星山市にて、湊家がアサヒと合流した翌日。
「よし、次は汗染みTシャツだ!」
彼らに貸し出された宿泊施設は、湊ウシオのTシャツ量産基地に早変わりしていた。
湊ウシオが来ている、ということが瞬く間にAIB中に……要警護対象のVIPと言っておきながら、組織内とはいえその来訪を軽々に伝播しているのはどうかとも思うが――広まった結果、ウシオブランドを求めるエージェントの声が殺到。
アサヒの世話と、自分たち家族の一宿一飯の恩を返すため、そしてビッグビジネスチャンスを逃さぬため、湊家が営むセレクトショップ・クワトロMの星山市支店として、期間限定の活動を開始していたのだ。
(無駄に)AIBの超技術を用い、ウシオのデザインを次々と実物のTシャツとして量産し、箱詰めして行く様を見ながら、ルカは何とも言えない心地になっていた。
「見て見てお姉さま。うちゅーん!」
その風変わりなTシャツの一つ――曰く、大宇宙への果てなき憧れを言語化したという、妙に脱力する字体で描かれた文字を刻んだ『うちゅーんTシャツ』を一着恵まれたサラは、ぶかぶかなそれを被って楽しそうに見せびらかしに来ていた。
シャドー星人やピット星人、ペダン星人が魅了されている横で、セミ人間やゼラン星人のエージェントは同僚たちの熱狂ぶりに若干引いた様子を見せるように。やはり嗜好には種族や個人の差が存在するようで、何が良いのかわからないルカとは対象的に、サラはウシオブランドが気に入った様子だった。
「でも……まぁ、可愛いからいっか」
昨夜覗かせた沈んだ気持ちは何処へやらの、満面の笑みを浮かべる妹を見ていると、趣味の不一致などどうでも良くなって。ルカもつい、だらしなく相好を崩していた。
湊ウシオが、Tシャツデザイナーとして戦争の引き金となるほどの宇宙的VIPであること――故に、こののどかな状況が、邪悪な欲望の矛先になり得るということなど。
……既に自分たちが、その毒に蝕まれていることなど、全く想像もしないまま。
◆
「じゃあ、ちょっとあたし、行ってきます」
リクが気づいたのは、アサヒが母ミオにそう告げて、出発した後だった。
「アサヒ、どうしたんですか?」
「ん? ゼロくん、だっけ。アサヒをこの世界に連れて来たウルトラマンの」
リクに問われたミオは、あっさりと答えた。
「彼、今は世界間移動ができないんでしょ? それでアサヒは私たちと先に帰ることになりそうだから、挨拶して来るんだって」
「ああ、なるほど……」
言われてリクは、納得しながら頷く――はずだった。
「……そんなのメールで良いじゃないか!」
「わ、どうしたのウーたん、大きな声出して」
リクの動作を遮ったのは、いつの間にか――娘の動向が気になるのか、近づいてきていたウシオだった。
「なのにわざわざ、直接会いに行こうだなんて怪しい……怪しいぞ!」
「いや、単に誠意の問題でしょ」
愛する妻のツッコミにも耳を貸さず、湊ウシオはわなわなと震え出した。
「たいへんだ! 緊急家族会議だ! 湊家の一大事……アサヒのピンチだぞ!」
「「何っ!?」」
取り乱した
「ゼロとかいうウルトラマンに、アサヒが誑かされているのかもしれん!」
「なんだってっ!?」
「ゼロのヤロー……一回命の恩人になったぐらいで!」
父が見せる飛躍した思考の疑惑に、しかし兄弟は疑いを挟むこともなく焦燥感を共有していた。
「そんな、嘘でしょっ!?」
そこで、湊兄弟と同じテンションで割り込んできたのは、リクの妹のルカだった。
「信じられない……ゼロの奴、許せないっ!」
「る、ルカ……?」
湊家の男衆と同じ、妙に興奮して冷静さを欠いた様子の妹に、リクは戸惑いを口にした。
すると、妹は怒気すら滲ませて、リクの方を振り向いた。
「良いの、お兄ちゃん!? いくら恩人だからって、ゼロにアサヒ取られても!」
「……妹にここまで言われているのよ。男なら覚悟決めなさい」
いつの間にか、やはり同じノリに至っているライハも加わり、リクに危機感を抱けと言う圧を加えて来る。
……言われてみれば、何故だろう。
つい先程まで、そんなはずはないのに、と。彼らと比べれば、どこか冷めたはずの思考をしていたのに。
「――ああ。このまま放っておけるものか!」
気がつけば、リクも彼らと同じく、どこか思考が熱に冒されたような興奮を覚えていた。
「行くぞ、ファルコン
「おぉおおおおおおおおっ!」
いつの間にか、普段着から迷彩服に着替える早業を披露した湊家男衆の号令に合わせて。
雄叫びを上げたリクたち星雲荘の三人も、アサヒの追跡に加わり、喧しく駆け出したのだった。
◆
「えぇっ!? ちょっと、リッくん……アサヒに負けてたまるかぁああああっ!!」
リクたち一行の突然の暴走に混乱していたモアが、その困惑の声を途中から興奮で塗り潰し、彼らを追って走り出した。
「……びっくりしちゃった」
そうして、目から炎が燃えて見えるぐらいテンションを上げた皆が次々と駆け出して行くのを見送ったサラは、目をパチクリさせながら感想を口にした。
「はわわ、みんな居なくなっちゃった……」
