ウルトラマンジード ベリアルの子ら   作:ヨアンゴ

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第二十二話「リ・ボーン」Aパート

 

 

 

『それ』は息を潜め、歩いていた。

 

『それ』は、既に滅びたはずの生命だった。

 

『それ』が理を捻じ曲げて蘇った場所は、かつてその手で全ての生命を滅ぼした故郷ではなく。『それ』自身が滅ぼされた、未だ生命溢れる宇宙だった。

 

 天敵の存在する世界で蘇ったものの。敵だけではなく、餌となる生命の存在するここなら、再び全てを喰らうことで、支配者の座に返り咲けると……復活と引き換えに、多くの力を削ぎ落とされていた『それ』は、邪悪な希望を見出していた。

 

 そのために当面の雌伏を選んだそれが、かつて己が滅びた地球という星を訪れたのは、呼び声を受けてのことだった。

 

 あの時、『それ』の生み出した分身は根絶されたと思っていたが――どうやらまだ、生き残りが居たらしい。本体復活のため、すぐにその身を差し出さなかったことには苛立つものの、好都合な餌の存在を振動波で報せた功績は認めてやろうと思っていた。

 

 さらにその付近には、不滅の存在である協力者の気配も感知できた。『それ』が復活できたのは……いや、そもそも一度死んだのからその協力者に使い捨てにされた結果のため、マッチポンプと言えるが、互いに利用し合う間柄なのは承知の上だ。

 

 故に感謝はしないが、特に責める気もなく。『それ』は協力者と分身からの歓迎を受け入れるつもりで、呼び声の響く山奥に歩を進めていた。

 

「……やっぱりあんたも復活してたんだね」

 

 やがて、人里離れた場所で。己をこの星に呼び出した存在を視界に収めて、『それ』は驚愕した。

 

『それ』を待っていた呼び声の主は――協力者である暗黒破壊神ダークザギや、己の分身の生き残りではなく。

 

 ザギに利用されていた、造られた生命体たちだったから。

 

 そのことに気づいた時には、もう。通常とは位相の異なる隔離空間に取り込まれてしまい、『それ』は逃れられなくなっていた。

 

「久しぶりだね、ザ・ワン」

 

 ――始まりのスペースビースト、ザ・ワン。

 

 蘇った『それ(ザ・ワン)』を罠にハメた、かつて『それ』を滅ぼした人造生命体たちは。弱体化した邪神にも油断することなく、必殺の構えで取り囲んでいた。

 

 

 

 

 

 

 星山市天文台の地下五百メートル、星雲荘の中央司令室。

 

「お疲れ様、皆!」

「よくやったわね」

 

 任務を一つ完了したベリアルの子らは、同居人であるペガッサ星人のペガと、地球人の鳥羽ライハから労いの言葉を受け取っていた。

 

 復活した宇宙恐魔人ゼットと戦ったその日の夜。朝倉リクやその妹であるルカといった星雲荘の面々は、宇宙人捜査局AIBと協力し、山奥で一つの作戦を実行することとした。

 

 それこそが、スペースビースト――ザ・ワンの撲滅だった。

 

 ……かつてAIBに潜伏し、恐るべき陰謀を実行した暗黒破壊神ダークザギ。

 

 そのザギが利用した怪獣カプセルに囚われていたことで、恐魔人ゼットが復活したというのなら。同じくカプセルで利用された他の怪獣たちも、デビルスプリンターの影響で復活する可能性があった。

 

 中でも、早急な対応を求められたのが、かつてザギの差し金で襲来したスペースビースト――その根源であった滅亡の邪神、ハイパービースト・ザ・ワンだった。

 

 スペースビーストへの対応は、後手に回るほど困難になる。

 

 しかし、恐魔人ゼット戦で得られた情報により、幸いにも復活直後なら弱体化が予想できること。

 

 そしてかつてダークザギの暗躍により、ルカこと培養合成獣スカルゴモラはザギに由来するビースト支配能力を身につけ、また末妹のサラは過去にスペースビーストを取り込んだことで、ビースト同士が交信に用いる振動波を制御することも可能となっていた。このため、誘き寄せる手段も確立できていたために、即座に撲滅作戦を実行したのだ。

 

 顛末としては、案の定復活していたザ・ワンは呼び声に惹かれて姿を見せた。人里離れた山奥に誘導し、そこでメタフィールドに閉じ込めるという作戦通りの展開の末、ベリアルの子らは恐るべき異生獣を包囲。まだ凶暴怪獣アーストロンしか取り込めていなかったらしいザ・ワンは今の三兄妹の敵ではなく、呆気なく殲滅することに成功したのだった。

 

「まさか、スペースビーストが復活していたなんて……早く対処できて良かったね」

「モアたちも、もう対策本部を解散したそうよ」

 

 その戦果を受け、心底安心したようにペガが笑い、ライハもまた、ルカたちの気がかりが減るようAIBの動向を教えてくれた。

 

「ありがとう……流石にちょっと可哀想かな、とか思っちゃったけど。仕方ないよね」

 

 そんな二人に礼を返しながら、先程滅ぼした元邪神の様子を振り返り、ルカは沈む気持ちと向き合った。

 

 放っておけば、他の生命体全てを食い尽くすまで、スペースビーストは止まらなかっただろう。大切な可愛い(サラ)、そしてルカ自身も、実際にかつてのザ・ワンから食料として狙われた。

