花音ちゃん、誕生日おめでとう。
前回の続きになります。
それではどうぞ。
「……って、感じで今に至る訳」
「そう。とりあえず一発殴っていいかしら?」
ティアの一言に何故そうなるのさと言う悠里。
「質問を変えるけど、それじゃあ一昨日は何をしてたのかしら?」
「いつものバイトだけど?」
「……ふーん……」
少し疑り深い目で悠里を見るティア。
「悠里くんって、バイトしてたんだ……もしかしてボディーガード?」
「彩ちゃんは、僕をなんだと思ってるのさ。そんな訳ないじゃん……仮にそんなバイトがあったとしてもやらないよ」
「あ、そっか……」
そう指摘され納得する彩。
確かに冷静に考えたら、そんなバイトがあったとしても悠里の性格上、やらないのは明白だった。
「
「それか……隣にある……カフェスペース……?」
「確かに募集はしてたけど、僕は応募すらしてないよ。カフェスペースを借りる時は偶にあるけど。それに紗夜ちゃんや燐子ちゃん達と一緒に練習できる時間が減っちゃうし」
「「……」」
紗夜と燐子の答えも違うと答える悠里。そしてさり気なく、一緒に居る時間が減ると言われた2人は嬉しいのか顔を赤くしてしまう。
「じゃあ……接客業のバイトとか?」
「臨時バイトなら知り合いの喫茶店でやった事あるけど、僕はそういうの向いてないよ。厨房ならまだしもホールとかは、花音ちゃん達みたいな可愛い子が適任だと思うし」
「ふ、ふえぇ……そ、そんな事ないよ。悠里くんが喫茶店の店員さんだったら……寧ろ、通いつめちゃうかも……」
花音の小言が聞こえたティアを除いた他の4人は、うんうんと頷いていた。
「なら、どこでバイトしてるのよ?」
千聖が訊く。
彼女も悠里がバイトしそうなところを考えていたのだが、見当がつかなかった。
先程の4人が言ってたバイトも悠里のイメージには合ってる。だが、本人が違うと言ってるのだ。
「ん?
「「「「「えっ!?」」」」」
「まあ、その反応になるわよね……」
その言葉を聞いた5人は驚愕の表情。ティアは5人の反応が既に解っていたのか軽い溜息。
「……そんなに驚く事?」
「驚くわよ。ユーリの事をよく知ってる人なら尚更ね」
首を傾げる悠里に対し、そりゃそうだと答えるティア。
「幼稚園でバイトって……どんな事をするの?」
「んー? そんな大変な事じゃないよ? 園児のみんなの面倒をみたりとかかな。主に」
と言っても、自分は園児のみんなと遊んだり、お昼寝したり、一緒におやつを作ったりしてるだけだと彩の疑問に答える悠里。
「私もユーリから聞いた時は驚いたわ。まあ……2年前に資格を取得可能な特別授業があったの」
「そ、そうなんですか? あの……如月さんは……何を取ったんですか?」
「私? ユーリと同じ
「というか、ティアちゃん。教師の免許も取ってなかったっけ?」
「ああ、そうね。忘れてたわ。それは確かにユーリ達と一緒に取ったのよね……」
燐子の質問に答えつつ、悠里の指摘に思い出したとばかりの表情をするティア。
「話が逸れた。それでバイトが早めに終わったから、フリーマーケットをしに行ったんだよ」
「ああ。ユーリが気紛れで営業してるアレね。客層どうだったの?」
「……どこで噂を聞いたのか、あり得ないくらいの人数が来たんだよ」
当面はフリマの営業は控えたいと溜息を吐く悠里。
事情を知らない5人に対して、ティアが具体的に説明する。
悠里が営業するフリーマーケットは品揃えが大変珍しく、誰かにプレゼントするのにピッタリな品が多いとの事。また、その殆どの品が悠里の手作りの物が多いとの事。
「それで10分くらいかな……? 最後尾のお客さんが彩ちゃんの妹ちゃん、千聖ちゃんの妹ちゃん、花音ちゃんの弟くんだったんだよ」
「「「えっ!?」」」
まさかの身内が来ていた事を聞かされ、驚きの声を上げる彩、千聖、花音。
「そしたら3人共、お店の手伝いをしてくれたんだ。大丈夫だって言ったんだけど……」
「「「なんか、妹(弟)がごめんね(なさい)……」」」
「ううん。寧ろ、こっちがごめんねだよ……」
謝る彩と千聖、花音に対して、悠里は逆にこっちがごめんねだと3人に謝った。
「そしたら5分くらいかな? 紗夜ちゃんのお母さんが来たんだよ」
「えっ!?」
それを聞いて驚く紗夜。
「ちょうどその時、夕飯の買い物の帰りだったみたい」
「あの、母は何を買ったんですか……?」
「うーん、確か……便箋とアルバム……あとマグカップセットだったよ? 帰り際に紗夜ちゃんをよろしくねとか言われたけど」
「っ!? そ、そう……ですか……」
顔を赤くしながら、うちの母は悠里に対して、何を言ってるんだ!と心の中で文句を言う紗夜。
「その数分後かな? 燐子ちゃんのお母さんが入れ違いに来たんだよ」
「えっ!?」
今度は自分の母親が来た事に驚く燐子。