同じく置き去りにされたペガが、放ったらかしにされたTシャツ製造機を振り返る。
「このままじゃ、ウシオブランドの生産が止まっちゃう……そんなの、絶対ダメだ!」
途中から、急に声の勇ましさを増したペガもまた、その目を突然燃やし始めた。
「うぉおおお! ウシオブランドの信用は、ペガが守る!」
それから猛烈な勢いでTシャツ量産に向かったペガを見て、サラは余計に困惑した。
「ペガまでおかしくなっちゃった」
「……みんな異常なハイテンションね」
サラ以外で唯一、まだ正気を保っている様子の湊ミオが、科学者らしい冷静さの中に、困惑を交えて呟いた。
「ウーたんたちだけならいつものことなんだけど……リクくんたちはそうじゃないわよね?」
「うん。モアおねぇちゃん以外は、いつもとちがうの」
「まさか……何者かの攻撃?」
サラが素直に答えると、ミオは戸惑いを焦りへと変換した呟きを漏らした。
……直後、彼女の瞳までもが、炎を灯す。
「こうしちゃ居られないわ! 私もすぐ行くわよ、ウーたん! 皆ー!」
一瞬で冷静さが消滅したミオまで、他の皆と同じように叫びながら駆け出したのに。サラはまた驚いて、思わず身を竦めていた。
〈……サラ。聞こえますか〉
「あっ、レム」
そこで、かつてベリアル軍所属の戦艦の情報を取り込んだサラの電算能力が、星雲荘の報告管理システムであるレムからの通信を傍受した。
「あのね。お兄さまやお姉さまも、みんな、なんかヘンなの……」
〈状況は私の方でも確認しています。超獣……その中でも、自我や自己進化機能がある分、制御性を重視されたサラは無事のようですが。それ以外はリクたちだけではなく、周辺の生命体も体温を急上昇させています〉
ようやく冷静な話し相手が現れたことで少しホッとするサラに、レムは報告を続けていく。
〈原因となる、過度の興奮状態という症状から照会したところ、ベリアル軍のデータベースに類似した記録がありました〉
「……怪獣や宇宙人のしわざ、ってこと?」
超獣には通用しない――ということから、その可能性を疑ったサラの問いかけに、レムは相槌を返した。
〈はい。これは挑発星人が保有する、モエタランガウイルスの症状です〉
◆
星山市の一角で。待ち合わせ場所で目当ての人物を見つけたアサヒは、元気よく声をかけた。
「レイトさん、こんにちは!」
「こんにちは、アサヒちゃん」
外回りの途中、アサヒの無理なお願いを快諾してくれたレイトは、笑顔で挨拶を返してくれた。
「それで、直接話したいことって……ゼロさんに、だよね?」
「はい。実は――」
アサヒの要件がある相手を確認して、眼鏡を外したレイトは、その肉体の主導権を同居人にバトンタッチする。
「……どうやら君が邪魔者だったようだ」
そうして話に入ろうとした途端、第三者の声が二人の間に割り込んだ。
「――てめーは」
レイトから主導権を渡されたウルトラマンゼロが即座に臨戦態勢を取り、険しい目つきで睨めつけた相手は――人間ではなかった。
それは、燃える炎のような無数の突起を背負った怪人。
橙色の肌を、赤い装甲で覆ったその宇宙人を――ウルトラマンゼロも、まだ直接目にしたことはなかった。
「私はモエタランガ・バンテヤ」
「はじめまして。あたしは湊アサヒです」
挑発星人モエタランガ――個体名、バンテヤを名乗った異星人に対し、初対面のアサヒは極めて自然に会釈を返した。
「アサヒ! 自己紹介なんか要らねーよ!」
「でも、挨拶は大事です」
「こいつは俺かおまえを邪魔者だと言った……敵なんだぜ!」
喋っている最中、急にレイトの目を燃やしたゼロが、その語勢のままモエタランガに殴りかかった。
しかし、背中の突起が光り、モエタランガの体が透けたかと思うと。バンテヤはその場から消え去ってしまい、ゼロの攻撃は空振りに終わる。
「邪魔者は君だ、ウルトラマンゼロ」
そして二人から離れた位置で再出現したモエタランガ・バンテヤは、レイトを指差して言った。
「アサヒー! 大丈夫かーっ!!」
そこに、慌ただしい足音が、次々と駆けつけた。
「あら、カツ兄にイサ兄。お父さんに……あっ、リクさん! ルカちゃんとライハさんも」
突如現れた六人組が、アサヒをモエタランガ――それとゼロから遮るように立ち並び、睨み合いに加わった。
その様子を見たモエタランガ・バンテヤは、少し疲れた様子で嘆息した。
「……君のせいで、折角感染させた湊ウシオが、Tシャツ作りに集中できなくなった」
「――は? 何言ってやがる」
モエタランガ・バンテヤの呟きに、興奮状態だったゼロが一瞬素に戻って戸惑った。
「ようやく地球に来てみれば、君が連れて行ったというそこの娘さんを心配して別宇宙に飛び出して……密航して追いかけて、ようやくTシャツ作りに入ってくれたと思えばこの有様だ」
「……なんだ、私のファンだったのか」
バンテヤが語る身の上を聞いて、安心したウシオを筆頭とした六人組は、敵意の籠もった視線を未知の宇宙人からゼロに向け直す。
「なら――!」