 怪獣との共存が夢だというあの大空大地でさえ、スペースビーストは殲滅するしかないと判断していたという。現に、スペースビーストに対しある程度の支配を可能とするルカが共存を望んでも、その攻撃性を捨てさせることはできないのだから、大地の見解は正しい。

 

 それでも、一度死を迎えた挙げ句、復活早々に騙し討ちのような形で屠られる心地を思えば。こうして地球人の少女への擬態能力が発現するまでは、同じく存在するだけで他の生物を脅かし続ける怪獣として産み出されたルカには少しだけ、堪えるものがあった。

 

 ただでさえ世界に受け入れられなかった怪獣たちに、幾度も死の苦痛を与える元凶。それが、己という生命と根源を同じくするのなら、なおのこと。

 

「これが、デビルスプリンター……ベリアルが残した悪夢のカケラ、か」

「ルカ……」

 

 気づけば、感傷的になり過ぎたルカを、兄のリクが心配そうに見つめていた。

 

 彼だけではなく。末妹のサラや、ルカの師匠であるライハにも不安の色を覗かせてしまったことに気づいたルカは、強く頭を振った。

 

「ごめん、私は大丈夫。それより、ゼットやザ・ワンみたいに復活するかもしれないのって……」

〈グリーザは除外できるでしょう〉

 

 話題転換を口に出すと。報告管理システムであるレムが、最大の懸念へ真っ先に言及してくれた。

 

〈グリーザは本来、無という現象そのもの。デビルスプリンターが作用しようとも、無を再生させるという矛盾は起こせないはずです〉

「そっか……レムがそう言うなら、たちまちダークサンダーエナジーは安心かな」

 

 ダークサンダーエナジーのせいで、自らの手で家族を傷つけてしまった苦い記憶。

 

 そして、その元凶たるグリーザに皆で立ち向かった暖かな思い出とを振り返りながら、ルカは頷いた。

 

「じゃあ、ギルバリスも機械だけど……」

〈そちらには復活の可能性があります〉

 

 ダークザギがネオデモニックフュージョンに用いたカプセル。その最後の一体との因縁浅からぬリクの疑念に、レムが答える。

 

〈デビルスプリンターの正体は、レイオニクスの力を帯びたウルトラマンベリアルの細胞片です。レイオニクスの力は、有機物と無機物を融合させたバトルナイザーとも密接な関係があるように、生物と機械の垣根を取り払う力があります。他存在との融合を可能とするウルトラマンの細胞と合わさればなおのこと、機械生命体としてギルバリスを再生する可能性は高いと言えるでしょう〉

 

 それこそギルバリスに、父ベリアルの細胞だけでなく、切り落とされた己の尻尾をも取り込まれた経験を持つルカは、レムの説明にも理解が及んだ。

 

 そんなルカに比べて、リクは真剣な様子で己の掌を――そこにあるべきものがない喪失を、眺めていた。

 

 ダークサンダーエナジーで暴走した(ルカ)を正気に戻すための戦いで破壊されてしまった、ウルトラマンジードの最強武器――必勝撃聖棍ギガファイナライザー。

 

 それが、本来ギルバリス打倒に不可欠な最終兵器であり――リクにとって大切な人から授かった形見でもあるということを。その大切な代物を壊してしまった後に、ルカは知った。

 

〈宇宙恐魔人ゼットとザ・ワンの様子を見る限り、ギルバリスも性能が初期化されていると予想されます。ギガファイナライザーがなくとも、撃破は充分可能でしょう〉

 

 またも雲行きが怪しくなるその直前、レムが絶妙のタイミングでフォローを入れてくれた。

 

〈それよりも警戒すべきは、ベリアルが使っていた怪獣カプセルの方かもしれません〉

「……ベリアルの?」

〈はい。ダークザギは、ことレイオニクス能力に関しては、あくまでベリアルの残したものを利用しただけ。そのザギと融合していた怪獣たちが蘇るのなら、ベリアル本体と融合した者も、再生して然るべきと考えられます〉

 

 レムはそう言って、中央司令室のモニターに、二つの画像――ウルトラマンベリアルが怪獣カプセルを用いて変化した姿であるベリアル融合獣キメラベロスと、彼の究極形態だというアトロシアスの写真を映し出し、さらにその下に怪獣カプセルの画像を展開した。

 

〈ベリアルとの戦いから、この宇宙の時間でも一年以上が経ちました。カプセルの中の存在が蘇っていれば、本来の力を取り戻している恐れもあります〉

 

 モニター上に列挙されたのは、いずれもかつてウルトラ戦士を苦しめた強豪たち。その中で、ルカにも見覚えのある種族の怪獣を、レムが最初にピックアップする。

 

〈このうち、ファイブキングは行方が知れています〉

「そうなの?」

〈はい――今は、サラのお腹の中でしょうか〉

「……わたし?」

 

 レムの思わぬ発言に、全員の視線の集中を受けたベリアルの子らの末妹――十にも満たぬ人間の少女の容姿に擬態した、実年齢はさらに幼い超獣は、きょとんとした様子で首を傾けて、その長い濡羽色の髪を揺らした。

 

〈記録と照合した結果、かつてザ・ワンの分身として出現したファイブキング――そのエネルギー波長が、怪獣カプセルの個体と一致しました〉

 

