ウルトラマンジード ベリアルの子ら   作:ヨアンゴ

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 第6話となる今作のメイン敵がバリアを持つ怪獣という、本日放送の『ウルトラマントリガー』第6話とのネタ被りが発生したことに何となく運命を感じながら更新します。





第六話「託された世界」Bパート

 

 

 

 未知の怪獣による攻撃を、上体を起こしたばかりのスカルゴモラは避けられなかった。

 咄嗟に顔面を庇ったものの、両腕に零下百四十度の液体オゾンが着弾。強靭な表皮を抜けて、スカルゴモラの体内を侵食しようと、極寒の液体が押し寄せる。

 怪獣をして、凍傷を負いかねない極低温のみならず。地球の自然環境下に存在し得る物質の中で、二番目の強酸性を持つオゾンの液体は、その体表をも溶解させようと作用していた。

 

〈ルカ!〉

「(――あっつ……っ!)」

 

 低温火傷と、白金以外のあらゆる金属を溶かす酸化作用に両手を痺れさせられたスカルゴモラの脳内に、直接響く心配の声。ライハの呼びかけに、しかしスカルゴモラは応えることができなかった。

 その前に、爆発が顔の前で生じていたから。

 

「(――っ!?)」

 

 それ自体は、大した威力ではなかった。先程浴びたものと同様、オゾンの分子間結合が切れたことで生じた爆発でしかない。しかし、それでも目の前で起きた不意打ちは、酸化作用で目の粘膜を傷つけられていたスカルゴモラが、再び隙を生じさせてしまうのに充分だった。

 そこに、豪腕が叩き込まれる。

 謎の怪獣は、音速超過の衝撃波を纏った拳を思い切り、スカルゴモラの顔面に叩き込んで来ていた。

 

「(――何なのこいつ!?)」

 

 振り抜かれ、後方に伸びた首を、スカルゴモラは打ち付けるように前へ戻す。鈍い痛みを無視したその勢いで、鼻先の角を伸び切った拳に激しく叩きつけ返すことになり、スカルゴモラよりも巨大な怪獣を後退させることとなった。

 ……だが、頭蓋に響いたその手応えが、何やら奇妙に感じられた。

 殴られた痛みで麻痺しているから、ではなく。相手が引いたわけでもないのに当たる前に弾かれたような、そんな奇妙な感覚が……

 

〈状況から見ると、その怪獣の正体は、あなたが焼却しようとした宇宙植物の根のようです。ルカ〉

 

 突如出現した、未知の怪獣に疑問を零すスカルゴモラに対して、レムがそう報告する。

 

「(根っこ……? 根っこが動いてるの!?)」

「根、と言い切るよりは、焼き損ねた幹の部分が上半身になっているように見えるな」

 

 通信に割り込んできたのは、近場から状況を見守っているのだろうペイシャンだった。

 

「上半身が人型で下半身が切り株の怪獣……取り急ぎ、スタンパウロスとでも仮称するか」

 

 切り株(stump)と、半人半獣(Centaurus)を元に、日本語で発音し易くしたような命名をペイシャンが行った。

 

「解析できなかった内部に、人型の上半身が生えていたとはな……怪獣に言っても仕方ないが、いったいどういう生物なんだか」

〈そんなことはどうでも良いわ。それよりペイシャン、何かないの!?〉

「おまえにできることはない。まだ一ヶ月ほどな」

 

 呑気な調子へ食ってかかるライハに対し、ペイシャンは含みのある言い回しで答えた。

 

「とりあえずはゼガンの出動要請を送ったが……ゼガントビームなしだと、いくらゼナでもこいつの電磁バリアには為す術がないかもな」

 

 ペイシャンの言葉に、スカルゴモラは救援に期待すべきではないことを悟る。

 同時、奇妙な手応えの正体も、電磁バリアであるとわかったところで、スタンパウロスと名付けられた異形の怪獣がスカルゴモラに向かってきた。

 

 ――体表を電磁バリアで覆い、物理干渉を弾いているのだとしても。武器として活用し始めた液体オゾンに対しては、超振動波で散らすことは可能だろう。

 そう認識しながらも、スカルゴモラは反撃を躊躇し、スタンパウロスから超低温の強酸を浴びせられるのを甘んじて受けていた。

 

「(――レム! ペイシャンたちを、早く転送してっ!)」

 

 優れた肉体を誇る怪獣スカルゴモラであれば、液体オゾンに晒されても、即座に致命的になることはない。

 だが、いくら宇宙人とはいえ、ウルトラマンや巨大怪獣と比べれば遥かにひ弱だろうAIBの研究員たちが、凍結、酸化、猛毒に爆裂と四重の危険性を兼ね備える液体オゾンの拡散に巻き込まれようものなら、無事の保証はない。