「おかげでモエタランガウイルスの力で死ぬまでウシオブランドを作らせ、天才の遺作としてプレミア転売するという私の計画が無茶苦茶だ!」
「なんだこいつ!?」
とんでもない告白をする
「酷いです! なんて悪いこと考えているんですか!?」
父を庇って前に出たアサヒが、強く抗議の声を上げる。
「ああ……そんなこと聞いて、好きにさせるわけにはいかない!」
妹と興奮の方向性が一致した長兄カツミが、命を狙われた湊ウシオの子を代表して啖呵を切る。
だが、敵意の集中にもモエタランガ・バンテヤは不敵に笑っていた。
「ふふふ。既に計画が破綻していることは百も承知。君たちを倒し、既に生産された分だけでも回収して帰るとしよう」
「させるか!」
リクが叫ぶに合わせて、一同は生身のままでモエタランガに挑むべく駆け出す……が、バンテヤは再び転移を使って姿を消す。
「はぁああああああ!」
そして、数秒後。恐ろしい雄叫びとともに、巨大な姿を衆目に晒した。
「おっきいです……!」
アサヒが驚愕するように、巨人体となったモエタランガ・バンテヤの身長は、一般的な巨大宇宙人のおよそ四倍から五倍――二百メートル以上の、地形にも等しい超巨体を誇っていた。
「はぁっははははは……!」
その恵まれた体躯を誇るように、超巨大モエタランガ・バンテヤは、自らの百分の一にも満たない大きさの一行を見下ろして来る。
「――って、あれ?」
……その動作に、どうあっても伴っているべき地響きがなかったことに気づいたのは、その場に居る者ではアサヒだけだった。
「怯むな!」
「そうだ、ジーッとしててもドーにもならねぇ!」
「行くよ!」
何故ならそれ以外の全員が、過剰な興奮状態で、抑えきれない闘争心に呑まれていたから。
ルカは意識を統一するように胸元へ拳を、ゼロはレイトの手のゼロアイを目元に押し付けて。アサヒの兄二人は各々のルーブジャイロにクリスタルを、そしてリクはジードライザーにカプセルを読み込ませていた。
「「俺色に染め上げろ!」」
「ジィィィィィィィィィィィドッ!!」
そうしてアサヒを置き去りに、培養合成獣スカルゴモラと、ウルトラマンゼロが。
アサヒの二人の兄である赤と青のウルトラマン――ロッソとブル。
そして、憧れの人であるリクの真の姿であるウルトラマンジードが、街を震わせて地上に揃い踏みしていた。
◆
「ほ、星まで届け、乙女のハッピー!」
どちらかといえば、普段弾けている方のアサヒが、なおも周りのテンションについていけず。遅れてウルトラウーマングリージョへの変身を果たした時には。
「行くぞぉおおおおおおおおっ!」
先に変身していた仲間たちは、猛烈な勢いでモエタランガ・バンテヤに戦いを挑んでいた。
既にスカルゴモラが、全身の角を光らせてフェーズシフトウェーブを放射し、戦闘用の隔離空間であるメタフィールドの生成に移っていたが――ウルトラマンたちは、それすら待たずに突撃していたのだ。
「ぜぇやああああああっ!」
ウルトラマンゼロビヨンドに
そのモエタランガの巨体を翻弄しようと、周囲を側転して回っていたのは、赤と青の二人組のウルトラマンだった。
「フレイムスフィアシュート!」
側転を終え、∞の軌道を描いた後に十字に組んだ腕から猛火の如き光球を放つのは、∨字分かれた頭の二本角が特徴的なウルトラマン。
長兄カツミが炎のエレメントを宿したクリスタルで変身する、ウルトラマンロッソ・フレイムだ。
「アクアストリューム!」
同じく∞の軌道を描いた後に腕をL字に組んで水流のような光線を放つのは、ロッソとは対照的に長く上に伸びた一本角が特徴のウルトラマン。
シルバーの体色に黒のラインを走らせるというところは兄と同様の姿に次男イサミが変身した、ウルトラマンブル・アクアだ。
「「フレイムアクアハイブリッドシュート!」」
兄弟の繰り出した必殺光線が束ねられ、螺旋の軌道を描く合体技として巨大モエタランガを貫く。
しかし光線が巨大宇宙人の体を過ぎ去った後には、傷一つ残されていない。
「き、効いてないです!」
「手を休めるな!」
「まだまだ行くぞ!」
グリージョが戸惑いの声を上げる間も、モエタランガの巨体を挟んで反対側に立つ兄二人は、手応えのなさにむしろ闘志を燃やして、怒涛の攻めを続行する。
「ディフュージョンシャワー!」
「「セレクト、クリスタル!」」
ジードクローが上空に打ち上げたエネルギーが地上に破壊の雨を降らせる間に、ロッソとブルの纏う色が変わる。
グリージョの兄二人は、使用するクリスタルを交換することで、対応するエレメントの操作に長けた形態に変身する特性を持つウルトラマンだった。
ジードとは違い、形状の変化を伴うことはなく。土のエレメントの力を宿し、琥珀色に変わったロッソグランドと、風のエレメントを反映し、紫色に変わったブルウインドが、再びモエタランガを中心に円を描くように駆け出し、攻撃を開始する。
「グランドコーティング!」
ロッソが、着弾した相手を固める効果を持つ岩塊をモエタランガ目掛けて投擲するも、それもまたすり抜けてしまう。