 つまるところ――かつてベリアルがカプセルの素材としたファイブキングは、デビルスプリンターの作用で復活していたが、不運にもこの宇宙に渡来したザ・ワンに遭遇し、人知れず餌食となっていたらしい。同化によりザ・ワンが再現を可能としたファイブキングはスペースビーストの尖兵となって地球に再訪し、今度はサラの真の姿である究極融合超獣サンダーキラー(ザウルス)に捕食されるという、ひたすらに哀れな境遇であるようだ。

 

 その後もザ・ワンの分身としてルカと戦った別個体が出現したことを考えれば、既に元のファイブキング自身の意識は残っていなかったのだろうが、果たしてそれは救いなのかどうか。同じくザ・ワンに喰われかけた合成怪獣として、ルカはまたも想いを馳せる。

 

「……ダークルギエルも、もう復活して倒されている」

 

 そんなルカの横で、モニターに映し出された内の一体――漆黒の鎧のような体躯の、単眼の魔人を凝視していたリクが、静かに言葉を漏らした。

 

「大地さんたちと一緒に、ウルトラダークキラーを別の宇宙まで追った時。僕はダークルギエルとも戦った」

「ウルトラダークキラー……?」

 

 ルカが全く覚えのなかった名前を反芻すると、事態についていけなくなり始めた妹に気づいたリクは優しく頷いて、口を開いた。

 

「うん。エタルガーも、そいつの仲間だったんだ」

 

 自分が初めて、リクたちと出会った時――培養合成獣スカルゴモラの抱くウルトラマンへの恐怖を利用しようと、襲いかかってきた敵。

 

 超時空魔神エタルガーの名を再び耳にして、ルカは微かに目を見開いた。

 

〈ウルトラダークキラーはかつて、AIBがウルトラマンジードに対処を依頼した、別宇宙からの侵入者でした〉

 

 そんなルカの様子に、興味を持っていると判断したのか。レムが黒い体躯を白灰色の外骨格に包んだ、さながら悪魔化されたウルトラマンとでもいうべき異形の超人――暗黒超邪ウルトラダークキラーの画像を追加で表示した。

 

「はわわ、怖い顔~」

「エースキラーみたい」

 

 暗黒超邪の異貌を見て、ペガが怯えた声を零す横で。サラは呑気な様子で、自身の前身に当たるヤプール製の超人兵器を連想し、その名を口にしていた。

 

〈そうですね。その出自にヤプールの関与はありませんが、類似した要素も多く見受けられます〉

 

 サラの感想に優しく答えながら、レムがウルトラダークキラーの解説を続ける。

 

〈ダークキラーの正体はさらに昔、ウルトラ戦士に倒された怪獣たちの怨念が結集して誕生した闇の超人です。怨念がウルトラ兄弟を模した形を取ったためか、高度な知性と戦闘力を有しており、最盛期にはウルトラ兄弟の総力を結集しても苦戦したとされています〉

 

 言うなれば、ウルトラマン型の怨念怪獣――それがウルトラダークキラーだ。

 

 自然発生という出自は暴君怪獣(タイラント)に近いが、合体したウルトラ兄弟をも苦戦させた戦闘力は超怪獣(グランドキング)の原種すら凌駕する、恐るべき怪物と言える。

 

 カラータイマーやアイスラッガー、ウルトラホーンにプロテクターなど、ウルトラ兄弟の各種身体的特徴を取り入れたようなパーツを、禍々しく歪んだ外骨格として暗黒の体躯を包み。攻撃的に釣り上がった眼光でこちらを睨みつける、凶相の持ち主――単なる画像に、ペガが悲鳴を漏らすのも無理はないと思えた。

 

「……怨念になった怪獣たちには、ウルトラマンがこんな風に見えてたんだろうね」

 

 その恐ろしい姿を見ながら、ルカはまたも感傷に引きずられて、呟いていた。

 

「私も、前はタイガがこう見えていたから」

 

 少し、運命が違っていたら……自分も、ウルトラダークキラーの一部になっていたのかもしれないと。次々と蘇る死者を目にしたルカは、そんな愚にもつかないことを考えてしまっていた。

 

〈そのダークキラーとも同格以上の力を持つと目されるのが、暗黒宇宙大皇帝を名乗ったエンペラ星人ですが……〉

 

 数ヶ月前、言葉を交わしたAIB総本部の査察官である、サイコキノ星人カコ――彼女やその兄が死闘を繰り広げた暗黒の支配者の肖像が、星雲荘のモニターに表示される。

 

〈アーマードダークネスの状況を見る限り、復活していないと考えられます〉

 

 ルカたちが何度も戦った暗黒魔鎧装のことを振り返りながら、レムが言う。

 

 アーマードダークネスは、エンペラ星人のために鋳造された生きた鎧だ。自らの意志で装着者を求めているのは、あくまで本来の主が不在であるため。エンペラ星人が復活しているのならば、鎧が放浪する理由はなく。また、エンペラ星人自身も、自らの威権の一つである鎧を他者の自由にはさせないはずだ。

 

〈エンペラ星人は、これまでにもヤプールを含む臣下たちが復活を試みましたが、全てが失敗に終わっています。デビルスプリンターでも、簡単には復活させることができないのかもしれません〉

「一旦無視して良い、ってことね」

 

 レムの推測を受けたライハがそのように纏めたのを受け、リクがモニターに注ぐ視線を動かした。

 