 故に、スカルゴモラは無防備を晒すことになろうとも。自らを排除しようとするスタンパウロスの突進を受け止め、それ以上の進行を阻むべくその場に留まった。

 見えない膜のように、体表面の電磁バリアがスタンパウロスに触れることを阻む。だが、直接触れずとも、抑え込んでしまえば関係ない。剛力を全開にして、電磁バリアごと抱きかかえるようにしてスタンパウロスを捕らえたスカルゴモラは、続けて唯一有効打足り得るインフェルノ・マグマを照射する態勢に――入れなかった。

 

 それは、敵からの妨害によるものでも、AIBを気遣ったためでもなく――スカルゴモラが駆除しようとした結果、明らかに自らの意志で行動する様子を見せたという事実自体に、二の足を踏んでいたからだった。

 だが、命の取り合いの最中において、その迷いは余りに迂闊だった。

 続々と降り注ぐ液体オゾン――単元素分子にしか効果を発揮し得ないレーザー冷却は通じずとも、その能力で産み出した凍える滝を浴びることで体温を奪われたスカルゴモラの体から、力が抜けていく。

 

〈ルカ。相対的にですが、M78星雲人は極寒の環境を苦手としています。レッドキングやゴモラも、寒さに強いという記録は見つかっていません〉

「(もっと早く知りたかったかも……っ!)」

 

 レムの報告に、スカルゴモラは思わず愚痴を漏らした。

 無論、零下百四十度の液体を浴びせられ続けて生存している時点で、一般的な生物の常識を凌駕していると言って差し支えないが。それでもスカルゴモラに合成されたどの遺伝子も、低温への特別な耐性があるわけではない――と知らされたところで、遂にスタンパウロスがスカルゴモラの弱体化した腕力を振り切った。

 多脚のような根っこで、ふわりと地面に着地したかと思うと、その体が発光。電磁加速された数万トンの巨体が、砲弾となってスカルゴモラを直撃する。

 満足に力の入らない今の状態で、超音速の突撃は流石に持ち堪えられず。勢いのまま後退したところで、スタンパウロスの電磁操作で気化したオゾンが火花で引火。再びの爆裂が、青白い霜に覆われ、酸化作用で弱った体表を叩く。

 

「(ちょっと、待ってよ……っ!?)」

 

 流石にふらつき始めたスカルゴモラに対し、スタンパウロスの容赦ない猛攻は途切れなく続く。

 だが、いくら呼びかけを試みても。既に、AIBが充分検証したように。今更スカルゴモラから平和的なコンタクトを図ろうとしても、スタンパウロスはそれに何の反応も見せはしない。先制攻撃を仕掛けた、脅威となる怪獣からのものとなればなおのことだ。

 

〈ルカ。ペイシャンたちの避難が完了しました〉

 

 そこで、ようやく反撃を躊躇っていた要素の一つが取り除かれたことを知らされ、スカルゴモラは一先ず状況を打開すべく全身の音叉を励起させようとして――その失敗を悟る。

 

「(あれ、超振動波が……っ!?)」

〈体温の著しい低下により、神経系に不調が生じているようです。一度撤退しますか、ルカ?〉

 

 レムの提案に、スカルゴモラは迷った。人里から離れ、AIBも撤収した今、この怪獣を放置したところでただちに被害が拡がるわけではない、とは思われるが……

 そんな風に、また躊躇っていた間に。

 スタンパウロスの、人型の頭部の前で火花が散ったかと思うと――そこから膨大な光が放たれて、スカルゴモラを直撃し、全身を激しく打ちのめしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 それから、朝倉ルカが意識を取り戻したのは、星雲荘の修復装置の上だった。

 

「ルカ!」

「……ごめん、ライハ。心配させちゃったよね」

 

 装置のすぐ傍で見守ってくれていたライハの顔を認めるなり、ルカは横たわったまま謝罪の言葉を口にした。

 

「まだ横になっていろ。半端なままで動かれても困る」

「……どうしてペイシャンがここに?」

〈彼が、スタンパウロスの攻撃で意識を喪ったルカを救出し、星雲荘まで運んでくれました〉

 

 みすぼらしくなった白衣を纏ったペイシャンの動向を、レムが解説してくれた。

 

「そう、なんだ……ありが、とう」

「気にするな。呼びつけた俺が行かなきゃ、後でライハに何をされるかわからなかったんでな。モアからもしつこく根に持たれかねない」

 

 憎まれ口を叩くものの、結局は責任感を持ってルカを助けてくれたという事実に変わりはなく。御礼の言葉を撤回することはせず、ルカは彼に問うた。

 

「その、あの怪獣は……?」

「現在、この星山市に向かって移動中。ゼナの操るゼガンが迎撃中だ」

 

 ペイシャンの解説に合わせ、レムが現状を示す地図をスクリーンに投影した。

 