続けて、やはり素通りしたディフュージョンシャワーの光矢の雨が、モエタランガの足元の大地をクレーターに変貌させる。
「おっとっと」
これにはモエタランガ・バンテヤも姿勢を崩し、まるで自らが中に入っている箱を立て直すような仕草を見せて体勢を整えるも、しかしその姿にはやはり傷一つない。
「もしかして……」
「ウルトラマンと怪獣ばかりに任せるなー!」
全く攻撃が通用しない――しかし、先日戦った虚空怪獣グリーザともどこか違った様子の敵に、グリージョが考察を深めようとすると、暑苦しい叫び声が背後から轟いた。
「子供だけを戦わせる親があるかーっ!」
「俺たちの街は、俺たち自身の手で守るんだーっ!」
振り返ると。狙われた張本人である父ウシオが、合流したミオを伴って叫ぶのみならず。
刀を振り回すライハと、拳銃を掲げたモアを先頭に。偶然通りがかったらしい銀河マーケットの店長や、その他星山市の老若男女の皆さんもまた、長ネギや買い物籠を武器にした異常なハイテンションで鬨の声を発しながら、平和を脅かす巨大な宇宙人目掛けて突撃を敢行していた。
「えぇえええ!? あ、危ないです!」
飛び跳ねながら近づく人々を戦いの余波から守るべく、咄嗟にバリアを展開したグリージョの前で、竜巻が巻き起こる。
その正体は、超高速移動したブルウインドが風のエレメントを操って起こした超常気象だったが。これもまた、モエタランガ・バンテヤには一切通用せず、余波が星山市に牙を剥く……
――寸前に、スカルゴモラによるメタフィールドの生成がようやく完了。
人間たちを残し、巨大生物たちは、その姿を別位相の空間へと移していた。
◆
「皆、落ち着いてください! 変ですよ!」
メタフィールドが生成されるまでのわずかな間にも、普段の何倍ものペースで攻撃を仕掛けた兄弟や仲間たち。
頭に血が上ったのか、周囲の被害も気にしないその猪突猛進ぶり――流石に尋常な様子ではないことを悟ったグリージョの呼びかけにも、しかし彼らは取り合わない。
直後、空間に異次元の穴が空いたかと思うと、新たな存在がその姿を見せた。
「……よくも湊ウシオ氏を狙ってくれたな!」
その正体は、アサヒの家族を保護してくれたAIBの上級エージェント・シャドー星人ゼナの操る怪獣兵器ゼガンだった。
「時空転送光線を喰らえ!」
「ジードマルチレイヤー!」
「スラッギングコーラス!」
普段からは想像できないテンションでゼナが仕掛けると同時、ジードが分身し、ゼロビヨンドは頭部の四本の宇宙ブーメランと召喚した八つのエネルギー光球から同時攻撃を仕掛けるが、やはり巨大モエタランガ・バンテヤは棒立ちのまま全てを受け切る。
「スプラッシュボム!」
「フレイムエクリクス!」
今度はロッソが水、ブルが火と、最初と逆のクリスタルをセレクトしたアサヒの兄二人も猛攻を続けるが、モエタランガには通用しない。
「「ウインドグランド・ハイブリッドシュート!」」
続いてロッソがウインド、ブルがグランドに変身し、必殺光線を融合させるが、結果に変化はない。
「うぉおおおっ!」
「駄目だ、カツ兄! 全然効かねぇ!」
ゼロがスラッガーを連結させ巨大化させた二振りのダブルセイバー・ビヨンドツインエッジで斬りかかる間に、ようやく
「(インフェルノ・バーストぉ!!)」
「弱音を吐くな! 俺たち兄弟の絆を見せてやるんだ!」
口腔より、強烈な分解消滅光線をモエタランガの肉体に吹き付けるスカルゴモラ・レイオニックバースト。その果敢な姿に触発されたように
「コスモミラクルフラッシャー!!」
「アサヒ、行くぞ!」
「いや、えっと……」
「躊躇っている場合じゃない、こうなったら二人で行くぞ!」
「おう!」
他の形態の必殺光線と合わせて、グリーザを倒した大技を繰り出すジードの分身軍団を後目に、呼びかけられたグリージョが躊躇いを見せると、普段は優しい兄たちが今日は一秒も待ってくれなかった。
《兄弟の力を一つに!》
「「まとうは
特殊なアイテムである、キワミクリスタルを用いたロッソとブルが、文字通り一つになる。
ロッソとブルが立っていた中間地点に現れたのは、銀と黒のボディに金のプロテクターを持つ三本角のウルトラマン。
頭部のみならず、カラータイマーの周囲に施されたプロテクター部に赤い結晶、両肘部に青い結晶と、ロッソやブルの特徴を受け継いだそのウルトラマンの名こそは――
《ウルトラマン
カツミとイサミが同時変身した
《高まる! 究極の力!》
「「ルーブボルテックバスター!」」
参戦早々、ウルトラマンルーブが手にした戦輪状の武器・ルーブコウリンから、螺旋状に放たれる虹色の光線がモエタランガに直撃。
ジードとスカルゴモラの兄妹が放つ強烈な光線と合わせて、巨大モエタランガの上半身を完全に呑み込み消し飛ばすが、モエタランガは苦悶の声一つ漏らさず、光線の焦点が胸元に移れば、不敵な笑みを湛えた異貌を顕にする。
「「ルーブコウリンショット!」」
その顔面目掛け、ルーブは獲物を円盤投げのようにして投擲。虹色のエネルギーを直に纏った光輪がモエタランガの眉間へ吸い込まれ、何の抵抗もなく通り抜ける。