「えーっと……後は一体だけ、かな?」

〈はい。根源破滅天使ゾグ――根源的破滅将来体と呼ばれた勢力に属する、謎多き怪獣です〉

 

 最後に残った、悪魔や邪竜のような巨大怪獣の画像を、レムが拡大表示する。

 

〈ベリアルが用いたカプセルは第二形態……ですが、最初は女神のような姿の第一形態で出現したと記録されています〉

 

 追加で表示されたのは、白い人型。虹色の後光を背負った女神像のような姿で本性を偽った、根源破滅天使の全容だった。

 

〈ゾグには、ウルトラマンの光を奪う能力がありました。おそらく、キメラベロスはファイブキングの特性によりジードを変換器として取り込んだ後、ゾグの力で幼年期放射を集め、ウルトラマンキングを吸収するための形態だったのでしょう〉

「でも、ウルトラマンキングはもう、この宇宙を去った――」

〈はい。しかしウルトラマンの光を人間から奪えるゾグなら、リトルスターを宿主から強制的に分離することも可能だと予想されます〉

 

 そうレムが予想したのを受けて、リクが考え込むように唸った。

 

「リトルスターの光は、怪獣を呼び寄せる……」

「その怪獣に、リトルスターを操る能力があると、厄介かも」

 

 リトルスターで発現した異能を十全に利用している怪獣、その張本人であるルカは、兄の懸念にそう付け加えた。

 

 その上で、ルカは疑問を零す。

 

「でも。本当にゾグが復活しているんだとしたら、今日まで姿を見せてないなんてことあるのかな? リトルスターだって、何度も現れたのに」

 

 それこそ、昼間の宇宙恐魔人ゼットも、特殊な例としてリトルスターを宿した存在だった。

 

 ルカの知るだけでも、観測されたリトルスターはこれで六つ。それらに纏わる騒動の中で、ゾグの気配は欠片もなかった。

 

〈わかりません。ゾグは高度な知性を持つ様子だったと記録されているため、行動を完全に予測することは困難です〉

「けど……エンペラ星人やグリーザよりは、ゾグやギルバリスの方が蘇っている可能性は高い、ってことだよね?」

〈はい。どちらも知的生命体に対して、元より攻撃的な性質を持った怪獣でした。今後、この宇宙で警戒するとすれば、この二体を優先すべきと考えます〉

 

 現状で導き出せる結論をレムが述べたことで、その日の作戦会議は終了した。

 

 今後は整理した情報をAIBと共有し、他の異常がない間はこの二体の怪獣の動向について調査を継続する、という形で話が纏まり、ルカたちは戦い通しだった一日を終えて――

 

 

 

 ――その翌朝、星山市に根源破滅天使ゾグが出現したという報せを受けて、飛び起きることとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

〈ゾグ第一形態、行動を開始しました〉

 

 目を覚ましたリクが、中央司令室に足を踏み入れた時。レムが事態の推移を述べていた。

 

 レムが中継した、球体型偵察機ユートムが撮影する星山市の一角。

 

 その中心に映し出された、筒井総合病院の真上に、身長百メートルを越す巨大な天使が佇んでいた。

 

 クライシス・インパクトの爆心地……すなわち、かつてウルトラマンキングが宇宙と融合した起点となる座標に光臨した、純白の女神――根源破滅天使ゾグは、そのほっそりとした手を掲げた。

 

 すると、その純白の掌に向けて。どこからぽつぽつと、小さな光の球体が集まり始めていた。

 

「リトルスター……!」

 

 既に結晶化しながらも、未だ観測可能な状態ではなかったキングの残滓(リトルスター)

 

 それらが宿主から強制的に分離させられ、天使の形をした破滅招来体の支配下に置かれ始めていた――昨夜、レムが予想したとおりだ。

 

「ほんとにお星さま、あつめてる」

「でも、どうして突然!?」

 

 レムの予測の冴えへ、呑気な感心を示すサラとは対照的に。ペガが上擦った声で、唐突な事態への戸惑いを漏らす。

 

「……ジードもストルム器官もなしで、リトルスターを集めてどうするつもり?」

 

 続いたのは、比較的落ち着いたライハの疑念だった。

 

 ライハの言葉を耳にして、リクも遅れて思い至る。

 

「そうか。ゾグだけでキングのエネルギーを扱えるなら、ベリアルに僕は要らなかったはず……」

 

 復活していたゾグの、突然の来訪。そのタイミングもさるものながら、その行動の裏が何より不可解だ。

 

「よくはわかんないけど、まずは止めるよ!」

 

 元より敵対的、と評されながらも。今は破壊行為に及ばぬゾグの真意を理解するより先に、まずは隔離すべきだと主張したのは、ルカだった。

 

 周囲の返事を待つより早く。人間の姿に擬態したまま、リクの妹から放射される青い光はそのまま、五百メートルを越す地盤を空間ごと擦り抜け、ゾグのさらに上空で結集。弾けて黄金の波動となり、巨大な天使を包み始める。

 

 真意はどうあれ。その巨体だけで多大な被害を生んでしまうのが、怪獣という存在だ。

 

 ならばまず、星山市とは位相の異なる亜空間・メタフィールドに隔離して、その悲劇を防ぐ。

 