「主砲を封じられたゼガンでは、奴の電磁バリアと相性が悪い。ちょっかいを掛けて進行ペースを遅らせるのが精一杯だ」

〈スタンパウロスはゼガンへの攻撃以上に、星山市への接近を優先しています。ルカに対して徹底的に攻撃を加えた際とは明らかに様子が違って見えます〉

「草体を焼き、自らを脅かし得るスカルゴモラという外敵と、これといったダメージを通せない目障りなだけの今のゼガンとでは、対応が異なることも充分に考えられるが……ルカを追ってきている、というわけでもなさそうか?」

〈不明です。予想される進行ルートは星雲荘の座標とも重なりますが、スタンパウロスの認識ではスカルゴモラは姿を消したはずです。ルカと正体が一致することを見抜いていたのなら、あなたが連れ帰るまでの間に、追撃しなかった理由がありません〉

「擬態したままとはいえ、回復したことで勘づいたか。それとも、たちまち眼前の脅威が消えた後に、何か正の走性を与える要素をこの星山市で見つけたか」

「まさか……この街の誰かが、またリトルスターを?」

 

 そこでライハが漏らした懸念を、ルカは理解しきれなかった。

 

「ええと、ごめん。リトルスターって、何だったっけ。聞き覚えはあるんだけど……」

〈リトルスターは、かつてこの宇宙と同化していた、ウルトラマンキングの欠片です〉

 

 ルカの疑問に応えるために、レムがデータを眼鏡のレンズに送ってきた。

 

〈この宇宙は一度、ベリアルの起こしたクライシス・インパクトで時空消滅しかけました。その時キングは、ウルトラマンの同化能力でこの宇宙そのものと融合し、自らのエネルギーを分け与えることで宇宙を癒やし、地球を始めとした星々やそこに生きる全ての命をも蘇らせたのです〉

 

 突然、凄まじいスケールの歴史を聞かされ、ルカは度肝を抜かれた。

 そして、その後のベリアルの動きを見れば、最初からキングとこの宇宙を融合させることが目的だったのだろうと付け加えながら、レムは解説を続行する。

 

〈宇宙を循環するそのエネルギーを利用するため、ベリアルたちは融合の起点であった爆心地、この星山市からカレラン分子という物質を散布しました。それに吸い寄せられたキングの力が、人間を始めとした生命体を宿主としてその想念と結びつき、凝縮・生成された高純度のエネルギー体が、リトルスターです〉

 

 それがかつて、ジードとベリアルの戦いの中心となった小さな星々。

 最終的に取り込む日に備えてジードを強化し、また、キングに拒絶されるベリアルがその力を我が物とするための位相反転装置、ストルム器官を成長させるウルトラカプセルを用意するために欲した、人々の祈りの結晶。

 

〈リトルスターが励起状態に達すると、宿主となる生命体がウルトラマンの能力の一部を授かると同時に、特殊な光を発します。怪獣の多くは、その励起光に強く誘引されることがわかっています〉

 

 ライハの懸念はそういうことである、というレムの解説を聞きながら、しかしルカは疑問を口にした。

 

「待ってよ。ウルトラマンキングは、もうとっくにこの宇宙を去ったんでしょ? じゃあ、新しいリトルスターが発生するなんて、おかしいんじゃ……」

〈その認識は正しいです、ルカ。現在の宇宙の状態で、これ以上新たなリトルスターが発生することは、理論上あり得ません〉

「――だが、既にあるモノが新たに発見されること自体は、その理屈と矛盾しないということだ。それこそスタンパウロスのような新種の発見と同じように、な」

 

 レムの説明を、ペイシャンが引き継ぎ始めた。

 

「リトルスターの発現には個体差がある。キングが宇宙と分離した時点で、結晶化に必要な量のエネルギーを溜め込んでいながら、外部から発見できない状態にあるリトルスターの宿主が存在し得るんだ。例えばそこのライハは、一度結晶化させてから六年もの間、リトルスターが観測不能な状態にあった実例だ」

 

 言われて、ルカはライハを見る。視線に気づいて振り向いてくれた彼女は、ペイシャンの言葉を肯定するように頷いた。

 

「だからまぁ、乱暴に言えばまだ五年ぐらいは、未発見だった既存のリトルスターが輝き出す可能性もあるわけだ。それに惹かれて、怪獣がやってくる恐れも……新種の怪獣が何に誘引されているかは断定できないが、検討すべき優先度が高いことは間違いない」

「じゃあ、もしリトルスターがあの怪獣を呼び寄せているんだとしたら……お兄ちゃんは、どうしていたの?」

「そりゃ、リトルスターを回収して事態を収束しただろう。元々ウルトラマンジードは、そのために造られた存在だったからな」

「え……?」

〈リクの設計思想は、ペイシャンの語る通りです〉

 

 そこで、淡々と語るペイシャンから、レムが再び説明の主導権を奪った。

 

〈リトルスターは、宿主がM78星雲のウルトラマンへ清らかな祈りを捧げた時にのみ分離されます。そのため、地球人から恐れられるベリアルの手には渡らない仕組みとなっていました。そこで、人々の祈りを集めるために造られた、M78星雲人の血を引いた偶像が、ウルトラマンジード――あなたの兄だったのです〉