その後には、やはり無傷のモエタランガ・バンテヤの顔があった。
「はっはっはっは……!」
「笑ってんじゃねぇ!」
嘲笑するモエタランガの頭部を狙い、ゼロビヨンドが解放したエネルギーで全身を包み、光の塊となって突撃する。
「ダイナモキャノンボール!」
初めて披露するゼロビヨンドの奥の手・ダイナモキャノンボールがモエタランガの顔面で炸裂。
そのままモエタランガの頭部を通り抜けたゼロは味方の光線を避け、メタフィールドの大地に降り立ち、そして全ての力を使い果たして倒れ込んだ。
捨て身の一撃と引き換えの成果は――やはり何もなかった。
「ゼロ……!」
その様子を心配するジードの声にも、苦悶が交じる。
「(こいつ……しぶとすぎる……っ!)」
一度も息を継がず、分子分解消滅光線を吐き続けていたスカルゴモラのテレパシーからも、力が抜けるような気配がした。
「ルービウム……っ!?」
それは、ベリアルの子らだけではなく。湊家の兄弟もまた同じ。
追撃に必殺光線を紡ごうとしていたウルトラマンルーブもまた、自らのエネルギーを維持するだけの余力を失い、光を散らして膝を着いた。
「皆!」
気づけばジードも、スカルゴモラも身を伏せて。ゼガンすらも、光線の照射を止めて倒れ伏し。
唯一無事なのは、事態を見守っていたグリージョだけだった。
「今回復します、グリージョチアチャージ!」
どこか異常な戦いの中、このために一歩退いていたグリージョは治癒光線を仲間たちに放ち、そのエネルギーを回復させるが――誰も、起き上がらない。
それどころか、ウルトラマンに味方する環境へ調整されたメタフィールドの中だというのに。三分も経たぬ間に、次々と変身が解けて行く。
「無駄なことだ。いくら力を注ごうが、彼らは既に燃え尽きた」
高所からモエタランガ・バンテヤがグリージョを見下ろす頃には、スカルゴモラ――ルカが維持できなくなったメタフィールドも空間を泡立たせ、溶け始めていた。
「君には通じなかったようだが……我がモエタランガウイルスの力で、知性体の活動を司る神経電流を、全て食わせて貰ったよ」
「え……っ」
挑発星人から、既に事態が致命的なまでに進行したことを告げられて、グリージョは息を呑んだ。
「あっ、出てきたぞ!」
「突っ込めー!」
「もちろん、この星の他の連中も同じだ」
位相空間から、現実の地球に帰還したグリージョと巨大モエタランガの姿を見るなり駆け出していた人々もまた、突如頭から煙を上げたかと思うと、糸の切れた人形のように倒れ込む。
――同じ頃、施設に残って一人、雄叫びを上げながらTシャツの生産に取り組んでいたペガもまた。燃え尽きた灰のように崩れ、目を開いたまま動かなくなっていた。
「……残る障害は君だけかな? ウルトラマンのお嬢さん」
モエタランガ・バンテヤが、鋭い牙の生えた口を歪めてグリージョに語りかけた、次の瞬間。何かの割れる音がした。
「……あなた、悪い星人さんなのね」
続けて、彼の認識を訂正する新たな声とともに。ここまで無敵だったモエタランガが、肩口から火花を散らし、被弾の痛みで仰け反った。
「サラちゃん!」
グリージョの背後から、空間を割って現れた巨大生物は――ベリアルの子らの末妹、究極融合超獣サンダーキラー
彼女が触手から投擲したウルティメイトリッパーの光輪が、モエタランガを捉えていたのだ。
ただし、その光輪は……奇妙なことに、投げられる前と、当たった後とで、大きさが何倍も違っていて。
投げられた先と、当たった箇所が、全く別の座標にあった。
「ぐ――っ!? バレたか……!」
直後。身長二百メートルを越す巨体を誇ったモエタランガ・バンテヤが、幻のように掻き消えて。
その足元であった場所に、ちょうど光輪の大きさだけ穴が空いた透明な円柱――カプセルの中に身を包んだまま、己の肩へ気遣うように手を当てた、身長五十メートル程度のモエタランガ・バンテヤの姿があった。
〈あれは、ヒッポリトカプセルの類似品のようです〉
続いて聞こえたのは、グリージョの顔の側まで飛んできた、球体型偵察機ユートム――そこから流される、レムの電子音声だった。
〈カプセル内部を巨大化して投影する機能を利用し、自らの虚像に敵の攻撃を引き寄せていたようです〉
ウルトラマンと怪獣の軍勢から凄まじい集中砲火を浴びながら、モエタランガ・バンテヤが全くの無傷を貫いた理由。それはグリーザのような、理不尽な法則故ではなく。種も仕掛けもあるペテンだった。
「やっぱり……! でも、こんな単純なことだったんですか?」
〈はい。平時のゼロやルカならば容易に見抜けたでしょうが――モエタランガウイルスで強制的に興奮させられ、冷静さを欠いた状況では、それも叶わなかったようです〉
そう。戦闘経験に乏しいグリージョ――アサヒですら気づけた違和感を、歴戦の勇士であるゼロが見逃すはずもなく。
視覚情報を偽装されたところで、音響感知を可能とするスカルゴモラであれば、容易く見抜ける程度の小細工だ。