 ルカの判断は何一つ間違っていないと、リクは頼りになる妹の成長を目の当たりにした、が――今回は、結果が伴わなかった。

 

「――っ、何!?」

 

 最初に失敗に気づいたのは、ルカ自身だった。

 

「何かが……割り込んだ!?」

 

 異常な手応えを告げる、ルカの悲鳴に近い叫びと、時を同じくして。

 

 リクたちも、メタフィールドとゾグの間の空間が、水面のように波打つのを目視した。

 

〈異常な磁場を観測。メタフィールドと、この位相を繋ぐように、別の時空間が接続されたようです〉

 

 レムが状況を告げる間に。水面のうねりのような歪みが、ゾグを包み込んだメタフィールドの上層部に拡大し――ゾグを捉えたメタフィールドの赤い大地が、星山市の空に拡がるという、蜃気楼のような眺めとなって結実した。

 

 結果として、メタフィールドは完成せず。メタフィールドに囚われたゾグは、星山市と繋がったままの空を介して、なおもリトルスターの収奪を継続する。

 

「この……っ!」

 

 画面を凝視しながら、ルカが見えない何かを握り潰すように五指を丸め込む。彼女の力みに合わせてメタフィールドが空間を閉じようとして、波打ちながら拡がろうとする時空の歪みとの押し合いになるが、両者の力は拮抗し、ゾグの隔離を不完全なままとする。

 

 そして、メタフィールドと現実を強引に接続した、その時空の歪みから――一つの影が、姿を見せた。

 

「……船?」

 

 それは、一隻の宙飛ぶ船――つまりは宇宙船の形をしていると、映像で認識できたその直後。

 

 ネオ・ブリタニア号と比べて角張ったその艦体が、三つの時空が入り交じる、境界域に乗り込んだ瞬間――リクは、電流の流れるような衝撃を覚えた。

 

「……っ、今の、感覚は!?」

 

 リクと同じように。あるいはそれ以上に大きく、自分たちと地続きの時空に船の存在が移った瞬間、感応したように身震いしたルカが、メタフィールドへの妨害とは別種の焦燥を声に出した。

 

「これ……」

 

 そして、(リク)(ルカ)と同じように。

 

 二人と比べると反応は鈍くも、その性質を誰より正確に見抜いたベリアルの子らの末妹――サラもまた、その正体に驚いた様子で、感知したものに言及した。

 

「レイブラッドの、チカラ?」

 

 

 

 

 

 

〈リク。今こそ、全てを話すべきです〉

 

 巨大怪獣を隔離する異空間の展開、その陣取り合戦に注力しなければならない最中。

 

 謎の船が出現した途端、自身の裡から湧き上がった血の滾り――共鳴するような強大な力への戸惑いに、ルカの集中が乱されていると。

 

 さらにレムが、この緊急時に何事かを――リクに、訴え始めた。

 

「話すって、何を……?」

「……ダークザギが、最後に言っていたんだ」

 

 一瞬だけ、苦渋の色を覗かせた(リク)は――しかし、ルカの視線から逃げず、覚悟を決めた顔で口を開いた。

 

「君たちを、僕のところに送ったのは……ザギじゃない、って」

「――えっ?」

 

 最強最悪の敵だった、暗黒破壊神ダークザギ。

 

 死闘の末、ウルトラマンジードが彼を討って以降。単発の事件はあれど、正体不明の何者かが背後に潜んでいるような事態は確認されなかったこともあり――やはりザギこそが全ての黒幕で、ルカたちの出自を巡る一連の騒動は、終結したと思っていたが。

 

 そうではなかったと告げられて、ルカは呆けた声を漏らしていた。

 

「だけど。もうウルトラマンキングが、全てを終わらせているかもしれない――とも、ザギは言っていた。だから、様子を見ていたんだ」

 

 束の間の平穏は、伝説の超人を信頼した兄の、気遣いによって得られていたものだったと。今更知らされたルカは、衝撃に打ちのめされていた。

 

〈ダークザギは、蓄えていたデビルスプリンターを一気に消費しなければ、自身の解放も叶いませんでした。その状態のザギが、高度な――それこそベリアル本人をも凌ぐほどのレイオニクス能力を何度も発揮できたのは、不自然です〉

 

 現状を理解するのに精一杯のルカへ向けて、唯一リクと情報を共有していたらしきレムが、補足を開始する。

 

〈そして、私たちがルカを見つけた時。宇宙小珍獣モナーが、我々を誘導していました〉

 

 ルカの知り得ない、リクたちと出会う以前の情報もまた付け加えて、レムが答えを導き出す。

 

〈その他、これまでの情報を統合すれば。ダークザギと共に、一連の事態を仕向けた黒幕は――極めて強大な、レイオニクス能力者だと結論できます〉

「……あの船に、そいつが乗っているってこと?」

 

 怪獣使いの血を継ぐベリアルの子らとは違い、レイオニクス同士の感応がなかった――そしてルカと同じように、初めてその事実を知らされたらしいライハが、問いかけた。

 

〈その可能性が高いでしょう。あの船は――〉

 

 皆の視線が、中継映像へ集中したその時。時空の歪みの奥から、さらに新たな存在が姿を見せた。

 

 三つ時空が交差するメタフィールドの大地に降り立ったのは、直陸二足歩行の恐竜に似た、体高四十メートル級の黒い怪獣。

 