 

 ――計画のための道具。ウルトラマンの模造品。

 かつて、自棄になっていたルカを叱咤する際に、リクが口にしたその正体。

 人々を騙し、世界を破滅に導く片棒を担がせ、最後は自らの力として取り込むための生贄として造られた。

 そんな兄の出生の秘密を改めて聞かされ、ルカは我が身に流れる血の根源をより一層、忌まわしく感じるのを禁じられなかった。

 

「けど、リクはその運命をひっくり返したわ」

 

 そんなルカの様子を見取ったように、ライハが口を挟んだ。

 

「例えベリアルの血を引いていても、リクはリクで、ルカはルカ。だから私はあなたのお兄ちゃんに、世界を救う皆のヒーローになって欲しいって、祈れたの」

「ま、問題はそのウルトラマンジードが居ない以上、宿主に祈らせて分離する、という手が使えないことだ」

 

 ルカを慮るようなライハの思い出語りを、ペイシャンが遮った。

 

「生物的にウルトラマンから離れていても、因子さえあればリトルスターを回収できる……なんてことなら、わざわざジードを用意せずとも、ベリアル融合獣で事は済んでいただろう。培養合成獣でも、理屈は同じだろうな」

「……私じゃお兄ちゃんみたいに、祈りに応えることはできない、ってことか」

 

 そもそもスカルゴモラに祈るような存在が、事情を知っている身内以外に存在するのかは置いといて。

 自らの無力を堪えるルカは、ギュッと拳を握り締めた。

 

〈しかし、AIBは既に、ベリアルとの決着後に確認されたリトルスターを、カレラン分子分解酵素で宿主から取り除いたことがあるのでは?〉

 

 そこでレムが放ったのは、一抹の希望を探す詰問だった。

 

「ああ。リトルスターを取り除く代替手段が見つかっているなら、毎回ウルトラマンに祈らないといけないような事態になるまで、宿主を放っておくのは危険だろう。分離ではなく分解となるから、新しいカプセルを起動させてやれなかったのは申し訳ないがな」

〈構いません。リクも戦力の拡張より、宿主の安全を望んでいましたから〉

 

 あっさり認めたペイシャンに、レムが答えるのを聞いて。やはり兄は最高のヒーローなのだと、ルカは胸を高鳴らせる。

 ……その兄と、約束したのだ。今は妹の自分が代わりに、この世界を守るのだと。

 なのに、あっさり修復装置送りになっている自分を不甲斐なく感じていると、ペイシャンの声が微かに沈んだ。

 

「……だが、分解酵素を使えるのは当然、投与すべき宿主と接触できることが条件だ。一方的にでも、相手が祈りさえしてくれれば解決するウルトラマンへの譲渡と違い、まず対象の発見が必須になる」

〈その点に触れる、ということは……〉

「ああ。既にモアたちエージェントや、トリィたち研究セクションの面々に調査させているんだが、まだリトルスターが見つかったという報告はない。そっちはどうだ?」

〈――星雲荘の観測機器でも、リトルスターの反応は確認できていません〉

 

 二人のやり取りを聞き、折角対処法が確立されているのに、リトルスターは無関係なのだろうか――と。ライハの直感が外れたらしいことを、ルカは残念に感じたが。

 

「対象は未知の怪獣だ。AIBや星雲荘でも感知できないようなリトルスターの反応を辿っている可能性は捨てきれない。ずっと光っているわけじゃないから、観測タイミングの問題もあるしな」

 

 ペイシャンは、簡単には検討事項からリトルスターの可能性を捨てていないようだった。

 

「もちろん奴が電磁波を扱うことから、それに関連した要因で人口密集地を目指していることも考えられる。だが、それも確証はない。結局、わかっていることはスタンパウロスがこの街を目指していることと、何が引き寄せているのかがまだわからないということ、そしてそれを確かめるために、奴を市街地に踏み入れさせるわけにはいかないということだ」

 

 強力な電磁場を持ち、猛毒の液体オゾンを生成し、どうやら荷電粒子ビームまで発射するらしいスタンパウロスが人口密集地に出現すれば、被害は他種の怪獣による災害を上回ることは明白だ。都市機能は麻痺し、強酸と放射線による汚染が数多の人命を脅かすことは想像に難くない。

 

「今、その進行を食い止め、駆除できるのはスカルゴモラしかいない……わかっているな?」

「……うん、もちろん。この世界は私が守るって、お兄ちゃんと約束したんだから」

 

 頷くルカに、しかし、その反応までの間が納得行かないといった様子で、ペイシャンは言葉を続けた。

 

「はっきり言って、未知の怪獣とはいえ、さっきの時点でスカルゴモラが勝てない相手じゃない。それでも負けたのは、おまえの覚悟の問題だ」

 