モエタランガの無敵の秘密は、その程度の手品に過ぎないが……それを補助する固有能力が、図抜けて厄介だったために起きた喜劇だった。
〈不完全なウルトラマンであるリクや、地球怪獣の血を引くルカ――それと、人間と融合したウルトラマンたちでは、モエタランガウイルスに抗えなかったようですが〉
ライハやウシオら、純粋な地球人と同じように。生きた屍のように身動きできなくなった、虚ろな表情のリクやカツミらの様子を指して、レムが言う。
〈アサヒとサラには、その出自から、ウイルスが効果を為さないようです〉
「ねぇ、アサヒおねぇちゃん。みんなにばりあを」
「あ、はい」
レムが解説する間、モエタランガウイルスの魔の手を免れた末妹同士、グリージョはサンダーキラーSと肩を並べて犯人に向き合った。
〈そして、挑発星人という種族の、純粋な身体能力は特筆したものではありません。最新の究極超獣であるサンダーキラー
レムが解説の音量を上げ、三人しか居ない敵味方の双方に言い聞かせるようになった頃には。モエタランガの周辺で倒れていた人々をグリージョの展開したバリアが保護し終え、続けてサンダーキラーSが生み出した蟻地獄が異次元を介し、ゼナを収容したままのゼガンもろとも、安全な場所へと避難させていた。
〈降伏を推奨します〉
「折角の申し出だが、拒否させて貰おう」
悪質ながらも、狡い犯罪者でしかないと思われたモエタランガ・バンテヤは、意外に気骨のある声でレムの勧告を跳ね除けた。
その時には、サンダーキラーSが既に触手を走らせていた。
「ふふふ。究極超獣か……確かに普段の私であれば、到底勝ち目などない相手だが」
次の瞬間、モエタランガの中心で炎が弾け、その全身を一瞬だけ、燃えるようなオーラが包み込んだ。
「僥倖だ。喰らった生体エネルギーの持ち主に、レイオニクスが居たらしい!」
叫んだモエタランガは、破壊されたカプセルの残骸を弾き飛ばす勢いのまま、究極超獣の触手による初撃を何と片手で逸らし、残る七本の殺到をも、瞬時の次元移動による転移で回避した。
そして、サンダーキラーSの正面に現れて、その腕から青い光線を発射していた。
転移したモエタランガの光線は、まんまと懐に入り込まれた究極融合超獣の中心を過たず捉えた。
しかし。非実体のエネルギーを吸収し、必要に応じて再放出する能力・キラーリバースを持つサンダーキラーSは一切の痛手を受けず、逆に口腔から威力を増強した光線を撃ち返してモエタランガに反撃する。
だが、転移のインターバルを短縮したモエタランガは、再びの次元移動でサンダーキラーSの射線から逃れていた。
「――ぶれいぶばーすと……?」
そうして互いの距離が開け、仕切り直しとなったサンダーキラーSが、触手を引き戻しながら呟いた。
「何ですか、それ?」
〈ダークザギがルカを狙っていた際、彼の差し向けた怪獣に度々見られた強化現象です〉
サンダーキラーSの推測が何なのか、見当もつかないグリージョの問いに答えたのは、状況を解析するレムだった。
ブレイブバースト。それはレイオニクスの力による、怪獣の限界突破。怪獣の能力を桁違いに向上させ、時には種の壁すら凌駕せしめる、
「でも、あの人は怪獣じゃなくて、宇宙人ですよね?」
〈レイオニクスの能力が高度な――それこそウルトラマン級の知性を持つ宇宙人を支配した前例もあります〉
――グリージョは知る由もないが、例えばウルトラマンベリアルが怪獣墓場で蘇生した、理性を喪った状態の宇宙人たちを、他の怪獣と同じように従えたのみならず。
それこそ光の国のウルトラマンと対等な能力を持つメフィラス星人すら、レイブラッド星人の残留思念に片手間で支配された事例も、レムは認知していた。
〈モエタランガウイルスは感染者を強制的に興奮させ、その神経電流を過度に放出させると同時、メタ次元ニューロンを通じて、そのエネルギーを本体であるモエタランガに転送します〉
そうして、生体電流のエネルギーを奪われた人々は、先程のリクやカツミたちのように、生きた屍となってしまう。
同時に。メタ次元ニューロンは、バトルナイザーを持たないために、未だ己以外の怪獣に能力を作用させられないルカとモエタランガを繋ぐ、代用品としても働いた。
〈ルカの神経電流が機能不全に追い込まれ、力だけを抽出された結果。支配を受けることもなく、レイオニクスパワーだけをモエタランガは得ているようです〉
「まぁ、そういうことだ」
レムの解説を聞き終えたモエタランガ・バンテヤは、その身に漲る力を堪能したのか、上機嫌に頷いた。
「だが……流石は究極超獣。今の私でも、勝つのは難しそうだ」
一方で、ブレイブバーストにより彼我の戦力差が埋まったとしても。なお逆転できていないことを先の攻防から悟ったらしきモエタランガは、虚空から何かを取り出した。
「……ローンが残っているから、あまり使いたくはなかったのだが。仕方ない」
そしてモエタランガは――地球人スケールの、灯籠のような装置を取り出した。
「……ぜったいにおすな?」