「家族にピッタリの物って何かある? って、聞かれたから、マグカップセットと母さん直伝の夫婦円満のアクセサリーを勧めたんだ。そしたら凄く喜んでくれて」
「そ、そうなんだ……お母さんが機嫌良かったのって……そういう意味だったんだ……」
あの時、母がいつも以上に機嫌が良かった理由を察した燐子。
「そんなこんなで、14時30分くらいかな。お店を閉めて、手伝ってくれた3人と一緒にお茶しに行った」
「ユーリらしいわね。どこまで行ってきたの?」
「うーんと……あそこ。去年ティアちゃんがタダ券……? というか割引券を僕にくれたでしょ? そのお店」
「……あげた私が言うのもなんだけど、行ってきたのね……」
「だって期限が一昨日までだったし……」
それを聞いたティアは頭を抱える。
「いったいどんなお店なの?」
「……チサト、ここよ」
「えっと……っ!? ちょっ……ちょっと悠里、ここに妹を連れて行ったの……!?」
「うん。ティアちゃんが見せてるお店がそうなら、そうだけど……」
首を傾げてる千聖にティアが自身のスマホを彼女に見せる。
そのお店を見た千聖は正気か!?と言わんばかりに、スマホと悠里を交互に見ながら問いかけた。
それにつられ彩、花音、紗夜、燐子もティアのスマホを見ると目を見開く。
「こ、このお店に妹を連れて行ってくれたの……!?」
「ふ、ふえぇ……!? こ、このお店に……!?」
「確かお店の外見が高級過ぎて、店内に入りにくいという……話題の喫茶店……ですよね?」
「そ、そうですね……この前テレビでやってました……」
何やら、各々が色々言っている気がするなーと、悠里は思った。
「……そんなに驚く事?」
「当たり前じゃない! このお店、テレビで話題になるくらいの超有名店よ!?」
「そうなの? あ、だから
「外の景色……? えっと、悠里くん達は何処の席に座ったの?」
「サイトに載ってないかなー……? あっ、あった。ここの席だよ?」
「ここ、テラス席だよ……?」
「そうだね」
「「「……」」」
千聖、彩、花音は悠里を見る。
悠里は悠里で『今度はみんなと一緒に行きたいねー』と、のほほんとした感じで言っている。
そう言う問題じゃないんだけど……というのが、今の3人の心境である。
「悠里、領収書を後で貰えるかしら……」
「? 領収書……? レシートならあるけど……別にいいよ。気にしなくても……」
「私が気にするのよ!」
千聖の意図が分かってるのか、そういう事はしなくていいよと答える悠里。
仕方ないので、財布からレシートを取り出して彼女に渡す。
「……ねえ悠里? この
「あー、それ? お会計の時にマフィンの試食をして、凄く美味しかったから、自分の分も含めて買ったんだ。残りの3セットは、帰り際に3人に持たせたよ?」
「「「……(((も、もしかして……あの時の!?)))」」」
それを聞いて、一昨日の出来事を思い出した千聖、彩、花音。
実は一昨日、帰宅したら妹(弟)が、お土産のマフィン貰ったからみんなで食べよ?と言ってきたのだ。
最初は何処のお店なのか、分からなかったのだが……悠里の言葉でそれが解決した。
「ユーリ、このお土産代は? かなりの個数が書いてあるけど……」
「それ?
「「「「「えっ!?」」」」」
「……ユーリ、どれを買ったの? ちょっと確認してくれない?」
爆弾発言に驚く5人。
そしてティアが、一体何を買ったんだとスマホでお店のお土産カタログを悠里に見せる。
「えーっとね……あ、あった。これだよ」
「……サヨ。ちょっと計算するの手伝ってくれない? ユーリ、お金払うわ。というか、払わせて」
「えー、ティアちゃんまでー……?」
ちょっと不服そうな表情をする悠里。
メモ帳を取り出し、スマホの画面を見つつ、紗夜に計算を手伝ってもらうティア。
「「……」」
計算が終わって、何故か冷や汗をかくティアと紗夜。
「ティアちゃん? 紗夜ちゃん? どう、だったの……?」
「チサト。これ、とんでもない値段よ……ねえ、サヨ?」
「は、はい。1つあたりの値段自体はそんなに……いえ、それでもなんですが、合計した値段がとてもじゃないです……」
「えっと、合計金額が……ちょっ……!?」
「「「っ!?」」」
これ、税込み価格の値段ですと言って、千聖に見せた紗夜。
それを見た千聖は驚愕の表情。彩、花音、燐子の3人もである……
「大袈裟だなぁ……そんなに気にしなくてもいいよ?」
「「「「「気にするよ(します)!!!」」」」」
水族館の館内だというのに、5人の少女の叫びがこだましたのであった。
読んでいただきありがとうございます。
間に合って良かったです。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。