 ペイシャンが詰って来るのに、ライハもレムも、ルカへ助け舟を出そうとはしてくれなかった。

 そしてその指摘は、身に覚えのある事柄だったために、ルカ自身も何も言い返せなかった。

 

「動物だろうが植物だろうが、外からやってきて侵略行為を始め、平和的なコンタクトを全て無視したのはスタンパウロスの方だ。電磁バリアなんか纏っていて、殺す以外の攻撃では意味がない体質なのも奴の勝手だ。なのに躊躇って負ければ、おまえの兄が託した世界は壊される。次はそれをちゃんと理解して、戦え」

 

 ペイシャンの指示に、ルカは思わず俯いた。

 全て、彼の言う通りだ。それでもルカは、ただの植物だと思っていた相手が、自らの意志で考え動く怪獣だと気づいた途端、思わず攻め手を緩めてしまった――それ自体も、身勝手な選別だというのに。

 

「……まぁ、子供に頭を下げて協力を求めるしかない側が、偉そうに言う話じゃないがな」

 

 自省するルカの様子を見て取ったからか、ペイシャンは不意に語気を和らげた。

 

「さっき、俺たちを庇うために不利になったこともわかっている。次は邪魔しないで済むよう、こっちも準備を詰めておく」

 

 少し外す、と言い残して、ペイシャンはエレベーターに乗り、地上へと転送されて行った。

 

「――私もペイシャンと同じ意見よ、ルカ」

「……はい」

 

 ライハからも叱るような一言を浴び、ルカは思わず縮こまった。

 

「この世界、だけじゃない。わざと手を抜いて負けたら、今度こそあなたも殺されるかも知れないもの」

 

 だが、ペイシャンが最後にしか見せなかったような感情を、ライハは初めからルカに向けてくれていた。

 

「……戦いを押し付けている私たちが、あなたに手を汚すことを強いるのも、酷い話よね。だけど――」

「ううん、ごめんライハ――わかってるよ」

 

 今回の戦いは、フワワの時のように、ルカの存在が招いたというわけではないが――それでもライハが罪悪感を覚えるのは、間違っている。

 何故なら、この戦いを望んだのは、ルカ自身なのだから。

 

「この地球には今、ウルトラマンジードは居ない。コスモスの力を受け継いだゼロも、怪獣をスパークドールズにできるエックスも居ない。そんなことはわかった上で、私がお兄ちゃんを送り出したんだもん」

 

 今までの戦いは、ずっと、兄が代わりに手を汚してくれていた。

 兄の庇護がなくなれば、そんなわけにはいかなくなるということを――ウルトラマンが戦うよりも、多くの命を奪う形でしか、この世界を守ることができない自分の能力を、わかっていたつもりだったのに。

 

「私が、アサヒたちの厚意を蹴って、そうしたいって決めた。だから、今更迷ったりなんかしちゃいけない……」

 

 侘びながら、それでもルカには、どうしても後ろ髪を引かれる気持ちが残っていた。

 これまでの敵とは違う――意思疎通ができない、未知の怪獣。

 スタンパウロスの真意が見えないのと同じように、スタンパウロスもまた、ルカたちの声が聞こえていないのかもしれない。

 もしかしたら、ルカにはわからないだけで、助けて欲しいと叫んでいるのかも知れない――そう考えてしまうと、どうしても。

 かつて、無慈悲な暴力に命を摘まれかけた培養合成獣スカルゴモラは、最後の一線を越える決意を固めきれなかったのだ。

 

〈ルカ〉

 

 自分でも、余分な感傷だと悩むルカの様子を見て、最後に声をかけてきたのは、報告管理システムのレムだった。

 

〈スタンパウロスの予想進行ルートには、星山総合病院――朝倉スイが、入院している施設があります〉

「――っ!」

 

 告げると同時に地図が拡大された瞬間、ルカは思わず修復装置から身を起こした。

 

〈私はあなたの意志と選択を尊重するよう、リクから指示を受けています。ですが――〉

「……うん。大丈夫、レム。もう、充分だよ」

 

 それは脅しでも何でもない。レムはただ――ちゃんと考えていればわかって当たり前だった事実を、教えてくれただけだ。

 後は――どんな哀しみと向き合う未来を選ぶのかを、ルカ自身が決める番だ。

 

「――今度はちゃんと、私も覚悟を決める。お兄ちゃんが託して行ってくれた私たちの居場所を、守るために」

 

 そのための理由を、後悔しないようちゃんと考えて。

 自分がどうするのか、朝倉ルカは覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 その後、遂にゼガンに痛打を与え、スタンパウロスが妨害を振り切ったという報告が入った頃には。ルカもまた、修復装置での肉体の再生を終えていた。

 そうして、星雲荘のエレベーターでスタンパウロスの進路上に転送される最中。ルカはふと口を開いた。

 

