 だが、既に彼らの主力であるラグストーンは全滅した。これなら――!

 

〈まずいぞ大地、そろそろ限界だ……!〉

「任せてください! ハッピー!!」

 

 ホロボロスの狙いが変わった都合上、解放されていたエックスだったが。彼のカラータイマーの点滅が、擦り切れる寸前まで高速化したその時。

 グランドキングメガロスが、光に解け。それから、銀とオレンジ色の、少女のような体つきをした巨人へと姿を変えた。

 それが、ウルトラウーマングリージョ――アサヒが変身する、ウルトラマンとしての姿なのだと、スカルゴモラも理解した。

 

「グリージョ・チアチャージ!」

〈――おぉ!〉

 

 そうしてグリージョが、飴玉型の光球を投げると――それを胸に受けたエックスのカラータイマーの点滅が止まって、元の青色を灯し。さらに、同じく胸のカラータイマー状の水晶体にその光を受けたスカルゴモラもまた、その身に受けたダメージが綺麗に消え去り、体が癒えて行くのを感じた。

 

「(ありがとう、アサヒ!)」

「どういたしまして! さぁ、エックスさん! 可哀想な怪獣さんを、助けてあげてください!」

〈任せろ。大地!〉

「ああ、エックス! ホロボロスの動きに対抗するには――あのアーマーで行くぞ!」

「リクさん、ルカちゃん! ノワール星人さんたちに、反省して貰いましょう!」

「――ああ!」

「(うん!)」

 

 ジードを含め、全快した三人はグリージョに呼びかけに力強く応えて――各々が向かうべき敵と向き合った。

 

〈ハイブリッドアーマー・ローエンド、アクティブ〉

 

 スカルゴモラが、敵の解析に入った横で、エックスが変わる――これまでに見せたモンスアーマーを複合し、さらに左腕に盾を追加したような、未知の姿に。

 

「これが、あの時の奇跡の再現――未来の可能性を追求するための、俺たちの力だ!」

 

 簡易版(ローエンド)、という名称に、しかし恥じる様子は何もなく。大地が虹色の短剣を装備し、いつかの未来で共に生きる怪獣たちとユナイトしたウルトラマンエックスの姿で、そう叫んだ。

 

 

 







 Aパートあとがきで述べたように、今回はもうちょっとだけ続きます。
 以下、いつもの言い訳等々。一足早い登場怪獣・ウルトラマンの解説的な雑文です。


・ベリアル怪獣軍団の選出(メカレーター編)
 ギマイラ同様、トレギアの犠牲者と言える怪獣たちからのチョイスです。
 この内、ホロボロスはトレギア最大の被害者の一人でもあるツルちゃんの代役として考えました。Z超全集を読む限りグルジオ系列は流石に野生に居なさそうで、グランドキング種についても疑問があり、複数回変身したホロボロスを代役にした形です。
 微妙に地球怪獣なのか宇宙怪獣なのか明示されていない怪獣ではありますが、仮に地球怪獣でも『ベリアル銀河伝説』時のゴモラの星のように、別の星に収斂進化した同種のような怪獣が居ても良いかな、ということで、宇宙で暴れるベリアル怪獣軍団に加わって貰った形です。
 なお、ホロボロス・メカレーターはもちろんメツボロスのリペイントを想定した形となります。


・ラグストーン&インキュラス
 ラグストーンは脳にノワール星人からの指令を受け取る装置がある、という設定で勝手に事実上のロボット怪獣のようなもの、という扱いにしてしまいました。十一体出てきたのは元々のモチーフがアメフト選手だからで、インキュラス合わせて十五体なのは実際に持ち込まれたラグビーが十五人でそれぞれチームであることから、となります。何体出ても時空の彼方へ追放という原作再現は決まっていたので、前話でフワワに多勢に無勢、なんて言わせてしまったことでノワール星の戦力をたくさん出さなければならなくなったため、そんな感じの数になりました。
 インキュラスはまたもスーツ改造ネタかつ、インキュラスを救うかどうかの判断を挟まないで済むようにラグストーンの亜種設定となりましたが、公式では明言はありませんのでご了承ください。


・グランドキングメガロス

 当然のようにアサヒが変身しましたが、該当するクリスタルを持っている状態なら変身できてもおかしくないのでは? という考えでの登場です。まさかのウルトラマンの味方となるグランドキング、まさかのゴモラ亜種を護るために戦うメガロス。私も世代なので、越知清監督の「荷電粒子砲を裂けるのはブレードだ!」というネタをもうちょっと直球にしつつ、リクアサケーキ入刀ごっこがしたかった(本音)。
 設定上では使用すると強大な力に酔いしれてしまうというデメリットが存在する怪獣ですが、ツルちゃんの際とは異なり、「アサヒはウルトラウーマングリージョに覚醒できるように、あの頃のツルちゃんと違って怨みで戦っていない」「より強大なグルーブの力を経験済」「実はツルちゃんが守護霊している」等々の理由があれば、ふわふわした感じでグランドキングの力を味方側で使うアサヒは面白いかなぁとか、そんな感じです。アサヒではなく私が暴走しています。


・ウルトラマンエックスハイブリッドアーマー・ローエンド

 上記も霞む今回のぶっこみ枠。

 かつて虚空怪獣グリーザの脅威を退けた奇跡の形態、ハイブリッドアーマーを研究して生まれた簡易再現体(ローエンドモデル)
 グリーザ戦のオリジナル時とは異なり、全ての怪獣たちと一体化したのではなく、モンスアーマー部分を構成する四体のサイバー怪獣のみと融合した形態。姿形はオリジナルのハイブリッドアーマーと同一ながら、内包するエネルギー量で大幅に劣る。
 そのため、単純な戦闘力では本来のハイブリッドアーマーや、最強形態であるベータスパークアーマーには遠く及ばない。しかし、複数のモンスアーマーの特性を同時に活用し、何よりスパークドールズ化能力を有した形態の中では現在、最も強力な姿であることが、ベータスパークアーマーとの運用面での差別化要素となっており、このアーマーを開発する意義となった。

 ……という感じで考えた、拙作オリジナル設定の新(?)フォーム。もしくは初登場補正のないハイブリッドアーマーとも。多分今後エックスが公式に再登場しても使う必要がなかったか、使うまでもなかったかで、捏造してもギリギリ矛盾を回避できそうな形態として考案してみました。拙作で出すならベータスパークアーマーよりもハイブリッドアーマーを優先したかったものの、奇跡の形態なのでどうするか……という苦肉の策のような形です。
 作中で最初から使わなかったのは、肝心のウルティメイト・ザナディウムを使用するとエックス本人も著しく消耗する上、各モンスアーマーも負荷により一時使用不可になるため、みたいなイメージで考えています。



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