 頭頂部から尻尾、及び尾の先端に、赤を中心とした大量の羽根を生やし。豊かな髭のような、白い毛で顎の下を覆ったその怪獣は、高度な知性を感じさせる瞳に確かな意志を宿し、咆哮を発した。

 

〈あれは、怪獣司祭ジェロニモン〉

 

 ――その存在は、レムに事態の核心への言及を中断させるほどの重みを持っていた。

 

〈かつてウルトラマンと戦った――そして、度々レイブラッド星人が使役したとされる、強力な怪獣です。数々の超能力を持ちますが、最大の特徴は……〉

 

 レムが言い終える前に、ジェロニモン自身が、その実演を完了した。

 

 ジェロニモンの長い咆哮が終わる間際、黒い靄が浮かび上がり、実像を結んで――何もなかった空間に、漆黒の棍棒のような巨大物体を出現させた。

 

「ぎ……ギガバトルナイザー!?」

 

 リクが叫んだことで、見覚えのあるその物体が何なのか、ルカも思い出せた。

 

 あれこそは、ジードが継承したギガファイナライザーと対を成す、ウルトラマンベリアルの最強武装。

 

 一度に百体の怪獣を操るとされる神器、ギガバトルナイザーだ。

 

「なんで!? ジードが壊したのに……!」

〈ジェロニモンが持つ怪獣蘇生能力と、彼らを統べるレイオニクスの力を合わせて、復活させたようです〉

 

 ペガの疑問に、レムが即答した。

 

 怪獣蘇生能力――それこそが、怪獣司祭ジェロニモンの持つ、最大の特徴。文字通り、死した怪獣を復活させ使役する恐るべき力。

 

 再生が副産物となるデビルスプリンターと異なり、任意で復活対象を選べるそれは、まさに生死の境すら意のままとする超絶能力だと言えた。

 

 そんな能力を持つ怪獣をも、支配下に置くことで。亡霊魔道士レイバトスなる巨悪がかつて為したのと同じ所業を可能にしたらしいと、レムが解析結果を表示した。

 

 ……真に恐るべきことは。今ここで、ギガバトルナイザーを手にしたということは。これまではそのような増幅器なしで、ゾグやジェロニモンといった高度な知性を持つ強力な怪獣を従え、さらにはかつてのプリズ魔やメツオロチのように、使い捨てにするような怪獣にまでブレイブバーストを起こさせるほどの強大な力を、あの船に乗っているらしきレイオニクスが有しているということだ。

 

 そのギガバトルナイザーが、ジェロニモンの念力で船に積み込まれるのと同時に。ゾグの集めた無数のリトルスターが、滞空する宇宙船へと注がれ始めた。

 

「……行こう、お兄ちゃん」

 

 その様子を見つめながら、ルカは決意を込めて口を開いた。

 

「何が起きてるのか、まだ全然わかんないけど……このままじゃきっと危ない。私がメタフィールドに着けば、多分妨害を押し切って隔離できるはず」

 

 多少、己の身を危険に晒すことになっても。メタフィールドが開いたままでは、星山市の安全が保証されない。

 

 ルカを店員として雇い、生活の糧を稼ぐ場をくれた銀河マーケット。その店長の姪で、リクやルカを兄姉のように慕ってくれた原エリや、彼女のボーイフレンドである本田トオル少年。

 

 サラの友達になってくれた伊賀栗マユと、その両親であるレイトとルミナ。共に戦う、家族のようなAIBの仲間たち。

 

 そして、リクとルカの名付け親である朝倉(スイ)

 

 大切な、共に過ごしたいと願う相手が生きる場所を傷つけられる方が、ルカはもう、体の痛みより怖かった。

 

「……わかった」

 

 そんなルカの気持ちを察したように、リクが重々しく頷いた。

 

「わたしも行く!」

 

 事態の推移を見守っていた末っ子もまた。状況は理解しきれないままでも、家族の力になろうという決意に満ちた声で、勢いよく挙手する。

 

 そんな妹二人を見て、リクは少しだけ俯いた。

 

「ごめん、二人とも。今まで黙ってて……」

「謝らないで、お兄ちゃん。私たちを心配させたくなかったからだって、ちゃんとわかってるから」

 

 自身の判断を責めようとするリクに、その優しさを否定して欲しくはないと――彼の優しさに救われ、今こうして生きているルカは、小さく首を振った。

 

「今からばっちり解決しちゃえば、何も問題ないよ。だから」

「……ああ。ジーッとしてても、ドーにもならない」

 

 勇気と覚悟の合言葉を口にしたリクと頷き合い、ルカたちは異界化しつつある戦場へと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 ベリアルの子らを送り出した、星雲荘の中央司令室。

 

 そこに残された彼らの家族は、三兄妹が挑もうとする敵の動きを、通信越しに監視していた。

 

「昨日の今日じゃ、ゼガンも星雲荘も戦えない――頼んだよ、三人とも」

 

 突如として始まったゾグによるリトルスターの収奪に、ジェロニモンによるギガバトルナイザーの復活。

 

 しかもまだ、それだけで終わる気配のない大事件を前に、ペガが仲間の健闘を祈る。

 

「レム。さっき、話が流れちゃったけど――」

 

 味方の状態を確認するペガに続いて、ライハは敵の情報を、もう少し確定させたいと思っていた。

 

「あの船のことを、何か知っているの?」

 