「……レム。一応聞いておくね」

〈はい、何でしょうか〉

「私も、ベリアルの……レイオニクスの血を引いているけど。怪獣使いだからって、どんな怪獣でも操れるって、そういうわけじゃないんだよね?」

 

 もしそうなら、レムはとっくに教えてくれていただろうと予想しながら、ルカは問うていた。

 

〈はい。レイオニクスと使役する怪獣にも、相性があります。加えてルカには、ベリアルの使ったギガバトルナイザーのような、能力行使のための増幅器もありません。それでも問答無用に怪獣を従えられるとすれば、それは始祖であるレイブラッド星人か、その真の後継者だけでしょう〉

「……じゃあやっぱり私は、戦わずに怪獣を大人しくさせるなんてできないんだね」

 

 レムの回答に、改めてルカが腹を括ったところで――エレベーターの扉が開いた。

 

〈正面から、来ます〉

 

 レムが告げるのと同時に。市街地を臨むだだっ広い平原の反対側、地平線すれすれに見えていた半人半樹の怪獣、スタンパウロスの巨体が発光し、消えて――

 次の瞬間、擬態を解き、本来の姿を解放したルカ=スカルゴモラと、超音速で衝突した。

 

 体そのものを電磁加速して、砲弾として打ち出すスタンパウロスの超電磁タックル。

 星山市市街地を目前にした丘で、自身に向けて放たれたそれを、既に予想していたスカルゴモラは屈強な肉体で受け止めた。

 受け止めたまま、スカルゴモラは電磁バリアの反発で阻まれる限界まで腕を回し、直接締め上げることはできずとも、敵の体を拘束することに成功する。

 

 電磁バリアごと抱えられた体勢から逃れようと、スタンパウロスは液体オゾンをスカルゴモラに浴びせようとするが、それより早くスカルゴモラは口腔からインフェルノ・マグマを放った。

 膨大な熱エネルギーが吹き荒れ、オゾンを液化させるほどの低温が作り出せない間に、バリアを突破したインフェルノ・マグマがスタンパウロスの切り株状の下半身、その後ろ半分を焼き飛ばした。

 それ以上は、この体勢では有効な射角が取れない。そのことを理解したスカルゴモラは、部位破壊したスタンパウロスをそのまま持ち上げて、大地に向けて振り下ろす。

 しかし、直接その実体を掴めてはいなかったからか。投げの最中、電磁力の反発によってスタンパウロスはスカルゴモラの手から逃れた。

 

 弾丸のように飛んだ後、前半分だけが残った多脚で大地を掘って制動を掛けながら、スタンパウロスは口のような造形の前にそのエネルギーを集束し、青白い輝きを蓄える。

 スタンパウロスが放った荷電粒子ビームに、スカルゴモラも二度目のインフェルノ・マグマを放ち迎撃。超加速された荷電粒子と、収束された熱線のエネルギーとが相克し、宙で弾ける。

 

「(……やっぱり私のことは憎いんだね)」

 

 聞き及んでいたゼガンへの対応との違いに、心中で力なく苦笑しながら。機動力に劣る己を無視して街へ向かわないのであれば却ってありがたいと、スカルゴモラは前進する。

 

 荷電粒子ビームを撃ち終えてから、スタンパウロスが急速精製した多量の液体オゾン。その波濤が向かってくるのを、スカルゴモラは超振動波でまとめて破裂させる。

 結果として生まれた高濃度酸素の霧を抜けて、スカルゴモラはスタンパウロスに肉薄した。

 

 距離を詰められたスタンパウロスは、その拳を電磁加速して繰り出してくる。この間合いから超音速の打撃を回避する機敏さはスカルゴモラにはなく、甘んじて受ける。

 大したダメージではないが、スカルゴモラは痛手を受けたように見せかけて身を屈め――その動作から遠心力を載せた足払いの、変則型に繋げてみせた。

 

「(後掃腿・改!)」

 

 スカルゴモラの状態で太極拳を扱うのは初めてだが、ライハ仕込みの技法は体型の変化による精度の低下があっても、心得のない怪獣に初見で捌けるようなものではない。第三の足として翻った尾は、後ろ半分の脚を喪って重心が不安定となっていたスタンパウロスの軸足を絡め取り、仰向けで転倒させるのに充分な効果を発揮していた。

 そうして大地を背にしたスタンパウロスの胸の上に、尾の旋回を終え向き直ったスカルゴモラはそのまま足の裏を載せ、馬力の差で抑え込んだ。

 

 いくら、電磁バリアで直接的な破壊力の到達を阻めるとしても。常にスカルゴモラの体重と膂力が載せられる踏みつけを受け、やはりそのバリアごと縫い留められるだけとなったスタンパウロスは、スカルゴモラの眼下で身悶えするしかできなくなった。

 

「(――悪いけど、もう、終わらせて貰うよ)」

 

 スカルゴモラの踏み足を、スタンパウロスが両腕で殴りつける。だが、何の術理も持ち合わせていない、ただ速く固く重いだけの打撃は、スタンパウロスより強靭なスカルゴモラには通用しない。