その下に書かれていた文字をグリージョが読み上げるや否や、モエタランガは勢いよくその装置に備えられたボタンを押下していた。
「――って、自分で押すんですか!?」
「ケ~タケタケタケタ!!」
ボタンが押された直後、グリージョのツッコミを遮るように、怪しげな笑い声が街に木霊した。
続けて、直径三十メートルはあろうかという巨大な和傘が、どこからともなく街中へ転がってきて……その傘の奥から、新たな巨人が姿を見せた。
「不届き者をォを発見! 拙者が、あっ、斬り申すぅぅウ!」
傘を握っていたのは、無機質で甲高い声の主。
首から下は黒い日本式の鎧を纏い、その頭部は白塗りの上から赤い隈取を塗り、白い長髪を下した歌舞伎役者のような巨人――否、軋むような駆動音は、この鎧武者が生物ではないことを示していた。
「カラクリ武者・メカムサシン。日本被れの宇宙人から購入した、私の護衛だ」
「あっ、殿ぉ! 助太刀致すーゥ!!」
主モエタランガからの紹介を受けた黒い鎧武者・メカムサシンが見得を切ると、手にしていた傘を開閉し、その先端から火球を連続して放って来た。
明らかな色物の登場に、特に気圧された様子もないサンダーキラーSは触手を閃かせ、その火球を次々と打ち払う。
「はぁっ!」
「グリージョバーリア!」
その背後から、同じく火炎弾を左右の目から交互に放つモエタランガ・バンテヤによる十字射撃が行われるが、そこはすかさずグリージョが防壁を展開し、死角を守る。
「――ふぉとんくらっしゃー!」
サンダーキラーSの触手の一本が背後を向き、モエタランガに青い光線を照射。読んでいたモエタランガは次元移動による転移を用い、フォトンクラッシャーの直撃を回避するが、その間、バンテヤからの弾幕が薄れた。
「ぬぅ、猪口才なァあっ!」
その隙を縫って、残る触手が火球を弾きながらメカムサシンへと急迫。射線を避け、火を吹く和傘に絡みつき、奪い取り、メカムサシンにたたらを踏ませる。
「べりあるじぇのさんだー」
後退するメカムサシンに対し、サンダーキラーSは奪った傘を破壊する一方、触手から強烈な電撃を浴びせにかかる。
メカという名の通り、機械であるならば高電圧で内部に攻撃を仕掛けた方が有効と判断しただろうサンダーキラーSの攻撃。
しかし、駆動に電気を使わぬ絡繰のメカムサシンには、大きな痛手を与えることはできず――感電したまま、メカムサシンは新たな得物を抜き取った。
「てぇぇェいっ!」
メカムサシンが抜き放ったのは、その武士らしい格好に合わせた大太刀。
見るだけで肝の冷える寒々とした刃を鞘から走らせたメカムサシンは、なんとそのまま、ベリアルジェノサンダーの奔流を一刀の下に切り捨てた。
「あっ、雷切ぃいいィっ!」
稲妻を四散させながら、なお残った紫電を刀身に吸わせたメカムサシンは、そこに妖気のようなオーラまで上乗せすると、威力を蓄えるように刃を引いた。
「フジヤマ
「べりあるですさいず!」
メカムサシンの放つ飛ぶ斬撃を、予想できていたようにサンダーキラーSもまた、触手を大振りにすることで発生する大鎌状の切断光線を繰り出し、迎撃。
飛翔する二つの紫紺の刃は、互いに十字に噛み付き合い、相殺し合う。
「あっ、斬る! 斬る! 斬るーゥ!」
メカムサシンは矢継ぎ早に第二、第三と斬撃を飛ばし、サンダーキラーSも同じくベリアルデスサイズを発射することで張り合い続ける、が。
「そこだっ!」
グリージョの展開するバリアの裏へ再転移して来たモエタランガが、零距離でサンダーキラーSの懐に出現。
そこからの全体重を載せた体当たりがサンダーキラーSの巨躯をも揺るがせ、わずかとはいえ体勢を崩させる。
「斬り申すゥ!」
結果、サンダーキラーSの迎撃が遅れた瞬間を見逃さず、メカムサシンの放ったフジヤマ斬波は、隙を晒した究極融合超獣の触手を一本、鮮やかに斬り飛ばしていた。
「――っ!」
「サラちゃん!」
触手を切り落とされた激痛で、明確に動きの鈍った相方をグリージョが振り返った瞬間、モエタランガが再び目からの火球を発射。バリアを解いたばかりだったグリージョは防御が追いつかず、躱せる距離でもなかったために被弾を余儀なくされる。
「――っ、さんだーてーる!」
グリージョの危機に、怒りで痛みを押し退けたサンダーキラーSの尾が、帯電したまま翻る。しかし、雷を帯びた尾も、超光速の次元移動の前では遅きに過ぎた。
尾が半周した頃には、既にモエタランガは再転移を完了し。残心していたメカムサシンの隣へと、その身を移動させていた。
「……おねぇちゃん、だいじょうぶ!?」
「平気です! サラちゃんこそ……」
心配してグリージョが問い返すと、サンダーキラーSの斬られた触手の断面が放電し、無数の雷光が絡み合い、次の瞬間には実像を結んでいた。
グリージョが癒やすまでもなく。太陽光の下では、不死身に近い生命力と自己再生能力を発揮するサンダーキラーSの能力にグリージョは安堵するも、そこで自身のカラータイマーが点滅する音を聞いた。