 大切な弟子であり、新たな家族であるルカを狙う――そして、彼女との出会いを導いたとも言える、複雑な因縁の元凶。

 

 そいつが、あの船に乗っている。

 

 そのようにレムが推理した理由が、レイオニクスたちの状態や、複数の怪獣が明確に統率されていること以外にも、まだ何かある様子だった。

 

 それを、ライハは失念していなかった。

 

〈はい〉

 

 そして、やはり。かつて多元宇宙で大戦争を巻き起こしたウルトラマンベリアル麾下の戦列艦として、様々な怪獣や異星人、超兵器にその他森羅万象の記録を有するネオ・ブリタニア号の報告管理システムは、あの船の情報も持ち合わせていた。

 

〈艦名や、こうして現れた経緯はわかりませんが、あの形状は……伝説となった、地球のレイオニクスが乗った宇宙船。

 スペースペンドラゴンの、後継艦の一つのようです〉

「伝説のレイオニクスの……船」

 

 レイブラッド星人やウルトラマンベリアルの野望を阻止した、伝説のレイオニクスが乗った宇宙船ペンドラゴン。

 

 あの船は、その後継艦(マークツー)だとレムは言う。

 

 レイオニクスの関係者からすれば、それを自らの力とすることには、特別な意味があるのかもしれないと。レムが、あれこそは黒幕の乗艦だと睨んだ理由に、ライハは納得し――同時に、微かな引っかかりを覚えた。

 

〈そして、あの船からは……かつてベリアルが、ハイパーエレキングを育成するために捕獲した、宇宙球体スフィアと同様の反応が検出されています〉

 

 だが、その違和感は、レムが追加の情報を開陳したことで、一度隅に仕舞われた。

 

「宇宙球体……スフィア?」

〈はい。名の通り、球体状の宇宙生命体――様々な物質や生物と融合し、時には怪獣化させる能力を持ちます〉

 

 根源破滅天使ゾグ。怪獣司祭ジェロニモン。さらに、謎の空間を操る未知の怪獣。

 

 それに加えて、ただの乗り物と思われた宇宙船までも、別種の怪獣だというのだから。遂に姿を見せた黒幕は、どれほどの手札を抱えているのか。

 

〈ペンドラゴンと同じ、ネオマキシマドライブを搭載した宇宙船がスフィアに寄生された際は、ジオモスという怪獣に変貌しましたが……スフィア反応以外、ジオモスの特徴が確認できない今は、全く別の存在と見なした方が適切でしょう〉

 

 スフィアに寄生されたペンドラゴン型の戦艦は、レムをして解析しきれない存在であるらしい。

 

 故に、既知の存在(ジオモス)の亜種ではなく。安直ながらも、新たな怪獣としての呼称を、レムが用意した。

 

〈以降、あの船のことを――スフィアペンドラゴンと呼称します〉

 

 

 

 

 

 

 星雲荘にて、スフィアペンドラゴンと名付けられた宇宙船――そのブリッジ。

 

 たった一人の乗組員が、艦長席に腰掛けていた。

 

 ……宇宙球体スフィアの正体は、遠い昔、ある惑星の知性体が母星ごと全て同化し、進化を遂げた生命体だ。

 

 その出自故に、スフィアは他の生物や星々と融合し、全てを一つにすることで究極の平和を齎すことが己の使命だと自負し、その最終目的のために活動していた。

 

 そのスフィアと、現に全てが融合した船へ無防備に触れながら――取り込まれることはなく。

 

 何故なら。一切の機器へ触れることなく、念じるだけでスフィアペンドラゴンを自在に操る、たった一人の乗員でもある艦長は。あらゆる怪獣を従える、全知全能の究極生命体――レイブラッド星人の遺伝子を、誰より色濃く受け継いでいたからだ。

 

 だが、その彼をしても。ギガバトルナイザーを復元するには、流石に――破壊されたのと、同じ場所に赴く必要があった。

 

 そのために。これまで、同じ空間に存在することを避けていた、ベリアルの子らと……直接の対面を避けられないと悟った艦長席の人物は、深々と溜息を吐いた。

 

「……本当にやってくれたよね、ダークザギ」

 

 計画変更の埋め合わせとして、ギガバトルナイザーの回収を必要とさせた裏切者。

 

 ダークザギへの恨み言を漏らす声は、まだ若い――地球人で言えば、成人を迎えるか否かといった年頃の、青年の物だった。

 

「おかげで、ウルトラマンキングに僕の生存を悟られてしまった今。もう余裕はない」

 

 無数の宇宙でも、最も恐ろしい追跡者から何とか逃げ延びたばかりの彼は、誰も聞いていないはずの言葉を――自らに言い聞かせるようにして、口ずさんでいた。

 

「だから、多少手荒くなるけど……君たちだけでも、光の国ぐらいには勝てるよう。これで仕上げさせて貰うよ、三人とも」

 

 呟く彼の小脇には。ゾグが吸い上げ、スフィアペンドラゴンに注ぎ込む、そのキングが残した高純度エネルギー結晶体――リトルスターを、受け入れる器。

 

 光の国から密かに奪い取り、その実戦配備を頓挫に追い込んだ、宇宙警備隊の新たな切札となるはずだった超兵器……ウルトラカプセルが、列を為して、起動の時を待っていた。

 

 

 