 スタンパウロスが発生させた零下百四十度の液体オゾンも、先の交戦経験から低温や酸化作用への耐性を獲得した培養合成獣にはもう効果がない。

 それどころか電磁バリア自体、常時圧力を加え続ける踏みつけを前に耐久限界を迎え、その奥の金属質な細胞を直接蹂躙されることとなった。

 そして、痛みに悶えるスタンパウロスが最終手段となる荷電粒子ビームを放つよりも、スカルゴモラがインフェルノ・マグマに必要なエネルギーを臨界させる方が早かった。

 

 ……死を齎す紅い輝きを前に、もしかすればスタンパウロスは恐怖しているのかもしれない。

 だが――いくら、かつての自分と重ねて見える怪獣なのだとしても。

 今の己が大切に想うものを、無頓着に踏み潰す相手にくれてやることはできない――!

 

「(インフェルノ――!)」

 

 そうして、この大地へ完全に根を張られる前に、この謎多き生命体を焼き尽くそうとした、その時だった。

 踏みつけていたスタンパウロスの胸の中心で、炎の弾ける様が見えたのは。

 

「(――っ!?)」

 

 それが本当の炎でない、幻視の類であることは、炙られたはずの足が何も感じなかったために理解できたものの。

 一瞬、燃え盛るオーラを纏ったように見えたスタンパウロスは、それを境に力を増大し――これまでが嘘のように片手でスカルゴモラの足を容易く持ち上げると、五万九千トンの巨体を軽々と投げ飛ばし、決着の一撃となるはずだったインフェルノ・マグマの発射を阻止してみせた。

 

「(な……何!?)」

 

 いざ、覚悟を決めてしまえば、どうということはないとばかりに――あっさり制圧し、トドメを刺すだけだったはずの敵怪獣の思わぬ反撃に、地面に突っ込んだスカルゴモラは戸惑いの声を上げた。

 素早く受け身を終え、大地を揺らして立ち上がった頃には――スタンパウロスは既に、荷電粒子ビームを放つ準備を終えていた。

 

「(――っ、インフェルノ・マグマ!)」

 

 発射の直前で妨害されたものの、まだ霧散するには至っていなかった熱エネルギーを束ね、スカルゴモラは破壊光線として発射。スタンパウロスの荷電粒子ビームとの相互干渉を起こし、その直進を食い止めるが……

 

〈計測されるスタンパウロスの出力が、先程よりも大幅に上がっています〉

「(わかってるよ……っ!)」

 

 余裕を持って迎撃できた先程とは異なり、相殺するのに精一杯だったスカルゴモラは、レムの報告にも素っ気なく返してしまった。

 だが、その対応を気にする余裕はない。スタンパウロスは間髪入れず、電磁加速した音速超過の突撃をスカルゴモラに繰り出して来ていたから。

 ……不意を突かれた、わけではない。だが、容易に受け止められた先程とは異なり、その突進の勢いにはスカルゴモラをして後退を余儀なくされる威力があった。

 

「(この……っ!)」

 

 尾で大地を叩き、何とか止まった前進を押し返そうとするスカルゴモラだったが、いつの間にかスタンパウロスは先程焼き切られた後ろ側の多脚も再生しており、安定した重心に苦戦を余儀なくされる。

 今の体勢からでは投げられないが、組み合ったまま調整するには電磁バリアが邪魔になる。ならばと再び足を払おうとすれば、スタンパウロスは軽やかに飛び上がり、スカルゴモラの技の出先を挫いた。

 

「(見切られた……っ!?)」

 

 息を呑む間に、再びスタンパウロスが降りてくる。重力による自由落下のみならず、やはり電磁加速を載せた本体が降りるのと、完全にタイミングを合わせた拳の一撃は、ちょうど背を向ける格好になっていたスカルゴモラの後頭部を打ち、脳を揺らすほどの威力があった。

 視界が歪む間に、スタンパウロスはスカルゴモラの背に乗った。鋭い無数の脚を何度も突き刺すように打ち付けて来ながら、さらに両腕をハンマーのように振り上げ、スカルゴモラの首を狙う。

 

「(――どいてっ!)」

 

 いつかのタイガにされた時のように、思わずスカルゴモラは超振動波を放つものの、電磁バリアで無効化される。一拍遅れて尾を叩きつけるが、これも有効打にはなり得ず、バリアごとゆっくりと押し出すような形で引き剥がすのが精一杯だ。

 それでもスカルゴモラは、肉体の訴える痛みを無視して、払い除けたスタンパウロスに自ら飛びかかった――これ以上、星山市に近づかせないようにするために。

 スタンパウロスの放つ荷電粒子ビームは、それ自体が強烈な電磁波や放射線を発し、人体に有害であるのみならず、一種のEMP兵器としても機能する。もしも、星山総合病院の機器が異常を来しでもすれば、朝倉スイの生命を脅かしかねないのだ。