――状況は、芳しくない。ルカから奪ったレイオニクスパワーでブレイブバーストを果たしたモエタランガと、ふざけた調子でも完成された戦闘兵器であるメカムサシンの組み合わせを前に、究極融合超獣でも一筋縄とは行かないらしい。ましてや、星山市の被害を気にしながらとなれば、なおのことだ。
優れた連携ができているわけではないが、グリージョの活動限界を迎えるまでにこの強敵二体を攻略する――のは、無理だろう。
サンダーキラーSが自身の切り落とされた触手を回収するのを横目に、ならばとグリージョが次の手を考えたところで、さらに戦況を変化させることが起きた。
〈サラ、聞こえる!?〉
再び接近したユートムから、レムの物ではない声が、グリージョとサンダーキラーSに向けて放たれていた。
Bパートあとがき
Aパートのまえがきの燃え尽き症候群というワード、実は前フリでした。
ということで、今回のメイン敵はモエタランガ。おまけでメカムサシン。ザギさんの次に強敵できるのはモエタランガしかいない! という見込みでここまで温存していた『ウルトラマンマックス』怪獣(※宇宙人)の登板です。勝ち負けにすらならなくて良いならイフとか魔デウスとかもっと危険な怪獣がゴロゴロ居る『マックス』世界は本当に魔境。
以下はいつも独自解釈や独自設定の言い訳です。
・ウシオブランドTシャツ
また出たウシオブランドの独自解釈。本作ではシャドー星人、ペガッサ星人、ペダン星人、ピット星人……と、『ウルトラセブン』が種族初出の宇宙人に偏って熱愛されている、という傾向を設けています。
というのも、元ネタのエピソードとなる『ウルトラマンR/B』第十八話「明日なき世界」で戦争が起きているバド星人だったり、話のオチとして大量注文したピット星人だったりには間違いなく好評の様子ですが、ザラブ星人やメフィラス星人らはTシャツそのものに感動している様子がないため、初代系とセブン系で反応が違うな、と感じたことからの独自解釈となります。汗染みTシャツ千着購入のチェレーザも使い捨て前提でデザインをカリスマ扱いしているわけではありませんでしたしね。
サラは超獣であって宇宙人ではありませんが、超獣としての素体にハイパーエレキングを含んでいるのでウシオブランドが好きなタイプという想定にしました。
結局のところ、どの宇宙人に受ける・受けないは上記の四例以外の公式設定はない(というか個体差も多分ある)ので、ご注意ください。
・モエタランガウイルス
ウルトラシリーズでも屈指の凶悪能力に数えられる代物の一つ。
本作中ではいつの間にか感染していますが、原典ではモエタランガがそれなりの時間を掛けて放つ紫色の怪光に照らされた結果感染する、というものでしたので、念のためここで補足します。
感染の経緯としてはヒッポリト星人のブロンズ像化にあるような単なる個体差か、あるいは原典で描写のあった二次感染を利用して、リクくんたちやAIBの目を掻い潜り影響を及ぼすことに成功した、ということでご納得頂けると幸いです。
原典ではアンドロイド・エリーに通じなかったので、レムやメカムサシンは確定で無力化でき、作中での口ぶりから人間と融合していないウルトラマン&そもそもの出自が無機物なアサヒもおそらく耐性があり、後は超獣だし素体が推定最上級電気能力者のサラも無力化できるという解釈及び設定としました。
・ヒッポリトカプセル
上記で触れた、ヒッポリト星人のブロンズ像化能力に利用されていたアイテム。
実はその最初の登場シーンは、敵を固めるのではなく、ヒッポリト星人自体が中に入り、虚像を投影するために使用されたものでした。今回出てきたのはそちらの機能を主とした複製品というイメージです。バンテヤは転売ヤーなので、メカムサシンやこれのような色々なアイテムに手を出しているイメージです。
なお、虚像の投影には『ウルトラマンA』だと光化学スモッグを必要としていましたが、こちらは技術の進歩ということで直に虚像を出せるようになったと解釈して頂けると幸いです……!
ちなみに、作中では熱くなった皆は急所っぽい上半身に攻撃を集中していたのでバンテヤは涼しい顔でしたが、メタフィールドに取り込まれた間は『ネクサス』本編のゴルゴレムよろしく次元移動ができなくなり、下半身を巻き込む攻撃があれば多分その時点で普通に倒されていたと思われます。
・モエタランガ(ブレイブバースト)
本作前半で引っ張った謎の強化現象、その正体。正史となる映像作品、及びに展開がリンクしている漫画版では、ブレイブバースト及びレイオニックバーストはゴモラとレッドキングでのみ確認されている状態になります。
しかしながら、いくつかのゲーム作品では、登場する多くの怪獣――中には宇宙人やロボットでもその状態になっていたりします。
そのため、現象としてはゴモラやレッドキングに限らずあり得る、ということで、今回登場となりました。
なお、モエタランガウイルスに感染したレイオニクスが居た場合、モエタランガが本当にそのレイオニクスパワーを利用できるかは不明であり、本作の独自解釈による設定になります。予めご了承ください。