Aパートあとがき



 ようやく黒幕戦力の顔見せにも至りました。特に中心となる存在が『ウルトラマンデッカー』と被ってしまったという痛い目を見ながら、そちらで開示された設定の反映もあるので結果オーライとして頂けると幸いです。

 以下はいつもの雑文。長いので読み飛ばして頂いて構いません。



 そういうわけで、久々の(?)本作独自怪獣、ジオモス亜種ことスフィアペンドラゴンの登場です。

『ウルトラマンダイナ』に登場した中でも人気怪獣の一体であるスフィア合成獣ジオモス。そのオマージュ元が古代怪獣ゴモラというのは有名な話かもしれません。
 しかし、『大怪獣バトル』シリーズのメインメカ、主人公レイたちの宇宙船ペンドラゴンが、ジオモスの素材になったロムルスⅢ世号と同じくネオマキシマドライブ搭載機であるという設定は微妙にマイナーなので、ここで解説してしまいます。
 つまり、ジオモスを繋ぎとすることで、黒幕の戦力として(まだ怪獣形態は出てませんが)ペンドラゴンの後継艦をゴモラモチーフの怪獣にすることが可能となるという、『大怪獣バトル』シリーズの流れを意識する本作としては会心のネタだったりします。明らかにラスボス最有力候補っぽい設定ですが、果たして本当にこのままラスボスになるのかはその目でお確かめ頂けると幸いです……! メタ的ではない能力等の設定解説は今後本編に合わせて。一つだけ先に明かすとマザースフィアペンドラゴンと呼ぶのが多分分類上は正しいです。

 なお、作品全体の構想ではザ・ワンはこいつの噛ませとなるために復活する予定でしたが、今回のプロットを練っている間に変更となってしまい、戦闘描写全カットでアバン死という憂き目に遭いました。10話Dパートのザ・ワン独白でブレイブバーストの原因である黒幕に分身の操作を奪われた件に(作劇の都合上わかり難い形で)言及しているのはその前フリで、この時の新戦闘形態(※超弱体化フォーム)としてデビルスプリンターで復活した(ベムラーモチーフの)ザ・ワンがアーストロンを吸収しバーニング・ベムストラのそっくりさんになるはずだったという没ネタもここで明かします。



・デビルスプリンターと復活怪獣
 公式の正史となる映像作品では、デビルスプリンターで復活したと明言された怪獣はあくまで『ウルトラマンZ』に登場したギルバリスのみとなります。
 ただし、本文中でも触れたようにダークルギエルはベリアルの怪獣カプセルに使われていたという経緯があり、その後の時系列となる『ウルトラギャラクシーファイト』で復活した際は自身の目的より先にギンガとの決着を望む等、かなり好戦的=凶暴化している様子があるので、復活の理由が語られていない以上デビルスプリンターの影響で復活したと言い張っても大きく矛盾しないと解釈しています。実際の設定としては三巨人仲良くトレギアの仕業か、あるいはウルトラダークキラーだけトレギアが復活させ、残りはキラープラズマによる蘇生の可能性も高いですが、明言されていないのでデビルスプリンター説も有りということで何とかお願いします。ファイブキングについては割愛。

 そしてエンペラ星人ですが、彼は『ウルトラマンメビウス』での末期の言葉が「余が光になっていく」であり、当時のスタッフ&演者としては最期は浄化された想定で演出されているとのことです。なのに邪悪な力に負けて復活するのは台無しだろうという気持ちがあり、おそらくは公式でも同様の認識のため、正史となる物語ではその後の本人が再登場することはないまま今日に至っていると思います。ちょうどジード最終回後の正史ベリアルと同じ立ち位置ですね。
 そのため、作中では明言しませんが、エンペラ星人自身が復活を拒否しているためにデビルスプリンターで復活することはなかったという解釈です。

 公式ではデビルスプリンターでの復活とベリアルの使った怪獣カプセルが結びつくことはないと思いますが、本作ではこのような解釈であると改めて言い訳して終わりにします。



・キメラベロスの設計思想
 キメラベロスが、「ファイブキングの能力でジードを取り込み、変換器とした後にゾグの能力で幼年期放射を集める」ための形態だったのでは、という推測を作中で触れましたが、もちろん公式設定ではないのであしからず。
 ベリアルの当初プランではキメラベロスの時点でジード及びキングを取り込むつもりだったようなので、それを踏まえるとこう考えることもできるかな、という独自解釈になります。これならカレラン分子分解酵素のように妨害することもできなくなるので、ベリアル単体でストルム器官によるキング吸収を図る最終決戦の作戦はあくまでサブプランらしくなる気がします。


・怪獣司祭ジェロニモン
 ジェロニモンの本来の肩書は「怪獣酋長」ですが、酋長という単語が現在放送できないため、ジェロニモンが再登場する場合は肩書が変わるという説がファンの間でよく話題に挙がっています。
 繰り返すように本作は架空のTV番組のノベライズという体のため、それに合わせて肩書を変更した形となります。もちろん本作独自設定ですが、『ウルトラマン超闘士激伝』に登場するエンペラ軍幹部の暗黒司祭ジェロニモンをネーミングの元ネタとしています。

 ちなみに(まだ顔見世していない面子含む)今回登場する敵怪獣は(二話前のモエタランガもですが)アトラクショー用のスーツが近年まで確認されているため、それを改修して使っている想定だったりします。本作は架空の(ry


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