 そんな必死さが通じたかのように、スタンパウロスはまっすぐにスカルゴモラへ向き直る。一定時間、連続して干渉し続けなければ突破できない電磁バリアの強みを活かすようなヒットアンドアウェイの殴打の嵐でスカルゴモラを迎え撃ち、こちらの防御を掻い潜るため徐々に立ち位置を変えていく。

 

〈――戦い方が、明らかに変わっている……!?〉

 

 通信機の向こうから呻いたのは、ライハだった。

 師である彼女の見立て通り。炎のようなオーラを見せてからのスタンパウロスは、その力を増大させただけでなく。戦闘行為そのものにも、戦術的な挙動を織り交ぜるようになっていた。

 

 圧倒的に増した脅威に、一切の手加減も迷いも捨てたスカルゴモラをして、苦戦を強いられる。インフェルノ・マグマ以外の決定打がないのに、今のスタンパウロス相手ではまず当てられる気がしない。

 せめて、あの電磁バリアを解除するか、直接触れる以外に力を加えて、拘束するような術でもあれば――などと、ないものねだりをしたところで。

 

 ちょうど、スカルゴモラを間に挟んで、星山市を向いたスタンパウロスが、大きく飛び退った。

 再びの荷電粒子ビームか、と身構えたところで――スタンパウロスが頭上に精製したのは、零下百四十度の液体オゾンだった。

 先程証明されたように、スカルゴモラは既に、その低温にも酸化作用にも耐性を得ている。最早いくら浴びせられたところで、星雲荘のシャワーを被るのと変わらないだろう。

 

 だが、問題は、その量がこれまでの比ではないということだ。

 

 まるで湖のような量が精製された液体オゾン――それが比喩ではない津波のようにして、スカルゴモラと星山市目掛けて押しかける。

 

「(インフェルノ・マグマ――っ!)」

 

 超振動波では、結局同じく猛毒の高濃度酸素を通してしまうと判断したスカルゴモラは、オゾンの分子構造を破壊すると同時に蒸発・拡散させるための熱線を吹きつけた。

 だが、流石に対象の規模が大きい。大規模な引火の衝撃波に晒されながら、拡散する猛毒の津波を完全に消し去るまでに、スカルゴモラをして一息とはいかなかった。

 そして、その一息の間に、スタンパウロスは第二波の準備を終えていた。

 

 このままでは、防ぎきれない。

 そうなれば、スカルゴモラが波に拐われるだけでは済まない。流れ込む先の、星山市への被害が大き過ぎる。

 そのために、動きを止めたスタンパウロス本体ではなく、繰り出される液体オゾンへの迎撃に、インフェルノ・マグマの照射が強制されているが――このままでは、ジリ貧だ。

 

 例えばジードやグリージョの展開するバリアのように、強酸の波を漏らさず止められる壁を作ることができれば。

 もしくはゼガントビームのように、本体ともどもどこか遠くへ飛ばしてしまえれば。

 

 自らにない力を、スカルゴモラが欲する間にも。先にスカルゴモラの体力を絞り尽くさせようとするように、スタンパウロスが第三波を投げて来る。この怪獣はどこから、それほどのエネルギーを確保しているというのだろうか。

 疑問を抱きながらも第三波を何とか凌いだところで、遂にインフェルノ・マグマを連射する限界に達し。スカルゴモラが呼吸を荒くした時には、その奮闘を嘲笑うかのような第四波も、既に準備されていた。

 

 ――もう、防げない。

 そんな事実をスカルゴモラが認識するのと、液体オゾンが大海嘯のように走り出すのとは、全くの同時で。

 果たして、星山市が劇物の湖に沈んでしまう、大災害を前にして。

 スカルゴモラの脳裏に、朝倉ルカとして、兄とともに触れ合ってきた人々の姿が過ぎって。

 

「(やらせて……たまるかぁあああっ!!)」

 

 諦めたくないと咆哮したその時、前触れなく――状況を打開する未来が頭に浮かんだ。

 そして次の瞬間、スカルゴモラの三日月状の角が、力強く発光していた。

 

 

 

 




Bパートあとがき



・レッドキング2代目は日本アルプスの極寒地帯で活動していましたが、そこでは初代ウルトラマンも特に弱体化に触れられてはいなかったため、ウルトラマンや怪獣基準では零下百四十度のような「耐性が必要な特別寒い空間」には該当しないかなぁ、と考えております。

・『ウルトラマンジード』本編後のリトルスターの発生状況、及びAIBがそれに対処しているという作中設定は公式と矛盾はないと思いますが、混乱を招かないように本作独自の設定であることを念のためここに記しておきます。
 当然、理屈の上ではキングが去った後に生まれた命や、ルカのようにその後にサイドスペースに現れた存在がリトルスターを宿すことがないというのは、公式とも拙作でも同様のはずだと思われます。


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